先日の「役創りの入り口」はあくまでも初めて台本を渡された日の事を例にしたものです。
今日記されるのは第一回目の稽古の日という前提で話を進めたいと思います。
初めて台本を一読してからのインスピレーションは重要です。
しかしながらそのインスピレーションが何処へ向かうものなのかを用心深く検証しなければ、そのインスピレーションにからめとられなかなか抜け脱せないという場面がやってきます。
その用心しなければならないインスピレーションの場所とは、物語りという全体的なものではなく役柄という場所から発した場合です。
簡単に言えば、どんな話か把握する以前に、役を考えるという事です。
これは往々にして見られる失敗例です。
目の前の台詞の引力に負けてこんな感じかななどとひとりごちして漠然とした印象の台詞を発する。それは具体的な音声として、まだ役創りに入っていると思っていない俳優の脳裏に刻み込まれます。
前回言った「刷り込み」と書いた事例です。
しかし、その曖昧なものは必ず顔を出して俳優の役者としての変貌の過程を邪魔するのです。
あな恐ろしや。
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