シュルイのブログ「エコ魂」

スケールの大きい小心者のこの私。地球の未来を憂いて早四半世紀。地域活性と持続可能な社会を目指す日々を綴ります。

庶民大学三島教室

2022年06月15日 | 平和
ロシアによるウクライナ侵攻が始まって100日以上。
ニュースでも取り上げられる時間が減ってきて、ワイドショーでは全く扱わない日も増えてきた。

それについて、池上彰の番組で芸人のカズレーザーが言っていた。
何故なんだろうと思っていたら、視聴者が暗く憂鬱な気分になってしまうかららしい、と。
大事なニュースだけれど、制作者側としては色々考慮せざるを得ないのだろう。

確かに人によっては精神的に辛くなるのかもしれない。

報道の中で、ウクライナで新ロシア派住民がロシア軍を喜んで受け入れている場面や、
そういった趣旨のプロパガンダ映像を見ると、腹立たしいと同時に思う事がある。

彼らの多くは民主主義、というものをそもそも知らないのではないか?と。
もちろん、反戦や反プーチンの思想をもっているのに、声をあげられない人もたくさんいるのだろうけど。
しかし、プーチン政権に都合の良い情報や教育、日常生活にあふれる「愛国者であれ」という抑圧の中で
自国が民主主義であるかどうかをどれほどの人が考えているのか?
どのような状態が民主主義かを理解しているのか?
そして民主主義であることを求めているか?

それというのも、かつての日本が軍国主義であり、終戦と同時に価値観がひっくり返って・・という話をよく聞くからである。

8年前のNHKの番組で興味深い内容があり、録画したものを抜粋して保存してあったので紹介します。

政治学者で東大の教授だった丸山眞男という人が、市民に民主主義を教えたのだそう。
市民主催の文化講座「庶民大学」が敗戦直後の昭和20年12月に、なんとここ三島市で始まった。
当時、講義を受けた二人がインタビューに答えている。
「(講義の内容は)平和の問題、民主主義の問題。民主主義なんて言葉もよくわからなかった。
新しい世の中がどんなになるかという期待があり、それを聞きたくて来た」と。
もう一人は
「陸軍士官学校出身で天皇第一主義だったから、新しい考え方に反発した。
勉強しながら変わっていった」
それまで正しいと信じてきたことが間違いだったと認めるのは、
自分自身が否定されるような気分になるのだろう。

丸山が当時を語ったカセットテープではこんな風に語っている。
「質問はもっぱら民主主義とは何かということに集中した。全然わからない時代ですからね」
はー、そもそも何のことやら?なのね。
「むしろ非常に疑問ですね。民主主義に対する。民主主義になったらこうなるんじゃないかという」
聞いてすぐ受け入れたワケじゃなく、怪しんだりもしていた感じかな。
「その時の真剣な表情ね、質問ね、それはもう、ちょっと想像を絶しますね。
つまり今までの価値体系が一挙に崩れ、まったくの精神的空虚なんです。
飢餓の中の上の中の民主主義の原点」

普通に学校で何かを学ぶのとは全く違う。
自分自身の人生も、それをとりまく社会や政治について、それまでとは別の考え方を持つことが希望になる。
戦争はいけない、平和に暮らすたいと強く願って、そこで初めて民主主義という事を考えたり受け入れたりできるのではないか。

更には、敗戦で占領されて押しつけられたからではなく、
明治からデモクラシーの思想があったのだという事を強調したかったのだという。
なるほど、そういう部分は大事かもしれない。
日本という国を全否定するワケではない、というか。

翻ってロシアは、プーチン政権を支持せざるを得ない大前提があるなかで、平和な暮らしが保てている国民に
「ロシアがやってる事は全く正当性のない非道なことだ、間違っている」と外国から言われたところで
聞く耳を持たないのは無理もないことだ。
一個人の価値観なり、国家体制なり、食料やエネルギー事情などのいずれかが
一度崩れて空虚になる事が必要なのかもしれない。

ソ連が崩壊した時がそのチャンスだったのだろうけど。
国や生活を良くするためにどうしたら良いかということを、
ロシアの中でどれほど真剣に取り組んだのか?
・・なんて、偉そうに言えるほどソ連やロシアや国際政治の事を知らないけどさ。
もしかしたら日本が平和でいられるのは、勉強が好きな国民性も大きく影響してるのかなぁ。
民主主義とはなんぞや、平和とはなんぞや、とマジメに考えた、という・・・。
もちろん、色々な条件が相まって現在があるのだけど。
ま、日本人がマジメで勤勉というのは間違いないよね。

誰かの考える「民主主義」が絶対的に正しくてロシアも受け入れるべきというのは間違いなのかもしれないが。
しかし少なくとも、人を傷つけたり殺したり土地を奪ったりしちゃいけないよ。
そんな簡単な事も、今のロシア人には理解できてない人が多くいるというのが驚きなのです。
昔の映像で、ドイツ国民がヒトラーを熱狂的に支持しているのを見るとプーチンに重ね合わせてしまう。
近い将来、ロシア人も自分たちがあんな風に殺人鬼を支持していたのか、と後悔や驚きを持つ日が来るのだろうか。


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