鑿壁偸光 漢字検定一級抔

since 2006.6.11(漢検1級受験日) by 白魚一寸

1級・準1級・常用の出題漢字数

2009年03月29日 | 20-3(第48回)

 20-2 と同じく、数えてみました。

1級  125字(56%)
準1級 21字(9%)
常用   79字(35%)
計   225字

 1級漢字について、畳語や音訓読みの出題の重複分を差し引くと、116字です。20-2と略同じです。116字にすぎないのですが、1級漢字は沢山あるので、学習しても学習しても、出題される漢字は極僅かです。

 1級配当漢字は、約3000字とか言われますので、これだと、出題率は、116/3000≒3.9%。問題を26問解いて、1問出題されるということになります。

 「辞典」の1級配当漢字は、旧字体や異体字の一部が親字になっていないので、親字数は、昔数えたら2631字でした。これだと、出題率は、116/2631≒4.4% 問題を23問解いて、1問出題されるということになります。

 また、きちんとは数えていないのですが、mixiでの情報等から推測すると、過去問に出題された1級漢字は、大雑把ですが、約1900字程度ではないかと思われますし、この約1900字の、音訓、熟語の読み書きが出来れば、20-1~20-3であれば合格点に達しそうです。これだと、出題率は、116/1900≒6.1% それでも、問題を17問解いて、1問しか出題されません。

 いずれにせよ、問題集にある問題がそのまま出題されるとは限りません。読みで出るか、書き取りで出るか、どのような熟語が問われるかも、問題集と同じ場合もあれば違う場合もあります。問題集を解くだけでは足りず、問題集に出てきた1級漢字について、音訓や熟語を、辞書で学習することが必要と思います。

 尚、準1級・常用だけの問題は、毎回1割程度で、過去問だけやっておけば合格点に達すると以前書きました。ただ、全体の44%も出題されているということは、1級+常用(または準1級)の熟語がかなり出題されているということです。


前栽は、せんさい・ぜんさい・ぜんざい でも正解?

2009年03月08日 | 20-3(第48回)

 文章題の読み問題前栽は、標準解答では、「せんざい」です。「辞典」の親字 前にある見出し語【前栽】の読みも「せんざい」だけです。

 ところが、親字 栽の下付欄には、

前栽 センザイ センサイ

とあります。「せんさい」でもいいのかなと思って、他の辞書を色々調べてみました。

 「日国」(旧版)も見出し語の読みは「せんざい」なのですが、用例に

もとありしせんさいもいとしげく荒れたりけるを見て(「古今和歌集」853 詞書)
御前にすなご撒かせ、前さいうゑさせ(「宇津保物語 俊蔭」)
田舎家だつ柴垣して、せむさいなど、心とめて植ゑたり(「源氏」箒木)

がありました。何れも栽は、さいと表記されています。

 もっとも、古典の場合、濁音が表記されていないのに、濁音で読むこともありますから、「センザイ」と読むのかもわかりません。ただ、用例の中に、「しげく」「すなご」「だつ」と濁音が表記されていますから、下線部は孰れも「せんさい」と読むような気がします。古典は、様々な異本があるものですが、「日国」は用例をどの本から収録したか全く書いてありませんので、底本がわかりません。

 尚、 「新編日本古典文学全集」(小学館)で、上記の用例の部分を探してみましたが、孰れも、前栽(せんざい)とありました。ただ、「日国」の用例と底本が同じかどうかわかりませんので、何とも言えません。従って、「せんさい」と読む用例が本当にあるのかどうかよくわかりませんでした。ただ、「辞典」の下付欄とは言え、「せんさい」の読みが書いてあるのですから、これは許容解答扱いをされたのではないかなあと思います。

 また、

「新字源」(昭和43年初版)せんざい・ぜんざい・ぜんさい 国(注) 庭に植えた草木。また、その庭園。
「漢語林」(昭和62年初版)せんざい・ぜんざい・ぜんさい 国(注) ①庭に植えてある草木。また、草木を植えてある庭園。②野菜

(注)日本語としてのみ用いるもの。和製漢語。漢文の用例はないということ。

とあります。ただ、用例が全く載っていません。「ぜんざい」でも「ぜんさい」でもいいということになると、前は「せん」でも「ぜん」でもよく、栽は、「ざい」でも「さい」でもよいことになってしまいます。これでは問題になりません。

