Dogma and prejudice

媚中派も媚米派も同じ穴のムジナ
従属主義的思考から脱却すべし
(言っとくけど、「媚米」と「親米」は違うんだよ)

「日本は国際貢献しなければならない」という強迫観念

2007-12-29 | 外交・防衛
 自称保守は、「日本は国際貢献をしなければならない」という強迫観念があるみたいですね。

 でも、権利と義務というのは表裏一体のものであるはず。米英仏中露といった国は、安保理の常任理事国という絶大な権利を持っているわけで、そういう国に権利の代償として「国際社会に対して何らかの貢献をする義務」というのが生じるのは当然です。

 一方、日本はと言えば、安保理の常任理事国どころか、未だに国連の「敵国条項」の対象国であるわけです。

 いわば、国連においては「最下層」の国として扱われているのです。

 一人前の国としてさえ認めてくれていないのにもかかわらず、分担金においても、アメリカに次いで二番目に多いというような、不条理とも言える義務を課されているのです。

 「日本は国際貢献をしなければならない」というような諸大国の手前勝手な言い草に対しては、「だったら、せめて、敵国条項は撤廃しろよな」とぐらい言ってしかるべきです。

 自称保守は、小池百合子もそうだったけれど、1991年の湾岸戦争のとき、日本は米国中心の「多国籍軍」に130億ドルも拠出したのに、戦争後、日本だけが評価されなかった件に言及してそれを、「日本は国際貢献をしなければならない」という論拠にしています。

 ブッシュ(父)は日本に、湾岸への自衛隊派遣など、「目に見える貢献」を強く迫り、おろおろする日本は、「遅すぎる、少なすぎる」(too late, too little) と締め上げられ、国際社会の笑い物になったというのが、自称保守の見解です。

 勝手に戦争を始めておいて、その請求書を日本に渡して「払え」と迫るのだから、このときのアメリカのやり口も、ヤクザそこのけの所業です。

 こんな理不尽な要求に応えて、130億ドル拠出したにもかかわらず、クウェートの感謝国のリストに入らなかったのが自称保守のトラウマになっています。

 クウェートが日本に感謝を示さなかったというのが本当なら、そのような恩知らずの国には今後何が起ころうと、一切の支援をしないことにすれば良いだけのことで、何も日本が反省することでもないのに、自称保守は日本のやり方が間違っていたと反省するわけです、「目に見える形で、国際貢献をしないと評価されない」と。

 このようにして湾岸トラウマに陥った日本は、その後、二度とアメリカからの罵声を浴びまいとして、「少しでも早く、アメリカに貢献しないといけない」と焦りまくる国になってしまいました。ブッシュ(父)の一喝は、見事な効果をあげたわけです。

 「本当に日本というのは扱いやすい国だ」と、かの国の指導者は思っていることでしょう。

 一方、湾岸戦争での出来事は、「NYタイムスの感謝広告で日の丸が落ちていたのは、あくまでクウェートの手落ち。クウェートは巨額の日本の戦費支出を感謝していた」というような説もあります。

 もし、こちらの方が本当であれば、何もトラウマに陥る必要もなかったのですが、自称保守にとっては、「金だけでは駄目だ。汗も流さないと国際社会は評価しない」という主張に説得力を持たせるためには、このような説は邪魔なだけであることから、黙殺しているのではないかという気もします。



500兆円?日の丸「国家ファンド」設立へ議連発足

2007-12-27 | 構造改革
500兆円?日の丸「国家ファンド」設立へ議連発足
12/05 20:48

 金融市場で存在感を増している国家ファンドを日本でも設立しようと、自民党議員による「資産効果で国民を豊かにする議員連盟」が5日、発足した。低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)問題で世界の金融市場で動揺が続く現状を日本のチャンスととらえて来春に中間報告をまとめ、来年末にも国家ファンド設立にこぎ着けたい考えだ。

 同議連の構想では、シンガポールの政府投資公社(GIC)のように、政府出資の投資会社を設立し、手数料を払って外貨準備の運用益や公的年金、政府保有不動産の一部の運用を委託する。
 日本の外貨準備は10月末で9544億ドル(約105兆円)に達し中国に次いで世界2位、運用益は年3~4兆円に上る。さらに約150兆円規模の公的年金や約42兆円の政府保有不動産、政府系金融機関保有資産など運用可能な国有財産は500兆円との試算もある。

 議連では、このうちごく一部の運用でも世界有数のファンドになると想定。当初運用規模1000億円程度から始めて徐々に拡大を図る。国籍を問わず世界一流の金融の“プロ”を日本に招いて運用にあたらせ、国内金融機関や市場の水準向上につなげたい考えだ。
 議連には衆参両院の42人が参加、会長に山本有二前金融担当相、事務局長には田村耕太郎前内閣府政務官が就任した。


 今月5日の記事。

 「日本の外貨準備は10月末で9544億ドル(約105兆円)に達し中国に次いで世界2位、運用益は年3~4兆円に上る。さらに約150兆円規模の公的年金や約42兆円の政府保有不動産、政府系金融機関保有資産など運用可能な国有財産は500兆円との試算もある。」

・・・「運用可能な国有財産は500兆円との試算もある」と産経。

 「資産効果で国民を豊かにする」というような景気のいい話を推進しようとするときには、「実は日本は金が有り余っているのだ」と言うわけです。

 増税論議や公共サービスの切り捨ての際には、「日本の借金は800兆を超える」とかなんとかという話を持ち出し、日本は貧乏だから、「増税やむなし」、「福祉の切り捨てやむなし」という誘導をさんざん行っていながら。

 政府も、産経などの政府擁護系マスコミも、そのときそのときの都合で、政府の財政状態を貧しいだとか、豊かだとかの使い分けをしているような気がします。

 政府に運用可能な約500兆円もの資産があるというのなら、日本政府の純債務は、国債発行残高800兆円(=政府粗債務)から500兆円(=政府資産)を引いた300兆円程度だということであり、日本国は財政破綻の危機に瀕してはいないという結論になるのではないでしょうか。

 300兆円程度の財政赤字であれば、国民に切迫感を与えられないから、政府資産の500兆円については、ひた隠しにしてあくまで、「日本の財政赤字は800兆円だ。」と国民を欺いて脅かしてきたのでしょう。

 「財政がひっ迫している」ということを国民の頭に叩きこめば、増税論議も、福祉の切り捨ても、国民の反対の声を容易く抑え込めることが出来ますからね。なんでもかんでも「金が無いからしょうがないじゃないか」で済ますことが出来るわけです。ネット界でも、聞き分けの良いマンセー族が、そのようなロジックで反対論者の説得に当たってくれています。

 そもそも、財政赤字の規模が800兆円でも300兆円でも、そのような大きな赤字をこしらえたのは他ならぬ政府であるのに、それを謝罪することもしないで、国民に負担を押し付けるだけの政府というのは実に腐った存在であるということは、指摘しておかなくてはなりません。





トップの器ではなかったのでは?・・・福田首相

2007-12-26 | 政治
 威勢の良かったころの、舛添大臣。↓

「爆走中」舛添大臣「言うこと聞かない会社はつぶれます」: 朝ズバッ! :J-CAST テレビウォッチより、
「いまの厚労省には大臣が3人必要です。3分割しないと進まない」

年金記録に薬害C型肝炎・・・巨大な組織に問題が山積している省庁のトップが、この日の朝ズバッ!に生出演。

解決に向かって、官僚が戸惑ってオタオタするような大胆な判断、猛スピードで爆走する“超多忙中”の張り切り大臣だ。

「私はフライングだ、パフォーマンスだといわれても強い意欲を持ってやり抜きますよ、ぎっくり腰がいくら痛くても。抵抗勢力?蹴散らしますよ」・・・

いつもの小気味いい大岡裁きのタンカ口調。スタジオは<舛添支持・がんばれ>モードとなった。みのもんたはさながら応援団長。

前日(10月31日)には「年金記録問題検証委員会」の最終報告書が出た。

「あれは向こう(総務省)が検察官で、私(厚労省)は被告席に立たされたようなもの。この国は社保庁のこの問題から立て直さなければ。コンビニより信用のない国家機関ってありますか」

「民主党の長妻さんがやっても出来ない、そこまで踏み込んでやります」

歴代の政治家がしがらみやら何やらで取れなかったスタンス。キレ味の鋭い発言だ。テレビ討論のタレント性が、大臣という看板を背負って迫力が倍加した。

薬害C型肝炎について福田首相は政府責任を認めた。“爆走大臣”はこの問題でも被害者の目線に立った。

「患者の皆さんが救われることなら、政府声明であれ和解であれ、形はどうでもいいんです。真相を究明して責任を取らせる。その原則しかありません」

「リストを出さない製薬メーカーには今日にでも極めて厳しい命令を発します。大臣の命令ですから・・・」といいながら人差し指を突き出していった。

「いうことを聞かないと、会社はつぶれます」

元国交省のキャリア官僚から突然、役者に転身した早坂実が口をはさんだ。「国の責任だとすると財源が・・・」

おそるおそるの質問に素早く反応する。「国民に頼むから1円でも2円でも出してよ。それで7年かけて解決しましょうよ、と・・・そうだ。この番組で肝炎治療7年計画を叫んでほしい」

