気ままなひとこと

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辻井伸行君について

2011-09-26 15:39:49 | 音楽・映画
昨夜、辻井伸行君の演奏をTVで見ました(音楽家を通常は敬称なしで呼んでいるのですが、彼については、どうも「君」付けになってしまうのです)。N響との初めての共演で、チャイコフスキーのピアノ協奏曲1番でした。トップピアニストの演奏についてコメント出来るような視聴者ではないので、ただ単純に「素晴らしかった」です。

2年前にクライバーン国際コンクールで優勝して以来、演奏会は、発売即完売続きで、とても切符を入手することが出来ないので、TV上で追っかけをしています。指の動きや表情、身体の動きはTVの方が良く見えるので、聴くだけでなく、ステージへの登場から演奏後の深々と頭を下げる挨拶まで、彼の演奏を見て楽しんでします。



生まれながらにして視覚なしで生きてきた彼にとっての音楽とは何なのか、彼の頭の中でどのように捉えられているのかなあと、いつ見ても不思議に思います。音符のない世界とはどんなものなのかなあ、でも、元々は音そのものは絶対音として存在するもので、単に他人に伝える手法として音符が出て来たわけだし。ベートベーンでもモーツァルトでも、先ずは頭の中に音が湧いて来て、後でそれを音符にしただけだろうし。むしろ、音符を見ない辻井君のほうが、音符から学んで演奏する人よりも作曲家の聴いた音のイメージを掴めるのかもしれないのかなあ、などと思ったりしています。今、急に医学の進歩で目が見えるようになったとしたら(SFのようですが)、喜びはあるでしょうが、音だけで過ごして来た彼の音楽は混乱するのではないか、とも思ってしまいます。

それと、彼のあの明るさが素晴らしいですね。彼の演奏のCDを数枚もっていますが、彼の明るさは目で見て楽しい演奏になります。あのように明るく育て上げたご両親に、ただただ感服しています。お母様の講演を聞いたことがありますが、彼女自身が、辻井君の盲目を知ってからの辛い時期はあったものの、基本的には明るい性格なのが彼にも伝わってのかもしれませんね。これからも、あの明るさを失わずに、素敵な演奏を聴かせていただきたいと願っています。