 恐らく、「ぜんざい」や「ぜんさい」は間違い扱いなのでしょう。ただ、問題作成時に、よく使われている「新字源」や「漢語林」を参照しないのだろうかという疑問は残ります。


広義の三点セットでも解けない問題[高]

2009年03月02日 | 20-3(第48回)

(21.4.9 訂正)

A 音読み 7点(尚、訓読みは全て三点セットからの出題です)

「辞典」に小熟語で載っているものは、茶色字にします。

1, 音符を普通に読めば解けるもの 2点

(一) 開敞(かいしょう) 敞の音符尚は、ショウとしか読みません。また、「辞典」の小熟語に、高敞があり、読みはこれから推知可能です。尚、敞は△の漢字です。

(十)濺濺(せんせん) 準1級の賤の音見出し語は、孰れもセンと読みますから、ここから普通に読めばいい訳です。尚、「辞典」の賤には、ゼンという音読みも載っており(音熟語は全く載っていませんが)、これも憶えると却って混乱します。

2, 訓読みが出題された漢字の音読み 2点

(一)羈軛(きやく)  軛(くびき)13-2Y 18-3Y

(七)勠力(りくりょく) 勠(あわ)せる 9-2Y 以前、の音符字を纏めたことがあります。厄介ですが、が左側に来るのは、勠と戮の二つだけで、孰れもリクと読みます

3, 他の知識を援用する 1点

(一)黌堂(こうどう) 

  黌は△の字です。部首も音符も黄の旧字体です(「新字源」)。「音符字典」では[黌―黄]の音符に分類されていますが、黄に分類した方がいいと思います。黄の音読みはコウとオウですから、音符からは読みが確定できません。昔、日本史だったか、昌平黌(ショウヘイコウ)を学習した記憶がありましたので、そこから読めました。

4, 過去問出題漢字と類義の漢字 1点

(七) 擣碪(とうちん)

 擣は、見出し語擣衣(とうい)12-1Y 16-3Yから推知可能です。碪=砧であることは既に書きました。砧(きぬた)は準1級配当ですが、1級でも8-1Yで出題されています。「辞典」の砧(きぬた)の意味欄に類 碪(チン)と明記されていますので、ここを確認しておけばいいのでしょう。19-2の慊→歉と同じです。

5,×の漢字 1点

 (ひんしつ) 既に記事にしました。 

B 音熟語書き取り 4点(訓の書き取りは全て三点セットからの出題です)

(九)せっき(積毀)
(十)しと(仕途)

孰れも既に記事にしました。

C 準一級・常用で解ける問題

 Bの仕途だけです。三点セットで解ける分と合わせると12点(1級で書けるものを含むと17点)です。


紛れ当たりしたけど、難問だと思う[高]

2009年02月28日 | 20-3(第48回)

(一) 羈軛(きやく)を脱して別世界の人となる

1,羈は見出し語から推知可

羈の読みは、見出し語 羈束(きそく11-3Y 羈絆(きはん6-3Y 羈縻(きび19-1Y 四字熟語 不羈奔放7-1K 狷介不羈14-2K 奔放不羈16-1K等から推知可能です。
 

2,軛は、訓読みは既出だが、音読み熟語は「辞典」には載っていない

 軛は、訓読みについては見出し語くびきがあり、13-2Y 18-3Yに出題されています。しかし、音読み見出し語はなく、また過去問でも出題されていませんので、三点セットからは解けない問題です。

 私は、音符の厄(ヤク)と同じ読みと考えて正解できました。しかし、「辞典」には、音は、ヤクとアクの2つありますから実は難問です。軛の音読み熟語は、「辞典」にも「捷径」にも全く載っておりません。

3,漢和にもあまり載っていないが、国語辞典には載っている

 また、漢和辞典には、ヤクは呉音(慣用音とする辞書もあり)、アクは漢音とありますが、この二つの音の使い分けについて説明してある辞書は見つけられませんでした。羈軛は、「大漢和」にも載っていない熟語で、漢和辞典で収録されているのは、私が探した範囲では「字通」だけでした。

 ただ、「日国」には、載っており、明六雑誌の他、福沢諭吉の「文明論之概略」の用例として

不正不公の羈軛を脱して別に一世界を開き

が載っていました。問題文との類似性から、出題者が、諭吉の本を種本にしたことは略間違いないでしょう。諭吉の文章は今まで一度も出題されたことがありませんが、木村芥舟の「福沢先生を憶う」が6-3で出題されたことがありますから、そろそろ出題されるかもわかりません。尤も、諭吉を出すとなると、大隈重信も一緒に出さないといけないのかもしれません。

