京都社会保障推進協議会ブログ

京都社保協のニュースや取り組み案内、タイムリーな情報・資料などを掲載していきます。

資格証明書(無保険状態)の子どもが32903人―厚労省発表

2008年10月31日 13時43分02秒 | 資料&情報
 10月30日、厚労省は全国の資格証明書発行、とりわけ中学生以下の子どもが事実上無保険状態に置かれている実態の調査結果を公表しました。
 京都では、資格証明書発行が4113世帯、世帯に属する乳幼児31人、小学生58人、中学生46人となっています。


 京都でもいくつかの事例が報告されていますが、資格証明書は無保険状態と等しく、子どもが病気になっても医療機関にかかることが困難な状態(医療費の10割負担が必要)になっています。

 今回の調査は、全国の社保協や諸団体の運動の中で、また資格証明書発行の不当性を都道府県議会で粘り強くとりあげ改善させてきた運動の成果です。

 実態の調査・公表は第一歩です。政府・厚労省は、調査にもとづく「通知」(30日付)を出していますが、資格証明書発行を取りやめたわけではありません。今後のいっそうの運動が求められます。


 厚労省の調査結果を報道する「しんぶん赤旗」


 「土佐のまつりごと」さんのブログに厚労省「通知」文書が掲載されていますので、掲載させてもらいます。


 被保険者資格証明事の交付に際しての留意点について
                  平成20年10月30日
                  厚生労働省保険局国民健康保険課長
                  厚生労働省雇用均等・児童家庭局総務課長

都道府県民生主管部(局)長
都道府県・指定都市・児童相談所設置市の児童福祉主管部(局)長


 国民健康保険における被保険者資格証明書(以下「資格証明書」という。)の運用については、下記のとおり、その留意点をまとめたので、その内容を御了知いただくとともに、貴管内市町村等関係者への周知徹底について遺憾なきよう配慮されたい。なお、本通知については、社会・援護局保護課と調整済みであることを申し添える。

     記

1 資格証明書の交付に係る一般事項

 資格証明書については、事業の休廃止や病気など、保険料を納付することができない特別の事情がないにもかかわらず、長期にわたり保険料を滞納している方について、納付相談の機会を確保するために交付しているものであり、機械的な運用を行うことなく、特別の事情の有無の把握を適切に行った上で行うこと。
 一方、国民健康保険においては収納率の向上はその保険運営上極めて重要であり、悪質な滞納者については、従前どおり、滞納処分も含めた収納対策の厳正な実施に努めること。

2 子どものいる滞納世帯に対する資格証明書の交付に際しての留意点

 子どものいる滞納世帯に対する資格証明書の交付についても、1のとおり、機械的な運用を行うことなく、特別の事情の有無の把握を適切に行った上で行うことが必要であるが、先般協力をいただいた資格証明書の発行に関する報告の結果をみると、その運用には差異が見られるところである。
 このため、特に子どものいる世帯については、資格証明書の交付に際してよりきめ細かな対応が求められることから、以下の事項に留意して取り扱うこと。

(1)事前通知及び特別事情の把握の徹底
 資格証明書が交付されることについて、滞納者が理解することなく行うことがないよう、可能な限り文事だけでなく、電話督促や戸別訪問等の方法により滞納者との接触を図り、その実態把擾に努めるとともに、滞納者に対し滞納が継続すれば資格証明書の交付を行うこととなる旨の周知を図ること。
 その際には、納付相談の奨励に加え、生活保護や多重債務問題等の庁内相談窓口の周知も併せて行い、滞納者が相談を行いやすい環境を整えることや、相談機会の確保に努めること。また、他部門に相談のあった滞納者の事例について、情報共有ができるよう、庁内の連絡体制の整備に努めること。
 また、資格証明書の発行に際しては、市町村の実情に応じ、別添の他市町村の取扱いも参考に、より公正な判断が行われるよう努めること。

(2)短期被保険者証の活用
 短期被保険者証を経ずに、資格証明書を交付するのではなく、資格証明書の交付までには、可能な限り短期被保険者証を活用することにより、滞納者との接触の機会の確保に努めること。

(3)養育環境に問題のある世帯に対する対応
 子どものいる滞納世帯に対しては、特に、(1)のとおり、家庭訪問等により実情把握に努めることとするが、その際、市町村の児童福祉担当部局の序言を得つつ、家庭内が著しく乱れている等の実態がみられるなど養育環境に問題のある世帯を把握した場合には、市町村の児童福祉担当部局や児童相談所と密接な連携を図ること。
 資格証明書発行後においても同様の対応を図ること。

(4)緊急的な対応としての短期被保険者証の発行
 世帯主が市町村の窓口において、子どもが医療を受ける必要が生じ、かつ、医療機関に対する医療費の一時払いが困難である旨の申し出を行った場合には、保険料を納付することができない特別な事情に準ずる状況であると考えられること、資格証明書が納付相談の機会を確保することが目的であることにかんがみ、緊急的な対応として、その世帯に属する被保険者に対して、速やかな短期被保険者証の交付に努めること。


 土佐のまつりごとブログ


(以上)




京都府内 公立病院の動向(11)―京丹後市の病院改革プラン

2008年10月28日 07時47分25秒 | 資料&情報
 京丹後市医療改革改善推進会議では、久美浜病院と弥栄病院の経営改善、債務超過克服のシビアな論議が続きます。ところが総務省「公立病院改革ガイドライン」が出されると、市当局はガイドラインに沿った「改革プラン」作成、「特例債」申請を打ち出し、推進会議もその論議に巻き込まれていきます。


 なぜ、「特例債」申請をいそぐのか?


