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(BL小説)風のゆくえには~嘘の嘘の、嘘 18-4(泉視点)

2017年01月26日 07時27分00秒 | BL小説・風のゆくえには~ 嘘の嘘の、嘘


 お祭りには、途中から桜井浩介先生とその彼女の一之瀬あかね先生も合流した。

 桜井先生は何だかやつれた顔で終始ぼんやりしていた。でも、携帯に入ったメールを見た途端、

「ごめん、帰る。じゃあね!」

 急に元気になって帰ってしまった。彼女を置いて……(それから少ししてから、あかね先生も帰ったけど……)

「一体なんだったんだろうな?」

 桜井先生の謎の行動について言うと、諒は「ああ」とうなずき、

「渋谷さんの仕事が早めに終わったとか、そういうことじゃない?」
「渋谷さん?」

 諒の言葉に首を傾げる。なぜ、彼女を置いて友達に会いに行くんだ? しかもあんなに嬉しそうに……

 言うと、諒は「あ」と口を押さえた。「マズイ」みたいな顔をして。

「……諒ー?」
「あー……」

 両脇を掴んで、ジーーっと正面から顔を見つめてやる。昔から、諒が隠し事をした時はこうして無言で瞳をのぞきこむことにしてるのだ。するといつも一分もたずに白状する。今回も例にたがわず諒は両手をあげると、

「絶対内緒だよ? 侑奈にも内緒だよ?」

と、前置きをしてから、衝撃の事実を教えてくれた。


 桜井先生の恋人はあかね先生ではない。あかね先生はカモフラージュ。本当の恋人は、親友の渋谷慶さん、なのだそうだ!

 し、しかも……

「ま、マジか……」

 あの小柄で中性的な容姿の渋谷さんが、桜井先生のことを抱いている、だってー?!

「ってことは、もしかして!」

 諒が色々聞いてる、そういうことに詳しい人って……っ

「桜井先生のことか?!」
「あ、侑奈から聞いたの?」

 もー言わないでっていったのにーと口を尖らせながらも、諒はコクンと肯き、

「色々、準備があって……でも、たぶん、大丈夫」
「たぶんって」
「誕生日、あげるからね」
「……っ」

 無邪気な笑顔で言われて、くらっときてしまう。
 オレと諒以上に身長差のある渋谷さんと桜井先生……そんな二人ができてるってことは、オレも……

(できる……かなあ……)

「泉くーん! 高瀬くーん! おまたせー!」
「おー」

 弟の潤君を連れてトイレに行っていたライトに手を振る。ちゃんと兄弟に見えるぞ? ライト。

(血の繋がりとか、肌の色とか、関係ないんだよなあ……)

 ふいっと、横にいる諒を見上げる。諒がニコっとしてくれて嬉しくなる。

(性別とか、背の高さとか……)

 そういう変な常識に囚われて、ずっと想いを閉じ込めて、嘘に嘘を重ねて……

「諒」
「え」

 ぎゅっと手を繋ぐ。

「ちょ、優真、ライトが……」
「………」

 慌てた諒の言葉にかぶせるように、さらに手に力をこめる。

「いつかさ」
「う、うん……」
「真っ昼間でも、ちゃんと手繋いで歩ける日がくるといいな」
「………え」

 目を瞠った諒に肯きかける。

「いつか、誰にも嘘つかないで、オレ達が付き合ってるって、みんなにちゃんと言いたい」
「…………優ちゃん」
「…………」

 もう一度、手に力をこめると、諒も今度はぎゅっと握り返してくれた。

 ライトと潤君が目の前にきても手を離さずにいたら、当然ライトがツッコんできた。

「わー、なになに、男同士で手握り合っちゃってどうしたのー?」
「…………」

 その言葉に、何か言おうとしたところ……

「それは仲良しだからだよねー?」

 潤君がニコニコで言ってくれた。そして、ライトと繋いでいる手をつきだして、

「ほらみて。潤とお兄ちゃんも仲良しになったから手繋いでるんだよー」
「あ、ほんとだ」
「一緒だな」
「え、それとこれとは話が別のような……」
「同じようなもんだ」
「ね」

 たたみかけるように言うと、ライトは「え?そうなの?それありなの?」とブツブツいった挙げ句、

「じゃ、オレもユーナちゃんに手繋いでもらおーっと」

 いくぞー潤君!と張り切って歩きだした。

「…………。絶対無理だな」 
「ね」

 二人でクスクス笑いながら、ライト達の後を着いていく。屋台の間の人混みの中、はぐれないように手を繋いだまま……



***



 ライトの母親の再婚相手の日村さんは、感じの良いオジサンだった。51歳のオレの父と同年代……と思ったけれど、話を聞いたらまだ46歳だそうだ。髪の毛がかなり後退しているから老けてみえる……。

「こないだ、お祖父ちゃんですか? って言われちゃったんだってー」

と、ライトが楽しそうに話してくれた。日村さんの子供の双子の潤君と実那ちゃんはまだ幼稚園の年長さん。まあ、ない話ではないのか……

「うちの母ちゃんは若くみえるから、そのうち娘さんですか?って言われそうってビビってた」
「…………」

 ライトの母親は実年齢は36歳だけれども、見た目は20代前半なのだ。確かに親子に見えなくもなくて、否定してあげることができない。

「それにオレも加わったら、ほんと謎の集団だよね~」
「……確かに」

 ライトの言葉に肯いてしまう。

「でも」
 侑奈がパンと手を合わせて宣言した。

「一つの集団に見える」
「うん」
「見える」

 二人でうなずく。
 
「家族って言われたら納得する」
「だな」
「うん」

 ライトは「そうかなあ……」と首を傾げながらも、少し離れたところにいる母親と日村さん親子を目を細めて眺めていた。

(きっと、家族になれる)

