原孝至の法学徒然草

司法試験予備校講師(弁護士)のブログです。

刑訴のヤマ

2011-04-13 | 刑訴法的内容
特に「これそろそろ出るだろう」と思うので,書きます。はじめに断っておくと,「ヤマあて」というのはあまり好きではなく,また,あくまで私の「独り言」に近いものなので,はずれても責任はないです。ヤマなんて,普通,はずれるものだと思って読んでください。論文・短答併せてのヤマ(予想)です。

ちょっと前に記事にしたところですが,弾劾証拠を軸とした問題が気になります。先だって発売された刑訴百選(第9版)の59事件(名古屋高裁金沢支部平成20.6.5)と90事件(最判H18.11.7)です。この2つの判例,短答,論文を通じてまだ出題されていません。前者は,公判前整理手続終了後に弾劾証拠を請求できるか(「やむを得ない事由」の解釈),後者は328の証明力を争うための証拠の意義です。刑訴の百選(第9版)はお持ちでない方もおおかと思いますが,この2つの判例はチェックしておくこといいかな,と思います。弾劾証拠,検事の友人曰く,実務的にはほとんどお目にかからないようなんですが,百選にこの2つが掲載されていることもあって,用心することは必要かと。

316の32を引用したうえで,これまでの出題を振り返ります。

=条文引用=

第316条の32  公判前整理手続又は期日間整理手続に付された事件については、検察官及び被告人又は弁護人は、第298条第1項の規定にかかわらず、やむを得ない事由によつて公判前整理手続又は期日間整理手続において請求することができなかつたものを除き、当該公判前整理手続又は期日間整理手続が終わつた後には、証拠調べを請求することができない。
2  前項の規定は、裁判所が、必要と認めるときに、職権で証拠調べをすることを妨げるものではない。

=引用終わり=

公判前整理手続は,毎年,短答で1問出題されています。平成20年が3点配点で,それ以外の年度は2点配点です。そして,今日のテーマに関する出題は,H20年・第32問・エと,H22年・第29問・オです。いずれも,不正解の肢として出題されています。H20の問題は,公判前整理手続が終わった後には「情状に関するものに限って」証拠調べ請求ができるとしている点で誤り,H22の問題は,やむを得ず公判前整理手続で提出できなかったものは,「職権で証拠調べをせねばならない」としている点で誤りです。職権証拠調べを義務付けるものではありません(2項)。

そして,弾劾証拠についてですが,実は,短答ではH18・35問でしか出ていません。3点配点の論理問題です。「証明力を争うため」の証拠の範囲,「証明力を争う」の意味,などについて問われています。平成19年以降は,弾劾証拠について,短答で出題されていません。

この出方からして…。うーん…。以上,独り言でした。

今日は早く家に帰って,大好きな野球中継を観ます。

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