シュルイのブログ「エコ魂」

スケールの大きい小心者のこの私。地球の未来を憂いて早四半世紀。地域活性と持続可能な社会を目指す日々を綴ります。

伊丹万作「戦争責任者の問題」

2022年03月19日 | 平和
毎日ニュースや報道番組を長時間見ている。
ウクライナで起っている戦争について、何か少しでも良い兆候がないかと見ずにはいられないのだ。

ウクライナの被害を見るのは心が痛い。
同時にロシア国民の多くが、プーチンの言うことを信じ
この戦争が正義のためだと疑わないという事実はとてつもなく気分を暗くさせる。
ロシアでは家庭内でも、例えばインターネットなどで真実を知る若い世代と、
国営TVなど政府の言う事を鵜呑みにする親の世代で喧嘩になっているそうである。

プーチン政権支持者が真実を知る時、どう思うのだろう。
熱狂的なプーチン支持者は、何を聞いても「それこそがフェイクニュースだ」と耳を貸さないかもしれない。
しかし、多くの人が騙されたと怒ったり、騙されていた自分を恥じたり悲しんだりするのではないだろうか。

かつて日本でも、国民は第二次世界大戦の時は大本営からの情報しか得られなかった。
アジア解放のための正義の戦争であるとか、戦況が常に優勢であるとか。
敗戦後、それらの情報がウソで塗り固められていたと初めて知ることになる。
しかし戦時中でも、事態が悪化していることを察していた人や反戦を訴える人がいた。

「スーダラ節」でおなじみの植木等のお父さんはそういう人で、
幾度となく捕まって拷問を受けたり投獄されたりしていたそうだ。
植木等著「夢を食いつづけた男 おやじ徹誠一代記」という本に詳しく書かれている。
拷問のくだりなど、死ぬじゃん!!!と思う壮絶さである。
体制に異を唱えるというのは命がけなんだなぁ・・・。

戦後を象徴する文章としてその一節が取り上げられる
伊丹万作の「戦争責任者の問題」という作品がある。
インターネットの図書館「青空文庫」で読めます。
短い作品なので、是非見てみて下さいな。

以下はその抜粋。

「多くの人が今度の戦争でだまされていたという。

いくらだますものがいても だれ一人だまされるものがなかったとしたら
今度のような戦争は成り立たなかったに違いないのである。

だまされたものの罪は ただ単にだまされたという事実そのものの中にあるのではなく
あんなにも造作なくだまされるほど批判力を失い、思考力を失い、信念を失い
家畜的な盲従に自己の一切をゆだねるようになってしまっていた
国民全体の文化的無気力、無自覚、無反省、無責任などが悪の本体なのである。」

政治に対して、私たち一般の人間がもっと関心や責任を持たなくてはいけないと改めて思う。

先日(3月18日)のニュースで、モスクワでクリミア併合8周年を祝す集会の様子を見た。
「ウクライナの人々を大量虐殺から救うために戦っている」と言うプーチンの顔が映るだけでもムカムカするが、
何万人かの聴衆が拍手や歓声で応えているのを見ると、更に怒りと憤りを悲しみを感じる。

ロシアの人々、いや世界中の人々に「戦争責任者の問題」を読んでもらいたい。
ロシアでは少なくとも、反戦デモをする勇気ある人々がいるのだから
全く情報がなくてだまされているワケではない。

世界は残念ながら分裂しているし、人々の考え方はそれぞれだ。
そういう意味では「世界はひとつ」になってはいない。
だが、物理的に世界はこのひとつしかない。
だから、無関係は人はいない。
全員が当事者なのだと思う。
世界平和について、真剣に考える時がきた。

妄想未来ばなし・・の続きが書けない

2022年03月03日 | 平和
3話まで書いた「妄想未来ばなし」。
ロシアがウクライナに軍事侵攻し、
文中に出てきた核というキーワードをプーチンが使ったりして
さすがに不謹慎な感じが否めないよなぁとかモヤモヤして
積極的に書こうと思う気持ちがすっかり萎えてしまった。

妄想未来ばなしは、将来、こんな風なら平和になれるかもね、というファンタジーを書くつもりだった。
誰もが平和に暮らしたいけれど、世界の複雑な情勢を知れば知るほどそれがいかに難しいかを思い知らされる。
だけど、今人々が問題だと思っている事柄の多くは
少し前ならばそれが普通だと思われていた事だったりして、
問題意識を持てている事自体が、世界が平和になるプロセスの第一歩であると感じられて
未来は捨てたもんじゃない、と思えるのだ。
そう思いたいし。

30年ほど前、ベルリンの壁が壊されソ連が崩壊した。
夜中にテレビでルーマニアの独裁者、チャウシェスク大統領が処刑された、なんていうニュース速報が流れた。
バブルははじけたとは言え、一般的には景気は悪くなかった。
雑誌「CREA」が創刊したのはこの頃で、社会情勢に関する特集なんかもあったりして
それを読んでバルト三国を覚えて「こーゆーコトにも関心を持たねば」なんて思っていたものだった。

世界は時間を経る毎に変化の速度を増している。
インターネットや軍事など、様々なテクノロジーが日々発達する。
それに伴うグローバル化で、資源、食料で多くの国が依存し合う。
良い国が悪い国を倒してめでたしめでたし、なんていう勧善懲悪はあり得ないんだよなぁ。

戦争をしたり、自然環境を壊したり、核兵器を持ったり、人類は破滅に向かいたいのかと思ってしまう。
地球の歴史を考えたら、人類の誕生などごく最近のほんの一瞬の出来事に過ぎないなんてよく言われる。
人類は認知機能を持ったその時から破滅へと向かっており、それは残念ながら必然で
今もその歩みは止まらないということなのかもしれない。

何千年か何万年かしたら・・。
昔いたホモサピエンスという動物は、さも地球を思い通りに操れると思い込んでいたが、アッという間に自滅した・・。
人類の歴史など、そんなものになるかもしれない。

とかなんとかシニカルなコトを書いているのさえ、
侵略行為などどこか他人ごとと呑気に構えているようだが、そんなんじゃイカンな。

戦争反対。
ロシア軍は今すぐウクライナから撤退しろ。
例えキエフが陥落しても、不利益の方が遙かに上回るだろう。

そして、自国の政治にも関心を払わねば。
安倍元総理の米軍の核を共有する案について、私は断固反対する。