 世の中の変な常識とかに流されないで、自分の欲しいものを手にいれられたら、そうしたらきっと、幸せはそこにある。


***

 お祭りからの帰り道、いつものように侑奈を送ってから、二人で帰路についた。手を繋いで歩く夜の道。

「潤君、すっかりライトに懐いてたね」
「だなー。それに二人ともライトの母親のことも『あーママ』って……」
「『新しいママ』の略っていうのにはちょっとビックリ……」

 うんうん、と肯きながら、手に力をこめる。

「あのぐらいの年齢の子って、なんていうか……余計なものが何もなくていいよな」
「余計なもの?」
「変な常識に囚われてないっていうのかな」

 自分があのくらいの年齢だった頃を思い出す。ちょうど諒と出会った頃……

「オレさ……」
「ん?」

 振り返った諒の瞳。あの頃と変わらない、守ってやりたくなるような瞳……

「オレ……お前に初めて会った時、『将来、こいつと結婚する!』って思ったんだよ」
「……え」

 立ち止まり、目を大きく見開いた諒に、淡々と話し続ける。

「でも、二年生になってからだったかなあ……姉貴たちと母ちゃんに『男同士は結婚出来ない』って聞かされて……」
「………………」
「あの時、そんなこと教えられなかったら、自分の気持ち否定することも、嘘つくこともなかったのにな」

 繋いでいる手を両手で包み込む。 

「オレが世間の常識なんか気にしないで、ちゃんと告白してたら………そしたらお前も嘘つかないですんだのにな」
「優ちゃん………」

 コン、と肩に諒の額が落ちてきた。その愛しい頭を撫でながら、出会った時と同じように、誓う。

「もう、嘘はつかない」
「うん」

「諒、大好きだよ」
「優真……」

 大好き、と諒の小さな声が胸のあたりに響いてくる。

 なりふりなんてかまってられない。カッコ悪くてもいい。今のオレで、精一杯の愛を伝えよう。



---



お読みくださりありがとうございました!
次こそはとうとう!?ああ、ドキドキしてきました……

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(BL小説)風のゆくえには~嘘の嘘の、嘘 18-3(泉視点)

2017年01月25日 07時21分00秒 | BL小説・風のゆくえには~ 嘘の嘘の、嘘


「抱かせて、ほしい」

 そう言ったはいいものの……

 …………。

 どうやるんだ?


 噂では、尻穴を使うと聞いている。でも、それが本当のことなのかどうかは分からない。それは単なる噂であって、実際はオレの知らない何かが………


「ありません」
「え、ないのか?」

 困った時の侑奈様、で侑奈に聞いてみたら、あっさりと首を横に振られた。

「ないよ。噂通りで大丈夫」
「だ、大丈夫って!」

 それメチャメチャ痛そうだし、そもそも入るのか!? ていうか、そのこと諒は知ってて望んでるのか!?

 言うと、侑奈はうーん、と言うのをしばし迷ってから、

「……知ってるみたいよ、諒」
「え」
「なんか知り合いで詳しい人がいて、その人から教えてもらって、色々準備してるって言ってた」

 じゅ、準備!? ってなんだ!? ていうか、その知り合いって誰だよ!?

「さあ?」
「さあって!!」

 部活の誰かか!? オレの知らないところでそんな話………っ

(教えてもらって準備って、まさか、そいつと実践とかしてないよな!?)

 頭の中がぐるぐるしている中、侑奈はいたって呑気に、

「まーそういう訳だから、リードは諒に任せればいいんじゃない?」
「何でそうなる!?」
「え、だって分からないんでしょ?」
「でも任せたくないから、聞いてるんだろっ」

 そうじゃなきゃ、こんな話しない!
 言うと、侑奈はさも面倒くさそうに、
 
「うるさいなー、じゃあ、諒に聞けば?」
「そんなの聞けるかっ」
「なんで?」

 なんでって……
 ぐっと詰まってから、本音を言う。

「………。そんなのカッコ悪いだろ」
「は?今さら」
「…………」

 鼻で笑われた……

「泉がドーテーってことくらい、諒だって分かってるんだからさー」
「ドーテー言うな!!」
「ホントのことでしょ。ドーテーがカッコつけるなっての」
「だからドーテー言うなーーー!」

 わーわー不毛な言い争いをしていたところで、

「何二人でそんな盛り上がってるの?」
「わわわっ」

 当の本人が来たので慌てて話を止める。キョトン、とした顔が抜群に可愛い諒。

(なんか、ホント最近可愛くなったよな……)

 相当フィルターかかってるのかもしれないけれど、オレと付き合うようになってから、諒は日に日に「可愛く」なってきている。顔の作り自体はクールでカッコいい諒のままなんだけど、オレに向ける表情は、小学生の時の頼りなげなものにすっかり戻っていて、口調までもその頃のものに戻りつつある。

(今まで無理してたんだよな……)
 オレへの想いをずっと隠していた、と言っていた諒。そのために、オレの呼び名も変えていたのだそうだ。そんな風に無理して、自分を作ってきたなんて……

(オレが勇気を出していれば……)
 オレだってずっと諒のことを想っていた。そのことに気が付いた小学6年生の時、周りの目なんか気にせずに、勇気をだして告白していたら、こんな無理をさせることもなかったのに……

(もう、そんな思いはさせない)