 閑話休題、軛については、アクと読む熟語は見付かりませんでしたので、ヤクだけ憶えておけばよいと思います。

4, 厄の音符字

 「音符字典」によれば

厄 ヤク
扼 ヤク (アク)
軛 ヤク (アク)
阨 アイ ヤク

の四つです。この内、扼の音読みも軛と同じです。ただ、扼について、「辞典」にはアクと読む熟語は載っていませんので、括弧で括ってありました

 阨については、阨狭(アイキョウ)9-3Y と困阨(コンヤク)18-2Yの読み分けに注意すべきことは以前述べたとおりですが、その他の厄の音符字はヤクと読んでおけばいい と考えます。


広義の三点セットで189点取れる

2009年02月23日 | 20-3(第48回)

1, 狭義の三点セット 176点

2, 熟字訓の書き取り 4点

2-1 過去問の再出題
(二)にべ((鮸)膠or鰾膠)12-1K=征75頁 17-3K

 熟字訓の書き取りは、以前はあまり出題されなかったので、過去問で出題されたものも含め、全て狭義からは除外しました。ただ、平成20年度は3回とも出題されました。過去問の内、「征服」に載っているものは寧ろサービス問題かもわかりませんね。今後も出題されるようであれば、「征服」に載っている熟字訓の書き取りだけ狭義の三点セットに戻そうかなと思います。

2-2 「辞典」の見出し語にある熟字訓の書き取り新出

(九)あばた(痘痕)も靨 が4-7K

この諺は、
あばたもえくぼ(靨or笑窪)6-1K
痘痕もえくぼ(靨or笑窪)15-3K 18-2K

と3回出題され、孰れもえくぼの方が出題されていました。問題文にも気を配った方がいいということでしょう。

3 見出し語にある畳語の書き取り新出 4点

3-1 読みで出た畳語が書き取りに転化したもの

(十) 8 しし((孶)18-1Yor孜孜16-2Y 問題文は別記事参照

 19-1の戛戛に続き、2度目です。なお。の見出し語はしかなく、=孜孜ですから、は、合格のためには書けなくてもよい漢字でしょう。尚、は1級、孜は準1級です。

3-2 新出

(十)1 風は葉もなき万樹をふるいて、飄々、さっさつ(颯颯)、霜を含める空明に揺動し、地上の影木と共に揺動す。(蘆花「自然と人生」)

4,準1級・常用の見出し語新出 3点

(十)
エ 前栽(せんざい)
4 僅かに じんこう(塵垢)を洗い去りしといえども、既に浄地に在りて心身自ら静和。(遅塚麗水 「幣袋」(普門院の一夜) 問題文は抄録です。全文や前後については、char様がmixi日記(IDある方は→こちら)で解説中)

5 四字熟語を構成する、見出し語にない二字熟語 2点

(十)7 けっか(結跏)して禅を修すれば・・←結跏趺坐11-3K 16-2K

6 小計 13点 

 内(十)の文章題が、9点あり、広義の三点セットで文章題は27点/30点(9割)取れることになります。

7 熟字訓を除く準1級・常用からの出題

 上記4の3点です。1級でも書けるものを含めると5点です。狭義の三点セットの7点(1級でも書けるものを含むと13点)と合わせると、10点(1級で書けるものを含むと15点)です。

8 合計 狭義の三点セットと併せ、計189点(cf 20-2 199点)。

 私が調べた17-3以降では、19-2に次いで低い数字です。今回は、三点セット以外からも結構出題されたということです。


狭義の三点セットで176点取れる

2009年02月21日 | 20-3(第48回)

(21.10.18  20-2の点数変更)

 20-2 と同様、先ず、 「狭義の三点セット」からの出題数を調べました。

 尚、機種依存文字は括弧に括り、e漢字を貼りました。最近携帯から拙ブログを見ることもありますが、機種依存文字は、携帯では読めないようです。以前の記事も直した方がいいでしょうが、そこまではなかなか・・。お気づきの点がございましたら御教示下さい。

1,「辞典」

1-1 1級国字 15点

 (三) の小問10点全部の他、
(一)(蟎)だにの読み問題、
(二)にえ(、(九)ごじょう(御諚6-3K 10-1K 18-2Kの書き取り

でも出題されました。5-2~14-2までは国字の配点は20点でしたが、14-3以降は(三)国字の書き取りの配点は10点に下がりました。その他の小問でも時々出題はされていましたが、14-3以降で、1級国字だけで15点も取れるのは珍しいと思います。