 少し長くなりますが、今年8月5日開催の文教厚生常任委員会で医療改革推進政策監が経過説明をおこなっていますので引用します。

中村医療改革推進政策監
 それではお手元にガイドラインとガイドラインQ&A、それとスケジュールを配布しております。最初に今までとあわせて今後のスケジュールを述べさせていただきます。このガイドラインにつきましては、昨年12月24日に総務省から府に出てまいりました。私どもには直接は確かに来てなかったと思っています。年を明けてからだと思っております。それに基づいてガイドラインに沿った改革をしていかなければならないと話をしていましたところ、6月6日付けで市の財政課を通じて公立病院特例債の取扱いについてという通知が総務省自治財政局から参りました。これによりますと、改革プランを立てて不良債務の一掃を図るための病院債を借りる意向のある病院については9月中に府を通じて改革プランを提出しなさいということが出てまいりました。当初は議会でもお話しましたように年度中にというような表現でありましたので、年度内でと議論していたわけですが、あわてて改革プランを作成したというのが本当のところであります。我々事務方で協議をし、改革プランについては病院が作成するということになっておりました。それに基づいて具体的に調整をしてということでありましたので、スケジュールに沿ってやっておりました。7月28日には京都府立大学で山岸学長と長顧問、勝本顧問に集まっていただき意見を頂戴し、それをもとに修正すべき点等を加えて7月31日に推進会議を開催し、そこでいただいた案をもとに8月初旬にパブリックコメントにかける中で、議会基本条例に基づいて議案として提出していきたいと思っております。
 このガイドラインができたことについては、公立病院がこのままでやっていけるのかという懸念が国から出されたのが大もとだと思います。そこで今年度中に改革プランを策定しなさいと。経営の効率化、再編・ネットワーク化及び経営形態の見直しというのが大きなポイントです。経営の効率化については、3年間で経常収支がプラスマナスゼロ以上にならなければならないとなっていますし、2年経った時点で経営の効率化が難しいということが判断できた場合には、すぐにでも経営形態の見直しなり、再編・ネットワーク化に向けてプランの大幅改正をしなさいというのが趣旨であります。経営形態の見直しについては、5年を目途に計画を立ててということですので、今年立てて21年、22年の数値を見る中で経営形態等についてどうするかということを考えるということで、25年の時点では最終的に今の公設公営で不可能であれば他の病院との再編も視野に入れた行動を病院としてもとっていかざるを得ないというのがガイドラインのポイントだろうと思っていますし、基本的には公立病院とはいえ、赤字の垂れ流しではいけないというのもポイントだろうと思っております。お手元にお配りをしておりますが、今のままでは地方の病院は医師の確保も非常に困難になるだろうという予想でありますし、この改革プランが認められた場合の一番の特典は、16年に始まりました新医師臨床研修制度によって医師の引き上げが行われ、これが大きな原因となって経営が急速に悪化してきたのが現状でありますので、16、17、18、19年に発生した不良債務については、改革プランが認められると病院事業債ということで、公的若しくは民間の金融機関からも借り換えを認めましょうというものです。一時的には不良債務の比率は下がってきますが、病院経営にとってはその分を毎年均等償還していかなければならないので、それだけ純益を上げる必要があります。ちなみに弥栄病院が7億3千万、久美浜病院が3億4千万、両病院併せて10億7千万の不良債務があります。経営が好転しないときは、経営を公設公営から地方公営企業法の一部適応を全部適応にするか、独立行政法人の非公務員型にするか、指定管理者制度、若しくは民間委譲。数値目標についてですが、経常収支比率は5年間で100を超えるということになっています。あと、職員給与費対医業収益比率がありますが、これは病院によっていろんな考え方がありまして、例えば久美浜病院は薬を院外処方にしておりますので、収入の分母が小さくなってきますので、人件費比率は当然高くなってきます。弥栄病院は医業収益に外来の薬科の分を含んでいます。あと民間との違いとなりますと退職金の関係もありますので、必ずしも一律ということにはならないだろうと思います。また、病床利用率が大きなポイントになってきます。採算ラインとなりますと80から85は必要だとは思いますが、公立病院のあり方も考えて、国は、公立病院は一応70パーセントといっております。久美浜病院は現在、一般病床110床、療養60床の170床で、過去3年間は70パーセントを大きく超えています。弥栄病院は現在、一般200床、療養床48床の248床を分母にしておりますので、過去3年間は5割から6割がせいぜいであります。実態としては48床が休床ですので、それを勘案しますと大体7割、悪いときで7割少し切れる程度ですので、実態に合わせて分母を減らすよう今のところは考えています。
 仮に目標達成できなかった場合、民間との再編が可能かどうか非常に疑問な点も出てくるだろうと思います。二つの病院をひとつにしてひとつの形態を変えるにしましても、非常に広い地域ですので難しいのではないかというのが我々の思いです。ただ、あくまでも私の個人的な見解ですが、両病院とも古くなってきている関係上、建て替えという時期が出てきますので、それにあわせて整備するかも大きな問題だろうと思います。そうなら二次医療圏の与謝・宮津以北ではどうかということになりますが、与謝は今の流れでは府立医大が独立行政法人化にされ、将来的には府立医大の附属病院になる可能性が無きにしもあらずですので、ネットワークは組めますが一緒になってやることについては、今の段階ではなんとも申し上げにくいと思っています。そうなると経営を公設公営から地方公営企業法の一部適応を全部適応にするか、独立行政法人の非公務員型にするか、指定管理者制度、若しくは民間委譲となりますが、指定管理者制度にしても施設の改修も必要でしょうし、引き受けてくれる病院があるかどうか。独立行政法人の非公務員型にするにしても一度今の職員に退職してもらうことになりますので、じゃ来年からという話にはならないと思います。ただ、改革プランを作成するにあたっては両病院とも、医師・看護師・技師を含めた全職員の勉強会等での意思統一の中で、一定の数値を出していただいておりますので、徐々にその効果は出てくるだろうと期待もしていますし、財政面においても、繰入金も一定配慮していただいていると思っています。
 今後、改革プランが認められ、病院債を借りることができましたら、低利になりますし、利息については交付税に算入されます。今は久美浜病院も弥栄も起債制限があり機器購入がリースで割高となっていますが、不良債務が解消されますと、医療機器等購入に起債を借りることができます。医師が来る魅力にひとつに最新の医療機器があるというのがありますので、医師確保の上でもよくなります。
 経営効率化にかかる目標数値例の資料ですが、民間病院が近くにあれば民間病院を基準に考えなさいといわれています。特に給与費対医業収益比率はとても厳しいですが、どちらの病院も民間病院や公的病院と同じような数値になるよう努力してやっていけるという目標を立てています。ただ、先ほど言いましたように久美浜病院は分母が数億違いますので、その分を入れて数値を出しています。弥栄については非常勤医師が多く人件費率が高くなっていますので、常勤医をふやすことができましたら人件費は好転してくるだろうと思っています。以上、方向性を説明させていただきました。


 特例債は公立病院の役割をゆがめてしまう


 特例債による債務超過状態の克服は、見せ掛けの「経営改善」となりますが、以下の厳しい条件がつけられています。
①公立病院改革ガイドライン(平成19 年12 月24 日付け総務省自治財政局長通知)に基づく公立病院改革プラン(以下「改革プラン」という。)を策定し、経営の健全化の取組を行っていること。
②改革プランの実行により、単年度資金収支の均衡を図るとともに、公立病院特例債の償還財源を確保することができると見込まれる病院事業等会計であること。
③職員に対する給与及び諸手当に関し、不適切な運用等が行われていないこと。


 公立病院特例債の取り扱いについて(通知)


 万一「特例債」の申請を行う場合でも、住民や議会への説明責任を果たし慎重な論議が必要であることは間違いありません。ところが、ガイドラインに沿った改革を進める市長(総務省出身)は、8月8日、京丹後市病院改革プラン(案)を公表し、意見募集の手続きを行います。


 京丹後市病院事業改革プラン
 改革プラン収支計画

 弥栄病院改革プラン
 弥栄病院収支計画
 今後果たすべき役割

 久美浜病院改革プラン
 久美浜病院収支計画
 今後果たすべき役割


*久美浜病院改革プランで、「経営形態の見直し(検討)の方向性」のなかで「民間譲渡」にチェックが入っていますが、パブリックコメントへの回答の中で「久美浜病院の民間譲渡にチェックにつきましては誤りであり、チェックをとるよう修正させていただきます。」となっています。ただしプラン原文の訂正は行われていません。


(以上 つづく)




 
 
 

忙中閑話―『はよ死ね言うんかい!』 怒りの高齢者川柳

2008年10月27日 15時29分51秒 | 忙中閑話
 全国保険医団体連合会が、後期高齢者医療制度反対の運動に活用するため川柳を募集。秀作がホームページで公表されているので転載します。


 ○孝行は するなと国が 子に教え       三谷周三(和歌山)

 ○この命 松竹梅(まつたけうめ)か 終末期  風流人

 ○廃止して 変える医療の 風通し       小山太一

 ○尽くしても 最後は国から さようなら    遠藤薫(静岡)

 ○姥捨ての 入山料を 引き落し        田島貞雄

 ○死んでくれ お国の為にと 二度言われ    嶋田佐和子(香川)

 ○七十五 金と命の分岐点
 ○すぐそこよ 後期医療が エスコート    
 ○後が無い 金も無い方 ご自宅で       村上知行(福岡)

 ○皆保険 支えた高令 邪魔になり      
 ○無駄使い 頬っかむりして 老いいじめ    無歯顎

 ○年寄は 死んでください 国のため     
 ○借金に まみれて棄老の 国となる      吐露(福岡)

 ○枯れ木でも 管理費かかると 国がいい   
 ○姥捨ても 背負うくらいの 情けある     J,J マック(山梨)

 ○風前の 灯り見据えて 危寿祝う       松尾不精

 ○六文が 二阡円に 値上げさる(三途般頭組合) 白勢克彦(長野)

 ○楽しみを ひとつ我慢で 医療費へ
 ○病院が 消えて立派な 道路でき       名無し

 ○老人をいじめてタクシー乗り放題       宮本正浩


(以上)

京都府内 公立病院の動向(10)―京丹後市の病院改革プラン

2008年10月25日 07時28分35秒 | 資料&情報
 京丹後市立病院問題の第3回目です。
 13回にわたって開催された「医療改革改善推進会議」の内容と、公立病院改革ガイドラインに基づく「改革プラン」について検討をしていきます。


 住民不在の「推進会議」―答申の推進をはかる会議に市民公募もなし


 前回「推進会議」の構成について掲載しましたが、“専門性”の名の下に6名という少人数の構成であり、さらに顧問や医療経営コンサルタントのオブザーバー参加など、市民の声を反映する体制ではありません。「京丹後市医療対策審議会」が、市民病院について当面「公設公営」とし、その後のあり方の選択肢を示したのちであるだけに、住民の意見を聞く会の開催やパブリックコメントも大切ですが、直接「推進会議」への市民参加(公募委員等)が求められていたのではないでしょうか。
 なお、現在公表されている12回に及ぶ会議傍聴者は30名であり(第11回議事録は公表されていない)、会議途中から「非公開」とするなど、住民に開かれた行政運営としても問題が残るといえます。