“爆走大臣”はみのもんた仕切りの番組を乗っ取った。


 11月初めのころの舛添大臣は意気盛んでしたね。薬害C型肝炎問題では、被害者側に立って、官僚や製薬メーカーをやっつけて、世論の喝采を浴びようとしていたのでしょう。「朝ズバッ!」も番組あげて応援していました。

 何かと世論から糾弾される官僚叩きをして、自らを「正義の味方」として、印象付けようとする戦術は小泉純一郎からのパクリですね。

 確かに薬害C型肝炎問題では、官僚や製薬メーカーが批判されるのは当然ですが、そこに何故か政治家の名前が見当たらないのが、私としては不思議です。歴代の厚労相に責任はなかったのでしょうか。

 それはともかく、被害者と円満に和解をして、物分かりのいい話の分かる大臣となるはずだったのに、福田ボスの反対で、全てが水の泡となったのは、まことに残念でした。

 話では、大臣職を辞めるのを覚悟で辞表を胸に薬害肝炎の直談判をした枡添大臣が交渉決裂のまま官邸の裏口から逃げるように退出をしたそうです。これには、ウォッチしていた人も、竜頭蛇尾だとか、度量が小さいだとかと呆れていました。枡添大臣の声価も急降下。

 そして、そのあとのどんでん返し。↓

厚労省「何も知らされてない」 首相発表に驚きの表情
2007年12月23日(日)13:15

* 共同通信

 薬害肝炎訴訟で福田首相が23日、議員立法による全員一律救済を目指す考えを明らかにしたことについて厚生労働省幹部は「何も知らされていなかった」と驚きの表情を見せた。同省では20日に、舛添厚労相が国としての和解案を発表し原告の求める全員一律救済には応じられないとの姿勢を示したばかり。福田首相の発表に同省幹部は「総理もいろいろ打開策を考えていたのではないか」と話した。


 舛添大臣に苦しい答弁をさせておきながら、頭越しで、一転して、全員一律救済を口にした福田首相。

 これでは、舛添大臣の立場がない。結局、タイミングを逸して、せっかくの決定が効果半減&部下の面子丸潰れ。

 優柔不断で、政治的センスの無さがあらわになってしまった福田首相。所詮、トップの器ではなかったのでは?



 

自民党が「YouTube」で情報発信、公式チャンネル開設

2007-12-19 | 自民党
自民党が「YouTube」で情報発信、公式チャンネル開設
 自由民主党は18日、動画共有サイト「YouTube」日本版において、同政党のブランドチャンネル「LDP channel」を開設したと発表した。福田康夫総裁らからのメッセージや政策の解説、自民党議員のプライベートを紹介する映像などを掲載する。 YouTube日本版にブランドチャンネルを開設する政党は、日本では初めてだとしている。

 YouTubeにはこれまでも、自民党のWebサイトに掲載されている動画コンテンツが第三者によって投稿されていたという。これに対して、ブランドチャンネルの開設は「動画による公式な情報発信を自発的に行なえる環境づくりの第一歩」だとしている。既存の映像に加えて、今後、多彩な動画を掲載していくという。

 LDP channelの開設にあたって、自民党のマルチメディア局長を務める河野太郎氏が動画コメントを公開している。政策関係にとどまらず、面白い映像や、「国会議員ひとりひとりがどういう人間かわかるような資料映像をたくさんアップしていきたい」とし、「ぜひ、このLDP channnelを有効に使って、また、ヒマな時には覗きに来ていただきたい」とコメントしている。

関連情報

■URL
  LDP channel
  http://jp.youtube.com/LDPchannel


 <自由民主党は18日、動画共有サイト「YouTube」日本版において、同政党のブランドチャンネル「LDP channel」を開設したと発表した。>

 さすが、カイカク政党だけあって、情報化社会への適応度は他の政党の追随を許しませんね。

 上記URLに飛ぶと、河野太郎が挨拶をしてくれますよ。

 記念すべき投稿第一作は、これ↓。(12月5日アップロード)

■私は誰でしょう?
you tube



 なかなか素敵な?笑顔です。・・・というか、目が笑っていません。


「首相の言葉 その重み再度かみしめよ」・・・と産経が苦言

2007-12-18 | 年金問題
【主張】首相の言葉 その重み再度かみしめよ
2007.12.18 03:43

 案の定、国民の反発を招いた。自民党が参院選大敗を喫する原因になった年金記録問題をめぐり、福田康夫首相や閣僚が当時の公約をほごにするような発言を相次いで口にしたのを受け、内閣支持率が急落している。

 防衛省の不祥事が相次いだことも下落要因のうちだろうが、政府の最高責任者の不用意な発言は、指導力や緊張感の欠如を印象づける。

 国政は臨時国会が年をまたいで再延長される異例の事態を迎えている。新テロ対策特別措置法案の成立を図る上で欠かせない対応だが、責任者が国民の信を失う発言をしているようでは、政策の重要性を説いてもしらじらしく響こう。公約は誤解を招いたと首相は謝罪したが、猛省を求めたい。

 いわゆる宙に浮いた5000万件の年金記録について、参院選前、当時の安倍晋三首相は「最後の1人にいたるまでチェックし、正しく年金を支払う」と訴え、自民党は「すべて1年間で統合できる」とチラシに書いた。

 年金記録問題は来年3月までに解決する。国民はもっぱら、政府・自民党がそう公約したと受け取ったろう。

 ところが、先週になって舛添要一厚生労働相は「記録統合作業はエンドレスで、できないこともある」と言い出し、町村信孝官房長官は「選挙中だから簡素化して言った」と説明した。福田首相は「公約違反というほど大げさなものか」と開き直った。

 発言直後、フジテレビの「報道2001」が13日行った世論調査では、内閣支持率が1週間で11ポイント下落し、他の調査でも同様の傾向がみられる。

 首相は「結果が出たものをとやかく申し上げてもしようがない」と、支持率下落を気にしないそぶりを見せるが、民主党は「早期解散で出直すしかない」と敵失に勢いづいている。

 和解交渉が難航している薬害C型肝炎訴訟への対応も、福田内閣にとって重い課題だ。首相が「行政の仕方にも問題があった」と、早々と政府の責任を認める発言を行い、原告側の期待をふくらませた面はなかったか。

 本人が考えている以上に、国民や関係者は首相の言葉に耳をそばだてている。常識から外れた発言が口を突くようでは、政治になるまい。「空気を読む」以前の問題である。


 産経までもが、↑こんなことを書いた。

 <舛添要一厚生労働相は「記録統合作業はエンドレスで、できないこともある」と言い出し、町村信孝官房長官は「選挙中だから簡素化して言った」と説明した。福田首相は「公約違反というほど大げさなものか」と開き直った。>

・・・この三人の開き直りようには呆れるしかないです。民主党からの追求に対し、逃げをうったのだろうけど、こんな言い訳に世論が納得するわけもなく、内閣支持率の暴落を招いたということです。

 考えてみれば、小泉時代は、小泉純一郎の開き直り答弁が、常に功を奏していましたね。「人生いろいろ」とか、「自衛隊の行くところが、非戦闘地域」という余りにも人を食った答弁に、拍手喝采する馬鹿が大勢いたせいでしょう。大衆を騙せるだけのカリスマがあれば、どんな言動を行おうと問題なしというわけです。

 自民党の愚かなところは、小泉時代以降も、この手法が通用すると思い込んでいるところです。小泉純一郎のカリスマを持たない舛添・町村・福田の開き直り答弁には国民は騙されません。

 スーパーモーニングでも、さんざんの言われようでした。↓

年金公約「違反」安倍さんのせい? 自民「言い訳」船場吉兆なみか: スーパーモーニング :J-CAST テレビウォッチ
吉永みち子が吠えた。「船場吉兆じゃないんだから、責任転嫁はダメ。政治家の公約を信用しているわけじゃぁないが、開き直られると失望しますよ。軽く考えすぎ」

室井佑月は「できないとわかっていながら、いうなんて、とぼけるのもいい加減にしろといいたい」

山口一臣は、「先週の薬害肝炎の問題にしても、国民の命や暮らしに関心が薄いんじゃないかと思う。それと、安倍さんに責任を転嫁したような発言は、人間としてどうなのかなと。どんな組織でも、前任者に責任を押しつけるというのは、リーダーとしての資格がないと捉えられても仕方がない」

そもそも、いくら調べても絶対にわからないものがでるのはわかっていた。安倍さんが叫んだときに、「それは無理だよ」とだれも言わなかったのもどうかしてる?


