京都社会保障推進協議会ブログ

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後期高齢者医療制度「低所得者や受診中は資格証明書を発行しない」-厚労省(案)

2009年04月28日 08時34分21秒 | 資料&情報

 厚労省は4月23日、後期高齢者医療制度に関する「制度の見直しを踏まえた対応について」等を示し、資格証明書の運用についても通知案を明らかにしました。「低所得者や受診中の方には資格証明書を発行しない」など、この間の運動を反映し訂正せざるを得なくなった内容です。
 「要求と運動が変化を起こす」ことに確信をもち、世界に類のない「年齢で区切る保険制度」そのものを廃止するまでがんばりましょう。


 共同通信社報道記事

 しんぶん赤旗報道記事



 通知(案)は、厚労省保険局高齢者医療課長名で、各都道府県・指定都市の高齢者医療主管課長及び後期高齢者医療広域連合事務局長宛に出される予定です。
 正式には、5月8日迄に各広域連合から意見聴取を行い、その後、広域連合として5月末までに「運用基準」を整備することとなっています。

 通知(案)では、資格証明書の運用基準について以下のとおりとしています。


 「被保険者証の返還及び資格証明書の交付の対象外となる被保険者」


<記述は一部省略しています。正確には文末の資料を参照してください>


Ⅰ 以下の被保険者については被保険者証の返還及び資格証明書の交付を行わないこと。

①原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律による一般疾病医療費の支給
②児童福祉法に規定する障害児施設医療費の支給
③予防接種法の医療費の支給
④障害者自立支援法の療養介護医療費又は基準該当療養介護医療費の支給
⑤精神保健及び精神障害者福祉に関する法律により費用の負担が行われる医療に関する支給
⑥麻薬及び向精神薬取締法に関する法律により費用の負担が行われる医療に関する支給
⑦独立行政法人医薬品医療機器総合機構法の医療費の支給
⑧感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律により費用の支給
⑨石綿による健康被害の救済に関する法律の医療費の支給
⑩沖縄の復帰に伴う特別措置等に関する医療費の支給
⑪後期高齢者医療の規定による高額療養費の支給
⑫児童福祉法関係の医療費の支給若しくは医療に要する費用の給付
⑬身体障害者福祉法で定める施設又は指定医療機関における医療の給付
⑭「特定疾患治療研究事業について」による治療研究に係る医療の給付
⑮「毒ガス障害者救済対策事業の実施について」による医療費の支給
⑯先天性血液凝固因子障害等治療研究事業について」による治療研究に係る医療費の給付
⑰水俣病総合対策費の国庫補助につて」による療養費及び研究治療費の支給
⑱(略)
⑲「メチル水銀の健康影響に係る調査研究事業について」による研究治療費の支給
⑳「感染症対策特別促進事業について」による肝炎治療特別促進事業に係る医療の給付

Ⅱ 後期高齢者医療により保険料を納付することができないと認められる被保険者

①被保険者またはその属する世帯の世帯主の住宅、家財等の財産について、震災、風水害、火災等の災害により著しい損害を受け、又は相当な価額の盗難にかかったこと。
②滞納被保険者等又はその者と生計をいつにする親族が病気にかかり、又は負傷したことにより、滞納被保険者等の保険料負担能力が著しく減少したこと。
③事業の廃止又は休止により、滞納被保険者等の収入が著しく減少したこと。
④事業における著しい損失により、滞納被保険者等の収入が著しく減少したこと。
⑤失業等により、滞納被保険者等の収入が著しく減少したこと。
⑥その他①から⑤に類する事由があったこと。
 (一部省略)特に、入院又は継続的な通院等により診療等を受けている、又は受ける予定のある被保険者については、その収入、生活状況、診療等の内容を勘案し、仮に資格証明書を交付した場合、医療費の全額を一時的に負担することが困難となり、
必要な医療を受ける機会が損なわれるおそれがあると認められる場合には、上記の②に類する事由により特別の事情があると認めることが適当であること。(略)

Ⅲ 所得の少ない被保険者への対応

 (前略)保険料の被保険者均等割り額の7割、5割、2割の軽減措置や所得割額の5割の軽減措置に加え、…特に所得の少ない方に対する被保険者均等割り額の9割の軽減措置も新たに講じられる中で、…特別の事業の有無の判断を適切に行うこと等により、原則として、資格証明書の交付に至らないようにすること。


 以上が、ポイントになる点です。
 特に、Ⅱ、Ⅲで記述されている「受診中、受信予定者」は「特別の事情があると認める」ことや、「交付により必要な医療を受ける機会が損なわれる」とされる被保険者、「軽減措置対象」の被保険者は資格証明書の交付に至らないこととすることなどを明記しています。

 ただ、具体的な運用基準は広域連合であり、資格証明書交付を一人も出させないための運動が求められます。



 「長寿医療制度」都道府県ブロック会議資料 ⑤資格証明書の運用」


(以上)