京都社会保障推進協議会ブログ

京都社保協のニュースや取り組み案内、タイムリーな情報・資料などを掲載していきます。

21世紀 第9回京都高齢者大会が開催されました

2009年07月09日 06時37分30秒 | 事務局通信
 7月4日土曜日に、京都市内で「21世紀 第9回京都高齢者大会」が開催され約320名の参加者で成功しました。

 大会は午前中に7つの分科会と学習講座が開催。午後からは森英樹さんの記念公講演と全体会が行われました。
 大会後、参加者は「後期高齢者医療制度は廃止せよ」などの横断幕をもちデモ行進しました。







(以上)

続:京都市立病院PFIについて(10)

2009年07月08日 07時05分01秒 | 資料&情報

 8月19日には、京都市立病院PFI事業参入業者の入札が行われます。ただし入札企業は1グループのみなので事実上の決定と言えます。



 今回は、まとめ的問題提起として資料提供します。


   入札参加業者が1社の矛盾


 神戸市立中央病院PFI事業(新築移転、同時に地方独立法人化)では、2つの民間企業が入札参加を申し込みましたが入札書類の提出期限直前に1グループが撤退。その結果、神戸製鋼及び伊藤忠商事グループが1社のみの参加となります。入札予定価格は事前に公表されていますので、神戸製鋼・伊藤忠SPCによる入札金額は、
  予定価格 102,380,000,000円
  入札金額 102,378,150,000円

 ところが、1グループのみの参加状況の中で、最終的な審査結果は
  定性評価(提案内容の優劣) 合計600点
  定量評価(入札金額の評価) 合計400点
 で、
  定性評価は274点/600点
  定量評価は400点/400点
 という結果になっています。1グループのみの入札参加なので定量評価が満点となり、定性評価で基準の半数以下であっても参入できるしくみです。
 ちなみに定性評価は
  A:具体的に極めて優れた提案がある
  B:具体的に優れた提案がある
  C:愚弟的に提案がある
  D:特に提案がない
 4ランク評価で、審査結果は
  A:なし
  B:14項目中8項目
  C:      5項目
  D:      1項目
 これでは、VFMのもう一つの内容(同一金額で比較した場合サービスが向上する)も期待することはできないと思います。

 京都市立病院は、当初に述べたようにワタキューグループ(ワタキューと三菱商事、麻生)1社のみの入札になります。1社の場合には「予定価格は公表しない」としていますが、まさに「入札金額」及び「審査結果」が注目されます。



  神戸新中央病院「応募者提案に関する審査結果(答申)及び審査講評」



 
  PFI手法の見直しは、各地の公立病院ですすんでいます


 平成21年3月に公表された仙台市立病院基本計画では、新病院の建設について以下の記述をしています。
 「病院施設の整備方式としては,公共による財源調達方式のほか,民間資金を活用したPFI方式によるものがありますが,病院事業では,医療技術の進歩や診療報酬改定等の変動要素をあらかじめ見込んだリスク分担等が難しい上,院内に病院とSPC(受注事業者)の2つの指揮命令系統ができることによる運営面の弊害が懸念されます。」「新病院の整備にあたっては,PFI方式による整備は行わず,公共による財源調達方式を採用しますが,経済性を考慮した設計等により,整備費用抑制に取り組んでまいります。」とし、PFIにたいして率直な問題点を指摘しています。


  仙台市立病院基本計画(概要版)


 

 京都市が、算出根拠不明なVFMの幻想の上に立ち、全国の教訓であるPFI事業の問題点を学ばず、このまま京都市立病院整備運営事業をすすめるなら、市民にいのちと健康を守る上でも、税金の使い道としても、重大な負担を強いることになりかねません。

 「いまからでも遅くない」!

