阿比留瑠比さんのブログより、
ある日の自民党の皇室典範論議 秋篠宮后紀子さまが皇位継承権を持つ男子をご出産されたことについて、安倍晋三官房長官は「秋の澄み切った空を思わせるすがすがしい気分になりました」と感想を述べました。私も同じ気持ちです。今朝、一報を聞いてある議員秘書に電話で知らせたところ、「よかった。なんだか泣けてきた」と話していました。 昨年11月に「皇室典範改正に関する有識者会議」が、議論を深めないままあっさりと女性・女系天皇容認を打ち出し、小泉純一郎首相が今年の通常国会に皇室典範改正案を提出する構えをとっていたときには、何度も夢の中で小泉氏と議論したほど重苦しい気持ちになったものでした(まさに悪夢)。 もちろん、男子が誕生したからといって、皇室がこれで将来にわたって安泰というものではないため、旧皇族の皇籍復帰など、何らかの措置が必要であることは変わりません。ただ、有史以来の皇室伝統をひっくり返す女系天皇容認論は、しばらくは勢いを失うことでしょう。 さて、自民党ではこの皇位継承問題について、内閣部会(木村勉部会長)で数回、勉強会を開いて議員同士が議論を行っています。そのうち、紀子さまのご懐妊が報じられた後の今年2月23日に自民党本部で開かれた、内閣官房の柴田雅人皇室典範改正準備室長を招いての勉強会の様子を紹介します(非公開でしたが、私が何とか聞き取ってメモできた範囲で)。 甘利明政調会長あいさつ 「皇位継承制度に関しては、有識者会議で報告書が出 た。まずは有識者会議で何が議論され、想定されているかを認識しておく必要がある。(改正案を)提出するとかしないとかを前提にしないで勉強したい。これまで党として、正式に有識者会議の説明を受けていないので、まずは冷静に説明を受けたい」 ・ 柴田室長が報告書に沿って説明、以下は質疑 ◇太田誠一氏 「国家公務員である宮内庁は十分に機能しているのか。皇室をお守りする使命を果たしているのか。説明を聞くと、皇室典範を改正するのは誰に権限があるのか。皇室会議の権限はどうか。誰が変えることになるのか。あなた方が企画立案していいのかという正当性は?天皇は憲法1章に書かれている。他のこととは違う。生まれながらに他の人たちにはない重い責任を有する人たちだ。(報告書は)国民が受け入れる、入れないの話をしているが、そういう話ではないんだろう。大統領を選ぶのとは違う」 ◇野田毅氏 「有識者会議はあちこちにできているが、どういう根拠でできているのか。今回の有識者の人選について、だれがどういう責任で選定したかよくわからない。宮内庁なのか、内閣なのか。それなりのオーソリティー、有識者が出てこないとおかしい。現皇族の方(の発言を)「どうということはない」と切って捨てる馬鹿なやり方をするのが有識者会議のやることだろうか。この問題は、秋篠宮家に第三子ができたからおさまったが、今後、もういっぺんやるときには勝手に恣意的に選んだ方たちが、勝手に結論を出すことはあってはならない」 ◇西川京子氏 「(報告書の)内容をとやかく言う前に、どなたがどういう権限でこの方々を選んだのか。座長、副座長になっている人たちは共産党に近い、天皇制を否定したい人々だ。メンバーは結論ありきで選んだとしか考えられない」 ◇ 戸井田とおる氏 「非常に難しいこと(男系による皇位継承)を125代にわたって続けてきたことに価値がある。(女系容認は)陛下が言われたご意思みたいなことが漏れ聞こえてくる。おかしな進め方がされている」 ◇ 甘利氏 「中川秀直政調会長は『男系男子』(継承の維持)についても、いい案があれば検討してほしいと言っている」 ◇ 柴田室長 「有識者会議は法律で規定しているものではない」 ◇ 船田元氏 「憲法調査会でも女性天皇のことを議論している。目の前の現象にとらわれてはいけない、100年先のことを考えるべきだ。