 推進会議論議で明らかになってきたこと


 推進会議は久美浜病院・弥栄病院の経営状況と改善問題に軸をおいて論議がおこなわれます。
 第4回推進会議には久美浜病院院長も参加し、「公立病院とはなにか」について注目すべき論議となっていますので紹介します。(議事録全文は末尾に掲載)病院経営について不慣れな方にはわかりづらい表現もあるかと思いますが、住民の目線で判断してください。


会 長(笹野満氏:北丹地区医師会会長、丹後中央病院院長を経て名誉院長)
 今年度はどれくらいの収支を見込んでいますか。
病院長(奥田聖介久美浜病院長)
 予想としては約2億円の赤字を予想しています。去年が約2億5千万円でしたので約5千万円は改善されていると思います。
会 長
 一番問題なのは、入院の診療単価が安すぎることだと思います。2万5千円を割るという数字は経営的に大変厳しいものがあると思います。もう少し入院の診療単価を上げる努力をされる必要があるのでは。
病院長
 久美浜病院の理念は、患者さんにとって、一番いい医療をやっていこうということです。医療費を安くあげて、いい医療をやって、早く良くなってもらおうと考えています。入院の診療単価を上げることを考えると、どうしても、何か検査を増やすとか、薬のことを考えるとか、そういうことに繋がってくる可能性があるのではないかと思います。当院の平均在院日数18日というのは大変短いと思っています。短くて診療単価は安いわけです。患者さんにとっては最善の医療をやっていると考えています。例えば、小児科では、軽い肺炎は入院せずに外来で治療したりしています。入院したら単価も上って経営的にはいいのですが、家族にしてみれば外来の方が安くあがるし、お母さんにとっても家で看られます。そういうような安くていい医療をやっていこうというのが病院が出来た時からの考え方です。
会 長
 あえて反論させて頂くと、結局、肺炎を外来で治療するというのは、入院単価には影響ないのです。外来か入院か、際どいところを出来るだけ外来でやるというのは、一つの信念としていいことだと思います。しかし、そうすると入院単価は上ってくる筈だと思います。ほんとに重い患者さんだけが入院してくるわけですから。入院単価が上って患者数が減ってくるというのは、理屈に合うのですが、患者数が増えて入院単価が減るといのは理屈に合わないと思います。
病院長 平均在院日数でみたら、決して慢性期の患者さんばかりみているのではな く、急性期の患者さんをみてこれだけ安いのですから、地域住民からみたら一番いい医療をやっていると思っています。入院の診療単価が低いのは、むしろいい医療をやっていることの証ではないかと思っています。
(中略)
病院長
 当院は決して旧久美浜町だけの病院という意識はもっていません。合併後、京丹後市は大変広域となっています。当院の役割として京丹後市全体の病院となるよう目指していきたく思っています。診療単価の問題ですが、診療単価を上げることばかり強調すると、それなら辞めるという医師も出てくると思います。久美浜病院になぜこれだけ医師が残っているかといいますと、やはりそういう考え方を大切にしているからです。2億円の赤字を埋めるのに、とにかく診療単価を上げるよう努力するというのも一つの方法かもしれませんが、それは地域住民にとってはマイナスの方向に向かうことになると思います。
会 長
 先生が医療費を抑えていると言われますが、2万3千円は、ものすごく少ないです。固定費だけで1万7千円から1万8千円くらいになるのですから。先生の言っている検査を少なくするというような話ではなく、考え方を検証しないと話が先に行かないのです。診療報酬の請求が落ちているとかの疑いも少し持っているのです。2万3千円は極端に安いです。2万5千円は必ずいく筈です。
病院長
 請求に漏れがあるかどうかについては、検証する必要があると思います。しかし、そんな大きな漏れがあるとは思えません。
会 長
 先生が言う安くていい医療に反対しているわけではないのです。私自身が薬を多く使うのが嫌いで、安いのがいいのですが、そういう理屈ではないんだと思います。おそらく、私は病院の運営上の問題があるのではないのかと思います。一度検討をお願いしたいと思っています。
(中略)
病院長
 赤字をこのままにしていいような状況ではないことはよくわかります。しかし、経営のこと、赤字を減らすことばかりを考えると、不採算の分をどんどん切っていくことになります。このことが地域住民にとってほんとにいいことかどうか。久美浜病院は、あまりお金にならないことにも力を入れています。そういうことを全部止めて、経営のことばかりになると医師のモチベーションが下ってくると思います。久美浜病院の医師はそれを志として、今の医療を支えているのです。地域住民が何を求めているかというのを、トップに立つ人には考えて欲しいと思います。
助 役
 誤解のないようあえて申し上げたいのですが、先生の崇高な医療に対する思いを否定するつもりは全くありません。ただ、それと同時に将来に向かって、大きな問題が出て来ているということです。そのバランスが難しい点だと思いますが、大きく時代背景が変わってきているということを直視して、身を切る思いの中で、改革に取り組んで行かざるを得ない状況になっているということではないかと思います。
病院長
 よくわかります。病院としては、予防から治療さらに介護までの全人的医療、即ち地域包括医療を目標とし理念として、病院職員が一丸となってやってまいりました。開設者の市長さんにお願いしたいのは、病院職員のこの気持ちも大切にして欲しいということです。
助 役
 それは極めて当然のことだと思います。先生のおっしゃることは十分理解できますが、そこのバランスを考えて、今よりも一歩も二歩も踏み込んで、税を負担していただく住民の立場での目線にも重きをおいて、その上にたって、あり様が求められているということだと思います。
政策監
 久美浜病院の評価は議会でも十分されています。今病院長の言われている部分についても理解はされています。ただ、公立病院の責務が地域住民の安心安全といいつつも、不良債務が膨れてくると、これでいいですかという議論にもなって来ているのです。
病院長
 民間の医療機関が訪問看護や通所リハビリ等在宅介護支援サービスを縮小しておられます。しかしながら、久美浜病院では訪問看護、訪問診療、通所リハビリ等の在宅支援サービスを何とか守っているのです。京丹後市という広域での介護も含めた地域医療に対して、京丹後市としてのビジョンが今後最も必要になってくるものと思います。
会 長
 政策医療だからお金にならないということではないのです。確かにお金にならないものもあります。しかし、それがどれくらい欠損になるのか調べる必要があるということです。例えば、病院長が佐濃診療所に行っている分が、いくらの赤字になっていますかということです。全部ひっくるめて政策医療だから、いくら赤字でもかまわないのではなく、個々の事例を検証して数字が出て来ないといけないのです。概算でもいいので数字が出て来ないと説得しにくいということです。もう一つは、あるところまで行くと、市民病院が二つとも崩壊するということです。そしたら、無いより有る方がいいという議論が出てくるのです。
(以下 省略)





 おそらく全国の公立病院を抱える市町村では、「公立病院改革ガイドライン」にもとづき、上記のような論議が展開されているものと想像できます。いみじくも助役の発言にあるように「大きく時代背景が変わってきているということを直視して、身を切る思いの中で、改革に取り組んで行かざるを得ない状況になっている」との行政の姿勢で、本来の公立病院の果たす役割が薄められていくことになっていくのでしょう。
 病院経営の改善努力は当然のことだと思います。笹野会長も民間病院の院長経験の立場からあえて辛らつな発言を行ってられると思います。笹野氏自身、政府・厚労省の医療改悪に反対の意見(参照)を主張されている方であります。
 公立病院が自治体と一体となって地域の医療・保健・福祉をまもる役割を発揮する中で生じる「赤字」の大半は、行政改革のなでおこなわれてきた医療費削減政策、診療報酬の引き下げ、医師抑制政策、患者負担増などの受診抑制にあることは明らかです。
 「身を切る思い」での改革でなく、住民の皆さんとともに公立病院の役割をいっそう明確にして、当初方針通りの公設公営を貫くべきだと思います。


 推進会議(第1回~第13回議事録及び資料)は市のホームページで公開されています


(次回 つづく)

 





 


 