1-2 索引にある熟字訓の読み 10点((六)全部)

1-3 その他の1級漢字を含む見出し語 116点

 見出し語の出題例は、daisaku様のブログ2009-2-2 から2009-2-19 までの記事参照

1-4 小計 141点 (70.5%) cf.20-2 153点

(三)国字の他、 (四)語選択書き取りは、全て、狭義の1級見出し語からの出題です。


2,「辞典」の見出し語にはないが、他の1級漢字の見出し語から推知可能な読み 8点(累計149点) cf.20-2 159点

出題熟語について、茶色字は、小熟語で「辞典」に載っている熟語です。
←の右側が、1級漢字を含む見出し語です。

 尚、過去問や問題集に出題されている熟語について、「過去問情報」や「辞典」に書き込んである範囲で注記します。他にも載っているとは思います。問題集の略語は、別記事参照。

(一)
6 寰中(かんちゅう人寰(じんかん)、塵寰(じんかん
12 偃臥えんが偃月(えんげつ)、偃蹇えんけん13-1Y 17-2Y、偃鼠(えんそ6-2K・問50頁K、偃息(えんそく)、偃武(えんぶ)、偃武修文(えんぶしゅうぶん8-1K 15-3K 17-3K
16 (牖)ゆうこゆうちゅう7-3Y 13-3Yに日を窺う
17蟹螯かいごう車螯(しゃごう
18機杼(きちょ投杼(とうちょ

(七)
5爨室(さんしつ19-1Y炊爨(すいさん13-1Y・17-1Y
7推覈すいかく考覈(こうかく19-1Y

(十)キ軒冕けんべん冕冠(べんかん)、冕服(べんぷく)、冕旒(べんりゅう)、袞冕(こんべん


3,「四字熟語」

3-1 1級見出し語 14点

(五) の四字熟語、今回は全て1級配当でした。その内、「辞典」の見出し語にあるのは、6つ。残りの4つ(8点分)は、「四字熟語」の見出し語から。意味も3問(6点分)あります。 今回の四字熟語の出題については、daisaku様の2009-2-102009-2-11 の各記事参照。

3-2 1級見出し語から推知可能な読み 1点

(一)8 罪咎ざいきゅう16-3Y←既往不咎(きおうふきゅう

3-3 小計 15点(累計164点) cf20-2 169点


4,上記1~3以外の過去問からの出題  12点(累計 176点) cf20-2 184点

4-1 見出し語にはなく、1級漢字を含む過去問 4点

(一)
2豢養かんよう15-1Y
27 莅(のぞ)む12-3Y 18-1Y
(九)いっき(一饋に十たび起つ 13-1K 19-1K 

4-2 見出し語にはなく、1級漢字を含む過去問から推知可能な読み問題 1点
(十)オ 岫雲(しゅううん←雲は心無くして以て岫(しゅうを出ず 14-1Y

4-3 準1級・常用だけで構成される見出し語にもある過去問 6点
(八)絶筆≒かくりん(獲麟18-3K

(十)
天風吹いて、海鳴り、山騒ぎ、けんこん(乾坤10-2K 16-2K 19-2K皆悲壮の鳴をなす。(出典 蘆花「自然と人生」寒月 青空文庫は作業中です。岩波文庫にあります。)

とろ()かし 9-1Kは、とろ()けると自動詞ですが、今回は、他動詞で出題されました。「辞典」の訓見出し語は、自動詞・他動詞両方載っているものや、一方しか載っていないものがあるのですが、自動詞か他動詞の訓見出し語が書き取りで出題されていれば、他方も書けるのではないかと考えます。

4-4 見出し語になく、準1級・常用漢字を含む過去問から推知可能な読み問題 1点

「辞典」の見出し語にある熟語だけ【】で括ります。

(十)狗鼠(くそorこうそ) 【乳狗】(にゅうく5-2K、【走狗】(そうく8-2K 10-2K、狗尾続貂】(くびぞくちょうorこうびぞくちょう9-3K 【窮鼠】(きゅうそ6-1K、【黠鼠】(かっそ9-1Y