 安倍前首相の発言に異を唱えなかった時点で、全ての自民党議員は同罪ですね。今更、福田首相が安倍前首相の責任にしようとしても反発を招くだけ。


「思いやり予算」3年で8億円減額 日米合意

2007-12-17 | 外交・防衛
「思いやり予算」3年で8億円減額 日米合意
2007年12月12日22時55分

 日米両政府は12日、来年3月末で期限切れとなる在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)の特別協定分(光熱水費など)について、08年度から3年間で総額8億円減額することで合意した。特別協定分の削減は00年の改定交渉以来、7年ぶり。日本側は年間1400億円にのぼる特別協定の大幅な削減をめざしたが、米側がイラク戦争の戦費増大などを理由に反対し、微減にとどまった。

 高村外相とシーファー駐日米大使は12日、外務省で会談し、特別協定を3年間延長することなどで合意。高村氏は会談後、「米側は『増やせ』とまで言っていたので、それなりに満足できる結果」と記者団に語った。


 高村外相は会談後、「米側は『増やせ』とまで言っていたので、それなりに満足できる結果」と記者団に語った・・・。

 高村外相は満足したようですが、これに納得できる国民がどれだけいるでしょうか。「国民の税金をそんなに安直にアメリカにくれてやってもいいのか」と反問したいです。

 世界的に見て、日本の「米軍駐留経費負担」がどれだけ非常識なものかは、以下の記事を読めばよく分かります。

 こういうアメリカに都合の悪い記事を決して、産経や読売は取り上げないですね。両紙とも、アメリカ礼賛新聞だから当然ですが・・・。一見反米的な朝日も、日米安保の実態を詳しく報じることには及び腰です。

世界一の気前よさ 米軍駐留経費負担
2006年2月21日(火)「しんぶん赤旗」
世界一の気前よさ
米軍駐留経費負担
他の米同盟国26カ国分より多い

 「日本の米軍駐留経費負担額は、米国の他の同盟国二十六カ国を合わせた分よりも多い」―。日本共産党の笠井亮議員が二十日の衆院予算委員会で示した米国防総省「共同防衛に対する貢献」報告(〇四年版)は、日本が米軍駐留経費負担で米国の同盟国の中でも異常に突出した役割を果たしていることを示しています。
笠井議員が追及

 同報告は、米国防総省が毎年作成してきたもの。〇四年版は公表されているものの中では最新の報告で、日本を含め米国の同盟国二十七カ国を対象にしています。
米兵1人あたり 独・韓国の5倍

 それによると、米軍が同盟国に駐留するのにかかる経費のうち、同盟国側が負担している額(米軍駐留経費負担額、〇二年分)は、日本がダントツで、四十四億一千百三十四万ドル(五千三百八十二億円、一ドル=百二十二円で計算)に上ります。

 ドイツの二・八倍、韓国の五・二倍、イタリアの十二倍、英国の十八・五倍で、日本を除く二十六カ国の米軍駐留経費負担額の合計(三十九億八千五百八十二万ドル)よりも多くなっています。

 駐留する米兵一人当たりで計算すると、日本は十万六千ドル(千二百九十三万円)。イタリアの三・八倍、韓国、ドイツの四・九倍になっています。

 米軍駐留経費に占める負担額の割合も、日本は74・5%とダントツ。米軍が日本に駐留するのに必要な経費の約四分の三を日本が負担していることになります。米政府・軍の高官などが「日本はどの同盟国よりも最も気前がいい」と繰り返す理由です。
光熱水料金から住宅まで負担

 日本の米軍駐留経費負担額の内訳は、▽米軍基地の施設建設費、基地従業員の労務費、光熱水料、基地提供のための民有地借り上げ料、基地周辺対策費など直接の財政支出を伴う「直接支援」額が三十二億二千八百四十三万ドル(三千九百三十九億円)▽国有地の提供、税金の免除などによる「間接支援」額が十一億八千二百九十二万ドル(千四百四十三億円)―になっています。

 米軍駐留経費負担額全体の大きさはもちろん、財政支出を伴う「直接支援」の規模がけたはずれに大きいのも、日本の特徴です。

 「直接支援」額が二番目の韓国(四億八千六百六十一万ドル)の六・六倍。NATO(北大西洋条約機構)諸国の中では一番多いドイツ(二千八百七十万ドル)の百十二倍です。

 日本政府は、駐留米軍への「思いやり予算」と称して、日米地位協定にも負担の根拠がない基地の施設建設費、基地従業員の労務費、光熱水料、訓練費を負担してきました。

 施設建設では、豪華な米兵用家族住宅やレクリエーション施設をはじめ、耐爆シェルターや格納庫など米軍の作戦を直接支援する施設も次々に建設。米軍再編で空母艦載機部隊の移転が狙われている岩国基地の拡張工事も「思いやり予算」で行われています。

 これらが「直接支援」額の規模を押し上げる結果になっています。










 何と上納金(同盟国が負担する米軍駐留経費負担額全体)の半分以上を日本が支払っているというわけです。アメリカというやくざにたかられている現状が良く分かります。

 「思いやり予算」は1978年に始まり、その総額は既に12兆9600億円にも上っているとか。

 財政改革とやらで、医療費等の大幅な削減を行っておきながら、その一方で、思いやり予算の削減が、3年間で総額8億円という少額なのにも驚くしかありません。

 日本という国は、一体誰のために存在しているんだろう。



国家ファンド創設へ議連発足…政府資産有効運用目指す

2007-12-14 | 構造改革
国家ファンド創設へ議連発足…政府資産有効運用目指す
 世界2位の外貨準備や公的年金資産を有効的に運用する国家ファンドの創設を目指す自民党議員による「資産効果で国民を豊かにする議員連盟」が5日、発足した。来年3月をめどに中間報告をまとめ、早ければ来年末の設立を実現したい考えだ。

 世界の金融市場ではオイルマネーで潤う中東諸国や経済成長を続ける中国、ロシアなどの新興国の国家ファンドが、株式や不動産、企業買収などのリスク投資を積極化し、存在感を高めている。日本版国家ファンドは、ほとんどを米国債購入に充てている外貨準備の運用を多様化し、運用利回りを高めるのが狙いだ。

 議連には衆参両院の議員42人が参加、会長には山本有二前金融担当相、事務局長には田村耕太郎前内閣府政務官が就任した。このほか中川秀直前幹事長や塩崎恭久前官房長官などが参加している。

 山本会長は5日の会見で、「金融のグローバリズムに政治としてどう対処すべきか考える時期だ」と述べ、国家ファンドの必要性を強調した。

 議連の構想はシンガポールの政府投資公社(GIC)がモデル。政府出資の投資会社を設立し手数料を支払い、外貨準備や公的年金、政府保有不動産の一部について運用を委託する。

 日本の外貨準備は10月末で9544億ドル(約105兆円)に達し中国に次ぎ世界2位、米国債による運用益は毎年3~4兆円にとどまっている。

 議連では、運用資産1000億円程度からスタートし、徐々に10兆円台まで引き上げたい考え。国の収入となる運用益を増やし財政再建に貢献すると同時に、世界から金融の“プロ”を招聘(しょうへい)し、国内金融機関や市場の競争力強化につなげることも狙っている。

                   ◇

 ≪議連の顔ぶれ≫

 【衆院】山本有二(会長)▽後藤田正純▽小池百合子▽西村康稔▽中川秀直▽山際大志郎▽片山さつき▽塩崎恭久▽大塚拓▽後藤茂之▽田村憲久▽中山泰秀▽船田元▽河村建夫▽尾身幸次▽石田真敏▽坂本剛二▽奥野信亮▽菅義偉▽竹本直一▽木原誠二▽今村雅弘▽佐藤ゆかり▽佐藤剛男▽福岡資麿▽塩谷立▽ 加藤勝信▽とかしきなおみ▽長崎幸太郎▽山口泰明▽赤沢亮正【参院】岸信夫▽関口昌一▽岡田直樹▽秋元司▽田村耕太郎▽世耕弘成▽椎名一保▽吉田博美▽山本一太▽山谷えり子▽愛知治郎=敬称略

                   ◇

【用語解説】国家ファンド(ソブリン・ウエルス・ファンド=SWFソブリン・SWF)

 明確な定義はないが、政府が直接・間接的に運営し、主に海外の資産を投資対象とするファンドを指す。1953年にクウェートが初めて設立した。株式や不動産のほか、M&A(合併・買収)投資も積極的に展開する。原油などの一次産品の輸出収入のほか、貿易黒字や為替介入に伴う外貨準備高が原資。世界で30前後のファンドがあるとされ、国際通貨基金(IMF)によると、資産規模は最大で総額2兆9000億ドル(約319兆円)に上る。


 世界2位の外貨準備や公的年金資産を有効的に運用する国家ファンドの創設を目指す自民党議員による「資産効果で国民を豊かにする議員連盟」が5日、発足した・・・。

 小池百合子、中川秀直、片山さつき、佐藤ゆかり、世耕弘成、山本一太といった自称改革派議員が名を連ねていますが、こいつらは一体何を考えているのでしょうか。

 「国家ファンド創設」ということは、官が率先して、投資を行うということで、民間に出来ることを敢えて行おうという、「官から民へ」、「民が出来ることは民に」といった今までの主張と真逆の主張です。「民営化推進」などと能書きを垂れながら、よくこんなことを主張できるものですね。

 そもそも、政府の借金が800兆円とも言われている現在、そのような借金をした金で生まれた、外貨準備や公的年金資産で投機的マネーゲームを行うというのは、いわば、サラ金で借りた金でギャンブルをするようなもの。

 とても、まともな人間のやることではありません。こんなことを本気で考えるのは、頭のネジのぶっ飛んだ「カイカク馬鹿」ぐらいのものでしょう。

 大事な「公的年金資産」をマネーゲームに失敗して焦げ付かせても、どうせこいつらは知らぬ顔で、誤魔化すだけでしょう。

 むしろ、だぶついた外貨準備金など、さっさと処理して借金を減らすことに努めるべきなんですよ。土地・建物といった不動産はどんどん切り売りするくせに、暴落の予想されるドル札や米国債といった「いわば不良債権」を後生大事にする政府の姿勢は、国益の面から言って、非常に不可解な態度です。

 民間には、「不良債権処理」を強要しながら、自分は「不良債権処理」を行わないどころか、むしろ「不良債権」を増やしている政府。

 日本の国益より、アメリカの国益を優先させているのだとでも考えない限り、政府のこの態度についての説明がつきません。



 

