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鑿壁偸光 漢字検定一級抔

since 2006.6.11(漢検1級受験日) by 白魚一寸

[4]立心偏+亢 標準解答にある配当外の漢字(2・完)

2009年05月11日 | 漢検以外の学習

【過去問】

悲憤こうがい(慷慨or忼愾)の壮士・・10-3K=征151頁(出典 北村透谷「三日幻境」 冒頭直後の「回顧すれば七歳のむかし」から)

乱世をこうがい(慷慨or忼愾)し悲憤の涙を流す13-1K

気骨稜々たるこうがい(慷慨or忼愾)家の公良孺。16-3K(出典 中島敦「弟子」八)

こうがい(慷慨or忼愾)死に赴くは易く、従容義に就くは難し謝枋得「卻聘書」)19-2K

 約三年に一度出題されていますが、孰れの標準解答も慷慨と忼愾が併記されています。慷・愾は1級配当、慨は常用ですが、忼は、「必携」にも「辞典」にも載っておらず、配当外の漢字です。

 先回記事にしたとおり、1級の採点基準は、13-1から変更となっていますが、その後3回の解答で、忼もOKとなっています。忼愾は、今本屋で売っている第4版の「征服」にも解答として載っています。

 新採点基準は、やはり有名無実化しているのかもわかりませんが、4-1~20-3までの標準解答に載っている配当外の漢字は、嘽と忼だけですから、採点基準変更前の標準解答をそのまま踏襲しているだけのことでしょう。配当外の漢字を書くことは矢張り危険でしょう。

 ただ、準1級の場合は、1級漢字を書いても正解となるのですから、1級の場合は配当外の漢字を書いても正解にするよう、1級の採点基準だけ元に戻して欲しいなと思います。そうしても、読みでは1級漢字しか出題できないでしょうし、書き取りも1級漢字を書けばいいのですから、1級初学者に負担になることはありません。1級については、頻回合格者が相当数存在し、「三度のメシより漢字が好き」の著者のように1級漢字では飽き足らない人もいるのですから、解答外の漢字も許容すれば学習範囲が広がると思います。

 閑話休題、忼の音熟語は忼愾だけでいいでしょう。「大字典」には忼慨も載っています。「四字熟語」(第6刷)の悲歌慷慨・悲憤慷慨のところにも、慷慨は、忼慨とも書くとあります。また、訓はなげ(く)で、慷も、なげくと訓みますから、忼≒慷でしょう。

 「大字典」では、慷と忼は別字扱いですが、「新字源」では忼は慷の本字、「字統」では、忼は慷の異体字となっています。


【亢の音符字】

「音符字典」によれば、全てコウと読みますから、読みは難しくありません。読みが同じだと却って書き取りで迷うものですので、1級漢字だけ摘記しておきます。訓読み、「過去問情報」と苦手な1級四字熟語、類義語、他の書き方も書いておきます。

 (5) [たかぶ(る)] のど 亢奮(こうふん4-1Y=興奮  しんき(心悸)亢進17-3K(亢進=昂進=高進) 亢竜有悔

(2) 伉儷(こうれい17-1Y=夫婦・伴侶 栄諧伉儷

(1)吭 のど 咽吭(咽喉)右臂13-1K これは、 「四字熟語」に載っていないものですから、再度出題されることはないと思っています。仮に(いんこう)右臂で問われても、咽喉と書けばいいのですから、吭は、書けなくてもよい漢字です。

(1)頏 頡頏=拮抗(きっこうorけっこう12-2K 16-3K 20-2K 私は、拮抗の方だけ書けるようにしています。頡も頏も見出し語は頡頏しかありませんので、孰れも書けなくてもよい漢字です。

【配当外の漢字 学習字数】

前回まで41字
本記事1字
21.5.10の記事 3字
char様のブログ(21.5.25.10 )31字
=76字

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[3]口+單 標準解答にある配当外の漢字(1)

2009年05月03日 | 漢検以外の学習

(21.5.6 「征服」第4版のこと記載)

【過去問】

1,8-3の出題

 呉牛月を見てあえ 8-3K、征115頁=呉牛喘月

 標準解答に、喘(嘽)とあります。喘ぐは、1級配当ですが、嘽ぐは配当外です。喘ぐを憶えておけばいいので、嘽ぐを学習する必要は毫もありません。ただ、8-3では、嘽ぐも標準解答に載っているのですから、これも正解でした。

 このときの採点基準は、次のようになっていました(平成12年度版過去問題集より)

(字体)問題の解答は、筆画を正しく、明確に記すこと。くずした字体や、乱雑な書き方は採点の対象外とする。2級~7級の解答には常用漢字の旧字体、表外漢字、常用音訓表以外の読み方は正答と認めない。1級・準1級についてはこの規定は該当しない。