 ちゃんと想いを告げて、想いを受け止めて、それで……

 ………………。

 どうやるんだろう……

 って、また、ここに戻ってきてしまった……。


***


 今日は夏祭り。
 侑奈は毎年浴衣を着てくる。亡くなったお母さんから着方を習っていたそうで、自分で着られるのだ。日本に戻ってきて初めての夏祭りの時に、他のクラスメートが浴衣を着ていないことや、着ていても、誰かに着付けてもらっているということを知って、とても驚いていた。

「ママに騙された。日本じゃみんな自分で着るっていうから練習したのに……」

 当時、侑奈はそう言って頬を膨らませていたけれど、これこそ確かに残された母親の形見なのだと、今なら分かる。浴衣を着た侑奈はいつもにも増して凛として美しい。


「あ、やだ、ひっかけた?」

 待ち合わせの時間寸前、侑奈が髪の毛に手をやって眉をよせた。ぱらついてきた雨に傘をさしていたけれど、止んだので閉じようとしたところ、引っかけてしまったようだ。キレイに結われていたのに崩れてしまっている。

「あ、直すよ」
 自然な感じに諒が侑奈の髪を直し始める。

 懐かしい。諒は昔はよくこうしてオレの妹や侑奈の髪を結っていた。それに、オレの髪をサルの毛づくろいみたいによくいじっていた。でも、小6の夏休み明けからピタリとそれはなくなり……

(……あ)
 考えてみたら、歴代の彼女、全員髪の毛わりと長くないか? そういえば「一回限り」の女には、ショートカットの女がいたことはあったけれど、「彼女」として付き合ってた女は、揃いも揃って肩につく以上の長さの髪の女ばかりだ!

 侑奈も髪を肩より短くしたことないし、諒の美人な母親も、ずっと綺麗な長い黒髪だし、諒の周りの女はみんな髪が長い……

「…………」

 真剣な表情で侑奈の髪をセットする諒の横顔。オレに見せる幼い表情とは違って、なんだかカッコいい……

(歴代の女にもこういうことしてたんだろうなあ……)

 そうして、何人もの女と関係を結んできた諒……

(やっぱり経験値が違いすぎる……)

 ため息しかでてこない……


 と、そこへ。

「わ~~ユーナちゃん浴衣~!かわい~!」
「!」

 ライトの明るい声に我に返った。
 10日ほど前に会った時は、暗い声をしていたのに…………、と?

「あ」
「あ」
「あ」

 思わず、三人で顔を見合わせて「あ」と言い合ってから、
 
「ライト!」

 一斉にライトと、ライトに肩車された男の子に向かって手を振った。
 ライトから少し遅れて、ライトの母親と、オレの父親と同年代くらいの男性、その間に二人に手を繋がれた女の子。

「………馬鹿ねえ」
 侑奈が嬉しそうにつぶやいた。

「変な心配しなくても、ちゃんと家族に見えるじゃないのよ」
「だな」
「うん」

 オレ達も肯く。
 どこからどう見ても、彼ら5人は一つのまとまりとして、そこに存在していた。



---



お読みくださりありがとうございました!
まだ続くのですが、長くなってしまったのでとりあえずここまで……
続きは明日、更新したい(希望)。
だってさー、もう、早くやっちゃいなさいよ君たち!って感じじゃん!
そのシーンが書きたくてここまで書いてきたんだからさー(←え)
でもまだ8月18日……泉の誕生日は22日です。

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(BL小説)風のゆくえには~嘘の嘘の、嘘 18-2(泉視点)

2017年01月23日 15時43分55秒 | BL小説・風のゆくえには~ 嘘の嘘の、嘘


「何やってんだお前! 大丈夫か!?」

 待ち合わせ相手であるヤマダライトが、派手めな男2人と揉めてる!と、慌てて声をかけたところ、当の本人ライトは、「え?」と、間抜けた顔をして見返してきた。

 その直後。

「何だお前? この外人と知り合い?」

 揉めてる男2人…じゃなくて、その少し離れたところにいたガタイの良い男が携帯をいじりながらこちらに向かって歩いてきて……

(げ。マジか)

 ライト対男2人だと思ってたのに、よくよく見ると、そのガタイの良い男の隣にもあと2人。合計5人もいて……



 それから30分後……

「泉の馬鹿!考えなし!だからサルって言われるんだよ!」
「あーもー分かった分かった……」

 侑奈に言われ続け、いい加減嫌になって耳をふさいだ。諒がオレを庇うように侑奈に手の平を向けて、

「まあまあ、侑奈、結果的には無事だったんだから……」
「それは私が諒に電話して、諒と桜井先生がきてくれたおかげでしょー?!」
「うんうん。そうだね。侑奈のおかげだね」
「何その言い方ー!!」
「まあまあ……」

 諒に宥められてもまだ侑奈の気は収まらないようだ。
 その横でライトはヘラヘラとしている。でもそのヘラヘラもいつもよりさらにヘラヘラで……

「それにしても浩介先生、あいかわらずデカイ声だったねー。『おまわりさーん!こっちでーす!』ってさー」
「おかげでちょっとノド痛いよ……」

 桜井先生が苦笑して言い、「いただきます」と目の前に出されたお茶をすすりだした。この真夏に熱いお茶を飲む桜井先生……
 開店時間直後のためか、そのお蕎麦屋さんにはオレ達以外に客がいなかった。おかげで遠慮なく話ができて助かる。


「で、何があったんだよ?」
「え」

 ヘラヘラを止めないライトにちょっとイラッとして語気を強める。

「なんで喧嘩ふっかけたんだよ?」

 奴らの話を総合するに、ライトと奴らは全くの初対面で、なぜかライトの方からいきなり殴りかかってきた、ということなのだ。

「んーーー……気分?」
「バカかっ!気分であんな強そうな奴らに喧嘩ふっかけんなっ。助けに入ったオレの身になれっ」
「んーーーー……」

 ライトはうーんうーん、と唸ると、「あのさあ……」と不思議そうにこちらを見上げてきた。

「なんで泉君、あそこで声かけたの?」
「は?」
「普通かけないよね?自分がやられちゃうかもしれないのに」
「かけるだろっ」

 ゴッと拳骨でライトの額を小突いてやる。あの時の不思議そうな「え」も「なんで?」の「え」だったのか!
 再度「え」と間抜けな顔をしてこちらを見てくるライトに、もう一度鉄拳制裁加えてやる。

「普通、友達やられそうになってたら声かけるだろっ」
「え」

 目を見開いたライト。

「オレ、友達なの?」

 は?