京都府内 公立病院の動向(9)―京丹後市の病院改革プラン

2008年10月23日 00時42分27秒 | 資料&情報
 京丹後市の病院改革プランの続きです。


 京都府議会9月定例会で日本共産党の光永敦彦議員が京丹後市を含む北部医療の問題を取り上げています。

 今後の資料提供を理解していただくうえで、まず光永議員の質問を紹介します。



 地域医療を守る自治体病院の重要な役割をどう認識しているのか


【光永】さて医師不足や地域医療全体が深刻となる京丹後市では、「医療改革改善推進会議」が開催され「公立病院改革プラン」(案)が示され、京丹後市議会で、現在、継続審議となっているとお聞きしています。プラン(案)では、市立久美浜病院と市立弥栄病院は、「公設公営」とするこれまでの方針を踏まえ、すぐに「再編ネットワーク化」や「診療所化」をめざすことにはなっていません。ところが、今年7月に開かれた「京丹後市医療改革・改善推進会議・顧問会議」で、顧問の一人、総務省の公立病院改革懇談会座長、「公立病院改革ガイドライン」を取りまとめた長隆氏が、「すべての改革は再編ネットワークが基本になっています。2つの市立病院をネットワーク化するといったことは、あたりまえのことであって、再編・ネットワーク化として認められません。」と述べ、再編ネットワークについて、民間病院や公立病院などを含め、「一体的経営などを想定させていただいています。県と市との統合についても当然具体的に着手する必要があるということです」とまで述べておられます。現在、京丹後市では、訪問看護ステーション2箇所が閉鎖され、5箇所が3箇所となりました。診療所を開設している医師は15人程度。そのうち、週1~2日だけ診療を行っている診療所をのぞくと、実質10診療所程度となっており、在宅の基盤が厳しく、病院が診療所的機能も担っています。
現に、北丹医師会長は「常時、在宅医療を担っている医師も少ない状況で、国がいう在宅強化の基盤がないのが実情」と述べられています。そこで伺います。すでに在宅の受け皿も不十分なもと、総務省のガイドラインがすすめるような、「再編・ネットワーク化」や「診療所化」で、地域医療が守れると考えられますか。お答えください。
先日開かれた府民生活・厚生常任委員会で、地域における医療体制の確保について、京丹後市立久美浜病院奥田院長に、病院と行政、健康福祉委員という住民ボランティアが共同し、地域包括医療の実践を通じ健康で長生きできる条件が広がり、結果として医療費も削減している事例をお話いただきました。その中では、「合併後、広域になると効果が薄まる。健診もこれまでなら健康福祉委員が説明、訪問してきたのに、今は郵送のみ。健診率も10%程度下がっている。」と指摘し、「公立病院だからこそ、行政と一体でこれまで取り組めてきた。」「病院は努力しているが、それだけでは医師確保は難しい。」などと述べられていました。
現在、旧久美浜町には開業医がお二人おられますが、一人は高齢のため、実質診療所が一つとなっており、市立久美浜病院が在宅医療も含め担っておられます。市立弥栄病院も同様に、診療所への医師派遣をはじめ、地域医療の重要な役割を担っておられます。そこで伺います。府北部地域の地域医療を守るという観点から、自治体病院の現在果たしている役割について、どう認識されていますか。また、こうした医療機関の努力を生かす上で、京都府として、医師確保はもちろんのこと、どういった支援策が必要と認識されていますか、お答えください。

【知事】「公立病院改革プラン」について、公立病院は、救急・小児・周産期・災害医療等さまざまな役割を担っているが、とくに、過疎・高齢化の進む地域等においては、北部が京都では代表的だが、採算面からも民間医療機関では成長が難しい医療になっていることも多く、地域住民の健康や医療を確保する上で、極めて重要な役割を果たしていると考えている。そのため、府としても、これまでから各公立病院の施設整備への財政支援や、今一番問題となっている病院運営の要となる医師確保対策等を私は全国でも有数の対策を講じていると思いますが、積極的に推進し、その運営を支えてきた。ただ、公立病院は、税金を投入して運営されているわけですから、住民の皆さんに対しては、その経営状況をしっかりと説明することは、当然の責任であり、また、公的な役割に反しない範囲において経営改善のために努力を行っていくことも、また当然のことである。


 光永議員の一般質問と答弁(概要)



 京丹後市医療対策審議会答申からの転換―病院改革ガイドラインの具体化推進へ


 前回は、京丹後市医療対策審議会の結論として
①京丹後市の病院事業は、経営改善を図り、当面、公設公営により運営し、医師の確保、診療体制の検討、病院環境の整備を進めることとすべきであること。
②早急に病院事業全体のあり方を見直すとし、
ア.公設公営方式
イ.地方公営企業法全部適用による運営
ウ.公設民営方式(指定管理者制度)
エ.地方独立行政法人化
オ.PFIによる病院の整備と運営
を選択肢として提示しました。

 その後、検討委員会での答申から8ヵ月後の06年12月に6名の委員による「京丹後市医療改革改善推進会議(原則公開、一部非公開)」が開催されます。検討委員会が市長の諮問に対する答申をおこなう機関であったのに対し、改革改善推進会議は「推進会議は市長の要請に応じ、京丹後市の医療対策に関する専門的な事項について調査、研究及び審議を行い、市長にその結果を報告し、又は意見を述べるものとする。(改革改善推進会議条例第2条)」「委員は、医療関係又は病院事業について専門的知識又は経験を有する者のうちから市長が委嘱する。(同第3条)」との位置づけになります。

第1回推進会議で、市長は「市の地域医療のあり方、市立病院のあり方について、医療対策審議会から答申を頂いたが、答申内容の実現、特に市立病院の経営改善を目指して、この会議を設置しました。」と、経営改善が目的との発言をしています。

<推進会議委員>
笹野 満(北丹医師会会長 (財)丹後中央病院名誉院長)
上田 誠(北丹医師会副会長 (医)上田医院理事長)
廣野勇夫(京丹後市立病院経営改善専門委員)
小松慶三(小松慶三税理士事務所代表)
安達健蔵(京都府薬剤師会京丹後支部長・安達薬局代表)
増田至誠(元久美浜病院事務長)
市からは荒田裕安助役が出席。

第2回会議で顧問の承認を行い、勝本宗繁顧問(元京都府峰山地方振興局長・元京都府宮津地方振興局長)が逐次参加をおこないす。

第7回会議から第10回会議まではオブザーバーとして医業経営コンサルタント・税理士の㈱継栄クリニック金井博基社長が参加しています。金井氏はNPO法人公立病院をよくする会の役員もかねていますが、京都府が洛東病院の廃止をおこなった当時の府「あり方検討委員会」のメンバーです。



 府議会04年9月定例会での日本共産党島田敬子議員の質問から、関係部分を紹介します。
「洛東病院の廃止について、包括外部監査と急ごしらえの府立病院あり方検討委員会が外堀を埋めるような働きを急速に進めたことは、代表質問で、わが党の本庄議員が指摘をした通りです。とりわけ、「あり方検討委員会」に京都府が呼んだNPO法人「公的病院をよくする会」は、その実態は医業経営コンサルタント会社であり、しかも兵庫県で昨年九月に認証されたばかりの団体です。いかにも市民代表であるかのようにカモフラージュして参加し、ここが府立医大病院への統合を結論づける中心的役割を果たしているのです。どこからみても、洛東病院を廃止という財政当局や知事がしいたレールの上でのつじつまあわせが行われたことは明瞭です。」(以下省略)

 9月定例会での島田議員の発言全文(10月8日)
 
 

また今年4月には推進会議の充実・強化をおこなうとして、あらたに山岸久一顧問(京都府立医科大学学長)長 隆顧問(総務省公立病院改革懇談会座長)2名が加わることになります。

長隆氏は、公立病院改革ガイドラインを作成した懇談会の座長であり、全国の公立病院改革を実際に手がけてきた公認会計士(東日本税理士法人)の肩書きを持っており、顧問という立場ですがガイドラインに沿った強力な推進体制を作り上げます。


 顧問招請を伝える京丹後市の報道資料(各氏の経歴等を参照のこと)


(次回につづく)

京都府内 公立病院の動向(8)―京丹後市の病院改革プラン

2008年10月22日 06時27分26秒 | 資料&情報
 京丹後市は2004年4月、峰山町、大宮町、網野町、弥栄町、久美浜町の6町合併により誕生した自治体です。
 合併により旧弥栄町国民健康保険病院及び旧久美浜町国民健康保険久美浜病院が市立病院として引き継がれることになりました。今、2つの病院を巡り、「公立病院改革ガイドライン」に基づく病院の再編・統合問題が検討されています。