「テロ特措法」廃案で、アメリカの不興を怖れる自称保守

2007-12-13 | 自称保守・親米保守
 テロ特措法に反対する民主党に対して、「反対するだけでは駄目だ。対案を示せ。」と批判する向きもありますが、「テロ特措法反対」ということ自体を対案として、何か不都合でもあるの。

 自称保守としては、「テロ特措法」を止めるのであれば、何らかの別の「国際貢献」を行って、アメリカの不興をかわないようにしなければいけないという強迫観念があるようですね。

 まったくのとこと、彼らときたら、「アメリカのご機嫌を取ること」が自己目的化してしまっているという感じがします。

 彼らにとっての正しい外交政策とは、ただひたすら「アメリカのご機嫌を取ること」でしかなく、その為には、原爆投下を容認したり、従軍慰安婦非難決議をスルーすることなど、いとも簡単に出来てしまうわけだ。

 アメリカの言動一つで、簡単に意見を変えることの出来る彼らに、「イデオロギー」なんて、最初からないのでしょう。

 未だに、「私のスタンスは反共です」などとのたまう人もいたりして。・・・中国は、とっくの昔に共産主義を捨ててるのだけどね。いつまで、冷戦時代を引きずっているだろうか。要は、「反中国」&「親米」と言いたいのだろうけど・・・。

 こういう人たちって、アメリカが中国と組んで、日本と対立するというような構図になっても、「アメリカは、中国に騙されているんだ。アメリカは悪くないんだ」とか言って、最後までアメリカを庇い続けるのだろうね。(「従軍慰安婦非難決議問題」のときが、まさにそうだった)



年金「年度内解決」を撤回・名寄せ難航1975万件、945万件不可能

2007-12-12 | 年金問題
年金「年度内解決」を撤回・名寄せ難航1975万件、945万件不可能
 舛添要一厚生労働相は11日午後に記者会見を開き、基礎年金番号に未統合のまま「宙に浮いた」約5000万件の年金記録の調査結果を発表した。全体の約 4割の1975万件は記録に不備があり、持ち主を特定する作業が難航。このうち945万件は現状では名寄せは不可能となった。政府は来年3月までに問題を解決して「最後の1人まで年金を払う」との方針を事実上撤回。楽観的な見通しを掲げてきた責任を問う声が強まるのは確実だ。

 舛添厚労相は会見で「(記録管理が)ここまでずさんであるということは想定外。エンドレスの作業になるかもしれない」と発言。来年4月以降も持ち主を特定する作業を続ける考えを示した。

 現状では名寄せが不可能な945万件は社会保険庁による氏名や生年月日などの入力ミスがあったり、届け出が偽名だったりした人などの記録。社保庁側で持ち主を特定できないため、記録は浮いたままになり、本来受け取れるはずの年金がもらえない。(00:36)


 データの入力がいい加減で、しかも元データが無いというのは、当初から分かっていたこと。

 名寄せが不可能という結論になるのが当たり前のことなのに、安倍元首相も、舛添要一厚生労働相も、プログラムさえ出来れば、来年3月までに問題は解決するなどという法螺を吹き続けてきました。(こんなことを言う時点で、こいつらに対する私の信頼感はゼロになりました。)

 こいつらは、プログラムを魔法か何かのように勘違いしている馬鹿か、その場しのぎの弁明を行う嘘吐きかのいずれかでしかありません。

 どうせ、その場しのぎの弁明に過ぎなかったんだろうけど、最初のうちに、しっかりと謝罪して、出来ないことは出来ないとはっきりと表明しておかないから、こんな風に、二度三度と、国民を欺くことになるのです。

 「吉兆」とやらが、やっていることと同じです。



佐藤優氏の主張する「日本の対北朝鮮政策」

2007-12-11 | 拉致・北朝鮮問題
FujiSankei Business i. ラスプーチンと呼ばれた男 佐藤優の地球を斬る/日本の対北朝鮮政策より、
 最近、北朝鮮情勢、ロシア情勢に通暁しているアメリカ人学者と会った。この人物は、象牙の塔の中で論文を書くというタイプではなく、ワシントン、モスクワ、平壌、北京で実際に外交を動かすプレーヤーとして活躍する人々と直接会った上で、その感触を踏まえた分析を行っているので、情勢判断をする上で筆者もその見解を重視している。この人物が「日本の対北朝鮮政策について抜本的見直しをしないと大変なことになる」と述べていた。特に2つのことが日本人には見えていないと強調していた。

 第1は、北朝鮮からシリアへの核技術の拡散が十分深刻であること。北朝鮮を説き伏せて、イランのみならずシリアへの核技術の拡散を防がないと、第三次世界大戦に発展する危険をはらんだシリア・イスラエル戦争を誘発する危険性がある。アメリカとしては、何としても北朝鮮との交渉をまとめたいので、現時点でシリアの核開発については極力情報を抑えようとしている。しかし、「開かれた社会」であるアメリカにおいて、いつまでも情報を抑えることはできない。北朝鮮とシリアの核開発協力が表に出れば、世論が沸騰し、アメリカ政府が北朝鮮に対する宥和(ゆうわ)政策をとることが難しくなる。

 第2は、北朝鮮による拉致問題に関するアメリカの政治エリートの意識が変化しはじめている。この関連で、国務省関係者の間で奇妙な言説が流れているという。「1959~84年に行われた帰還事業で、総計で9万人を超える在日朝鮮人(日本人配偶者を含む)が北朝鮮に渡った。当時、日本政府は北朝鮮が経済的に困窮し、人権が弾圧されている実情について十分承知していたはずである。しかし、日本の治安公安上の観点から、在日朝鮮人の帰還を促進したのである。そのような日本政府に北朝鮮による日本人拉致を道義的に弾劾する権利があるのか」という議論である。筆者は、ただちに「とんでもない暴論である」と反論したが、このアメリカ人学者がこのような見解を表明しているわけではない。しかし、いかに暴論であっても、そのような言説に日本外務省がきちんとしたロビイングをかけて、反論し、つぶしておかないと、暴論が「正論」になってしまう。


 佐藤優氏によると、北朝鮮情勢、ロシア情勢に通暁しているあるアメリカ人学者が「日本の対北朝鮮政策について抜本的見直しをしないと大変なことになる」と述べていたそうです。特に2つのことが日本人には見えていないと・・・。

 第1は、北朝鮮からシリアへの核技術の拡散が十分深刻であること。これは、北朝鮮に対して宥和政策を取ろうとしているアメリカにとっては、ブレーキになる情報であるので、極力情報を抑えようとしているようです。

 第2は、北朝鮮による拉致問題に関するアメリカの政治エリートの意識の変化。たとえば、1959~84年に行われた「帰還事業」で、「日本政府は北朝鮮が経済的に困窮し、人権が弾圧されている実情について十分承知していたはずであるのに、日本の治安公安上の観点から、在日朝鮮人の帰還を促進したのである」というような議論。

 これは、従軍慰安婦問題と同様、日本を北朝鮮と同レベルに落とし、「日本に北朝鮮を責める権利などない」という結論を導こうとしているように見えます。

 要は、「拉致問題」を相対化することによって、「拉致問題」をスルーしようとするアメリカ政府を免罪する魂胆が見え隠れします。

 現時点での北朝鮮の対日外交交渉術は単純だ。日本を相手にしないことが最良の交渉術なのである。北朝鮮の外交能力は、人的資源において限界がある。より具体的に言うならば、英語を流暢(りゅうちょう)に話し、国際法に通暁し、外部世界と共通の論理で北朝鮮の国益を実現するような交渉ができる外交官の数が少ないのである。また、アメリカの対中東政策に関する分析のためにも現在、北朝鮮は人員を割いている。このような状況で、対日外交などという「脇道」に時間と人員を割いている余裕はなく、とにかく北朝鮮外交の全精力を対米外交に投入しているのである。そして、米朝間で合意ができれば、日本はそれに従わざるを得ないと北朝鮮は今後の情勢を分析しているのだ。


 次に、佐藤氏は、北朝鮮の対日外交についての考え方について、言及しています。

 それによると、北朝鮮は、米朝間で合意ができれば、日本はそれに従わざるを得ないと見切っているようです。以前から、こんな調子で舐めているから、「誠意」のひとかけらも感じられない態度を取ることができるのでしょう。

 ブッシュ米大統領は、拉致問題に関する日本の立場をよく理解している。11月16日(日本時間17日)にワシントンで行われた日米首脳会談において、ブッシュ大統領が拉致問題について「忘れることはない。拉致犠牲者、家族を置き去りにすることはない」と明言した意味は大きい。これで、金正日指導部が望んだ年内にアメリカがテロ支援国家から北朝鮮を外すというシナリオは消えたと思う。この意味で、今回の福田総理の訪米には大きな意味があった。しかし、アメリカの北朝鮮への接近の主動因となっている中東情勢の緊迫化は深まる一方である。北朝鮮が、核施設の無能力化の期限を1年程度とし、高濃縮ウランを除外した申告ならば行うというカードを切ってきた場合、それをアメリカが「一歩前進である」と評価して、北朝鮮をテロ支援国家から除外しようとする可能性を筆者は疑っている。