「はあああああ?!」

 びっくり発言にオレが叫ぶと、侑奈も同じように叫んで「馬鹿じゃないの?!」とライトの肩をたたいた。

「何今さらなこと言ってるの? 普通に友達でしょ!」
「え、でもさ、自分がやられちゃうかもしれないのに助けに入ろうと思えるほどは仲良くないよね?」
「はあ?!」
「だいたい、そのくらい仲良くたって、普通見捨てない?」
「見捨てるかっ」
「馬鹿馬鹿馬鹿っ」
 
 侑奈と二人でワアワア怒鳴っていたら、諒が「まあまあ」とオレ達に向かって手の平を向けた。そして、ライトに向き直ると、

「見捨てる人もいるかもしれないけど、でも、優真は見捨てない人だよ」

 諒は少し誇らしげに笑って、

「友達のことちゃんと守ろうとしてくれる。そういう人もいるんだよ?」
「…………」

 ライトは眉間にシワを寄せて押し黙ってしまった。
 ライトにはこうして庇ってくれる友人が今までいなかったということだろうか……


「……ま、でも、泉君?」
 沈んだ空気の中、桜井先生が呑気な調子で言う。

「相手5人じゃさすがに分が悪いよ? 慶くらい喧嘩が強いならともかく……」
「あー……はい。すみませんでした……」

 ここは大人しく頭を下げる。実は2人だと思ってたなんて、恥ずかしいから言えない……

「あ、もしかして、あの『おまわりさーん』って、今までも経験あるんですか?先生」
「うん……実は3回目」

 侑奈の問いに、頬をかきながら桜井先生が言う。

「慶を助けるため、というより、相手に怪我させたら大変だから、止めさせるためにね……」
「へえ……」

 あの可憐な容姿からは想像ができない……と思っていたところ、

「あの時と同じだね……」
 いきなりライトがボソッと呟いた。今まで聞いたことのないような暗い声。

「あの時も、慶君がオレのこと庇ってくれて、それで浩介先生が叫んで……」
「…………」

「オレが殴りかかった理由も同じだよ。オレ成長してないね」
「…………」

(あ……そうか…)

 少し前、ライトが渋谷さんに話していたことを思いだした。

『オレが中1の時もさ、オレに『日本から出てけ』とか言ってきた奴らに、『お前ら両親とも東京出身か?そうじゃないなら東京から出てけ!お前らが言ってるのはそういうことだ!』とかキレたよねー』

 そういう類のことを言われた、ということだ。そういえば奴ら、ライトのことを「外人」と言っていた。それでカッとなって殴りかかったということか……


「オレ、日本国籍だし日本に10年住んでるっつーのに、いつまでたっても「外の人」扱いなんだよね」
「…………」
「母ちゃんが先月正式に再婚したんだけどさ。その再婚相手の親も、オレのこと「外人さん」って言うんだよ。あ、もうボケちゃってる婆ちゃんなんだけどね」

 ライトは苦笑しながら、麦茶を一口飲んだ。

「当たり前なんだけど、再婚相手と向こうの連れ子2人と母ちゃんの4人は一緒にいると家族にみえるんだよね。でもオレは一人だけ浮いてて……」
「ライト……」

 侑奈がそっとライトの手を取ると、ライトは照れたような笑みを浮かべた。

「だから一人暮らしさせてもらってんの。気楽でいいよ」
「でも………、あ、ううん」

 侑奈は何か言いかけたけれど、やめてニコッとすると、

「私も高校卒業したら一人暮らしするんだよ」
「わ。そうなの?そしたらオレと一緒に住もうよ!同棲同棲!」
「しません」

 握り返された手をぴしりと容赦なく払いのけてから……侑奈はふっと笑った。

「さっきね、そんなの気にしないでママ達と一緒に暮らせばいいのにって言いかけたの。でも考えてみたら、自分もお父さんの再婚相手と住むのが嫌で一人暮らしするって言ったんだったって思い出して……」
「…………」
「自分のことだと見えないけど、人のことだと見えてくるものもあるのかもね……」
「ユーナ……」

 お父さんの再婚については割り切れたような顔をしていた侑奈だったけれど、やっぱりまだまだ思うことは色々あるのだろう……

 シンッとした中で、ちょうど蕎麦が運ばれてきた。

「はい!さっさと食べないと遅れちゃうよ!」

 はい、はい、はい、とわざとらしく明るく手を叩く侑奈。

「時間厳守なんだから!」
「分かってるって」

 今日はこれから、日本語ボランティア教室で大掛かりなレイアウト替えがあるそうで、男手が必要ということで、オレと諒もかりだされた。桜井先生は元々、この教室の親組織のメンバーらしく、こういうことの手伝いには時々参加するらしい。


