気ままなひとこと

折々にふれ、思いつくままに、気ままに書き留めるBLOG

「イエスの言葉 - ケセン語訳」(山浦玄嗣著)

2012-03-18 15:00:27 | 読書
ケセン語訳の聖書?
日本橋の丸善でこの本が平積みされていたには驚きました。ケセン語って何???帯に「被災地の医師が・・・」とあるのを見て、気仙沼地方の方言のことだろうと推測しました。聖書の中でもイエスの言葉を解説する本はゴマンとあるのですが、その多くは聖書学者や聖職者によるもので、一般の読者には取っ付きの悪い、もっとストレートに言えば、理解が難しいもの。そんな中で、地方の一医師が聖書を翻訳したと聞けば、それだけでビッグニュースなわけで、加えて「被災地の医師」とあるので、直ぐに飛びついて買った本です。

読んでみて、大満足しました。ケセン語というのは同じ岩手県でも気仙沼とは別の気仙地域だそうですが、著者はその地域にある大船渡市に住む普通の(?)医師のようです。クリスチャンの家庭だったようで、生まれて間もなく幼児洗礼を受けた熱心なカトリックだそうですが、一方で非常に気さくな人物で、キリストの奇跡も多くは自然現象の中の出来事と、キリスト者にしては大胆な発言をしています。率直なんですね。

その著者が地元の人たちに分かる言葉で四つの福音書を翻訳したその経緯、背景、訴えたいことなどが、この新書判にまとめられています。それが、実に分かりやすい。私は洗礼を受けて7年になりますが、聖書以外に色々な本でキリスト教を学ぼうとしてきましたが、分かったようでいて、可成りの部分が曖昧なまま、今日にいたっています。それらが、大袈裟に言えば、今、ここで解き明かされます、と言った感なのです。例えば:

「隣人を愛しなさい」と言われても・・・ これを「愛する」と言わずに、「大事にしなさい、大切にしなさい」と言われると、成る程。
「イエス・キリストを信じることで永遠の命が得られる」??? 「永遠の命」と言わずに、「いつでも明るく、活き活きと、幸せに生きること」と理解すると、納得。


著者は聖書学者でも聖職者でもないですが、周りの人々にイエスの言葉の真意を伝えたい一念でギリシャ語を勉強して、いわゆる一般人目線で翻訳したようです。ですから、分かりやすいのですね。この本に感激して、著者の翻訳の本番本「ガリラヤのイエシュー(日本語新約聖書四福音書)」(山浦玄嗣訳)をアマゾンで購入しました。ペラペラめくった程度ですが、とても分かりやすく、読むのがとても楽しみです。