(24.3.1 表題若干変更)
松田統様からコメントで質問を頂戴しましたので、今回は、順序を変えてこれから行きます。
(九)川淵深くして ぎょべつ(魚鼈)之に帰す。(出典「荀子」致士)
魚鼈は、「辞典」、「四字熟語」の見出し語になく、過去問にも出題されていないので、 「広義の三点セット」に含まれません。 「辞典」の【鼈】の下付欄に小熟語では載っていますが、小熟語まで書けるようにすることはとても大変です。
1、平成17年頃までの学習方法
昔は、問題集を解いて1級漢字が出てくると、「辞典」の1級漢字親字欄の小熟語は、全て、反古紙に1回は書き、そして、他の辞書で意味を調べていました。魚鼈は、「新字源」に載っていますので、「辞典」の魚鼈のところには、レを付し、G(「新字源」の略)と書き込みました。「新字源」の魚鼈のところにもレが付してあります。
因みに、「新字源」の【魚】から始まる熟語として、「辞典」の見出し語にないものでは、他に、魚膠(ぎょこう)・魚蔬(ぎょそ)にレがしてあります。
また、「捷径」の熟語も、書いて調べていました。見出し語にない熟語としては、Gとして、鼈裙(べっくん)・鼈飲(べついん)、大(「大字典」の略)として、鼈菜(べっさい)が載っています。鼈飲は、面白い意味ですので、お暇な方は調べて見て下さい。
今から考えれば、「辞典」の見出し語以外にこんなに熟語を憶えられる訳がありません。本問を見たときも、魚鼈という熟語を以前学習したことは全く思い出せませんでした。ただ、鼈を何度も書くことで、鼈は書けるようになったのかもわかりません。
2,過去問から
鼈については、故事諺問題で、
べつ(鼈)人を食わんとして却って人に食わる 7-1K=征111頁、18-2K
が出題されています。 問題文を見たとき、川に棲むものだから、ギョは魚だろう、ベツは上記の諺を想起して、鼈だと思いました。鼈(すっぽん)が川に棲んでいるのかどうかはよくわかりませんでしたが、後で「辞典」を見ると、淡水に棲むようです。
尚、「新字源」には、魚鼈は、1、魚と鼈 という意味の他に、2転じて、魚類をいう。とあります。この成語の意味は、1でも2でもよさそうです。
3,「辞典」の音訓索引から
同音の漢字は普通は沢山ありますから、一文字音から漢字を推測することはかなり困難ですが、ベツについては、8文字しかありません。しかも、 「辞典」に全く熟語のない音については、×を付してあります。
ベツについては、捌・滅・衊の3字に×があります。これを除くと、ベツの同音字は、常用1字(別)、準1級2字(蔑・瞥)、1級2字(襪・鼈)の5字です。本問は、魚は常用ですから、ベツは1級漢字だろうと当たりを付け、襪では全く文意が通らないので、鼈を選びました。 「辞典」の音訓索引を頻繁に参照することで、同音訓異字がいくつか浮かぶようになります。
4,「成語林」から
本問の故事諺は成語林に載っています。SIMO様が仰有るように、故事諺の新出は成語林に載っていることが多いものです。成語林はいつか読破したいなあ。今、「辞典」の常用親字欄を読んでて、これもいつ終わるかわからないけど、それが終わったら、朝の厠で成語林を読もうかなあ。ただ、私のは、B5版で少し大きすぎる。確か成語林は、小型版があった筈だから古本屋で探そうかなあ。
末筆ながら、拙ブログも、川淵を深くして、魚鼈の方々が集まってくれればいいなあと覦っています。