 京都市の賢明な判断を期待して連載を終わります。



(以上 京都社保協政策部)



 


 
  


続:京都市立病院PFIについて(9)

2009年07月07日 00時18分56秒 | 資料&情報

 なぜ、薬品費<診療材料費となるのか?当局の説明は?問題は「それでも高い委託料」にたどり着きます。


(前回の記事を参照してください)

 京都市の担当者の説明ではVFMの算出に当たり
○薬品費から「検査試薬」を、診療材料費に移し変えた。会計処理用の問題であり、国からも了解を得ている。
○診療材料費のうち、放射性同位元素は、病院が直接購入となるので、SPCをとうさない。したがってVFMの計算から除外している。


 との理由で、平成19年度決算からの数字でなく、「薬品費<診療材料費」となっているとのことだそうです。ただ検査試薬の金額がどれぐらいなのかは公表されていませんので、SPCに任せれば「薬品費で4%の削減効果」「診療材料費で3%の削減効果」といわれても、具体的な根拠を示さない限り(説明責任を果たさない限り)、だれも信用できないのではないでしょうか。


 ちなみに、市立病院がどのような会計基準を採用しているのかの問題があります。公営企業法に基づく会計処理なのか、地方独立行政法人法による会計処理なのか、総務省などは「公立病院ガイドライン」等で「病院会計準則」(民間病院並みの会計基準)をとるようにしていますが、市立病院の場合も「病院会計準則」に基づく会計基準をほぼ踏まえた基準を採用しているので、勘定科目(薬品費に含まれるものはなにか、診療材料費にふくなれるものはなにかなど)は、相違ないものとみてよいでしょう。


  平成16年8月19日付の書き都道府県知事宛「病院会計準則の改正について」では、「別表 勘定科目の説明」で
○医薬品費
 (ア)投薬用薬品の消費額
 (イ)注射法薬品(血液、マイコプラズマを含む)の消費額
 (ウ)外用薬、検査用試薬、造影剤など前記の項目に属さない薬品の消費額
○診療材料費 
 カテーテル、縫合糸、酸素、キプス粉、レントゲンフイルム、など1回ごとに消費する診療材料の消費額
○医療消耗器具備品費
 診療、検査、看護、給食などの医療用の器械、器具及び放射性同位元素のうち、固定資産の計上基準額に満たないもの、または1年以内に消費するもの


 上記のとおり、通常の病院会計勘定科目の仕分けは、
「検査用」→「医薬品費」
「放射性同位元素(固定資産計上以外)」→「医療消耗器具備品費」
となっています。

 これも、説明不足、資料提供不足、つまりVFMの算出根拠となる資料の詳細がまったく明らかにされていないことから来る「不明」といわなければなりません。


   「病院会計準則「勘定科目の説明」


 その他でも、施設整備費用の「直接工事費」と「共通費」の設定問題「従来手法にくらべて直接工事費10%削減、削減後の直接工事費に対する共通費の割合を15%と設定」の15%設定根拠などが、「公共建築工事共通費積算基準(国土交通省)」に基づいて妥当なのか。本館改修その他で15%程度の削減効果があるのかどうかなど、VFMの算出根拠が示されない限り、疑問点として残ります。

 ただ、数字を並べるのが続きましたので、最後に本質的な問題についてふれます。


 内閣府PFI推進委員会「VFMに関するガイドライン」では、
(1) VFMの評価は、基本方針に従い、特定事業の選定に当たって必ず行われなければならない。
(2) その他の段階においてVFMの評価を行うか否かは、公共施設等の管理者等の判断にゆだねられるが、民間事業者の選定においては、選定しようとする民間事業者の事業計画についてVFMがあることを確認することが適当である。この場合、PSCについては、原則として、特定事業の選定において算定したものを使用する。
(3) VFMの評価に当たっては、下記二以降の事項に留意の上、その時点において算定が可能である範囲において極力精度を確保するものとする。なお、この際、算定のために多大な労力をかけ過ぎることのないよう留意する。一方で、漸次その客観性及び透明性の向上を図るよう努めていくことが重要である。