つまり、1級については、どんな漢字を書いてもよかったのです。


2.14-2の出題

 ところが、

鴉が鳴き牛があえぐ 14-2K

では、標準解答は、喘だけです。嘽は載っていません。そして、採点基準は、平成13年度第1回より、字種・字体については、現在と同じ基準に変更になりました。引用しますと、

字種・字体 1級・準1級の解答は、『漢字必携一級』(財団法人日本漢字能力検定協会発行)に示す「標準字体」「許容字体」および「旧字体一覧表」による。

 つまり、「必携」に載っていない字体は、認めないと読めます。従って、嘽を書くと不正解になったのでしょう。試験である以上、採点の公平性の観点から字体を絞るのはやむを得ないような気がしますが、つまらない変更をしたものです。

3.「征服」第1版~第3版

 ただ、よくわからないのは、上記にも記したように、新採点基準適用後に出版された「征服」(第1版~第3版)にも、解答に括弧書きで、嘽が載っていたことです。私が持っている「征服」の発行日は、第1版第1刷は平成16年3月31日、第2版第2刷は平成17年9月10日、第3版第1刷は、平成18年4月1日です。

 新採点基準は、この頃は、もしかしたら有名無実になっていたのかもわかりません。


4,「征服」第4版

 第4版は、第3版と問題は全く変わっていないと思いますので、購入していませんが、本屋で見たところ、解答欄から、嘽が消え、喘だけになっていました。新採点基準に合わせて、削除したのでしょうか。いずれにせよ、配当外の漢字を書くのは危険でしょう。


 閑話休題、嘽の音熟語に行きます。

【音熟語】
嘽嘽 
タンタン 牛馬のあえぐさま。
センセン よろこび楽しむさま。さかんなさま。のびのびとしたさま。

「新字源」によると、タンと読むときはあえぐの意、センと読むときはゆったりとしているさまの意です。


【單(単)の音符字】
 パソコンの都合上、單になったり、単になったりしていますが、1級配当漢字は、音符が単と書く許容字体が「必携」に載っていないのがありますので、全て、單と書いた方がいいでしょう。

J單() タン ゼン [ひと(つ)] ひとえ=襌

(2)憚 タン はばか(る)8-1Y 11-1K 16-1K 16-K 忌憚(きたん14-1K 18-2K

(3)鄲 タン 邯鄲(かんたん10-3K 14-1K
(1)殫 タン つ(きる)
(1)[タン] ひとえ=単

J1 タン [はこ] 瓢箪(ひょうたん8-1K 箪食瓢飲(たんしひょういん12-1K

J1(タン)(タ)(ダ)
J ダン たま ひ(く)はず(む)はじ(く)はじ(ける)
J セン たたか(う) いくさ おのの(く)8-1Y そよ(ぐ)

(3)嬋 セン 嬋姸(せんけん16-2Y 18-2Y 20-2Y= 嬋娟(せんけんorせんえん6-3Y 8-3Y 14-3Y

J1 セン [ゼン] せみ 蛙鳴蝉噪(あめいせんそう4-1K 12-3K 15-2K 春蛙秋蝉(しゅんあしゅうぜ(せ)ん7-2K 鳴蝉潔飢(めいせんけっき11-3K 蝉蛻(せんぜい18-3Y

(2)闡 セン ひら(く)14-2Y 闡明(せんめい4-1Y 9-2Y 17-2K
(3)(セン)(ゼン)うつぼ ごまめ8-3K
J ゼン(セン)

【配当外の漢字 学習字数】
前回まで31字+本記事1字+char様のブログ(21.4.305.1)9字=41字

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[2]蓊(オウ) 「四字熟語」にある配当外の漢字

2009年04月30日 | 漢検以外の学習

 以前、SIMO様や大岡様のご協力を得て、「四字熟語」に1級配当となっていても、配当外の漢字が含まれている四字熟語の一覧 を記事にしました。計69個でした。これも、漢検には絶対出題されませんが、この四字熟語に含まれる配当外の漢字を少しずつ学習していきます。

【四字熟語】
暗香蓊勃(あんこうおうぼつ)

【音熟語】
蓊勃(おうぼつ)
「新字源」「大字典」「大漢和」≒鬱勃(うつぼつ)10-3K 15-1K
 【意味】盛んなさま
 【出典】山水浩以蔽虧兮、路蓊勃以揚氛(柳宗元「閔生賦」)