5,狭義の三点セットの中で、熟字訓を除く準1級・常用で解ける問題

 上記4-3の6点と4-4の1点の計7点となります。それと、

(二)の
すいばん(推輓は、推挽(常用+準一級)
わだかま()る、盤(常用)、磐(準一級)
にえ(
は、沸(常用)

がそれぞれ許容解答ですから、合わせて13点となります。なお、盤るや磐るは、「辞典」の訓にはありませんので、学習しなくてもいいでしょう。


6 纏め

 狭義の三点セットで176点になります。私が調べた17-3以降では、19-3に次いで低い数字です。狭義の三点セットについて、私の絞り込みの方法が悪いのかもわかりませんが、狭義の三点セット以外の問題が24点分あるということは学習しづらい問題も結構出題されたということだと思います。ネットでの合格リピーターの意見は、其程難しくなかったという意見が強いのですが、合格はできても、高得点は取りにくいように作ってあるような気がします。 なお、合格のためには176点分も学習する必要はないわけですから、更に三点セットの絞り込みを継続します。


7 小問毎の内訳

1(「辞典」の1級見出し語等)+
2(「辞典」の見出し語から推知可)+
3(「四字熟語」の見出し語及び推知可)+
4(過去問及び推知可)

の内訳は次のとおりです。括弧は、狭義の「三点セット」からは解けない分です。

(一)18+5+1+2=26点/30点(4点)
(二)28+0+0+0=28点/30点(2点)
(三)10+0+0+0=10点/10点
(四)10+0+0+0=10点/10点
(五)16+0+14+0=30点/30点
(六)10+0+0+0=10点/10点
(七)6+2+0+0=8点/10点(2点)
(八)18+0+0+2=20点/20点
(九)14+0+0+2=16点/20点(4点)
(十)11+1+0+6=18点/30点(12点)

狭義の三点セットで、文章題以外は、いずれの小問も8割以上取れますが、文章題は、6割しか取れません。ただ、(一)~(九)の小問ができれば合格点は取れますし、文章題の対策は取りにくいものです。従って、 (一)~(九)の小問に力をいれて、そこで培った語彙力で、文章題に当たればよく、合格のためには文章題特有の対策は不要と考えます。


読みで間違ったところ 原因と対策

2009年02月07日 | 20-3(第48回)

(21.2.14 しのぶん様の↓のコメント等に基づき前栽に追加)

【最大原因】
 20-2で、読みは全部出来たので、慢心をしたことがいけませんでした。char様のmixi日記(IDある方は→こちら)に引用があるように、「欹器は満つるを以て覆る」(菜根譚)ですね。

 読みの学習もそれなりにはしてきたつもりですが、音読みは、形声文字の音符で、間違い易いものがありますが、 「漢字音符字典」で確認することを蔑ろにしました。訓読みも、今はあまり使わない言葉について、「辞典」を引いて意味などをきちんと確認していませんでした。

(一) 1開敞 ○かいしょう ×かいへい

【原因】 どうも、読みの第1問は鬼門です。これは、しのぶん様と同じく、敝と見間違えました。今回、しのぶん様と同じところを沢山間違えています。間違うのは自分一人ではないと思えるのはネット社会の効用でしょう。

 敞の部首はノ文、音符は尚ということはわかりますので、普通に読めばショウなのです。どうして間違えるのと思われるでしょうが、1級を学習していると沢山の漢字が出てきますので、漢字の細部を確認せずに、知っている漢字に決めつけてしまうのでしょう。敝は、「辞典」の見出し語も4つありますし、ヘイと読む敝の音符字も、弊、幣、蔽、斃とあります。これに対して、敞は、「辞典」に見出し語もなく△の漢字で、合格のためには学習しなくてもよい漢字です。敞の音符字も廠だけです。見慣れない漢字なので、見間違いをしてしまうのです。

【対策】 漢字の細部をきちんと見る。読みは、熟字訓以外は満点を取りたいので、△の漢字も目を通すようにする。


(六)10 九面芋 ○やつがしら ×つくねいも

【原因】これはchar様(mixi IDある方は→こちら)と同じ間違いをしています。char様にお聞きした訳ではありませんが、どうして同じ間違いをするのだろうと考えまするに、仏掌薯(つくねいも)5-1Yが、「合格ノート」第3回に出題されているため、これと混乱したのではないかと思います。それと、九十九折(つづらおり)8-3Y=征50頁もありますので、九は「つ」から始まると思ってしまったような気がします。