  VFMに関するガイドライン(内閣府PFI推進委員会)


 つまり「極力制度を確保」「客観性及び透明性の向上」が求められるものであり、ましてや長期にわたり税金が投入される事業として、市民が納得できる「客観的資料の公表」が必須条件となります。



   VFMの本質


 結局、積算根拠が極めてあいまい(不明確)である設備整備を除き、VFMを生み出すとされる「運営・維持管理費」のVFMは、「確実に効果がある、そのことが目に見えて確認できる」ものは、人件費の削減しかありません。
 しかも、SPCが企業としての利益を最大限確保する手法(自らの取り分である運営等の委託費にかかるコストを下げる努力)も、SPCグループを通じて雇用される委託職員の削減や低賃金がその前提になっているのです。



 SPCに委託される運営・維持管理業務を再掲しておきます。


○ 全体マネジメント業務
(ア)経営支援業務
(イ)プロジェクトマネジメント業務
(ウ)個別業務統括業務

○ 病院運営業務
(ア)病院運営業務(医療法に基づく政令8業務のうち,次の業務)
 a 検体検査業務(病理検査を除く。)
 b 滅菌消毒業務
 c 食事の提供業務(献立作成業務等を除く。)
 d 医療機器の保守点検業務
 e 医療ガスの供給設備の保守点検業務
 f 洗濯業務
 g 清掃業務
(イ)その他病院運営業務
 a 医療事務業務(診療報酬請求業務,医事受付業務等)
 b 診療情報管理・運用業務
 c 医療支援業務
 d 物品管理及び物流管理(SPD)業務
 e 病院総合情報システムの運用業務
 f 利便施設運営管理業務(食堂,売店等)
 g 健診センター運営支援業務
 h 電話交換業務
 i 図書室運営業務(患者用,職員用)
 j 病院広報業務
 k 地域医療連携部門支援業務

○ 施設設備維持管理業務
(ア)病院施設維持管理業務
 a 建築物保守管理業務
 b 建築設備保守管理業務
 c 警備業務
 d 環境衛生管理業務
 e 植栽管理業務
(イ)職員宿舎,院内保育所,付帯施設等維持管理業務
 a 建築物保守管理業務
 b 建築設備保守管理業務
 c 外構施設維持管理業務
 d 付帯施設維持管理業務(駐車場を含む。)
 e 警備業務
 f 環境衛生管理業務

○ 調達業務
(ア)医薬品の調達業務
(イ)医療材料の調達業務
(ウ)医療機器及び関連備品の調達業務(新館整備時の新規導入分のみ)
(エ)消耗品及び消耗備品の調達業務

*なお,病院総合情報システムの維持管理及び更新業務,医療機器の更新業務,職員宿舎及び院内保育所の運営は,本市が行う。



(以上 つづく)


続:京都市立病院PFIについて(8)

2009年07月06日 06時22分58秒 | 資料&情報

 資料は昨年12月に公営企業等予算特別委員会が要求した「要求資料(保健福祉局)」で、これまで引用してきた「1、京都市立病院整備運営事業におけるPFI手法導入に係る債務府t何行為設定額の内訳並びに経費削減効果額及びその算出の考え方」の数値を使用します。



  18年間の運営・維持管理費のVFM効果-最大は人件費


 市立病院のPFI手法では、SPC(PFI事業を請け負う民間株式会社グループに長期の病院運営・維持管理を任せたほうが、従来の運営・維持管理費より18年間で△18憶4900万円程度安くつく(VFM効果:ただし委託費は増加するので差し引きした額です
)としています。その最大の科目は人件費で「PFI手法の挿入を契機に委託する薬品等の調達業務等に係る病院職員16人分の人件費の削減を見込む」として△22億円程度の削減効果としているのが特徴です。