 柳宗元は、唐宋八大家の一人。詩は、陶淵明の遺風を承けているとのことです。 「唐宋八家文」(上下 新訂中国古典選 朝日新聞社)も積ん読本の一つ。この中国古典選のシリーズは、単行本か文庫で全部持っていますが、通読したのは、「易」「荘子」「史記(抄録)」だけです。  

【訓】とう=群がりはえる草花の細い茎。「広雅」には、「蓊、薹也」とあり、蓊と8-2K 16-3Kとは、同訓同義です。

【意味】としては他に、草木の盛んにしげるさま とあります。


【公の音符字】

J オウ おきな
(4) (オウ) ひたきですから、翁(オウ)→蓊(オウ)は特に問題ありません。ただ、他の公の音符字が結構厄介で、「音符字典」でも大家族になっています。

J コウ おおやけ きみ
(1) [コウ] 蜈蚣(むかで4-1Y
(3)衮 コン13-3Y 衮竜(こんりょう14-3Y 17-1K
J ショウ まつ
J ショウ (ジュ) うった(える)
(9)頌 ショウ ジュ ほ(める) 頌辞(しょうじ16-2Y
(3)鬆 ショウ ソウ す8-3Y 19-3K
(1) (スウ) (ショウ)すずな14-3Y
(2)瓮 オウ [かめ] もたい 漏瓮(ろうおう)11-1K=漏甕・漏甌

【配当外の漢字 学習字数】
拙ブログ2字+char様のブログ(21.4.2629)29字=31字

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[1]言+出 「辞典」にある配当外の漢字

2009年04月25日 | 漢検以外の学習

(21.4.27 char様のブログのこと追加、あおむし様の第2ブログへリンク先変更) 

 「辞典」には、罕に配当外の漢字が出てきます。配当外の漢字は、絶対出題されませんので、1外と書いて無視していました。ただ、最近あおむし様が配当外の漢字を学習されており、また、char様は古人の糟魄を嘗めながら配当外の漢字も果敢に学習されていますので、私も少しずつ始めます。

【用例】寸を詘(ま)げて尺(シャク)を信(の)ぶ 「辞典」(834頁)
【出典】淮南子 氾論訓(異体字の誳が使われています)

【類義の故事諺】(「成語林」・「四字熟語」・「辞典」より)
大の虫を生かして小の虫を殺す
【小の虫を殺して大の虫を助ける】
小を捨てて大に就く
小利を捨てて大利に付くべし
小利は大利の残ない
小利を見れば即ち大利に成らず(出典「論語 子路」13-17
【大事の前の小事】
【尺(しゃく)を枉()げて尋を直くす】枉尺直尋(出典「孟子 滕文公下一」

(漢検新執行部に贈る故事諺です。)


【訓】
1 かが(む) かが(める) ≒屈(クツ)
2 しりぞ(ける) ≒黜(チュツ)

用例の「まげる」は、新字源では訓ではないですが、意味には載っています。曲げる・枉げると類義です。

【音熟語】
[詘指(クツシ)]意志を曲げる、主義を変える(「新字源」・「大漢和」)
[詘坐(チュツザ)]しりぞけ罰する(「大漢和」)

かがむの意味のときはクツ、しりぞけるの意味のときはチュツと読むようです。類義の屈(クツ)、黜(チュツ)の読みと一致しています。

[充詘(ジュウクツ)]喜びすぎて度を失うこと(出典「劇談録」 丁度今読んでいた「中国文明論集」(宮崎市定著 岩波文庫 40頁)に出てきました)

 配当外の漢字を学習して、配当漢字を疎かにしてはいけないので、詘と同じ音符字を「音符字典」を参考に確認しておきます。1級漢字だけ、「過去問情報」を付記します。

【出の音符字】

J シュツ スイ で(る) だ(す) いだ(す)
J セツ つたな(い) まず(い)
J クツ かが(む) くぐ(まる)
(1) (スイ) たた(る)8-2K 12-3K 16-1K
(4) チュツ しりぞ(ける)11-3Y 17-3Y 黜陟(ちゅっちょく)8-1Y 12-3Y 17-3Y
(6)咄 トツ はなし 咄嗟(とっさ)6-2Y 8-1K 16-1K 19-1K 
△柮 [トツ]
×朏 (ヒ)

 出の音符字の音読みは7通りもあって、難しいものです。ただ過去問出題は偏っています。また、×の漢字が出てきてしまいました。

 一応、毎週1回問題集は解いていますが、最近点数が下がって来ました。×の漢字や、配当外の漢字を学習している暇があったらもっと他にやることがありそうです。ただ、読み書きの復習は、今までブログで記事にしたことの繰り返しになってしまい、つまらないから、新生面に突入しています。

コメント (7)
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