 SIMO様のブログ(熟字訓100問)にばっちりありました。一度は解いたのですが、沢山間違い、復習していませんでした。

 また、daisaku様の熟字訓・当て字ブログ(画像付)(植物だけでも現在386個)にもあります。この画像を見ると、「辞典」にある説明(親芋を中心に小芋が沢山出来て大きな塊となる)がよくわかります。沢山の小芋を、中国では九面と捉え、日本では八頭と捉えたのでしょうか。

 尚、daisaku様のブログは、本家のブログと共に、rssリーダーに登録して更新される度に拝見しているのですが、見ているだけでは憶えられませんね。

【対策】 「学然後知不足 教然後知困」の問題を復習する。ブックマークしました。daisaku様のブログも今後も拝見します。定着させるには、「辞典」で確認するとか、単語札を作るとかが必要でしょうがなかなかできません。


(七)
6 爨ぐ ○かし ×ひさ

【原因】過去問集を売るためと思いますが、19-1Yにも、音訓読みで全く同じ問題が出ています。その時は難なく解けました。今回間違ったのは、直前にひさぐの書き取りを学習していたのでこれと混乱したのでしょう。

【対策】「かしぐ」も「ひさぐ」も今はあまり使う言葉ではありません。「春をひさぐ」とか「米をかしぐ」とか言ってもよくわからない方もおられるでしょう。でも、「春を売る」「米を炊く」より、日本語としてずっと美しい言葉です。そして、こういう言葉は、仮名では意味がよく分からず、販ぐ、鬻ぐ、粥ぐ、爨ぐ、炊ぐと漢字で書いてこそ、意味も分かって生き残るのだと思っています。こういう言葉を愛することが大事なような気がします。


擣碪 ○とうちん ×とうてん

【原因】 碪=砧はわかりました。現在のことは存じませんが、砧の音読みは、準1級を学習していた8年前にはよく出題されていました。、センではない、変わった読み方をした、タ行だというところまでは思い出したのですが、チンまでは思い出せませんでした。

【対策】 碪は、辞典の見出し語は、訓の「きぬた」だけで、音読み熟語は全く載っていません。従って、合格のためには捨て問でいいでしょう。碪=砧(チン)と憶えておけばいいのでしょう。「捷径」には、碪斧(ちんぷ)、碪声が載っていますが、こういうのを学習したり、準1級の問題を解いたりするのはちょっとしんどいです。


(十)
イ 哮る ○たけ ×うな

【原因】 合1-1にあります。解いたときは間違って問題集に×をつけていたのですが、その後出来たので、×も消し護謨で銷してしまいました。 「うなる」は、唸るですね。

【対策】間違った問題は、その後出来てもまた間違うので、△をつけてもう一度解く。また、同音異義語はセットで憶えた方が定着し易いので、同訓異義語もセットで憶える。「たける」の同訓異義としては、「長ける」がありますので、これとセットで憶えようと思います。ただ、何故かはよくわかりませんが、哮ると長けるは送り仮名が違います。


エ 前栽 ○せんざい ×ぜんさい

【原因】 あおむし様と同じ。庭の前栽は、お料理の前菜と同じ読みと思いました。後で「辞典」を見たら、【前】の音読みセンのところに、「前栽のみ」と書き込んでありました。また、しのぶん様のコメントや、char様のmixi日記(IDある方は→こちら)によると、古典で使われる言葉であり、枕草子にも用例があります。

【対策】「辞典」の見出し語にはありますが、常用の新出だから、合格のためには出来なくてもいいのでしょう。ただ、珍しい読み方だから憶えておいた方がいいのでしょうね。 「辞典」をよく引くということでしょうか。また、高校古典の教材なども漢字学習の観点から、見直してみるといいかもしれません。


コ 狗鼠 ○こうそorくそ ×くそう

【原因】(こうそうと間違ったと思っていたが、実はくそうと間違っていたので書き直し。どう間違ったかも間違えるなんて・・) これは、「辞典」にもなく知らない熟語です。鼠は最初はソだと思っており、狗が、コウかクか迷いました。クと読む方が多いだろうと思って、クを選んだのですが、解答は、くそうと書いてしまいました。「クソ」だと糞みたいで語感が悪いと思ったのでしょう。

 時間を計って解いており、時間が余ったので見直したのですが、気付きませんでした。一度答えを書いてしまうと間違いに気付きにくいものです。

【対策】解答を書くときは、一字一字正しく解答しているか注意する。


書き取りで間違ったところ 原因と対策

2009年02月04日 | 20-3(第48回)