 すでにPFI事業が導入されている東京都立駒込病院では、「ベッドの回りの掃除やごみ集めもしてくれない。掃除が行き届いていないと苦情が患者さんから寄せられた。物流システムで、薬品を週三回補充するとしていたのに、週二回にするという。事務と作業係りが二人いるがこれから兼務するという。電話で連絡するとすぐに対応すると返事するが時間がかかり過ぎる。すべてのことで混乱している。こうした事態は移行期の混乱というよりPFIの本質による混乱だと思う(看護師)」。「定員が二十七人から十七人に減らされた。就労時間が月から金まで三十分、土曜日は午前中が夕方までと延びた。宿直が四人から三人へ。定期点検が一カ月から二カ月に延ばされた(委託職員)」などの声が聞かれています(4月16日の「緊急集会」での発言)。


 営利追及を目的とするSPCの一端を垣間見ることができます。ちなみに、都立駒込病院のSPCグループは、京都市立病院SPCへの参加資格が確定されたワタキューグループの共同出資者である三菱商事と株式会社麻生(1000床以上の病院を福岡県飯田市に持つ)が参画しています。
 
<株式会社麻生ニュースより>
 株式会社麻生は、東京都がPFI(Private Finance Initiative)事業として行う「がん・感染症医療センター(仮称)整備運営事業(現 都立駒込病院)」の総合評価一般競争入札に、代表企業の三菱商事株式会社、並びに戸田建設株式会社、株式会社NTTデータ他と共同して応札し、2007年3月19日に落札者に選定され、2007年3月23日に東京都と基本協定書を締結しました。
 今後は、特別目的会社(SPC、資本金5億円)を他の出資予定者と設立し、事業契約書締結を経て、2009年4月の本工事着工及び維持管理・運営を開始する予定です。
 当社の本事業への関わり方としては、代表企業を支えるマネジメントサポート企業としてSPCへの出資、及び取締役1名を業務統括チームとしてSPCに派遣する予定です。ヘルスケア分野で医療関連ソリューションビジネスを展開する三菱商事株式会社が行う、プロジェクト全体のマネジメント(設計、建設、医療関連サービス、病院経営支援等)並びに医療機器、医薬品、診療材料等の調達に対して、当社は飯塚病院の経営実績や病院コンサルティングのノウハウ等をもとに、SPCのマネジメント支援及び病院経営支援機能等の提供を行います。




  運営・維持管理費の詳細-薬品費と診療材料費


 「資料」に戻ります。
 「資料」では、運営・維持管理費でのVFMを

〇薬品・診療材料費(18年間の試算)
 ・従来手法での経費見込み額  53,262百万円…(2,959百万円/年)
 ・PFI手法での経費見込み額    51,413百万円…(2,856百万円/年)

〇さらに「薬品」のみを見てみると、
 ・従来手法での経費見込み額  18,244百万円…(1,014百万円/年)
 ・PFI手法での経費も込み額   17,740百万円…(  986百万円/年)
*算出の考え方:現状での医業収益に対する薬品費の比率(平成19年度15.9%)を基に従来手法での将来の購入見込み額を算出した上で、民間調査の結果やアドバイザーの意見を参考に、3%の経費削減効果があると見込む。
〇また、「診療材料費」は、
 ・従来手法での経費見込み額  35,018百万円…(1,945百万円/年)
 ・PFI手法での経費も込み額   33,673百万円…(1,871百万円/年)
*算出の考え方:現状での医業収益に対する薬品費の比率(平成19年度13.7%)を基に従来手法での将来の購入見込み額を算出した上で、民間調査の結果やアドバイザーの意見を参考に、4%の経費削減効果があると見込む。


 実は、保健福祉局の「公営企業等予算特別委員会要求資料」が明らかになったときに、大きな疑問を持ちました。それが、この「薬品・診療材料費」のVFM計算でした。だれがみても説明のつかない数字が並んでいるからです。

