鹿島春平太チャーチ

「唯一の真の神である創造主と御子イエスキリスト」この言葉を“知っていれば”「天国での永生」は保証です。

Vol.125 「16章 バイブリシズム史が贈る一般理論」(5)~自由精神は任意連携空間の最後の砦~

2012年04月05日 | 「幸せ社会の編成原理」

  
      
      
ここで政教分離、信教自由がなった後の聖句主義者たちの行動を加味して考えてみましょう。
    
これまで見てきたように、彼らは植民地の独立を仕掛け、憲法制定に奔走し、
信教・思想・言論の自由制度を成就させるべく奮闘し続けて来ました。
その間彼らの行動は一貫して「政治的」でした。

ところが憲法修正が実現するやいなや、その行動は一変しています。
その豹変たるや絵のようで信じがたいほどです。

彼らは政治活動にぴたりと終止符を打ちました。
以後一転して福音の世界宣教、国内宣教、教育活動、社会活動に乗り出しました。

教会での日曜学校を創始しました。そこで子供に聖書と学問知識を教えました。
後に黒人の奴隷解放がなると、黒人の子供のための日曜学校も創始しました。
今日世界の教会に普及している日曜学校は彼らが考案し実施したものです。

彼らはさらに神学校や大学をたくさん創設しました。
その一方で年少者の長時間労働を阻止する運動なども行いました。

この突然の路線変換は何を意味するでしょうか。
それまでの活動史とあわせて考えてみましょう。

      +++
      
まず国内外の福音宣教についてからみましょう。

海外の福音宣教に乗り出したのはなぜか。
基本的には彼らがイエスを信頼し、その「福音を地の果てまで宣べ伝えよ」という言葉を
信頼したからでしょう。

では国内宣教へのエネルギーを急増させたのはなぜか。
それも基本的に「地の果てまで宣べ伝えよ」に従ったからでしょうが、
この場合はもう一つの自覚があったと思われます。

彼らは任意連携空間が持続するには、国民に自由を貴重に思う精神があることが必要と
知っていました。
そしてその精神は聖句の自由吟味活動が最も効率的に培うことを知っていました。
それゆえに国内の福音宣教に一層のウエイトをかけたと思われるのです。

これまで見てきたように、管理階層組織の行動動機は動物的本能にその根がつながっています。
それは任意連携空間が法的に保護された社会においても変わりは無い。
放置すれば統治担当者は社会集団の安定化を本能的に求め、際限なく管理統制を進めようとし、
無自覚の内にも任意連携空間を侵蝕しようとしていきます。

これは動物本能に根ざしますからどうしょうもないのです。
だれが統治者をやってもそうなるのです。
だからこの力は他を顧慮することなく一直線に四六時中働き続けます。

+++

実はこれが日本においても平和の中で閉塞感が増してきている根底原因でもあるのですが、
それはまた機会があれば語ります。

+++

ともあれ管理階層空間は常時任意連携空間を侵蝕しようとする。
その防波堤として造られたのが政教分離憲法なのですが、防波堤を越える津波もあり得ます。
そしてそれをも防ぐ最終砦は人民の自由尊重精神なのです。

もし成員に自由尊重精神が希薄化すれば、それと反比例するように隷従心は強くなっていくでしょう。
そうなれば集団内に<命令=服従>的関係が雑草のように自然発生するでしょう。
それが現実の場で任意連携空間を浸食していくでしょう。

だから自由精神の増強努力は常時なされていなければならない。
そしてその増強には聖句吟味をする福音活動が最も有効であることをバイブリシストたちは
歴史を通して体験熟知していました。

彼らが政教分離がなると即座に国内の福音宣教に注力していったのは、
それもあってのことだと思われます。


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Vol.124 「16章 バイブリシズム史が贈る一般理論」(4)~デュアルシステムは国力を増強する~

2012年04月05日 | 「幸せ社会の編成原理」

  
      
       

任意連携システムが形成する救済空間が、管理階層組織のなかに併存する社会でならば
「個々人は規律の中で生き、なおかつ、自由と共感の空間にも生きられる」でしょう。

その社会は「成員一人一人の可能性を解き放つ」空間になり得るでしょう。

それが実現すればその国家の国力は急増するでしょう。

17~8世紀に英国の国力が急増したのは、それ以前に聖句主義者が大量流入してきていたこと
によるところが大きいでしょう。
彼らは国家憲法で保護されなくとも任意連携空間を実現してしまいます。
ですから聖句主義者の存在そのものが二つのシステムが併存する社会状態をつくるのです。

19世紀から20世紀になるとその国力急増状態はアメリカに移行しました。
これもそれ以前に英国からアメリカ大陸に聖句主義者が大量移住していたことによるでしょう。
彼らの移住は一定のタイムラグをもって国力を増強するのです。

そして大陸の植民地は独立し、任意連携システムの生存を憲法でもって保障するに至りました。
信教・思想・言論の領域にそれを保障する国家を創設した。
これがアメリカ合衆国を世界の覇者にさせた最大の要因でした。
      
筆者は管理階層システムと任意連携システムが併存する社会組織体制を短く「二元システム」
ないしは「デュアルシステム(dual system)」と呼んでいます。

この語を使えば「デュアルシステムが、人民を活性化し国力を増強する」
~という一般理論も得られると思います。

この命題はもちろん、「人民」を「社員」に、「国力」を「会社力」に変えても成り立つでしょう。

(このVol.124は、前の記事に本稿を入れ替えました)


 

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