(四)4支障となるもの ○隘路 ×蹉跌

【原因】 直感的には隘路なのですが、待てよ、隘は、「せまい」という訓だから、隘い路(みち)なら、通行できる、一方、蹉跌の蹉も跌もつまずくだから、こちらの方が支障となるのではと誤解しました。隘には、ふさぐ、ふさがる、さまたげるという意味もあるのですね。

 だから、隘路も、①狭くて通行が困難な道という意味の他に、②物事を実行する上での妨げという意味もあります。一方、蹉跌は、障害や失敗があって行き詰まることです。 隘路は、原因、蹉跌は結果です。

【対策】 「辞典」の親字欄 訓以外の意味欄もきっちり読んで理解する。熟語の見出し語の意味も二つ以上あるときは、よく読んで、構成する漢字の意味との関係を押さえる。

(五)
じょうそく(躡足)附耳 ×定足 
風光めいび(明媚) ×明眉 
瑣砕さいじ(細膩) ×弋の横棒の上にも一を書いてしまいました。

【原因】 孰れも、過去問にも問題集にもなかったと思います。目は通してあるだが、書いたのは、「辞典」に転記した1回だけです。これでは憶えられません。

【対策】 今回は、10問全て「四字熟語」の1級見出し語だから、これをなるべく多く学習する必要がある。先ずは、問題集の復習未了のものをもう一度復習して、問題集に出てこない1級見出し語も学習する必要有り。


(九)7 せっき骨を銷す。 ○積毀 ×赤器

【原因】 全く知らない熟語です。骨を銷すのは、道具だろう、だから「き」は器と考えました。この時点で不正解。石器は簡単すぎる、斥器はどうか、赤器、お、灼熱の道具なら骨も銷けるだろうなんて思いました。

 尚、「大漢和」の赤の項、せききと読む熟語は、赤卉、赤気、赤鬼、赤旗、赤冀、赤亀、赤驥とありますが、赤器はありませんでした。

【対策】 「辞典」の見出し語にない熟語の書き取りなので、当面捨て問。ただ、「成語林」に載っています。満点狙いのためには、 「三度のメシより漢字が好き」の著者が実践されたように、「成語林」から自作問題を作る必要があるのかなあ。


(十)3 寒蛩りかに鳴きて ○籬下 ×李下

【原因】 りかと来ると、李下の冠・・がまず浮かぶのが受験生の性。でも蛩(こおろぎ、但し「辞典」に訓はない)は、叢で鳴き、李の下では鳴かないよなあと思い、叢に相当するリと読む漢字を考えましたが全く浮かびませんでした。李の下に草が生えていればそこで鳴くだろう、まあ仕方がないと考えて間違いました。

【対策】 籬下は、 「辞典」の見出し語にあるので、これは書けるようにしたいと思う。「リ」一文字から、籬(まがき)を想起するのは大変だから、リカの同音異義語を纏めて憶えるということかなあ。しかし、「辞典」の音見出し語一つ一つについてこんなことをしていたら、終わるのは何時のことだろう?


9 しと ○仕途 ×市都

【原因】 ↓の記事参照
【対策】 なし。なお、仕途は、私が第二辞書に使っている「新字源」(旧版)にも載っていますから、この辞書の熟語(6万余)を全部憶えるという方法が考えられますが、そんなことできる訳がありません。


【結論】 先ずは、 「四字熟語」の1級見出し語です。


文章題の難問*

2009年02月02日 | 20-3(第48回)

(21.2.8 表題の*は記事を修正した印です。間違った書き取り・読みは別記事にしたため、削除、「標準解答」も見せて貰ったため、序でに色々追加)

難問は、9番の「しと」です。

 問題文全文の文脈から考える必要がありそうですので、全文挙げます。問題に出たところは太字にし、解答は括弧内です。「過去問情報」も付記します。文章題とはいえ、過去問から結構出題されますので、過去問学習が先決でしょう。

 
 
古より士君子の身を立て道を行わんと欲する者、其の初め皆しし(孜孜16-2Yor孶孶18-1Y亢々、辛を嘗め苦を啖らい胃腎を擢(とうてき*)し、以て学を勧めざる莫し。進みて9しとに入るに及びては、軒冕(けんべんの栄頓に其の志気を とろ()かし9-1K、是に於いて乎、苟(いやしく)も7-2Y 13-1Y 15-1Y合い容れらるることを求めて、復自由の権有ること無く、前日の自ら志せし所は挙げて之を風烟に委し、紛紜(ふんうん14-1Y顛倒至らざる所無く、名壊れ行汚れて狗鼠(こうそorくそも其の余をくらわざるに至る。凡そ此くの如き者は自ら号して学びたりと称するも、有識よりして之を見れば皆不学に坐する者なり。