 まず、平成19年度市立病院決算書では(決算なので年間の金額です)
・ 医業収益       12,626百万円
・ 材料費合計      3,071百万円        
   薬品費       1,593百万円(12.6%)
   診療材料費    1,377百万円(10.9%)
   給食材料費       76百万円
   医療消耗備品費    25百万円

ところが、「資料」の説明にかかれている医業収益に対する比率を当てはめると
     医業収益に対する薬品費比率   15.9%  約2,008百万円
     医業収益に対する診療材料費比率13.7%  約1,730百万円


これに「民間調査の結果やアドバイザーの意見を参考」とする要素を加えたとしても
・決算数値では         薬品費(2,008百万円)>診療材料費(1,730百万円)
・「資料」の手法別の数値は  薬品費(1,014百万円)<診療材料費(1,945百万円)=従来手法
                  薬品費(986百万円)<診療材料費(1,871百万円)=PFI手法



  平成19年度京都市病院事業特別会計決算書
  (市立病院と京北病院が一体なので「市立病院会計」の附属明細を参照すること)

 

 常識では考えられない(説明がつかない)数字であることは明白です。よく、「説明」もなしに、このようなでたらめな「資料」を提出した無責任さに呆れかえりました。「資料」自体が荒い試算なので多少の数字のあいまいな部分は当然あるものですが、薬剤費と診療材料費(PFIで給食材料費は委託費に振り替わるとしても)の逆転はないものです。


 とことがです……わかりました?!


(以上 つづく)


  
 





 


「医療・福祉」の切り売りを強引に進める京都市は許せない!

2009年07月05日 00時24分27秒 | 資料&情報

 まず、二つのホームページを紹介します。

<京都市立看護短大の廃止反対運動を進める京都府学連>

   京都府学連WEB

<京都市立病院の地方独立行政法人反対の運動を進める市職労病院支部>

   京都市職労病院支部


 いずれも京都市が運営してきた病院と看護短大を「PFI事業」や「廃止・民設民営」とする計画です。


 これらには、「このままでは第二の夕張になる」などとして、市民犠牲の市政を強引に推し進めようとする京都市長の姿勢が反映しています。

 市政全般の問題点は、日本共産党市会議員団が出した声明を参照してください。



   2009年度京都市予算案について「生活直撃の値上げと負担増を撤回せよ」


 また、京都市の財政分析は、京都市職労「京都市財政研究プロジェクト」の研究論文を参照してください。


   京都市財政の現状と未来まちづくりプランの評価について(研究論文)


 こればかりではありません。

 京都市は、PFIによる市立病院整備運営事業と同時に、京都市立病院院内保育所の職員の雇用打ち切り(平成22年度末)を打ち出しました。
 毎年の保育所運営に係る負担金が多く、病院経営を圧迫しているとの理由です。不要不急の公共事業へは金を出すが、市民の健康・生活に直結する医療・福祉分野は、「看護短大を建て替える金はない」「院内保育所を維持する金はない」と民間への丸投げをどんどんすすめる、これが実態です。



 京都市立病院院内保育所は、設置主体が京都市、運営は京都市から委託された「院内保育所運営委員会」が当たってきました。院内保育所「青い鳥保育園」は昭和52年開所という、病院職員の労働と生活、子どもの健やかな成長を支えてきた歴史を持っています。



 ところが、昨年9月の市議会委員会での議員質問に対し、細見副市長は「委員お尋ねのこの院内保育所の運営についてですけれども(中略)、それにしてもあまりにも、京都市の負担9000万円を超えておりますので、これは何とかしなきゃならないというところで今委員から色々ご指摘を受けたところでございますが、昨年度、この勧奨退職制度を踏み切ったけど、やっぱり応募ゼロでございました。今後の取り組みとしては、委員の貴重なご意見も踏まえまして、考えていますのは、運営委員会委託ということを見合わせて、SPCという特別目的会社とは別に民間委託を考えたらどうかという風なことを考えておりますが、これには、今職員12名がおりますが、お雇用問題などがあって大変な力仕事になるんですが、気合いを入れてやっていきたいという風に考えております。」との発言を行っています。



