限りなき知の探訪

45年間、『知の探訪』を続けてきた。いま座っている『人類四千年の特等席』からの見晴らしをつづる。

惑鴻醸危:(第18回目)『よっしゃ大学、吉田に開学』

2009-12-24 00:18:05 | 日記
千年の王城の地、京都に新しい大学の設立が検討されているという。その名を『吉田舎大学』といい、東山の吉田神社のふもとにキャンパスを作るという、もっぱらの噂である。

吉田神社と言えば、徒然草の作者、吉田兼好ゆかりの神社で、近くには創立110年を誇る、名門・某K大学がある。某K大学は、地元では『ぼーけー大学』縮めて『ボケ大学』と呼ばれたり、愛着をこめて『ぼけはん』と、言われているとも。この新設の『吉田舎大学』も、口さがない京雀によると、『よしだしゃ大学』では発音しにくいので、すべからく『よっしゃ大学』に改名すべし、との事だ。



さて、『よっしゃ大学』に就任する予定の恵留美多寿(Dr. Ermitage)学長に、多忙の中、何とか時間を作ってもらってようやくインタビューすることができたので、その様子をお伝えしよう。

恵留美多寿学長は、見かけは40代半ばのようだが、実際はもう少し歳をとっていそうな、国籍不明の男性である。本人曰く、英語以外に日本語や、いくつかの言葉が分かるという。当日は、極めて標準的な日本語でインタビューしたのだが、なぜかしら古風な、なまりのある日本語で答えが返ってきた。

Q:子供の人口が減っている、いまどきにどうして新しい大学など設立しようとお考えになられたのでしょうか?

恵留美多寿:まあなんだね、今の日本の大学の教育はまるでなっとらん、という天の声がきこえたっちゅうこったな。隣のボケ大学、いや失礼、某K大学にしてもだなこの小さい日本のなかでは、やれノーベル賞では一番だとかいっても、世界という舞台では、それだけでは影がうすい、というもんじゃ。そもそも、大学のステータスをうんぬんする前に、大学の使命である、学生の教育に問題が多いことに、みな気づいとらんようじゃな。

Q:学生の教育に問題が多いというのはどういう意味でしょうか?もう少し具体的に話をしていただけませんか?

恵留美多寿:日本の学生は、どこでもそうじゃが国内では通用するが、広い世界を相手にしたこのグローバル時代に通用する教育を受けていないんだな。それだけでなく、そういった教育が足りないことにすら気づいていないのじゃ。

そこで、この『よっしゃ大学』では次の三つの理念を掲げて教育することにしたんじゃ。
 ひとつ、国際人として相応しい語学力を身につけること。
 ふたつ、国際人として相応しいグローバルリテラシーを身につけること。
 みっつ、現代の情報化に対応できるよう最新のコンピュータリテラシーを身につけること

どうじゃ、こういった理念を掲げている大学なんてありゃせんじゃろ?

Q:いや、まったく高い理念、どこにもありませんね。よっしゃ大学の心意気、よーく分かりました。つまり、国際人の養成が設立理念なのですね。ところで国内では、よっしゃ大学と張り合うような大学はないのでしょうか?

恵留美多寿:つまらん質問じゃの。よっしゃ大学は、国際的大競争の中を戦い抜いて行こうとしているので、国内の大学なんか、はじめから相手にはしとらんよ。世間では、やれ、わしの大学は、有名大学じゃ、伝統があるんじゃ、と威張りくさっている大学も、よっしゃ大学から見れば、時代おくれで、伝統の誇りじゃのうて、埃(ほこり)をかぶっているように見えるぞ。

例えばじゃ、東京にある某T(ボテー)大学は聞くところによると、日本一の大学と威張っているようじゃが、どれほどの学生が、国際的に通用するかのう。勘定すると、片手でもあまってしまうんじゃなかろうか。また、東京の私立の某WA(ボワー)大学や、某KE(ボケッー)大学などは、帰国子女が多いので、語学は他の大学にくらべると多少はましという噂じゃが、そいつらとて、今度は、自分の母国である日本や、お隣の中国・韓国のことのことなど、皆目分かっておらんようじゃ。全く、嘆かわしいこったな。帯に短し、たすきに長しじゃ。大阪にある某O(ボォー)大学は最近、外国語大学と一緒になって、充実したといううわさじゃが、今後の進展を見る必要があろう。

Q.最後に一言伺いたいのですが、隣の某K大学とはどのような関係を築いていかれるおつもりでしょうか?

恵留美多寿:『ぼけはん』とは、お隣同士ということで、これからは、よっしゃ大学の愛の鞭をくれてやろうと考えてはいるところじゃ。この間挨拶に行ったじゃが、あのM総長というのは、なかなかの張り切りボーイじゃのぅ。アメリカの研究所にも居たことがあるちゅうことで、英語もなかなか達者じゃった。それに、ちょいとばかり駄洒落っぽいがユーモアもあるやっちゃ。
そういえばこの間、ちょっとしたパーティで、愉快な理論をしゃべっておったな。なんでも『イノベーションなんて簡単じゃ。のんべえを大勢集めてかき回すだけでよい。その証拠に、のんべえ(non-vei)をかき混ぜると innoveとなるじゃろ、それに ション(tion) を付け足すだけで、ほ~ら、 innovation となるという仕掛けだ』と言っておった。
それを聞いて、わしゃ、一句浮かんだな、『のんべえが、連れションすれば、イノベーション』どうじゃ、この句はM総長の意図をうまく言い表しておるじゃろうが。

それはそうとして、真面目な話、わしが唱える国際人の育成にもM総長はおおいに共感してくれていた。今後はぜひ『ぼけはん』と一緒にこの吉田の地を国際人教育のメッカにしたいと考えておるところじゃ。

Q.本日は、お忙しいなか、有益な話をお聞かせいただきありがとうございました。よっしゃ大学の今後の発展を期待しております。
コメント (1)
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