京都社会保障推進協議会ブログ

京都社保協のニュースや取り組み案内、タイムリーな情報・資料などを掲載していきます。

疑問だらけの「新しい要介護認定」-(3)

2009年04月09日 11時27分09秒 | 資料&情報
 厚労省の「内部文書」を検討していきます。
 まず、厚生労働委員会での小池議員の質疑を紹介します。

 参議院議事録では未だ公表されていませんので、以下に質疑の内容を掲載します。



 4月2日参議院厚生労働委員会 小池議員の質疑(関係部分=大阪社保協提供)


○小池晃君 要介護認定制度の問題について聞きます
 四月一日から変更されました。先ほど森田議員からも問題点指摘されて、これは認定調査項目が減らされ、コンピューターソフトが変えられ、認定調査員などのテキストも変わって、これは二〇%が軽度に認定されるということもある。もしそうだとすれば、約百万人に影響する介護切りとも言える事態が、国会での論議もなしに行われた点でもこれは重大だと思うんです。これは予算委員会でも私、取り上げましたし、この委員会でも度々取り上げられている。今日問題にしたいのは、何でこういう変更を行うかということなんですが、大臣に改めて聞きますけれども、要介護度を低くしようという意図があるのか、あるいは軽度にして何らかの形で介護に掛かる費用を減らしたいという意図があるんじゃないか。いかがでしょうか。
○国務大臣(舛添要一君) それは、何度も皆さん方、ほかの委員の方の御質問に対してもお答えしていますように、地域によるばらつきを是正する、それから介護技術の進歩その他を勘案して状況に合わせていくということで、結果的に軽くなる方がおられたり重くなられる方がおられたりしたので、軽くするためにやっているとかコストを削減するためにやっている、そうではないということは、これは哲学の変更ということまで申し上げて、申し上げたとおりでございます。
○小池晃君
 私、実は厚労省内部での検討資料というのを入手したんです。これは昨年省内で検討した資料で、今日お配りをしております。これ、資料の一枚めくっていただいて一ページ目には、要介護認定について要介護二、三が著しく増加しているというふうにして、その理由として、不適切な重度変更が行われていると。対策としては、不適切な重度変更を是正し、要介護認定者を適正な分布に戻すというふうに書かれています。
さらに、少しめくっていって、四ページ、五ページでは、要支援二と要介護一の分布が当初予定していた割合のおおむね七対三にならず、おおむね五対五となっているというふうにして、その対策として要介護一、要支援二の判定を行うことのできるソフトを作成し、介護認定審査会委員の関与を減らし、地域差をなくすとともに当初想定していた割合に近づけるというふうにしているんです。また、今日配付した部分のほかにも、十六ページあるんですが、認定調査委員用のテキストを改訂して定義を明確化するとか、異食行動などの認定調査項目は削減するという記載がありまして、まさにそのとおりに見直しなっているんですね。大臣、やっぱり四月からのこの要介護認定制度の改変というのは、認定審査会の関与を減らして要介護度をできるだけ低くしようという意図でこれは行われたということはこれは明白じゃないですか。大臣、いかがでしょうか。
国務大臣(舛添要一君) まず、私はこの紙を初めて見るので、これがどういう性格の紙でどうであったか、それをちょっと、局長で分かれば、これは私も初めて見ますのでどういうものであるか分かりませんので、説明させます。
○政府参考人(宮島俊彦君) 実は私もこれ初めて見ますので、今の段階では確認できておりません。そういうことでございます。
○小池晃君 局長も替わられたことだし、それ以前の検討のものなのかもしれない。しかし、これ、私、かなり書かれていることはそのとおりにその後なっているなというふうに読んで思っているんですよ。実は、介護予防を導入した国会の審議の中でも、厚労省は、要支援二と要介護一の見込みは七対三程度になるというふうに答弁をしていたんですね。しかし、実際はそうなっていないんです。これは認定審査会で実態を踏まえた判定が行われてきたから実態としては五対五になっている。何とかこれ七対三にしようと。要するに、要支援二になればかなり介護給付抑制されるわけですから、そういう意図があっても不思議ではないと思うんですね。これ、ちょっと厚労省、これね、要支援二と要介護一の比率については、実際に七対三にしようという指導は実際現場でやっているんじゃないですか。