 2003年8月の「合併協定書」では、直営病院2病院の扱いについて
「現行のとおりとする。安心して医療を受けられる体制を確保するため、民間医療機関との役割分担をしながら協力体制を図り、弥栄町国民健康保険病院と久美浜町国民健康保険久美浜病院の医療体制を充実し、地域医療供給体制を確立する。ただし、経営の効率化を図るとともに、地方独立行政法人制度についての検討を進める」と記述され、独立行政法人問題については、「4月25日に国会に『地方行政独立法人法』が提出された。これは、地方公営企業法による事業などを対象に法人化できるとしたもので、資産と人員のすべてを一つの法人に移行し独立採算で運営するもので、経営の透明性を高めることが主な目的とされた制度である。(合併協議会第15回住民・福祉・教育小委員会議事録)」と事務局は説明をしています。


 独立行政法人問題については、04年合併後の最初の市議会で日本共産党平林議員の質問に対し以下の答弁がおこなわれています。

▼平林議員
 続きまして最後の質問ですけれども、地域医療の充実ということで、市民病院の今後の有り方について。病院の問題については何名の方かが問われましたけれども、丹後では本当に医療過疎だと言われて、なかなかお医者さんも確保できないというような状況も、もちろんこのことは安心して受けられる医療体制にならないということで、市民にとっても本当に不安な状況に今置かれています。市長は、医療審議会を設置して、地域医療体制の整備の検討ということを言われているわけですけれども、一方でこの中できっと議論されていくのじゃないかと思うわけですけれども、合併協議においては地方独立行政法人制度というのを活用させていくということを言われているわけですけれども、言ったらこれは法人ですね、市民病院から手が離れて、市から全部離れるわけじゃないですけれども、民間へ丸投げというところまではいかないにしても、どうしても安上がりを優先させていくことになりかねません。やはり病院というのは住民の健康や命を守ることを最優先にしなければならなない。経営的なものを優先させることはならないというふうに思います。ましてや、こういった京丹後市、北部のところで自治体病院としてしっかり責任を果たすべきだというふうに思うわけですけれども、地方独立行政法人制度、このことについては市長は市民病院をどのようにということではお考えがあるんでしょうか。
○中山市長
 地域の医療体制全体をどうするかということの中で、市民病院のいろいろな経営の様々なあり方というか相互にどう連携するかとか、あるいは民間病院とどう連携するかとかいうようなことも含めて、検討しなければいけないということだと思いますけれども。確かに経営の効率性だけが優先されてはいけないというふうに思っております。一番大切なのは患者さんの立場になってきちっとした医療が安定的に提供できるかどうかというような視点の中で、まずそこを震源地としていろいろな検討がなされていくべきだというふうに思っておりまして、選択肢の一つだとは思いますけれども、まずは患者本位の体制をどうつくっていくかというようなところにしっかりと立脚をして検討をしていかないといけないというふうに思っております。


2004年12月から06年2月にかけて8回にわたり「京丹後市医療対策審議会」が開催され、京丹後市における市民病院のあり方について及び京丹後市における地域医療のあり方についての答申が出されます。


 京丹後市長に対する答申は、
①京丹後市の病院事業は、経営改善を図り、当面、公設公営により運営し、医師の確保、診療体制の検討、病院環境の整備を進めることとすべきであること。
②早急に病院事業全体のあり方を見直すとし、
ア.公設公営方式
イ.地方公営企業法全部適用による運営
ウ.公設民営方式(指定管理者制度)
エ.地方独立行政法人化
オ.PFIによる病院の整備と運営
を選択肢として提示しました。

 京丹後市医療対策審議会の会議録及び提出資料はここから


(次回につづく)




 

 


止めよ”うば捨てバス”-日本共産党小池議員の質問

2008年10月21日 07時43分36秒 | 資料&情報
 10月15日、参議院予算委員会で日本共産党小池議員が、第2回高齢者医療制度に関する検討会資料をもとに、厚生労働大臣にたいし、後期高齢者医療制度の廃止を強く求めました。


 しんぶん赤旗報道記事


 とくに、「検討会資料」として厚労大臣が作成したイラストを提示し追及した場面は議場を圧倒しました。


 うば捨てバスイラスト(pdf)


 10月7日、第2回高齢者医療制度に関する検討会資料



(以上)

京都府内 公立病院の動向(7)―舞鶴市立病院と病院の再編・統合

2008年10月20日 12時11分17秒 | 資料&情報
 舞鶴市立病院と病院の再編・問題について。地域医療あり方検討委員会が昨年末に最終答申をおこないました。


 検討委員会の答申=2年~4年以内に公的4病院の再編・統合をおこなう


 地域医療あり方懇談会は、舞鶴医師会長、共済病院院長、医療センター院長、赤十字病院院長、市民病院名誉院長、保健所長などが参加する舞鶴市の医療関係者を網羅した検討会です(瀬戸山氏はだい6回検討会より解嘱)。
 最終答申のポイントは、「舞鶴の地域医療が将来にわたって持続可能な医療提供体制を構築していくために、現在の公的4病院の再編を2年から4年以内に行い、1つの運営組織の下で運営することや現状の救急医療を踏また体制づくりに取り組むことが必要であること。また、医師を確保しやすい病院づくり・まちづくりを進めていくことや医療・保健・福祉の連携、さらには、市民(患者)の地域医療に対する理解を深めていくことが必要であること」とし、「近時、総務省の「公立病院改革懇談会」から公立病院改革ガイドライン(案)が示されましたが、公立病院改革を「効率経営」「再編・ネットワーク化」「経営形態の見直し」の3つの視点から推進することなどが基本となっていることから、公立病院の改革が急務」としていることです。

 具体的は方向性として、公的4病院の再編を、新たな運営組織の元に①2つの急性期病院とし連携と役割分担を病診でおこなう②1つの急性期病院とし連携と役割分担を病診でおこなう の2つの概念図を示しました。


 舞鶴地域医療あり方検討委員会 最終答申

 参考資料 検討の経緯

 参考資料 公的4病院診療実績調査結果

 参考資料 勤務医アンケート結果

 参考資料 医療・保健・福祉の連携


 今こそ、市民の立場にたった市議会での論戦を


 舞鶴市議会は、今年3月市議会で病院事業補正予算案が否決(6月議会では病院事業予算可決)されるなど、市立病院再建にむけた否定的な動きも起こりました。
 同時に、議会内に「地域医療対策・公的4病院再編調査特別委員会」が設置され、市民の立場や働く職員の立場も含めた論戦が続いています。
 一方、市当局は、公的4病院再編問題については、「市といたしましては、この舞鶴地域医療あり方検討委員会の答申を尊重し、将来にわたり持続可能な新しい医療提供体制の構築を図るため、関係機関と連携・調整を図りながら取り組みを進めてまいる」「現在、答申案に沿った公的病院の再編を推進するため、本市に医療政策監を設置するよう準備を進めております。この医療政策監は、医療分野に精通した専門家の方にご就任をいただきまして、各病院の設置母体など、関係機関との調整や地域医療に係る調査研究等を行い、アドバイスをいただくことといたしております」と検討委員会の答申に沿った再編を進めていく立場を表明しています。
 医療政策監の人選は、あり方検討委員会の委員であった兵庫医科大の後藤章暢氏が就任(京都新聞9月26日付)と報道しています。


 今こそ、住民とともに地域医療を守る運動を


 9月24日、舞鶴市は「舞鶴市集中改革プランの策定及びパブリックコメント手続制度(意見募集)の結果について」を公表しています。
 「集中改革プラン」は、小泉構造改革の柱として地方自治体に住民無視の改革を押し付ける総務省「地方公共団体における行政改革の推進のための新たな指針(平成17年3月)」にもとづき作成された「改革プラン」です。舞鶴市のみならず京都府や京都市においても「指針」にもとづき、住民無視の施策、公営事業の指定管理者制度や独立行政法人化、民間移譲などが「改革」の名の下に推進されてきました。

 地方公共団体における行政改革の推進のための新たな指針(総務省)

