八濱漂泊傳

ダラシナイデラシネ記

八浜 カシホンヤの暗い土間

2013-08-28 02:20:58 | イケン!

 

海を奪われて、

すっかり寂びれた八浜の町ではあるが・・・・

 

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子供の頃、

町に カシホンヤ という家があった。

 

暗い土間の片隅の棚に、

ホコリをかぶった古い少年マガジンが、

何十冊か置かれているだけの家。

 

そこで読んでもいいし、

借りて帰ってもいいルールだった。

貸し賃は一冊10円位だったと思う。

 

暗い土間には誰もいなくて、

マンガ本を借りたい時は、

 

家の奥に向かって、

「すみませ~ん、すみませ~ん」 と大声で、

家の人を呼ばなければならなかった。

 

誰も出てこないときは、

黙って本を持ち帰ってもよかった。

 

マンガ本を借りると、

返しに来なくちゃいけないので、

いつも、その暗い土間で読んだ。

 

『アシュラ』 (ジョージ秋山) が大好きだった。

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人肉食、人狩り、累々と描かれる屍、ウジ虫・・・・

どうしようもない境遇の描写が延々と続く

とても哀しくて、とても恐いマンガだった。

 

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カシホンヤ の暗い土間で、

目をこすりながら読みふけった 『アシュラ』 は、

今の自分に多大なる影響を与えていると思う。

 

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ついつい、悲観的に世の中を捉えてしまう

私の性格の要因の一つに、

「生まれてこないほうがよかった」 と叫ぶアシュラがいる。

 

                                   (2012年映画化)

 

今から思えば、

『アシュラ』 には、

『はだしのゲン』 なんかより、哲学的な深みがあった。

 

未だに、

ジョージ秋山 から投げかけられた

主題(問い)に答えられない自分がいる。

 

 

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平安時代に 児島の泊(とまり) と歌われ、

今ではすっかり寂びれてしまった八浜の町・・・・

 

荒れ果てた飢餓の平安時代を生き抜いたアシュラ・・・・

 

そして、混沌とする日本のミライ・・・・

 

 

底辺側に身を置いて、

朽ちてゆく美を見つけながら・・・・

 

世の末を見定めよう。

 

 

 


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