 黙々と蕎麦をすすり、全員が食べ終わりかけたところで、

「あの、考えたんだけど!」
 いきなりの桜井先生の声に、みんな顔をあげる。

「あのね……」
 桜井先生はものすごく真剣な調子で、言った。

「結局のところ、自分が最も望む道に進むのが一番だよね」
「え」

 みんながキョトンとする中、ライトが「ああ」と肯く。

「さっきの話? 先生ずっと考えたの?」
「うん。ライトが一人暮らしの方がいいって言うなら、それでいいし、お母さんと一緒に暮らしたいと思うなら、他の人の目なんか気にする必要ないと思う。自分の気持ちを大切にして」

 こくりと肯く桜井先生。先生、ずーっと黙ってたけど、ずーっと考えてたんだ……

「ホント先生、天然……」
「だね」

 諒と二人で肯き合う。ライトはクスクス笑いだすと、

「浩介先生って昔からそうだよねー。一人でジーッと考えてて……」
「え、そう?」
「そうだよー! それで突然、オレと話すためにスワヒリ語覚えてきちゃったり!」
「え、だってそれは、ライトがスワヒリ語しか話さなかったから」
「でも、ママンからの情報で、オレが日本語も英語も話せるって知ってたでしょ?」
「でも実際、スワヒリ語しか話さなかったじゃん」
「だーかーらー……」

 言いながらライトは「あーあ」と両手を広げた。

「先生には敵わない。こんな人いないよー普通」
「え、普通だよ」
「普通じゃないって」

 ライト、嬉しそう……。たぶん、その当時、スワヒリ語しか話さなかったのは、ライトなりの世間に対する精一杯の拒絶だったんだろう。でも、その拒絶をアッサリ突き崩して手を差し伸べてきたのが桜井先生。天然のなせるわざ……

 桜井先生って、すごく素直な人なんだと思う。たぶん、オレと諒が付き合ってるって言っても「ふーん。そうなんだ」って普通のことのように受け止めてくれる気がする。なんの偏見も持たずに。色々な常識とかプライドとかに囚われているオレとは大違いだ。

『自分が最も望む道に進むのが一番』

 最も望む道……
 それは、諒と一緒にいること。諒と幸せになること。そのためには……
 



***




 レイアウト変更は予定通り無事に終わった。
 もう遅かったので、侑奈の家には上がらず、団地の下まで送ってから、いつものように二人で遠回りをしながら家まで帰ることにした。

 両想いだとわかってからは、こうして夜二人で歩く時は手を繋ぐようになった。でも、さすがに恋人みたいには繋げないので、友達同士がふざけて引っ張り合いをしているように歩くことにしている。それでも、繋がっている手が温かくて嬉しい。

「優真、もうすぐ誕生日だね」
「あー、そうだな」

 オレの誕生日は8月22日。あと2週間後だ。

「あのね……」
 諒が立ち止まり、繋いでいる手に力をこめてきた。

「優真の誕生日の頃、うちの両親、毎年恒例の海外研修とかいうやつで、一週間帰ってこないんだ」
「あ……そうだよな」

 小学生までは、諒が寂しいだろうから、といって、この時期は毎年泊まりにいっていた。でも、中学に上がってからは誘われなくなり、オレも自制できる自信がなくて極力個室で諒と二人きりになる事は避けていたので、一度も泊まったことはない。

「だからね……」
 諒はこちらを伺うように顔を傾けると、

「今年は久しぶりに泊まりにこない?」
「………え」

 申し出にドクンと心臓が波打つ。

「それで誕生日になる瞬間、一緒に過ごそうよ」
「……あ、うん」
「良かった」

 諒の柔らかい笑顔にますます胸のあたりが苦しくなる。

「ケーキ買おうね」
 明るく言いながら、今度は諒がオレのことを引っ張りながら歩きだした。

「………」

 目線の少し上にある諒の頭のてっぺんをジーと見つめる……

『自分が最も望む道に進むのが一番』

 オレが望む道……望むもの……


「諒」
 立ち止まり、繋いだ手に力をこめる。

「ん? っとと!」
 振り返った諒を、ぐっと引っ張り近づけさせる。

「な、何?」
「……諒」

 ずっとずっと大好きだった。一目惚れしたその柔らかい笑み。性別とか背の高さとかそんなこと何も関係なく、ただずっと大好きで……

「優真? どうし……」
「誕生日プレゼント、くれ」
「え」

 戸惑った様子の諒。

「プレ……ゼント? 優真、欲しいもの、あるの?」
「ある」

 繋いでいる手にさらに力をこめると、諒は困ったように口を引き結んだ。
 
「優真、オレもね、考えてることが……」
「諒」

 諒が何か言いかけるのを、人差し指で唇を押さえて遮ってやる。

「優……?」
「諒……」

 愛しいその瞳をのぞきこむ。そして、勇気を持って………告げる。

「抱かせて、ほしい」
「………」

 諒は目を見開き……

「え?」

 瞬きをするのも忘れてこちらを見返してきた。
 
「諒……」

 その愛しい唇に素早くキスをする。

「オレ、ちゃんとできるかどうか分かんないけど」
「……………」

「でも、一番望むものはお前だから」
「優ちゃ……」

「だから、お前の初めて、オレにくれ」
「………」

 諒は息を飲んで………それから、ぎゅうっと抱きついてきた。


 

---


お読みくださりありがとうございました!
大遅刻大変失礼いたしました。どうしても気に入らなくて何度も何度も修正修正で……でもずっと書きたかったライト君の内情。
あ、ちなみにライトは母親のことを人に話す時や人前では「母ちゃん」もしくは「ママン」と言いますが、ママと二人きりの時は「ママ」と呼ぶことが多いです。
次回は明後日更新予定です。どうぞよろしくお願いいたします!