 舞鶴市の「集中改革プラン」は平成18年5月の日付で作成されたもの(平成17年度中に5年計画として公表せよとの内容)ですが、病院事業については「地域全体の医療提供体制の確保するという大局的な観点から、事業を抜本的に見直します。従来の急性期を中心とした医療から療養型を中心としたリハビリ・透析などの慢性期・回復期医療の提供に転換し、その運営を加佐診療所も含め、民間医療機関へ包括的に委託します」との文言がそのまま掲載されています。
 一方で、「集中改革プランの見直し」の項では、「住民ニーズの変化や地方分権の進展、さらには、舞鶴市民病院の今後の体制見直しによる市財政への影響等、常に舞鶴市を取り巻く環境は変化するものと考えています。今後、持続的に効果的な改革を実行していくためには、絶えず見直し、改善・改革を行っていくことが必要であり、この集中改革プランについても、機会をとらえて、随時、内容の追加、変更等の見直しをしていきます」と記述されており、今の時期での「集中改革プラン」策定・公表についてふさわしくないのは明らかです。


 舞鶴市ホームページより


(次回 京丹後市病院問題につづく)





 


 

 



 

   
 

後期高齢者医療制度―4野党が「共同声明」発表

2008年10月17日 13時51分05秒 | 資料&情報
 10月15日、4回目の年金天引き、本格的実施を受け、民主党、日本共産党、社民党、国民新党の野党4党が「共同声明」を発表しました。



      後期高齢者医療制度は早急に廃止を
      高齢者医療保険料の4 回目の年金天引きを迎えて

                                民主党
                                日本共産党
                                社会民主党
                                国民新党

 
 本日10月15日、高齢者医療保険料の4回目の年金天引きが行われた。これまでサラリーマンらの家族に扶養され、保険料を負担していなかった約200万人、被用者保険の被保険者本人35万人、10月から年金天引きを実施する29市区町村の約90万人が新たに天引きの対象となるとみられ、今回天引きをされる後期高齢者は厚生労働省によれば669万人となる。さらに、国民健康保険に加入する65歳から74歳の前期高齢者についても、新たに1066市町村で年金天引きが実施され、今回約188万人から保険料が天引きされる。看過できないのは、後期高齢者医療制度に伴う年金天引きにより、世帯主の「社会保険料控除」が減り、税負担が増える「天引き増税」が多くの世帯で生じることだ。これまで国民健康保険に加入していた夫婦世帯のうち、約7割の世帯で天引き増税が生じる可能性も指摘されている。野党の指摘を受け、政府与党は世帯主の口座からの振替を可能にしたが、今回の天引きにあたり口座振替に切り替えた後期高齢者は約19万人、天引き対象者の2.8%にすぎない。増税についての周知徹底が不十分であることは誰の目にも明らかであり、政府の責任はきわめて重い。
 そもそも強行採決の末、法律を成立させたのは政府与党である。その先頭に立って後期高齢者医療制度の維持を訴えてきた舛添厚生労働大臣が唐突に見直しを表明したのは、自民党総裁選終盤の9月19日のことだった。翌日の報道番組では、「後期高齢者医療制度の抜本見直し」について言及し、75歳で区切る仕組みや年金天引きを改め、新しい制度に組み替えるのだと説明した。それにもかかわらず、国会審議の場においては、「一年をめどに必要な見直しを検討する」などと具体策に触れようとせず、4回目の天引きを強行するのでは、言行不一致もはなはだしく、選挙目当てのリップサービスと言われても仕方あるまい。
 すでに参議院で可決した後期高齢者医療制度廃止法案を衆議院においてただちに成立させ、後期高齢者医療制度を一刻も早く廃止すべきである。
 また、野党4党は、国民の手に政治を取り戻すため、早期に解散総選挙を行うよう強く求めるものである。

以上


 しんぶん赤旗報道記事


 民主党報道ニュース



(以上)


  

「介護1000事例」集約運動の「中間まとめ」―全日本民医連

2008年10月14日 08時28分05秒 | 資料&情報
 全日本民医連の「介護1000事例 集約運動」が注目されています。9月17日に「中間まとめ」として527事例の分析結果を公表しました。


 事例から引き出された問題群

 「中間まとめ」では、9つの分類で問題点を整理しています。

① 重い費用負担のため、利用を断念もしくは手控えざるを得ないケース
② 認定結果と本人の状態が著しく乖離しており、その結果、サービスの利用に制
約が生じているケース
③ 予防給付への移行や、軽度者に対する福祉用具の利用制限などにより状態悪化
や生活上の支障を生じているケース
④ 支給限度額の範囲ではサービスが足りない、もしくは限度額を超えた利用のた
め多額の自費が発生しているケース
⑤ 家族との同居を理由とする生活援助の機械的な打ちきりなど、いわゆる「ロー
カルルール」の適用によって利用の制約を受けているケース
⑥ 重度化が進行し、入院・入所の条件に乏しく、家族の介護負担も増大する中で
今後の療養・生活の場の確保に困難をきたしているケース
⑦ 医学的管理を要するため、施設入所、在宅生活に困難をきたしているケース
⑧ 在宅での介護、生活の継続が困難になっている独居、老々介護のケース
⑨ 在宅生活に様ざまな困難をかかえている認知症のケース


 それぞれの事例について具体的なケースを記述しています。ぜひ、一読してください。


 これらの事例を踏まえ、全日本民医連は「介護の社会化の再構築が必要」としています。
 

 必要な介護サービスを利用できる「介護の社会化」の真の実現と、それを支える介護従事者が専門性を高め、誇りをもって働き続けられる環境整備が急務


 「今回の事例調査は、相次ぐ費用負担の増大や給付の抑制が「保険あって介護なし」ともいうべき深刻な事態を広げており、必要な介護サービスの利用が困難な事態が利用者・家族の生活に様ざまな支障をもたらし、生活の後退を生み出していることを浮きぼりにしました。費用負担がままならない低所得層、家族の介護力が期待できない独居・老々世帯、介護サービスの継続が必要な予防給付対象者、24時間見守りが必要な認知症高齢者、日々の家族介護の負担が大きい要介護4・5、医学的管理を要するため在宅生活・施設入所に重大な制約が生じている利用者など特別な困難を抱えている層が存在しており、事態は深刻です。」と指摘しています。


 介護保険制度の緊急改善


① 利用料、介護保険料の負担軽減をはかること
② 本人の状態が正確に反映されるよう認定制度を改善すること。がん末期の場合は要介護5とみなし、相当の介護サービスを利用できるようにすること。認知症については、見守りや精神的援助の必要性を考慮した認定結果になるようシステムを見直すこと
③ 支給限度額を大幅に引き上げること。要介護5については支給限度額を廃止し、必要なサービスはすべて保険から給付すること
④ 予防給付の対象であっても、必要な介護サービスを利用できるよう改善すること
⑤ 特養建設に対する国の補助金を復活し、整備をすすめること。緊急で入所できるショートステイの拡充など、介護者を支援するための基盤整備を強化すること
⑥ 同居家族がいる場合の生活援助の規制など、いわゆる「ローカルルール」によって、利用の抑制や打ち切りが行われることがないよう保険者に対する国の指導を強めること
⑦ 介護報酬を大幅に引き上げ、最低でも、介護保険制度が実施された2000年時の介護報酬の水準まで戻すこと。利用しやすい制度になるよう諸基準を見直すこと。5月に成立した「介護従事者処遇改善法」の実効化をはかること」


 いずれも来年度の介護報酬改定で生かされるべき内容です。

 
 「介護1000事例」集約運動の「中間まとめ」(全日本民医連)



(以上)

 



京都府内 公立病院の動向(6)―舞鶴市立病院と病院の再編・統合

2008年10月10日 08時31分00秒 | 資料&情報
 今回は、舞鶴市立病院と病院の再編・統合の背景を理解する上で、「国立病院改革ガイドライン(総務省)」をとりあげます。


 小泉構造改革路線―医療改悪の槍玉に公立病院が

 2001年、小泉内閣の成立以降、行財政改革の名の下に「三位一体」「市町村合併」などが打ち出され、全国の自治体が住民無視の大きな変革を余儀なくされてきました。医療分野でも社会保障費削減の元で医療法改悪、診療報酬の引き下げが繰り返されてきました。