 また、佐藤氏は、ブッシュ大統領が拉致問題について「忘れることはない。拉致犠牲者、家族を置き去りにすることはない」と明言したことを高く評価していますが、それほど楽観しているわけではなく、北朝鮮が、核問題で一定の譲歩をし、それをアメリカが評価して、北朝鮮をテロ支援国家から除外しようとする可能性も疑っています。

 現在、重要なことは2つある。第1は、日本外務省のインテリジェンス(諜報)能力を総結集して、北朝鮮の対米外交戦略・戦術に関する情報を集めることだ。その上で、国際社会に北朝鮮の意図を暴露する。第2は、「日本人の人権と日本国家の国権が侵害された北朝鮮による拉致問題解決は日本国家の存立基盤にかかわることなので、妥協は絶対にない」と6者会合を含むあらゆる場で強調することだ。


 最後に、佐藤氏は、日本外務省のインテリジェンス(諜報)能力を総結集して、北朝鮮の対米外交戦略・戦術に関する情報を集めることと、「拉致問題解決は日本国家の存立基盤にかかわることなので、妥協は絶対にない」という一貫した強い姿勢をアピールすることの重要性を強調しています。

 「日本など、アメリカの決定に従わざるを得ないのだ」という北朝鮮の日本観を一掃しない限り、「拉致問題」の解決は難しいでしょう。

 ひとまず国交を正常化してから、拉致問題を解決しようなどという議論は、北朝鮮をますます増長させるだけの愚論というしかありません。



遺棄化学兵器処理めぐる汚職疑惑

2007-12-10 | 外交・防衛
 「ぼやきくっくり」さんのエントリーによると、12/5の「アンカー」青山繁晴の“ニュースDEズバリ”で、「遺棄化学兵器処理」が話題になっていたようです。↓

「ぼやきくっくり」さん「アンカー」遺棄化学兵器処理めぐる汚職疑惑&東シナ海ガス田より、
青山繁晴
「はい。で、今、きちんと説明があった、その遺棄化学兵器についてですね、まず、いったいいくらぐらい日本の国民の税金がこれに使われるのか、当然気になりますよね。それはこれです」

村西利恵
「はい。『1兆2000億円規模』ですか」

青山繁晴
「はい。これは最初の調査から、それから穴を掘って回収したりですね、あるいはさっきのように傷ついてしまった方の補償とか、全部含めてってことになってるんですが、まず奇っ怪なのはですね、全部含めてってことになってるこれぐらいのお金がかかるってことは、政府は何も言ってないんですよ。日本政府は」

山本浩之
「あの、雑誌か何かで見たことあるんですけど、その数字は出てきてますよね」

青山繁晴
「いや、それはね、雑誌はたぶんこう書いてます。『1兆円』……」

山本浩之
「そうそう、1兆円って出てるんですよ。だけど、30万から40万発もないんじゃないのっていう話は、たまに……」

青山繁晴
「あのね、今のヤマヒロさんの話で2つ大事なこと、出てきたんです。まず、雑誌の話でも、実は1兆円ぐらいしか言ってない。それを政府は、いや、日本政府は、そんな計算した覚えはないと言って否定してるんですよ。ところが、これは今日、この1兆2000億円っていう数字が出てきたのは、この番組がたぶん初めてだと思いますが、これはもちろん僕が適当に言ってる数字じゃなくて、福田政権の内部の複数の政府高官から、いわば内部告発として、本当は雑誌に書いてある1兆円どころじゃない、最低でもすでに1兆2000億規模にふくらんでしまってるんです。で、もっと増えるかもしれないってことをですね……」


 福田政権の内部の複数の政府高官の内部告発によると、「遺棄化学兵器」に使われる日本国民の税金は最低でもすでに1兆2000億規模にふくらんでしまってるそうです。

 この話は、青山氏自身が話しているだけで、裏の取れた話ではありません。しかし荒唐無稽な話ではないと思います。

青山繁晴
「(前略)
実は今月、すでに民主党の国会議員から国会質問でも出ました。というのは、実は防衛庁、今の防衛省に保管された資料を見ると、日本軍が捨てたんじゃなくて、日本軍から戦争に勝った側の、当時、中国国民党軍、蒋介石の国民党軍にちゃんと正式に譲り渡されたと。で、これはもちろん根拠のある話で、日本はポツダム宣言というのを受諾して降伏しました。降伏した時、武装解除を受け入れたので、それも完全な武装解除を受け入れたから、自分の持ってる武器は戦争に勝った側に正式に譲りますってことを、実際にその、全軍にそれを出していて、あの、100%実行できたとは僕は思わないけど、中国ではそれ、行われてるわけです。で、最近出てきた書類で、日本軍が捨てて逃げていったんじゃなくて、国民党軍に渡って、で、その国民党軍がその後、中国共産党の人民解放軍に負けたから、台湾に逃げる時に捨てていったんじゃないかというのが、国会でも質問されて、これ、大きな問題になってるわけですね。問題になってるってことはですね、少なくともフェアに言うと、再検証しなきゃいけない。ね」


 青山氏の言うように、日本軍が捨てて逃げていったんじゃなくて、国民党軍に渡って、その国民党軍がその後、中国共産党の人民解放軍に負けたから、台湾に逃げる時に捨てていったんじゃないかというような検証をしなきゃいけないですね。

 検証を行わないと、日本軍の責任でないことにまで、日本の国民の税金が支払われることになります。

青山繁晴
「そうすると、これは当然、再検証が必要なわけですね。ところがここが皆さん、一番、今日の肝心なところで、その再検証を明らかに阻んでる政治家がいて、その政治家に対して日本の捜査機関がすでに内偵をしてると」


 しかしながら、その再検証を明らかに阻んでる政治家がいると、青山氏は言っています。(この話も、青山氏自身が話しているだけで、裏の取れた話ではありません。あくまでも参考意見ということにしておきましょう)

室井佑月
「何か、いろんなところに闇ってあるの?でも、それにしても今回の、ちょっとひどい。だって国を売るような真似をしてるってことでしょう」

青山繁晴
「あのね、室井さんの言われたことも大事なことで、あっちでもこっちでも汚い話、それから国を売るような話。実はね、室井さんが今言ったのとほぼ同じことをね、昨日僕は、近畿大学の経済学部で今、講義してるんですが、講義終わった後に学生が、この話けっこうしたので、学生がやってきて、まじめな学生がね、『青山さん、この国は真っ暗じゃないですか。政治家はそうやって利権ばっかり、どうしてそんなあさってるんですか』って話をしたんです。彼はね。しかし、これは皆さん、決して絶望の話じゃない。と言いますのはね、さっきヤマヒロさんが日米の話も言いましたが、これ、要するに日本が戦争に負けた後の、その処理の仕方について、もちろん一定の戦争責任は果たさなきゃいけないけれども、フェアに果たすんであって、アンフェアにいつまでも被さられることははねのけなきゃいけない。それがむしろ私たちの子々孫々のために大事だということ。それから、それは日米の防衛疑獄で、なぜいつまでもアメリカの防衛装備品を買わなきゃいけないのか、これ、根っこは同じことですから。これは少なくとも捜査機関が一生懸命関心を持ってですね。捜査機関やること、いつも正しいわけじゃありませんよ。しかしですね、もう一度やろうとしてるってことは、国民がそれを理解して、捜査機関も批判しながら、支えるべきは支えていったらですね、ようやくこの、戦後をね……」

山本浩之
「この問題は、あの、テレビご覧の人も、私もそうですけど、あまり詳しく知らなかったです。遺棄化学兵器に関することっていうのは。だけどこの問題は、ニュースになる度に注目して見ないといけないですね」

青山繁晴
「ああ、その通りです」

室井佑月
「でも、どうなの?防衛疑惑のことだって、政治家って、こないだの青山コーナーでさ、捕まらないかもって噂が流れてるって言ってるじゃない」

青山繁晴
「その通りで、この3人についてもね、たぶんご本人たちもまさか手は及ばないと思ってるでしょうね。しかしその、僕はやがてそのうちの1人とかは、せめて逮捕あるかもしれないと思ってますが、それ、なくてもね、相当なところまで追及が進むとね、政治生命が絶たれることだってなくはないですから。今までなくとも、これからあるかもしれないし。それから、さっき言いかけたこと、最後まで、ごめんなさい、言わせていただくとね、日本が戦争に負けて62年間ほっといた、その、フェアな戦争責任の果たし方、アンフェアな部分はもうはっきり言って、はね返すということも含めてのフェアな見直しに、やっぱりつながるっていうのが、僕らの新しい希望だと思うんですよ

山本浩之
「そういう厳しい目線を投げかけることによって、今あったずさんな調査の実態であるとか、そういったことも一つ一つが見直されていくわけですよね」

青山繁晴
「その通りです。その通りだし、目の前に迫ってる、たとえば福田総理の訪中の時にね、この件も踏まえて考えると、ガス田のことだってね、ガス田のことだって、やがて企業が入っていったり、また利権を呼ぶんじゃないかってことも含めてね、国民の見る目が、日中関係だからしょうがないなって見るんじゃなくて、そうじゃなくて、私たちの国の名誉のためにも、あくまでフェアに、まっすぐ公平に見ましょうってことにつながると。そのことを一番伝えたいんです」

山本浩之
「まあ、あの、年末から年始にかけて与野党それぞれ中国訪問しますけれども、そこで政治家がどんな発言をするのか注目して見たいと思います。“ニュースDEズバリ”のコーナーでした」