皇室であろうとも、国民の支持がなければ成り立っていかない。果たして一般国民のどこまでが女性・女系の違いを理解しているか。時間をかけて見極めたい」 ◇ 舛添要一氏 「天皇も憲法上の存在だ。憲法以前の存在だという人がいるが、暴論だと思う」 ◇ 赤池誠章氏 「政府内で過去にも女性・女系天皇を検討したのなら、当時の資料も出してほしい」 ◇ 渡辺具能氏 「もし改正案が提出されたらどうしようか、また欠席しなきゃいかんかと悩んでいた。有識者会議は男系男子(の旧皇族の皇籍復帰)は国民の理解が得られないと断定しているが、そうでない人もいる」 ◇ 木村座長 「改正案を提出するとかしないとか前提にしないで、報告書を理解しようと甘利政調会長代理は言っている」 ◇ 柴田室長 「旧皇族の復帰、男系男子継承の維持は、側室がない中で難しくなっている。有識者会議は法律に基づく機関ではない。総理が各委員に委嘱した。人選は内閣官房が、宮内庁と相談しながらやった」 自民党内にもいろいろな意見があるのがうかがえますが、やはりあの有識者会議への反発は強いですね。政府側が党側にろくに説明もせず、あれよあれよという間に有識者会議の報告を受けて改正案をまとめたことに対する不信感・不快感も根強いものがありました。 皇室典範改正案に関しては、小泉氏は郵政問題以来の「政局」となることも覚悟して進めるつもりでしたが、その意気込みは、紀子様のご懐妊という皇室の自然な営みによって、まるで平手打ちをくらったかのようにしぼんでいきました。私は、靖国参拝に関する小泉氏の姿勢は高く評価していますが、この問題では、国会答弁などをみても女性天皇と女系天皇の違いへの理解があいまいだったのではないかと疑っています。 小泉氏は、最近では「あの方向でこれから皇室典範が改正されるかどうかは、よく今後も状況を判断して検討していただきたい」と発言を大きく後退させていますね。次期首相となるだろう安倍氏は、国民世論の動向を見ながら、旧皇族(の一部)の皇籍復帰を含めた男系維持案を検討していくのだろうと思っています。 ちなみに、きょうのエントリはこのブログを始めてちょうど100本目です。記念すべき日に最高の慶事があたり、とてもうれしいです。 |
有識者会議のメンバーの選定に疑問を投げかけている発言(=赤字)がありますが、私も同じ意見です。
思うに、「有識者会議」と言えば聞こえがいいけれど、その実態は、小泉首相が「皇室典範改正ありき」で恣意的に選んだメンバーだったのでは・・・。そういうメンバーで討議を行って、予定通りの結論(改正すべし)を出したわけで。結局、全ては出来レースに過ぎなかったわけです。
自ら(=小泉首相)の考えに近い「何処の馬の骨」とも知れぬものを、「有識者」と僭称させてメンバーに送り込み、国の運命を左右する権限を与える・・・。皇室典範改正に関する「有識者会議」とはそのようなものではなかったのでしょうか。
そして、そのような「有識者会議」の出した結論を恭しく受け取って、それを拠り所にした法案をつくり、自民党議員に党議拘束をかけ、ごり押しを行おうとしていたのが、小泉首相でした。「紀子妃殿下の御懐妊」という出来事がなければ全ては、小泉首相の目論見通りになったかもしれません。
小泉擁護論者の中には、「有識者会議」の出した結論に対して反発する人たちを指して、『「何処の馬の骨」とも知れぬものが、何を偉そうに皇室のことを語るのか』というような暴論を吐いている人もいましたっけ。
小泉首相の独断専行的な政治手法と、それを熱狂的に支持する小泉擁護論者の存在は、方向性を間違えば酷い事になりえるという一つの例証ではなかったでしょうか。今後、「有識者会議」とか「私的諮問機関」といった存在が出す結論については、「眉に唾」をつけたほうがよさそうです。
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