 市立病院の独法化・PFI事業導入と一体となった、今回の雇止め通告と言えます。また露骨な「職員敵視」の副市長の発言は、「経営危機の名のもとに、(京都市の正規職員でない保育園職員を)まっさきに雇い止めする」昨今の大企業経営者とダブルものを感じるのは、言いすぎでしょうか。


 京都市立病院独法化問題、市立看護短大廃止問題、病院院内保育所職員雇い止め問題など、結果的に「民間への身売り」をすすめる京都市の強引な姿勢を許すことはできません。


(以上)



 
  

 


7月2日、「市立病院は市立のままで充実させる市民の会」が結成されました

2009年07月04日 06時16分32秒 | 事務局通信

 7月2日、京都市中京区のラボール京都会議室で「市立病院は市立のままで充実させる市民の会」が結成されました。
 結成総会には、病院関係者、労働組合、地域住民の皆さんなどが参加し、京都市立病院の地方独立行政法人化反対の運動推進を申し合わせました。

(上 開会あいさつを行う代表世話人の岡田先生)


 参加者からは、社会保険庁の解体による病院の存続を求める社会保険京都病院を守る会の取り組みや京都市立京北病院を守る運動、突然の市立看護短大「廃止」方針に反対する学生の会の報告、市立病院の独法化と同時に院内保育所職員の「全員解雇」(院内保育園は継続するが民間委託を行う)の動きに反対する運動と訴えなどが相次ぎました。



 
 総会で確認された代表世話人
  岩橋祐治(京都総評議長)
  大林 稔(朱八曙長寿会第5老人クラブ会長)
  岡田楯彦(内科小児科岡田医院院長)
  島津恒敏(島津医院院長」)
  津田光夫(京都社会保障推進協議会議長)
  畑 宏治(西新道商店街錦会専務理事)


最後に、京都社保協事務局長が閉会のあいさつを行い今後の奮闘をちかいました。



(以上)







続:京都市立病院PFIについて(7)

2009年07月03日 06時29分03秒 | 資料&情報

 前回記載の一部を再度掲載しますので見てください。

 <*1:従来手法による新館整備単価の積算>
 本館整備時の単価(335,780円/㎡)×消費税上昇分(1.05/1.03)×
 建築物物価指数上昇率[A]×免震構造化割増[B]+特殊要素[C] ⇒ 424,000円/㎡
  [A]:平成元年から平成20年度 1.146
  [B]:免震構造化割増  3%
  [C]ヘリポート・放射線防護設備等による加算 20,000円/㎡

 上記の計算式の「建築物物価指数」は、おそらく建築工事に関する材料等が、本館建設時と比較してどれだけの値上げ(値下げ)になっているかの指数だと思います。
 正直、1.146倍の値上がり指標が妥当かどうか、根拠となるデーターが示されていないので評価が難しいです。ぜひ、1.146の裏付けになる資料の公表を求めます。


   1.146(建築物物価指数)の根拠


 ただ、WEB上で様々なデーターが公表されていますので紹介します。京都市が提示した「指標」の妥当性判断の一助になると思います。


 [財団法人建設物価調査会総合研究所経済研究部]のデーターから引用します。
 ただし、数値は東京都を参照しているので京都とは違いがあります。
 *すべて2000年を100とした変動値です。