 「フェアな戦争責任の果たし方、アンフェアな部分はもうはっきり言って、はね返すということも含めてのフェアな見直しに、やっぱりつながるっていうのが、僕らの新しい希望だと思うんですよ」・・・と、コーナーの最後に、青山氏は良いことを言っています。

 「日中関係だからしょうがない」とか、「日本はアメリカによって守られているのだからしょうがない」といった、相手国の言い分をアンフェアな部分を含めて言いなりになるしかないというような考え方ばかりしているから、中国にアメリカに韓国に北朝鮮にと、日本の国民の税金が赤の他人の国の懐に流れ込んでいくのです。

 日本政府のやっていることは、しっかりと税金を納めている国民には、お粥を啜らせ、周辺国のごろつきどもには、大枚をはたいて、ご馳走を食わせてやっているようなものです。

 日本政府が、このように外国に対して、その言い分に逆らわずにホイホイと日本の国民の税金を垂れ流している現状を何とかしないと、いつまでたっても日本の国民は豊かにはなれないでしょう。

 「自主防衛は金がかかる」とか言っている人がいますが、他国に防衛を任せることによって、世界中から、金をたかられている現状をどう認識しているのでしょうか。

 現状のように、アメリカに防衛を任せることによって失われている経済的損失は計り知れないものがあると思いますよ。




米国家情報評価、イランは2003年秋に核兵器開発停止

2007-12-06 | 外交・防衛
米国家情報評価、イランは2003年秋に核兵器開発停止
 【ワシントン=坂元隆】米政府は3日、イランの核問題に関し、米国のすべての情報機関の情報をまとめた国家情報評価(NIE)を発表し、イランが2003年秋の段階で核兵器開発計画を停止していたとの分析結果を示した。

 ただ、ウラン濃縮活動は継続しているため、2010~15年に核兵器製造に十分な高濃縮ウランを生産することは可能だとも指摘。ハドリー国家安全保障担当大統領補佐官は同日、イランの核問題は依然、「きわめて深刻」として、外交的手段を通じてイランに国際的圧力をかけていくこれまでの政策に変化はないと強調した。

 米情報機関は2005年の同様の報告では、イランは「核兵器開発を決断している」と述べていた。今回のNIE報告は米政府がイランの核問題に関する認識を転換したことを意味している。ブッシュ政権内では、大統領自らが今年10月に「第3次世界大戦を回避したければイランに核開発させてはならない」と発言するなど、イランに対して武力行使も辞さない強硬論が出ていたが、今回の報告で強硬論は沈静化しそうだ。

 NIE報告は、イランが核兵器開発計画を停止したのは国際的圧力によるものだとし、少なくとも今年の半ばまでは計画は再開されていないとの見方を示している。また、核計画に関してイランはコストと利益を考えて決断を下しているとも指摘し、外交交渉のうえでイランは合理的な相手であるとの見方も示唆した。

 一方、イランは計画を停止していても核兵器製造に転用可能な能力をつけてきていると述べ、イラン政府は核兵器開発の選択肢を引き続き確保していると分析している。
(2007年12月4日11時35分 読売新聞)


 「核開発を強行しようとするイランと、『世界の平和』のためにそれを力づくで阻止しようとするアメリカ」という構図を盛んにマスコミは強調し、このままでは、アメリカがイラン核開発に対する予防的戦争をやりかねないと憂慮されていました。

 しかし、イランの核開発は、2003年秋の段階で核兵器開発計画を停止していたとほかならぬ米政府が報告したということです。

 ブッシュ政権は、イランの核開発に対し懸念を示し、核開発させないためには、武力行使も辞さないという強硬論が出ていました。

 下手をすれば、イラク戦争と同様に「嘘の情報」でイランに戦争を仕掛けていた可能性もあったわけで、欧米発の情報を鵜呑みにすることは危険だという認識を持つべきかと思います。

 またこの記事では、

 ただ、ウラン濃縮活動は継続しているため、2010~15年に核兵器製造に十分な高濃縮ウランを生産することは可能だとも指摘。


と述べ、ウラン濃縮活動を継続するイランが引き続き、核兵器製造への野心を捨てない危険な国であるというような印象を読者に与えています。

 このような「イラン核武装懸念」に対して、イラン側の言い分を載せている記事がありました。↓

大村一朗さんの「イラン便り」No.14 イラン核問題 情報操作といじめの構造より、
イランの石油事情
 ハサンは続けた。
 「イランは核エネルギーの技術を獲得する権利がある。核兵器が欲しいって言ってるんじゃない。どうしてイランだけが持っちゃいけないんだ? イランの石油はあと40年ほどで枯渇してしまう。天然ガスはまだたっぷりあるけど、石油はできるだけ節約していかなければならない。そのためにも原子力発電が必要なんだ」
 イランの石油埋蔵量は、1999年時点で930億バレルとされている。採掘量は1日379万バレルほどなので、単純計算すれば約60年後に尽きることになるが、人口の増加など時とともにエネルギー消費は増すと考えれば、40~50年後に枯渇するという計算も間違いではない。この事実は、国家財政を原油輸出による収入に頼りきっているイランにとって火急の懸案事項であり、代替エネルギーの確立とともに、石油の国内消費の節約が求められている。
 イランの抱える「石油問題」についてもう少し説明したい。まず、イランは世界第4位の原油輸出国でありながら、国内消費用の石油を大量に外国から輸入している。原油はたっぷりと出るが、精油施設の不足と老朽化のため、国内で精製された石油だけでは国内消費をまかなえず、わざわざ海外から国際標準価格で買い入れているのである。それをリッター10円ほどの国内価格で流通させるために、せっかくの原油収入を補助金として投入することになる。目下イラン政府の目標は「石油輸入中止」であり、そのために国内の精油施設の増加や改良とともに、国内消費を抑えるため正月明け(イラン正月3月21日)にはいよいよガソリンの配給制を始めることが決まっている。
 こうした背景のもと、イランは石油の代替エネルギーとして原子力発電を求めているわけだが、いつの間にか世界では「イランは核兵器製造を目論んでいる」という印象が先走っている。


「イランの言い分」その1

 「イランは核エネルギーの技術を獲得する権利がある。核兵器が欲しいって言ってるんじゃない。どうしてイランだけが持っちゃいけないんだ? イランの石油はあと40年ほどで枯渇してしまう。天然ガスはまだたっぷりあるけど、石油はできるだけ節約していかなければならない。そのためにも原子力発電が必要なんだ」

 イランは世界第4位の原油輸出国でありながら、精油施設の不足と老朽化のため、国内消費用の石油を大量に外国から輸入している。

 イランは、石油の国内消費抑制のために、原子力発電を求めているのに、欧米はそれを「イランは核武装を企んでいる」として阻止している。

伝えられないイランの主張と権利
 では、なぜ「イランは核兵器製造を目論んでいる」という欧米の主張がまかり通っているのか。そこには、明らかにマスコミの意図的な報道の仕方がある。
核問題に登場する専門用語は、一般の人には難しい。例えば、争点となっている「ウラン濃縮」という作業は何を指しており、実際どれほど危険なものなのか。そうした説明を抜きにして、「ウラン濃縮活動は国際社会への挑戦である」とか、「イランが核兵器製造につながるウラン濃縮を諦めないかぎり―」などというアメリカ政府ばりの記事を載せて、アメリカのイラン戦略の一翼を担おうとしている日本のメディアのなんと多いことか。
 まず、ウラン濃縮とは何か。天然ウランの中で、原子力発電や核兵器に利用されるウラン235の比重を高めることである。天然ウランを遠心分離器に入れると、軽いウラン235だけが中心付近に残る。この作業を繰り返してウラン235の比重を高めることが、いわゆるウラン濃縮作業である。
 ウラン235は濃縮比率に応じて、低濃縮ウラン(5%以下)、高濃縮ウラン(20%以上)、そして兵器級ウラン(90%以上)の3つに分かれる。原子力発電に必要なのは低濃縮ウランであり、イラン政府が求めているのはこれである。IAEA(国際原子力機関)の監視の下で低濃縮ウランによる核エネルギーの平和利用(つまり原子力発電)を行なうことは、世界のあらゆる国に認められた権利であり、当然、日本もIAEAの監視下でこの低濃縮作業を行なっている。イランもまた、原発のための低濃縮作業だけが目的であり、ひそかに高濃縮を行なわないようIAEAの監視を受けると表明しているにもかかわらず、世界中からこれほどの非難と圧力を受けているのはなぜか。アメリカと敵対しているからである。
 アメリカの言い分は、「低濃縮の技術を獲得すれば、いずれ高濃縮、そして兵器級ウランを獲得することも可能だ」とか、「イランは高濃縮の実験を密かに行おうとしている」といったものだが、長年にわたりイランの核開発を監視してきたIAEAは、そういった証拠は一切ないと退けている。にもかかわらず、こうしたいわれなき非難ばかりを流す報道が巷にあふれ、イランの主張と権利に関しては沈黙が守られているのが現状である。