 この流れの中で、公立病院の「赤字」を理由として2002年自民党医療基本問題調査会公的病院等のあり方に関する小委員会「今後の公的病院等の在り方について」が公表されます。
 小委員会の文書は、「近年、医療を取り巻く環境が変化し、医療の質の向上や効率化を図るため、医療提供体制を見直すことが課題となる中で、「親方日の丸」的な運営がなされている公的病院等については、その機能・役割を明確化し、見直しを行うことが課題となっており、また、経営責任の所在が不明確で、人件費などのコストが民間に比べて高いといった問題も生じている」「公私の病院の役割分担の在り方について、構造改革の原則のひとつである「民間でできることは、民間に」という考え方を基本に、それぞれの機能・役割を明確化」「高コスト体質の公的病院等は、それぞれの病院を独立採算的な考え方の下に運営することとし、建設コストの是正、業務のアウトソーシングの推進等を含め、経営効率化、見直しを図ることが必要である。更に、公的病院等ごとの機能・役割を踏まえた再編成、経営形態の変更等の見直しを行うとともに、病床規制の在り方についても今後見直しを行っていくべきである」など、今後の公立病院再編・統合や民間移譲の考えかたを織り込んでいます。


 今後の公的病院等の在り方について


 その後、政府・自民党の意向に沿って、2004年11月に公立病院の再編・統合の「マニュアル書」とも言える「地域医療の確保と自治体病院のあり方等に関する検討会報告書(総務省)」が出されます。本文32ページ、資料等が添付された 「報告書」では、「自治体病院の経営基盤の安定化を図ることはもとより、その再編・ネットワーク化など、地域における医療提供体制の抜本的な見直しについて、検討を進めることが求められている。」と自治体病院の赤字を一番の問題点とし、自治体病院の再編・ネットワーク化の必要性では、「・交通ネットワークの整備や、情報化の進展等により、自治体病院が数多く設置された昭和30年代、40年代と比べると、全く異なる状況になっていること。・現在の自治体病院及び診療所を、今の形で残すことは、厳しさを増す自治体病院の経営状況、個々の自治体の財政状況、地方財政の状況から、困難と考えられること。・医師を確保しやすい状況を実現するためにも、現在の自治体病院及び診療所を、今の形で残す方法では無理があること。」としています。
 また再編・ネットワーク化の課題として「再編・ネットワーク化する場合には、中核機能が付与されるものの、必ず、規模縮小する病院や、病院から診療所になるもの、病床がなくなる診療所といった、現在通院している患者等にとっては、一面だけ見れば不便になるという課題が存在することになる。そこで、まず重要なことは、全体として、サービスが高度化することを地域住民に十分理解してもらうことである。今ある病院の近隣に住んでいる人の初期診療という点ではマイナスになるとしても、命にかかわるようなケースに対する医療サービスとしては相当程度レベルアップすることなどを理解してもらう必要がある。」と、露骨にその意図を述べています。さらに、地方自治体が再編・統合等のために医療状況や患者分析等を行いその分析結果を評価するときの留意事項として「分析結果を評価するにあたっては、十分機能できていない病院でもあった方が安心感があるとか、病床の活用が不十分でもまさかの時の対応という意味で確保しておいた方がよいとか、我が町の病院がなくなるのはおかしいといった感覚的あるいは感情的な判断を廃し、
①厳しい財政状況下において、住民の方々に効率的に医療サービスやへき地医療や救急医療など地域にとって必要不可欠な医療が提供される体制をどのように構築すべきかという視点
②20年後、30年後まで持続可能なシステムは何かという視点
③住民の方々の利便や将来コストも念頭におき、実現可能な方策は何かという視点
に立って、現実的な評価検討を行うべきである。」と詳細に指導しています。


 地域医療の確保と自治体病院のあり方等に関する検討会報告書(総務省)


 経済財政諮問会議の要請で「公立病院改革ガイドライン」を作成


 さらに公立病院改革(=再編・統合や民間移譲)が加速します。その旗振りが財界・大企業のトップも参加する経済財政諮問会議です。
 2007年5月開催された第13回経済財政諮問会議で、当時の総務大臣は、「現在の自治体病院は、地域の公的な基幹病院として、あるいはへき地医療などを担っているが、採算性の確保が非常に難しい状況になっている。近年赤字の増加や医師不足が非常に深刻で、極めて厳しい状況になっている。 改革は3つの視点を一体として取り組む必要があると考えている。1つ目は、経営効率化。給与・定員管理の適正化、経費の節減合理化等。2つ目は、再編・ネットワーク化。基幹病院とサテライト病院・診療所間の機能分担を徹底する。3つ目は、経営形態の見直し。八代議員からも指摘があったように、民間的経営手法を積極的に導入していきたい。 この3つの改革の視点に立ち、国のほうでガイドラインを是非作りたい」と報告し、具体化として、公立病院改革ガイドライン策定のため総務省内に「公立病院改革懇談会」を設置します。「懇談会」は07年7月から11月まで5回の会合を行い、12月には「公立病院改革ガイドライン」が正式に決定されることになります。


 毎回の「懇談会」配布資料及び「公立病院ガイドライン」はこちらから


 住民運動ではね返そう―「公立病院改革ガイドライン」の問題点


 ガイドラインの問題点については、京都自治労連の優れた批判文書があります。
今回の掲載の最後に紹介しますので、ぜひ一読してください。


 「公立病院改革ガイドライン」総論批判(京都自治労連)

 「公立病院改革ガイドライン」各論批判(京都自治労連)


(つづく)



 







 





 

京都府内 公立病院の動向(5)―舞鶴市立病院と病院の再編・統合

2008年10月09日 06時57分56秒 | 資料&情報
 引き続き舞鶴市の病院再編・統合問題を取り上げます。

 総務省が9月30日、「平成19年度地方公営企業決算の概況」を公表しました。


 京都府の財政健全化計画にもとづく暫定値の公表はここから(舞鶴市及び京丹後市の病院事業が基準値を超えている)

 

 地方公営企業とは、水道(含簡水)、工業用水道、交通、電気、ガス、病院、下水道、その他の自治体が運営する事業です。病院事業も含め一律に評価し、「総収支を事業別にみると、水道事業、電気事業及び下水道事業は黒字で推移している一方、病院事業は赤字が続いている。」と、病院事業での赤字を敵視した表現になっています。

 公営企業を経営する地方公共団体(組合及び地方開発事業団を含む。)は、毎年度、公営企業会計ごとに資金不足比率(資金の不足額の事業規模に対する比率)を監査委員の審査に付した上で議会に報告し、公表しなければならないとされています。資金不足比率が経営健全化基準以上となった場合には、経営健全化計画を定めなければなりません。

経営健全化基準は20%とされています。

総務庁が発表した、資金不足比率(資金の不足額/事業の規模)が経営健全化基準以上である病院名は、

(北海道)函館市 病院事業会計、小樽市 病院事業会計、留萌市 病院事業会計、苫小牧市 市立病院事業、美唄市 病院事業会計、赤平市 病院事業会計、士別市 病院事業会計、三笠市 市立三笠総合病院事業会計、根室市 市立根室病院事業会計、深川市 病院事業会計、松前町 病院事業会計、森町 森町国民健康保険病院事業会計、由仁町 病院事業会計、白老町 国民健康保険病院事業会計、平取町 国民健康保険病院特別会計、羅臼町 国民健康保険病院事業会計
(青森県)黒石市 病院事業会計、十和田市 病院事業会計、大鰐町 病院事業会計、板柳町 国民健康保険板柳中央病院事業会計、鶴田町 病院事業会計 *、三戸町 病院事業特別会計、公立金木病院組合 病院事業会計 *、一部事務組合下北医療センター 病院事業会計
(岩手県)奥州市 総合水沢病院事業会計
(宮城県)石巻市 病院事業会計、塩竈市 市立病院事業会計
(秋田県)男鹿市 男鹿みなと市民病院事業会計
(山形県)高畠町 公立高畠病院事業特別会計
(神奈川県)三浦市 病院事業会計
(石川県)穴水町 病院事業会計
(愛知県)常滑市 常滑市民病院事業会計
(京都府)舞鶴市 病院事業会計、京丹後市 病院事業会計
(大阪府)大阪市 市民病院事業会計、泉大津市 市立病院事業会計、泉佐野市 泉佐野市病院事業会計、松原市 病院事業特別会計、和泉市 病院事業会計、柏原市 市立柏原病院事業会計、阪南市 病院事業会計
(兵庫県)西宮市 中央病院事業会計、高砂市 病院事業会計、香美町 公立香住総合病院事業企業会計
(和歌山県)海南市 病院事業会計、有田市 病院事業会計
(鳥取県)智頭町 国民健康保険病院事業会計
(徳島県)徳島市 徳島市病院事業会計
(高知県)大月町 病院事業会計
(福岡県)川崎町 病院事業会計
(長崎県)大村市 大村市立病院事業会計、松浦市 病院事業会計
(熊本県)荒尾市 荒尾市病院事業会計