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(BL小説)風のゆくえには~嘘の嘘の、嘘 18-1(泉視点)

2017年01月21日 07時21分00秒 | BL小説・風のゆくえには~ 嘘の嘘の、嘘


 小学校入学の少し前に出会って、一目惚れして。
 でも、男の子同士だからそれは間違いだと周りに言われて、気持ちを打ち消し続けてきて。
 でも、小6の夏に、やっぱりこれは恋愛感情の「好き」なんだと気がついて……

 それから5年。

「優真……優ちゃん……大好き、大好きだよ……」

 ずっと望んでいた言葉を聞かせてもらえた。そして、

「ずっと、ずっと、お前のことが好きだった」

 ずっと言いたかった言葉を伝えられた。
 それだけでもう充分、夢の中のことのようなのに……

 その翌日。

「優真に、抱かれたい」

 そんなセリフが諒の口から発せられて……オレの思考は停止した。



***


「で? 諒とはどうなってるの?」
「どうなってるって?」

 侑奈に聞かれ、淡々と聞き返す。
 今、桜井先生とライトとの待ち合わせ場所に向かうため、家から駅に向かって歩いているところ。諒は部活の帰りにそのまま行くというので、一緒ではない。侑奈と二人きりで歩くなんてすごく久しぶりだ。

「した?」
「何を?」

 聞くと、侑奈は「はああ?」と呆れたように言い、

「何を?って言うってことは、まだなわけね……」
「…………」

 ………。余計なお世話だ。

 抱かれたい、の話は、高校卒業まで……というか、オレが諒の身長を越すまで待ってくれ、と答えて、諒にも納得してもらえた、と思う。

 その話をしてから2週間以上たつけれど、まだ、手を繋ぐだけでも精一杯だったりするオレ……。
 それなのに、「した?」なんてそんな高度なレベルの話をできるわけがない。

「相変わらずだねえ泉。ここぞというときに尻込みしちゃうの、昔からだよね」
「なんだそれ」
「例えばー……、あ、ほら、中1の体育祭の時、リレーのアンカーに指名されたのに、無理!とかいって、頑なに断ったよね」
「………」

 嫌なこと思い出させるな……

「チームの中で一番タイム速かったから指名されたのに、何なのあの男気のなさは」
「それは……」

 違うチームのアンカーが諒だったからだ。諒に負けるのは絶対に嫌だったから……

 ムッとしていたら、侑奈は軽く肩をすくめた。

「まあ、中学の時の話はどうでもいいや。問題は今だよ。何でしないの?」
「…………」
「諒、待ってるよ? してあげなよ」
「してあげなよって………………、あれ?」

 なんでオレが「する方」に限定されてるんだ? もしかして……

「………。ユーナ、諒から何か聞いてるのか?」
「え、何も聞いてないよ?」

 ちょっと笑ってる。絶対何か聞いてるこいつっ。

「嘘つくなよ。普通に考えたら、諒の方がデカいし、あんだけ女喰いまくってたんだから、諒が『する』側だって思うだろ?」
「えー、そーおー?」

 しらばっくれたように言う侑奈。

「諒はすっかり昔みたいなカワイイ諒君に戻ったから、男なら抱きたい!って思うんじゃないかなーと思ったんだけど?」
「………」
「それにうちはママの方がお父さんより背高かったから、私的には二人の身長差は問題ないし」
「………」

 うっと詰まってしまう。

「泉、なんだかんだ理由付けて先送りにしてるだけなんじゃないの? 何をそんなにビビってるわけ?」
「ビビってなんか……」

 否定しかけて、侑奈に格好つけてもしょうがないか……と思い直し、本音を吐き出す。

「………。ちょっとはオレの身になって考えてみろよ?」
「泉の身……。うーん……『ずっと好きだった子に好きって言われて超ハッピー』」
「………」
「だから手を出さない意味が分からない」
「だーかーらー……」

 こいつは男心を全然分かってない……

「元カノに言うのもなんだけど……諒って中一から彼女いただろ?」
「そうだねえ。それから女切らせたことないよね」

 ま、直近の半年は私だけどね! 彼女歴最長だけどね! 他の女は長くても1ヶ月だからね!

 侑奈は誇らしげに言ってから、

「それがどうかした?」
「どうかって……」

 分からないか……

「あのー、その半年の間だって、諒とユーナはその……してたわけじゃん?」
「何を?」
「何をって!!」

 思わず叫ぶと、侑奈は「え!?」と本気で驚いたように振り返り、

「まさか泉、それ気にしてるの?」
「気にしてるというか……」
「え、でも、ほら、諒は童貞ではないけど、処女なわけじゃん? それに免じてそこは許してあげて……」
「じゃーなーくーてー!」

 話の食い違いにイラッとして話を遮る。

「オレが言ってるのは、諒が女としてたのが嫌とかそういうことじゃなくて……」
「じゃ、なに?」

 侑奈も眉を寄せている。本当に分からないらしい。

「そうじゃなくて…………」
「うん」
「諒は半端なく経験積んでるわけだろ?」
「まあそうだねえ」
「だから………」

 息を吸って、はいて、小さく本音を言う。

「オレ……経験ないから、絶対、諒より下手じゃん」
「…………え」

「今、諒より背も低いし、余計に絶対、諒より上手くできない」
「…………」

「だからせめて背だけでも高くなってからって………」

「…………」
「…………」 
「…………」
「…………」 


 長い長い沈黙の後、

「馬鹿じゃないの?」

 侑奈がボソッと言った。おれもボソッと言い返す。

「馬鹿じゃねーよ。男のプライドってもんが……」
「はあ!?そんなプライド馬鹿すぎる!」

 馬鹿、馬鹿、ホント馬鹿!