「イランの言い分」その2

 原子力発電に必要なのは低濃縮ウランであり、イラン政府が求めているのはこれである。

無駄だった3ヵ国協議
 先に述べたように、イラン側の主張は、発電用のための低濃縮作業を自国で行ない、それ以上の濃縮作業を行なわないようIAEA(国際原子力機関)の監視を受け続ける、というものだ。それを認めないアメリカがイランを軍事攻撃することを恐れたイギリス、ドイツ、フランスの欧州3ヵ国は、何とかイランに核開発を放棄させようと、2003年以来、独自にイランと交渉を重ねてきた。
 この欧州3ヵ国との交渉のさなか、2004年11月、イランは一時高まった安保理付託への危機を回避するため、一切の濃縮活動を停止することに合意した。この停止は、しかし、イランと欧州3ヵ国が何か恒久的な合意事項に達するまでの一時的な措置であり、交渉はここからが本番となる。この交渉期間におけるメディアの報道は巧みである。たとえば、ほとんどの記事で見られるのが、「ヨーロッパ側は○○のような提案をしたが、イランは受け入れなかった」とか、「ヨーロッパ側は○○するように強く要請したが、イランはその姿勢を変えなかった」という修辞法が取られ、常に「ヨーロッパ側が説得と努力を重ね、(イランのために)外交的解決を目指しているにもかかわらず、イラン側は自らの主張に固執し、強硬姿勢を崩さない」という印象を読む者に与えている。そしてそれをイランの"瀬戸際外交"と名づけ、まるでイランがより大きな経済的見返りを得るために欧州3ヵ国を"牽制"し、"揺さぶり"をかけ、わざと交渉を長引かせているかのような書き方をするメディアもある。明らかに読む者に北朝鮮を想起させようとの意図が感じられる。
 本来、この件に関する報道は、イランが何を求め、それに対して英独仏がどのような妥協案を提示したか、というものであるべきだ。なぜなら、そもそもイラン側の主張には何も後ろめたいものはなく、それをヨーロッパ側が譲歩させようとしているのだから。
 交渉の争点は、単純である。イラン側の主張は「核燃料(発電用低濃縮ウラン)とその技術の自国での開発」。それに対してアメリカの意を酌む英独仏は、「イランの核開発の一切の放棄」を求め、見返りとして経済援助やWTOへの加盟促進などを申し出た。この交渉が合意を見ないことは、双方の要求のあまりの食い違いから明らかである。イランが「時間の無駄だった」と憤るのも無理はない。
 2006年1月10日、業を煮やしたイランは、欧州3ヵ国との合意を破棄し、研究用のウラン濃縮作業を再開する。それが引き金となり、去る2月4日の安保理付託となったわけだが、日本のメディアは「イランは協定違反をしたのだから、安保理付託はやむをえない」→「このようにイランは違反を繰り返してきた」→「だから核兵器開発を疑われても仕方がない」という論法の大合唱である。この濃縮停止の協定が合意された時、イラン側が口をすっぱくして「これは自主的な措置で、停止する研究活動の内容や期間はイランが独自に決定する」と述べていたにもかかわらず。
 最近になってロシアが、核燃料をロシアで製造し、それを提供しましょうと申し出た。あくまで濃縮はロシア側で行ない、濃縮技術のノウハウまではイラン側には伝えず、核燃料だけを渡す、というものだ。メディアの論評の中には、「イランの核開発が本当に平和利用が目的なら、この提案を受け入れるはずだ」と決め付けているものがある。しかし、技術を与えない、ということはつまり、先進国が後進国に後進性を強いるということである。イランはこの人をバカにしたような提案を、しかし安保理付託が決まった今、一蹴することができないでいる。


「イランの言い分」その3

 イラン側の主張は「核燃料(発電用低濃縮ウラン)とその技術の自国での開発」。それに対してアメリカの意を酌む英独仏は、「(ウラン濃縮を含む)イランの核開発の一切の放棄」を求めている。彼らは、イランの原子力発電への道を阻んでいる。

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 「イランの言い分」の言い分が正しいか否かは、ひとまず置いておくことにします。

 ただ、少なくとも、イランにはイランの言い分があり、欧米発の報道は、余りにも欧米側の論理一辺倒で色づけられているということに、欧米でもイスラム諸国でもない日本の国民は、気づくべきでしょう。

 あるイラン人が日本に対して言及している箇所を引用します。↓

 2月初旬、前期試験が終わったばかりの閑散としたキャンパスで、偶然クラスメートのひとりハサンと出くわした。彼は私を見ると、にやりと笑って口を開いた。
 「サラーム、元気か? 昨日、日本は賛成票を入れてくれたなあ。日本人ってのは、ちょっと昔に原爆落とされたこと、もう忘れちまってるのか?」
 昨日2月4日のIAEA(国際原子力機関)の緊急理事会において、日本を含む27ヵ国がイラン核問題の安全保障理事会への付託に賛成票を投じた。「安保理への付託」という言葉は、3年前アメリカによるイラク開戦に道を開いた安保理決議1441を連想させるように、これまで数年にわたってイランへの脅し文句であった。それがとうとう現実になってしまった。もちろん、そこで即イラン攻撃が審議されるわけではない。まずは経済制裁からじわじわと始めることになるだろう。いずれにしても、これまでIAEAの枠内の問題であったイラン核問題が、安保理という国際舞台で料理されることになったのは、イランにとっては致命傷だ。IAEAでの協定はけっして義務ではないが、安保理での決議は、違反すればすなわち国際法違反として制裁の対象となる。
 「いいや。日本人は原爆を落とされたことを忘れてはいないよ。戦争を早く終わらせるためだったとアメリカは言うけど、結局は実験材料にされたんだ。それは1つの歴史的事実として忘れないけど、いつまでも恨んでいたって仕方ない」
 私がそう言うと、彼は鼻を鳴らすようにこう答えた。
 「そうだな。それに、原爆2発も打ち込まれて戦争にも負けて、国は米軍基地でいっぱいだけど、最後は経済で勝ったんだしな」
 彼が言いたいことはわかっていた。この世界には正義もくそもない。アメリカの言いなりになって繁栄するか、逆らって潰されるかだ。どんなにイランが正義を唱えようと、西側のメディアが伝えるのは、「世界の秩序を守るアメリカがならず者のテロ国家による核兵器入手を懸命に阻止しようとしている」という構図ばかりである。


 残念ながら、最近の日本は、アメリカの干渉で、経済さえもが駄目になりつつあります。

 最後に、大村一朗さんが、アメリカの論理に絡めとられている今の日本を憂慮する締めくくりの箇所を紹介します。↓

日本の姿勢を問う
 安全保障理事会への付託によって、これまでアメリカが個人的に世界に対して圧力をかけてきたイランへの経済制裁を、今度は国際的な取り決めとして実行できるようになる。イランの対応次第では、軍事攻撃もいずれ検討されるかもしれない。その前にアメリカかイスラエルが単独でイランを爆撃する可能性も十分にある。
 「アメリカの攻撃? 怖くないよ。攻められたらもちろん戦うよ」
 サーズ奏者の芸術学部生が静かに答える。
 30歳のタクシードライバーは、
 「国内の弾圧や革命に巻き込まれるのはごめんだけど、イラン人のことなんか何も知らないアメリカに攻められて、統治されるのはごめんだね。そんなときは戦うよ」
 情報統制の厳しいイランだが、こと核問題に関しては、イラン人は世界中のどこよりも正しい情報をメディアから得ていると言えるかもしれない。イラン政府が核兵器保有を意図しているかどうかはイラン人の間でも意見が分かれるが、少なくとも現段階では核エネルギーが焦点である。その権利を奪うためにアメリカが攻めてくるというのであれば、戦わないわけにはいかない。
 イランの若者の多くが、アメリカの音楽、映画、ファッション、そして自由にあこがれ、現体制の窮屈さに辟易としている。だからといって、ひとたびアメリカが爆撃を始めたら、国民がこぞって体制転覆のために蜂起するなどと、アメリカが誤解していないことを祈るばかりだ。
 一方日本は、イラン核問題の安保理付託に際し、新聞各紙は社説などで、「最悪の事態(イラン空爆のことか、それともイランによる原油輸出停止のことか)を招かないよう、イランは自重すべきだ」とアメリカの恫喝そのままの論法で、本末転倒なイラン批判を展開している。
 いつだったか、川口順子外相がハタミ政権のハラジ外相と会談した際、こんなやりとりがあった。川口外相がIAEAの非難決議をイランは素直に受け入れるべきだと忠告したのに対し、ハラジ外相は「これは国のプライドの問題なのです」と政治家らしからぬ返答をしたのだ。ひょっとしたらハラジ外相は、日本人なら理解してくれるかもしれないと思って、こんな言葉を吐いたのではないか。その時ふと、そう思った。
 先に述べたモサッデク政権による石油国有化が実現したあと、イギリスによる圧力で石油の買い手が見つからず窮していたイランに、日本は手を差し伸べた数少ない国の1つだった。当時、イランが国の独立をエネルギーの国有化に見出したように、日本政府もまた、戦後アメリカから買い続けていた原油を、自前で調達するようになるのが真の独立だと考えていた。そんな日本が目を付けたのが、買い手が付かず安かったイラン原油である。イギリスの強い反対を押し切り、出光石油のタンカー日章丸が神戸港を発ったのは1953年3月。当時イギリスは、イランの原油を購入したタンカーを片っ端から海上で拿捕しており、日章丸はイギリス統治下のシンガポールを避け、遠回りを余儀なくされながらも、翌月、イランのアーバーダン港に無事入港した。日章丸入港のニュースにイラン国中が沸いたという。
 イギリスは日本政府に激しく抗議するとともに、東京地裁に提訴した。日本政府はこれは一私企業の取引であるという態度を貫き、東京地裁もまた、イランの石油国有化の正当性を擁護し、イギリスの訴えを退けたという。
 今、小泉政権はもちろん、マスメディアまでが、アメリカの意に反してイランの正義を代弁することなど、思いも及ばないらしい。
 「日本は経済でアメリカを倒した」
 この言葉が、賞賛から皮肉へと急速に変わっていくのを、ひしひしと感じる今日このごろである。