   年     工事原価     純工事費    建物     設備
 1980年     88.0     90.0     92.8     86.8
 1981年     90.8     92.8     95.4     90.0
 1982年     92.2     94.0     96.7     90.9
 1983年     91.4     93.0     94.6     92.1
 1984年     92.1     93.5     95.0     92.7
 1985年     91.5     92.7     93.5     93.3
 1986年     91.5     92.7     93.5     93.3
 1986年     90.6     91.6     92.0     92.8
 1987年     92.3     93.3     94.0     93.9
 1988年     97.6     98.9    102.0     95.4
 1989年    102.6    104.1    109.2     96.9
 1990年    108.4    110.3    117.1     99.8
 1991年    115.7    118.1    124.2    108.7
 1992年    119.0    121.3    126.1    113.8
 1993年    116.5    118.4    120.0    116.0
 1994年    111.5    112.8    112.2    113.7
 1995年    108.2    109.2    109.7    108.3
 1996年    106.6    107.2    108.8    104.9
 1997年    106.1    106.6    107.9    104.6
 1998年    103.8    104.1    105.2    102.4
 1999年    101.9    102.1    102.4    101.6
 2000年    100.0    100.0    100.0    100.0
 2001年     98.4     98.4     98.3     98.5
 2002年     96.3     96.5     96.4     96.5
 2003年     93.3     93.3     93.8     92.3
 2004年     91.8     91.6     92.3     90.3
 2005年     91.0     90.7     91.0     90.3
 2006年     91.6     91.3     91.5     91.0
 2007年     93.9     93.8     94.4     92.9
 2008年(1月) 94.8     94.8     95.2     94.2

 *赤字のアンダーラインが、本館建設時(平成元年)で建築単価(335,780円/㎡)の基準とした年。

 
これでいくと、2008年との比較で工事原価▲7.8ポイント、純工事費▲9.3ポイント、建築▲14.0ポイント、設備▲2.7ポイントm建築価格が低下していることになります。


 また、同じ研究所のモデル指数(総合病院RC工法、地上4階11,494㎡)では、2004年から2008年経過で(基準時は2003年)、

   年      純工事費    建物     設備
 2004年     97.0     96.3     97.8
 2005年     96.1     94.7     97.8
 2006年     96.9     95.3     98.7
 2007年     99.6     98.8    100.6
 2008年    103.6    104.0    103.2
 2009年1月  103.1    101.8    104.7

 となっています。モデル指数では若干値上げ傾向が見られますが、いすれにせよ、平成元年 からの比較では、1.146増もの値上がりにはなりません。


    建設ナビ(建設物価調査会)のホームページ


(以上 つづく)


 

 

      






8500筆の署名と住民の運動が京都府を動かす

2009年07月02日 00時07分41秒 | 事務局通信
 与謝の海病院脳神経外科再開を求める運動は、6月22日にも紹介しましたが(ここから)、6月29日の京都府議会で知事は「医師不足についてでありますけど、一刻の猶予も許されないという思いで、府立医科大学と鋭意調整をしてまいりまして、今般、7月14日から外来診療を再開することにしております。」「今後とも、府立医科大学と連携しまして、入院、手術を含む本格的な脳外科診療が可能となる体制確保に向けて全力で取組んでいきたいというふうに考えています。」と発言し、週2回午前中の外来診療が再開されることになりました。

 与謝の海病院は、京都府北部(宮津以北)の救急医療を担う病院として脳神経外科医がかっては4名体制したが、医師退職等のなかで、昨年からは1名の常勤医師となり、今年3月には1名の医師も退職する事態のなかで、救急病院としての役割りが不可となりました。その結果、いままで医師や病院の努力で受け入れていた救急搬送も亡くなり、丹後地域での重篤な脳疾患患者は兵庫県豊岡市や舞鶴市の病院へと、長時間かけた搬送を余儀なくされるようになっていました。

 この中で、「重篤な障害が残った」「搬送中ではないが、結果的に死亡された」など深刻な事態が起こってきました。「医師ゼロ」まで放置をしてきた京都府の責任は重大です。

 今回、外来診療の再開となりましたが、本来の「緊急手術ができる複数医師の常駐体制」こそが求められています。

 丹後、宮津・与謝の社保協は、引き続き署名運動を行う提起をしています。




(以上)



 

 

続:京都市立病院PFIについて(6)