○政府参考人(宮島俊彦君) 今の御指摘でございますが、十七年に開催された全国担当者会議で、第三期介護保険事業計画のサービス見込みの推計で、要介護一のうち七割から八割が予防給付、つまり要支援二の対象になると、そういうふうに仮置きして推計してくださいということを言っております。これは、最終的には市町村の結果を踏まえて人数を見直すことは可能ですというようなことを言っておりまして、これはあくまでも第三期介護保険事業計画で、まだこの予防給付導入前のときに市町村が介護保険計画を作るときにどういうふうに見込みをすればいいかというものを仮置きの数字としてその数字を担当課長会議で言及しているというものでございます。
○小池晃君 いや、私が聞いたのは、実際七対三にせよという指導をしているんじゃないかと。実際に、これはもう公開されている資料ですが、東京の北区の介護保険運営協議会の議事録では、区の介護保険課長が、要支援二と要介護一について厚生労働省はこれを六対四、最終的には七対三にしろという指導があるというふうに述べているんです。それから、埼玉県久喜市の、これはインターネットに出ていますが、介護保険運営協議会の会議録でも、要介護一のうち七割を要支援二に落としなさいというのは厚労省の指示かという質問があって、そのとおりですというふうに市の担当者が答えている、それはインターネットに出ています。まさにこの文書のとおりのことが実際、水面下では自治体に対して指導されているということが出ているんですよ。こういう指導しているんじゃないですか。大臣、どうですか、こういう実態あるんですよ。
○国務大臣(舛添要一君) いや、今の委員のこの御説明を聞いたのが初めてですから、それは私は分かりません。それは調べてみます、そういうことになっているのかどうなのか。今のところはそれ以上のお答えはできません。
○小池晃君 これ是非調べていただきたい。問題は、何でこういう低く要介護度を抑えるような方向での制度変更が行われるのかということなんですね。そのねらいがこの資料の後ろから二枚目に、予算要求スケジュールの取扱いについてというところに出てまいります。何て書いてあるかというと、省として骨太方針に介護労働者の賃上げ問題を対外的にPRすることとした場合、それに対応した財源確保策が必要であり、さらに、年末の介護報酬改定に伴う改定率が決着し、プラス改定の場合には更なる財源確保策が必要だというふうに書いてあるんですね。その最後のページにその財源確保策なるものが列挙されております。その中に、認定の適正化というのがあるんですよ。非該当重度変更率の是正、一〇%非該当となる人を増やすということで八十四億円の給付費縮減効果。あるいは、介護給付の適正化、要介護認定の適正化などで二百億円から三百億円の縮減効果というふうにあります。そのほかにも、これ見ますと、自己負担二割にするとか、支給限度額を引き下げるとか、給付費の地域差を踏まえた国庫負担の見直しと。こういうことを検討していたのかと、本当、私もこれを見て驚き、あきれたわけなんですが、大臣ね、三%介護報酬を引き上げたって、こんなことをやったら何もならないじゃないですか。こういうことが今回の認定制度の見直しのきっかけになっているということは、この資料を見れば私はこれは明々白々たる事実ではないかと。大臣は、悪意はないんだと、そういう意図じゃないんだと言うけれども、この議論というのはまさに、先ほど森田議員も、これから先、やっぱり抑制していくためのツールになるとおっしゃいましたけれども、まさにそういう議論としてこれは始まったんじゃないですか。大臣、いかがですか、これを見て。


<ブログ字数がオーバーしたので、以下は次回に掲載します>