*擢胃腎は、「大漢和」に拠ると、韓愈「孟郊墓誌」にあります。は1級外ですから、問題文に振り仮名が付いています。

(出典 中江兆民「再論干渉教育」 岩波文庫「中江兆民評論集」所収 残念ながら私は持っていません。)

「日国」で同音異義語を調べました。

私は「市都」と書きましたが。「古より」からすると近代的な語感のある「市都」は誤りでしょう。仕途(官職につくみち、仕官のみち)または紫都(天子の居所のある所、みやこ、首都、帝都)かもしれません。ただ、「仕途に入る」というのがそぐわないような気がします。「仕途につく」ではないでしょうか。軒冕(軒は大夫以上の人の乗用車。冕は貴人の冠)はかなり高位のようですから、これに対応する言葉としては、紫都が相応しいような気がします。

と書きましたが、char様が原典に当たって戴き、仕途が正解です。「標準解答」では仕塗も正解です。仕途(仕塗)は、私の語彙にはありませんでした。仕える途だと分かれば解けるのでしょうが、全く思いつきませんでした。「大漢和」に拠ると、唐書にも用例があるようです。「仕途に入る」という表現は違和感がありますが、これも私の語彙力が貧弱なせいでしょう。「学問の途に入る」という表現はあるでしょうから、仕途に入るとも言うのでしょう。

「仕途」は「辞典」には載っておらず、「辞典」だけではとても太刀打ちできない問題です。

答えを知ってから、解答への道筋を考えることは、種明かしを知って手品の説明をするようなものですが一応書いておきます。「しと」から浮かぶ漢字は、使途、使徒、尿でしょう。尿はいくらなんでも違いますが、使途も使徒も文意に合いません。次は、想起した熟語の一文字を変えてみることでしょう。使○、○途、○徒で、どれが相応しいか。この内、「途に入る」という言い方をすることに気付けば、○途に気付くような気がします。軒冕は、官吏になって高官になることですから、「仕える」が出てくれば、仕途に辿り着けそうです。

 それでも私にとって、難しいと思うのは、「仕途に入るに及びては」と「軒冕の栄」との間の時間の経過です。官吏になって直ぐ高官にはならないでしょうから、この間にはかなりの時間の経過があるように思います。読点一つにかなりの時間の経過を読み取ることは、昔山本健吉の文章で読んだ記憶があるのですが、今ちょっと見付かりません。ただ、もしかしたら、士君子は、学を修めて官界に入れば、直ちに高官になれた、従って時間の経過はあまりないのかもわかりません。

 軒冕は、「辞典」の見出し語にはありませんが、親字【冕】の下付に載っています。軒冕の意味を他の辞書で調べて、文意を理解することが求められているように思いますが、今の私にはとてもそこまでできそうにはありません。

 尚、蛇足序でに、この文章の感想も述べれば、自由民権の兆民の、官吏批判面目躍如というところですが、私には、兆民の批判の仕方に危うさを感じます。そしてこの危うさは、その後もずっと続き、現代においても未だ克服されていないような気がします。


正解判明

2009年02月01日 | 20-3(第48回)

(21.2.2 char様のコメントに基づき修正)

 今回もいつものように知人から問題を教えて貰ってやってみました。2ちゃんねるの仮回答で答え合わせをしました。しかし、文章題の書き取り4点分不明の他、「辞典」や「四字熟語」で確認して他の回答でも許容されると思われるのもあります。まだ議論中のようです。

 その後、char様の2009-02-02のコメントの通り、正答が判明しました。

(一)音読み      19点/20点
(一)訓読み       10点/10点
(二)書き取り     30点/30点
(三)国字       10点/10点
(四)語選択       8点/10点
(五)四字熟語     14点/20点
(五)同 意味     10点/10点
(六)熟字訓        9点/10点
(七)熟語と訓読み   8点/10点
(八)対義語・類義語 20点/20点
(九)故事諺      18点/20点
(十)文章読み      7点/10点
(十)文章書き     16点/20点

計 179点