 侑奈はひとしきり人のことを馬鹿馬鹿言ったあげく、

「上手いとか下手とかそんなの関係ないの。大好きな人に抱かれることが重要なの。それがどんなに幸せなことか……っ」
「痛……っ」

 思いきり腰のあたりを拳で殴られ悲鳴をあげる。でも、侑奈は容赦なく、叩き続けてくる。

「痛いっ痛いって……っ」
「馬鹿泉っ馬鹿馬鹿馬鹿!」
「ちょっマジで痛い……っ」
「諒のことお願いって言ったでしょ!?」
「……っ」

 侑奈、涙目……っ

「ちゃんと幸せにしてあげてよっ」
「…………ユーナ」

 愕然とする。やっぱり、侑奈……

「ユーナ、やっぱりまだ諒のこと……」
「好きじゃないっ。今の諒は好きじゃないっ」

 侑奈は怒ったように言い放った。

「私の好きだった諒は、泉への想いを隠すためにクールな仮面つけてた諒! その諒はもうどこにもいない!」
「ユ……」

「仮面を取ってあげたのは私だもん。諒には本当に幸せになってほしいと思ったから……だからっ」
「……っ」 

 だめ押し、とでもいわんばかりに、思いきり叩かれ、息が止まりそうになる。振り返ると、侑奈がこちらを睨みながら言った。

「泉だから、任せたんだからね」
「…………」
「…………」
「…………」

 再びの沈黙の後……

「………っていう、女の子としての思いとは別に……」

 ふっと、優しい笑顔を浮かべた侑奈。

「仲良し3人組として、二人の幸せ願ってる」
「侑奈………」

 侑奈はやっぱりオレの女神で……
 女神のいうことは絶対だけど……

 でも………


***


 無言のまま電車に乗り、待ち合わせ場所のある駅に着くまで一言も話さなかった。そのまま、待ち合わせ場所にも無言で向かったのだけれども……

「あれ?」
「え」

 喧嘩みたいな怒鳴り声に二人で足を止めた。道行く人も数人振り返っている。その視線の先には……

「ちょ……っ」
「わ、マジかっ」

 2対1の、わりと派手目な若い男同士の喧嘩。詰め寄られているのは………

「ライト……っ」
 オレ達の待ち合わせ相手であるヤマダライトだ。

「何やってんだお前! 大丈夫か!?」

 慌てて声をかけると、

「…………え」

 驚いた顔でライトがこちらを見返してきた。



---


お読みくださりありがとうございました!

えーと……どうでもいいことなのですがっっ
泉君と慶、諒と浩介、って、ちょっと見、キャラかぶってね?と前々から気になってたので、ここが違うよ!をまとめてみました。

容姿
泉→174cm。サル顔(いやでもイケメンの部類には入るんですけど!)
慶→164cm。中性的な超美形。誰もが振り返る美形オーラの持ち主。

諒君→185cm。気品あふれる美形男子。甘いマスクとはこのことです(*^-^)
浩介→177cm。地味。よくみるとわりとイケメンだけど何しろ地味。


性格
泉→お調子者。でもビビり。
慶→明るい。男らしい。

諒君→口数少ないのでクールに見える……けど、ただ単にボーッとしているだけのことも(でもそう見えない。イケメンは得だ)
浩介→優しく穏やか…に見えて、実は腹黒い。


言葉使い
悪い>>>>良い
慶>泉>諒>浩介


カップルとしては… 
泉×諒は、今はまだギコチナイですが、ここ乗り越えると、わりと人前でも自然にくっついてたりするようになります。そしてお互い「好き」って言葉に出してちゃんと言い合ってます。

浩介×慶は、慶が人前だとツンデレのツンを最大限発揮してしまいます。そして慶は「好き」って言いません。でも最近(もう42歳だよ)ようやく少しは言うようになりました。


諒と浩介の最大の相違点は、相手に対する思いです。

諒はひたすら、泉に守られたい。依存したい。って感じ。

浩介は、守られているばかりのおれはダメだ!おれも守れるようにならないと!!みたいな気持ちが強くて……。
どうしておれなんかを選んでくれたんだろう?って気持ちも強いので、自分も彼の役に立たなければって、強迫観念的に思っちゃってるというか……自己肯定感が低いせいですかね。
浩介がその思いから解放されるのは、40歳を過ぎてから。ようやく「そばにいるだけでいいんだ」って思える時がきます。(そこらへんの話が長編「あいじょうのかたち」にくどくどと書かれております^^;)

そう考えると泉×諒って、浩介×慶が交際24年かかかってようやく得た答えの場所に、初めからたどり着いているのかもしれません^^;


って長々と失礼しました!!
次回は明後日更新予定です~~。どうぞよろしくお願いいたします。

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(BL小説)風のゆくえには~嘘の嘘の、嘘 17(浩介視点)

2017年01月19日 07時21分00秒 | BL小説・風のゆくえには~ 嘘の嘘の、嘘


 交通事故をきっかけに、教え子である高瀬諒君と打ち解けられた。そう考えるとこの肋骨骨折もムダではなかったと思える。

 いつも一歩引いたようなクールな雰囲気をまとっていた高瀬君。それが実は幼馴染みの彼への恋心を隠すための仮面だったと分かり……、今現在、めでたく両想いになった彼は、次のステップに進むための相談をオレにしてくれた。

 彼である泉優真君が、高瀬君よりも背が低いことを気にして先に進んでくれない、ということだったので、

「誕生日に、童貞卒業をプレゼント! これで決まり!」

 そうアドバイスすると、高瀬君は、

「え、えええええっ」

と、叫び……それから「うわ、どうしよう……できるかな……」とブツブツブツブツいいながら、彼のところに戻っていった。

 二人は少し触れ合うだけでも、赤面してしまうような初々しさぶりで……

(ああ、いいなあ……)