2009年07月01日 00時16分00秒 | 資料&情報

 前回記載の一部を再掲します。

 <*1:従来手法による新館整備単価の積算>
 本館整備時の単価(335,780円/㎡)×消費税上昇分(1.05/1.03)×
 建築物物価指数上昇率[A]×免震構造化割増[B]+特殊要素[C] ⇒ 424,000円/㎡
  [A]:平成元年から平成20年度 1.146
  [B]:免震構造化割増  3%
  [C]ヘリポート・放射線防護設備等による加算 20,000円/㎡


  1床当たりの建設費用計算比較


 現在の本館は平成4年に完成となっています。当時の病床数は不明ですが、いま公表されている病床数は一般病床351床、救急病床28床の379床です。延べ面積が約27,700㎡なので、単純計算では約93億~94億の工事費用、つまり1床当たり2500万円の建設費用となります。(全て今回のPFI事業実施計画書からの数字なので誤差はあります)

 また、本館建設当時の平米数当たりの単価を、今に置き換えた424,000/㎡で計算した、新館の建設費用は京都市の概算では92.4億円になります。新館で予定のベット数は290床なので、1床当たり3100万円~3200万円と予想できます。

 つぎに、

 <*2:PFI手法による整備単価の積算>
 ・従来手法の場合、工事費のうち80%を直接工事費、20%を共通経費と設定
 ・PFI手法の場合、従来手法に比べて直接工事費10%削減、削減後の直接工事費に対する共通費の割合を15%と設定
 [100×80%(従来手法直接工事費)×0.9×1.15 ⇒ 82% … 18%削減]
 従来手法による新館整備単価 424,000円/㎡×82% ⇒ 347,700円/㎡

を見てみます。

 新館の延べ面積は21,000㎡程度とされています。単純に347700円を掛ける計算で73億円、京都市の試算で75.8億円の工事費用、新館のベット数は290床の予定なので、つまり1床当たり2500万円程度の建設費用となります。



 それでは、通常の病院建設経費の1床当たり費用は「自治体病院共済会(08年5月調査)」によると、公立病院の1病床当たりの平均建設費は約3300万円(1997年以降に建設された約100の公立病院ごとに、建設費を病床数で割って平均額を算出)、一方、同時期に建てられ、建設費が公表されている約20の民間病院の平均額は約1600万円としています。(
共同通信配信記事
 つまり、民間のノウハウを生かしたPFI手法によるとする京都市の積算でも「きわめて高い」1床当たりの費用であることがわかります。



  延べ面積あたりの建設費用比較


 さらに、延べ面積あたりの単価計算では、
(1)従来手法での経費見込みである424,000円/㎡は、常識はずれの高値といわざるを得ません。自治体病院施設センター調査の「公立病院実績単価(平成10年度~21年度の工事費公表分を対象)」では、全平均で343,000円/㎡、300床未満で330,000円/㎡、300床以上で363,000円/㎡となっています。
 一番上記に記載した<免震構造加算>や<ヘリポートなど加算>を引いても、約390,000円/㎡以上はかかる算定になります。
(2)その点、PFI手法では公立病院実績以内におさまり、全国並みの工事費用といえるかもしれません。が、公立病院実績そのもの自体が高値となっています。国立病院機構が平成17年3月に改定した「病院建築標準仕様指針」では250,000円/㎡~300,000円/㎡とされています。また「公立病院改革ガイドライン」(ガイドラインそのものは技術的助言ですが)のQ&Aで、施設整備費については「、独立行政法人福祉医療機構の融資単価は耐火5階以上で219,600円/㎡となっている。また、仮に公的な医療機関として必要な機能による割高要因を考慮するとしても、例えば国立病院機構の病院建築標準仕様は25万円~30万円/㎡であり、まずはこれを目安にすべきと考える。」としている点からも検討が求められます。


 次回は、さらに「新館整備単価の積算」の詳細部分を検討します。


(以上 つづく)