 <イギリスの強い反対を押し切り、出光石油のタンカー日章丸が神戸港を発った>

・・・1953年の日本は、独立直後でありながら、イギリスの圧力をはねのける力があったようです。

 今の日本だったら、自称現実主義者(実態は「長いものには巻かれろ」の妥協主義者)が「イギリスとの関係悪化を招きかねない」という反対論を唱えて、このような話は、きっと握りつぶしていたことでしょう。


日本郵政から切り捨てられたザ・アールの奥谷禮子

2007-12-05 | 構造改革
日本郵政から切り捨てられたザ・アールの奥谷禮子
2007年12月1日 FACTA

日本郵政グループ内で「おんな西川」などと陰口を叩かれている人材派遣会社「ザ・アール」の奥谷禮子社長が追放されそうだ。同社は旧日本郵政公社発足当時から職員研修プログラムの業務を受託しているのに、社長自身も日本郵政の社外取締役にちゃっかりおさまっていることが11月1日の参議院総務委員会で追及された。増田寛也総務相が「社外取締役は経営陣からの独立性が求められ、国民に誤解を与える」と苦言を呈すと、西川善文日本郵政社長もさすがにかばいきれないとみて「ご指摘を踏まえ、改めて検討します」と応じた。郵政グループはザ・アールとの契約が年度内に切れるのを待って、同社との関係を絶つ方針だ。
 
奥谷氏は年初に、「過労死は自己責任」などと大胆な主張をして物議を醸した人物だが、公私のけじめについてはまったく無頓着の様子。関係者によると、ザ・アールがこれまで郵政公社から請け負った商売は「職員のマナー講習」など7億円前後にのぼる。
 
「厚顔無恥にも程がある。西川社長の副業問題と構図は同じだ」と、日本郵政に詳しい参院議員は憤慨する。西川氏は今春、郵政公社総裁という公職にありながらも TBSなど上場企業6社の社外取締役や監査役を兼務していることが内部告発され、「総裁がアルバイトしていいのか」と非難を浴びた。西川社長が三井住友銀行時代のかつての部下たちを郵政グループ各社の幹部に据えていることへの風当たりも強い。「公私混同のやりたい放題が日本郵政の伝統として根付かなければよいが」と、幹部職員は心を痛めている。


 「既得権益」さえぶっ潰せば、日本はきれいになるとかいった単純思考しか出来ない「カイカク馬鹿」に対する反証になりうる記事です。

 「既得権益」とやらを奪い取った「いわゆるカイカク派」が、今度はそれを「カイカク利権」という形に変えて、おいしい思いをしているという実例が、今回やり玉に挙がった「ザ・アール」の奥谷禮子社長というわけですね。結局、「カイカク」といったところで、利権の所有者が変わっただけのような気もします。

 今もなお「小泉改革」を応援するブロガーがもしいるのであれば、改革後の不正や不公正についてもしっかりと目を光らせてほしい。それをしないで、「旧守派」は悪だから叩くが、「改革派」は善だから大目に見るというようなアンフェアな態度を取るのは止めてもらいたいものです。

 

(参考記事)
shionosさんの「大和ごころ。ときどきその他」切り捨てられる奥谷と居座る西川


music12.05 メリー・ホプキン / 悲しき天使

2007-12-05 | music
■メリー・ホプキン
you tube ♪(音声あり)




■メリー・ホプキン
メリー・ホプキン(Mary Hopkin, 1950年5月5日 - )は英国の歌手。ウェールズ出身でウェールズ語を母語に育ち、民謡歌手として音楽活動に入り、地元のインディーズ・レーベルでいくらかの録音を残した後、ツイッギーに見出されて、ビートルズのアップル・レコードと契約。

ポール・マッカートニーがプロデュースしたシングル「悲しき天使 Those Were the Days 」は1968年8月30日にイギリスで発表され、有名なスター、サンディ・ショーと競作する格好となったにもかかわらず、彼女の録音が全英シングル・チャートの首位に輝き、全米シングル・チャートでも第2位を射止めた。

1969年2月21日に、やはりポール・マッカートニーのプロデュースによる処女アルバム「ポストカード」を発表。アルバム・セッションに参加したドノヴァンから3曲をカバーしているほか、ジョージ・マーティンやハリー・ニルソンの作品も1曲ずつカバーしている。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


■悲しき天使 (Those Were the Days)
悲しき天使 (Those Were the Days) は、イギリスのヒット・ソング。原題は、直訳すると「あの頃は……の日々だった」という意味であり、歌詞の大意は、壮年期の人間が、青春時代を思い返してロマンティックに美化するというものである。したがって、日本語訳の名称は、英語歌詞の内容とは何の関係もない。

イギリスで活躍したアメリカ合衆国出身の歌手、ジーン・ラスキンの作詞作曲とされているが、正確に言えば、ロシアもしくはウクライナの歌謡曲をラスキンが編曲したものにほかならない。

より厳密に言うならば、コンスタンチン・ポドレフスキー(Konstantin Podrevsky)の詩にボリス・フォーミン(Boris Fomin, 1908年~1948年)が、クレツマーないしはジプシー音楽の様式で曲づけした歌“Дорогой длинною”(この道に沿って、この道を)にほかならない。ソビエト連邦からの亡命者によって欧米に広められるうち、いつしか作者不詳の「ロシア民謡」と呼ばれるようになり、その後1962年にラスキンが自作として発表したために、ラスキンの作品と呼ばれるようになったらしい。

1968年にポール・マッカートニーが、弱冠18歳のフォーク歌手メリー・ホプキンをプロデュースして「悲しき天使」のシングルを発表し、国際的にヒットし、その後さらにスペイン語版、ドイツ語版、ヴィッキーによるフランス語版もリリースされた。なお、シングル「悲しき天使」は、アップル・レコードから発売された最初のレコードである。

日本では発売されて約2ヶ月後に200万枚を超す大ヒットとなったピンキーとキラーズ『恋の季節』を抜いてオリコン・シングルチャートの1位に輝いている。また、漣健児によって訳詞が付けられ、森山良子や広川あけみによってカバーされた。ブラジルでは、この旋律がテレビ番組のオープニング・テーマに利用されたため、曲名を知らぬままにこの旋律に親しんでいる人々が多いといわれる。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 日英米のヒットチャートで、第1位を記録し、アメリカ国内では275万枚、日本でも200万枚を超す売上を記録した凄い曲。こんな地味な曲がなぜそんなに売れたのか不思議と言えば不思議です。

 人生の曲がり角を過ぎてしまった人が、自分の若かりし頃を思い出して、ほろ苦い追憶に耽るというような曲を、18歳のメリー・ホプキンが歌っていたというのもちょっとした驚きです。

未だに、安倍晋三に幻想を抱いているブロガー

2007-12-03 | 政治
「雅子皇太子妃殿下そして皇太子(東宮)御一家を憂う」さん「保守大敗(7)横田めぐみさん拉致から30年,滋さん代表退任…改めて「安倍辞めろ」論への怒り」より、
さて,すでに本サイトでも指摘してきたように,一部保守派は拉致被害者の方々の思いを無視して安倍退陣を叫んでいた.

きわめて遺憾ながら,一部保守系にも拉致被害者やそのご家族への思いやりに欠けている御仁がいるようだ.


 未だに、安倍批判者に対する怒りが冷めやらぬ人がいるようですね。

 一体、いつまで、怒りのTBを送ったら気が済むのかしらね。

 そして、いつまで安倍晋三に幻想を抱いているのかしらね。

 私にとっては、安倍晋三など、首相になった途端に、党内左派に遠慮して、靖国参拝を見送るは、河野談話を継承するはという見下げ果てた政治家でしか有りません。

 この人は、慰安婦問題では、アメリカに謝罪までしてしまいました。

 アメリカに膝を屈し、首相でありながら、党内左派の顔色を窺うような卑屈な人物が、金正日に対してどれほどのことが出来たというのでしょうか。

 安倍晋三が「拉致問題」を解決して、拉致被害者を奪還するのが確実視されていたなら、国民は経済問題などの懸案を一時的に我慢しても、安倍晋三を支持し続けたかもしれません。

 しかしながら、国民は、様々な懸案に対する安倍晋三の言動を見て、「信ずるに足らず」という結論を下したのです。このような人物が「拉致問題」を解決できるわけなどないと見切ったのです。

 安倍晋三をまるで、救世主のように考えているこのブロガーより、よほど一般の国民の方が見る目があったと私は思います。

 ①「国民の生活が第一」の耳に心地よい言葉に惑わされ,多くの有権者が拉致被害者を忘れて民主党に投票した.


 こんなことを書くこの人は、日本政府の経済政策の失敗で、辛酸を舐めている人たちのことを、何と考えているのでしょう。

 このブロガーは、北朝鮮に拉致されて苦しんでいる人たちに対するシンパシーはあっても、国内で、ワーキング・プアとして苦しんでいる人や、経済的困窮により自殺を余儀なくされる人に対するシンパシーはおそらく皆無なのでしょう。