 ちょっと羨ましい。おれと慶にもあんな時代があったなあ。彼らとおれ達、ちょうど10歳違いかあ……。

 なんて、遠い目になりながら、二人のことを眺めていた、その時。

「え? わあっ」
 突然、膝が後ろからの衝撃でガクンっとなり、倒れそうになった。

「!?」
 振り返ると、おれの高校時代からの親友兼恋人の渋谷慶がケタケタ笑っている。

「何ボーッとしてんだよ?」

 この光景………

「……………。懐かしい」
「は?何が?」
「……………」

 どうせ慶は覚えていないだろう。この「膝かっくん」を慶に初めてされたのは、約11年前。高校一年生の時だ。まだ友達になったばかりの頃……

「あの頃の慶、可愛いかったなあ……」
「だから、何なんだよっ」

 ムッと口を尖らせた慶。子供みたい。

(うん。前言撤回!)

 おれの慶、今もすっごく可愛い!

「なんでもなーい。大好きーっ」
 愛しさ募って抱きつこうとしたら、

「アホかっ」
「痛っ」

 ゴンッとグーで額を押し返された。
 人前ではつれないのも、昔から全然変わりません……。


***


 泉君がこれからアルバイトだそうで、二人は帰ってしまい、慶も仕事のため帰らなくてはならない時間になったので、おれも帰ろうと思ったところ、

「先生、片付け手伝ってくれるよねー?」
「このあと、教室で打ち上げやりますよー?」

 ヤマダライトと相澤侑奈に言われ、そのまま残って片付けの手伝いをすることにした。

 慶とは昨日の夕方からずっと一緒にいることができて、ものすごく嬉しかったけれど……、幸せの反動、というのだろうか。一緒にいられた後は、どうしようもない寂しさが襲ってきて立ち直れなくなる時がある。こうして大勢でいると少しは気が紛れていいかもしれない。


「相澤さんは大丈夫なの?」
「何がですか?」

 打ち上げの席で二人きりになれた時に、相澤侑奈に聞いてみたところ、きょとんと返された。何がって……

「元彼と会うの、辛くない?」
「あ、それか。全然です」

 ぷっと吹き出した侑奈。無理しているようにはみえない。

「何て言うか……諒、幼くなったと思いませんか?」
「うん。思う」

 高瀬君、表情も柔らかくなった。
 侑奈は嬉しそうにうなずくと、

「あれが本当の諒なんですよ。私が好きになった諒はクールで大人の顔をした諒で……でも、そんな諒は本当は存在してなかったんだって、今なら分かります」
「…………」
「今、本当の諒が………小学生の時にいた、可愛い諒が、帰ってきてくれたから」 

 侑奈は優しく微笑んだ。

「だから、嬉しいです」
「…………そっか」

 そう思えるようになるには、たくさんの葛藤があっただろう。でも、今の彼女の瞳は吹っ切れたような美しい光を放っている。

 強いな。強い子だ。

 さらに、侑奈はニッと笑うと、

「なんで、これからは全力で二人の応援をしていくつもりです」
「え?」

 応援って………、え、まさかっ

「相澤さん、知って……っ」
「もちろん。だって二人がくっつくキッカケ作ったの私ですよ?」
「え!? そうなんだ!?」

 自分が好きな人の恋を応援するなんて偉すぎる。

「私達、『仲良し3人組』なんです。今までも、これからも」
「仲良し……3人組」
「そう。仲良し、3人組」

 3本立てた指を口元にあてて、にっこりとした侑奈はとても可愛くて、つられて笑ってしまった。

 きっとこの子なら、二人の良き理解者になってくれるだろう。

(だから、頑張れ。二人とも)


 しかし…………
 これで、めでたく高瀬君が泉君に抱いてもらえたとして……

(もっと具体的な話しをされたら困るな……)

 おれは以前、泉君よりも身長の高い高瀬君が、身長を理由に泉君に抱いてもらえないに違いない……と悩んでいたため、「おれ達は両方している」と思わず嘘をついてしまったのだ。

(今は怪我のせいでやれないけど……)

 昨日も結局、手で抜きあっただけで、最後まではやらせてくれなかった。騎乗位だったら大丈夫って言ったのに、慶は過保護過ぎるんだ。

(できるようになったら、お願いしてみようかな……)

 慶に、抱いて、と言ってみよう。そうすれば嘘じゃなくなる。そうだ。お願いしてみよう……


 そう思いながらも、なかなか慶に言うタイミングもなく、できていないまま一ヶ月近くたったある日。

 部活が終わった直後、高瀬君がコッソリとおれのところにきてくれた。

「先生ありがとう」

 恥ずかしそうに言った高瀬君。
 ああ、うまくいったんだ………とホッとする。

「誕生日の魔法、でした」
「そっかあ……」

 夢見るように言う高瀬君がちょっと羨ましい。
 おれももうすぐ誕生日だ。誕生日にお願いしてみようかな……
 


---


お読みくださりありがとうございました!
進展のない回でm(_ _)m

冒頭「膝かっくん」の話は「遭逢6(浩介視点)」でした。
高校一年生の5月。浩介が学校に馴染もうと頑張っていて……なんだかもう、いとおしい。
この時、慶159センチ、浩介174センチ。15センチも差があったんだ~(今は13センチ差。164と177です)

そして、お願いした話がこちら→「R18・受攻変更?!」

次回は泉視点……誕生日の魔法に行き着くまでに何があったのか、とかそこら辺の話になると思われます。
明後日更新予定です。どうぞよろしくお願いいたします。

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