 これら53病院を含め、全国の多くの公立病院で再編・統合や民間委託が促進されようとしています。その具体化が「公立病院改革ガイドライン」です。

 公立病院改革ガイドラインのポイント

 公立病院改革ガイドラインについては、次回に取り上げます。




(つづく)



 



「京都市立京北病院の今後のあり方について」中間答申

2008年10月08日 06時37分31秒 | 資料&情報
 「京都市立京北病院の今後のあり方について」中間答申が公表されました。また中間答申及び京都市病院事業も含めた今後の経営形態のあり方についてを審議した、第5回医療施設審議会の議事録も公表されています。

 PFIによる京都市立病院整備運営事業及び京北病院問題については、現在連載中の「京都府内 公立病院の動向」でも詳細に取り上げる予定をしていますので、今回は資料提供のみとします。


 答申「京都市立京北病院の今後のあり方について」


 第5回京都市医療施設審議会会議録


 なお、9月24日開催の京都市議会公営企業等決算特別委員会(市長総括質疑)での日本共産党西村善美議員(京北病院問題)及び樋口英明議員(京都市立病院事業問題)の質疑内容(録画放映)がみられます。
 ぜひ参考にしてください。


 
 公営企業等決算特別委員会(市長総括質疑)の録画放映



(以上)


京都府内 公立病院の動向(4)―舞鶴市立病院と病院の再編・統合

2008年10月07日 06時18分43秒 | 資料&情報
 今回から舞鶴市民病院をめぐる動向と、舞鶴4病院の再編・統合問題について掲載します。


 舞鶴市民病院を巡るこの間の問題点については、すでに多くの報道や文書で紹介されていますので、簡潔に振り返ります。


 舞鶴市民病院は、2004年1月に突然自立再建を放棄、一般病棟の閉鎖や診療の縮小、民間譲渡を発表します。当時の京都府職労ニュース(ここから)には、府立洛東病院の廃止が引き金となり、府内各地の病院再編・縮小や民営化の動向を伝えています。
 しかし、民間委託や医師確保は進まず、防衛庁や近県からの医師派遣などの自体が続いていました。
 その背景には、2003年の医師大量退職などがあります。



 当時の舞鶴市議会(2006年12月議会)での日本共産党後野和史市議の発言を紹介します。

「内科医の集団退職直後の市議会では、市民病院を再建することが市の方針として示され、その方向で関係者の皆さんが、努力されてきたところです。ところが、市長さんは、内定していた医師の採用まで取り消し、2005年12月市議会は病気入院のため欠席されました。そして、翌年の2006年1月に、市議会にも諮らず、突然、京都武田病院への民間委託という市長提案を記者会見で独断で発表されました。民間委託も議会には、今回初めて提案されたもので、決まったことではありません。議会に提案されたのは、2006年度の予算案だけで、現在も市立の病院として経営されているのが事実です。その後、脳外科、口腔外科などが共済病院に移管され、救急体制も休止となりました。140人余りの入院患者が退院を余儀なくされ、外来も閉鎖となりました。ところが、京都武田病院は民間委託を受けず、市長の提案は破綻をしてしまいました。何とかこの10月から、明石回生病院の協力で医師が派遣され、診療の一部が再開されています。それだけに、一人で事を決め、市民病院を深刻な事態にさせ、患者、市民、地域の医療機関に多大の迷惑をかけた責任は、重大と言わざるを得ません。」
 「今、全国の自治体病院の多くが、住民の命と健康を守る責任を果たす上から、不採算の部門でも担当されてこられたことで、赤字が問題になっています。効率が悪いからといって、自治体が不採算部門をやめたら、誰がその診療を必要とする患者の命と健康を守るのでしょうか。効率が悪くても、市民の命と健康を守るために頑張るのが、公立の市民病院の役割ではないでしょうか。市民の信頼を回復するためにも、市民の英知を集める立場に立つことが重要です。今、「入院・外来の診療体制を早期に拡充すること」「救急体制は市が責任を持って確立すること」が求められており、どんな局面であっても、市民病院として再建する公的責任を果たす立場を堅持してこそ、市民の願いに応えることになるのではないでしょうか。
 医師がなぜ集団退職したのか。いまだに舞鶴市からも、江守市長からも説明がありません。江守市長がお辞めになる前に、このことこそ市民に明らかにしていただきたいと考えます。10月に放映されましたNHKの「なぜ医師は立ち去るのか・地域医療崩壊の序曲」という番組をご覧になった方も多いと思います。この番組の中で、江守市長は、病院の赤字を取り上げ、「市民の血税を使ってきたのに、患者を置いていくの。それが医術なの」こう述べられたとともに、「70人から80人を使っている中小企業なら、億の赤字を出したらつぶれていますよ。公だから赤字でもいいというのはいけない」と強調されました。
 ところが、自治体病院の経営分析をされている城西大学の伊関助教授さんは、「市民病院の医師の給与は、全国的に見て非常に安い」、「舞鶴市民病院は経営が悪いようには見えなかった。日本の自治体病院では優等生の部類なんですよ」と解説をされました。前病院長の大隈先生は、「市長が病院の経営会議に出られるのはいいんですよ。頑張ってくれよ、赤字を出しては困るんやというのはいいんです。赤字を出している病院が、何でアメリカ人の教授なんかを呼ばなあかんのか。ちょっとも収入に結びつかないではないか。若い医者ばかりで評判がよくないではないか」と助役や収入役からちょぼちょぼ言われ、しまいには、市長からも聞かされるようになった。目の前で市長から、「院長と副院長がしっかりせんからこんなことになるんや」と言われたら、もう職員が信用せんから、やめざるを得なかった、と経過をお話しになりました。
 市長が赤字の解消のために動かれたが、病院の現場を見ておられなかった。大隈前病院長が辞め、その後に、松村副院長より年の若い田中院長が就かれました。半年後には、松村副院長がお辞めになられ、後を追うように内科医師14名が、集団で退職されてしまった。内科医の皆さんは、私どもが聞いたところによりますと、「核になる医者を配置してほしい」と田中院長さんに求めたそうです。ところが、「嫌なら辞めたらいい」と、こう言われたそうです。市長自身も院長、副院長に続いて、内科医が集団で退職されるとは思っておられなかったのではないでしょうか。
 改悪に次ぐ改悪という医療をめぐる動きや、市民病院が救急救命体制、難病対策、リハビリ、へき地医療など、不採算の部門を受け持っていたこと、地域医療の確立を目指す院長や副院長を慕って若手の医師が集まっていた市民病院の独自の研修制度、朝早くから夜遅くまで、医師や看護師など、病院職員が懸命に働いておられたことなど、市長であれば当然理解されておられたはずです。
 ところが、江守市長が、「赤字をなくせ」「院長と副院長がしっかりせんからこんなことになるんや」と大隈院長を追い込んだことが引き金となり、医者の集団退職を招いたのではありませんか。いかがですか。この点でも、江守市長が当事者ですから、市長に答弁を求めます。お答えください。
 また、大隈病院長の当時、江守市長は病院の設置者であり、管理者でしたが、当然のこととして、管理者として財政分析をされ、赤字の原因を解明されておられたはずです。ただ単に「赤字をなくせ」とおっしゃったわけではないでしょう。何が市民病院の赤字の原因だったのですか。お答えください。」と鋭く追及をしています。




 2007年2月、任期満了に伴う舞鶴市長選挙がおこなわれます。
 選挙は市立病院のあり方が最大の争点となり、市立病院の再建・存続を公約とした前自民党府議が当選します。


 今年に入り、「空席が続く市立舞鶴市民病院の病院長に京都第一赤十字病院の藤本荘太郎副院長が就任する(京都新聞9月19日付)」と報道されました。
 再建に向けた一歩といえます。
 同時に、舞鶴市当局は、2007年5月に「地域医療あり方検討委員会」を開催し、初回の委員会では講話として、厚生労働省保険局総務課医療費適正化対策推進室企画官による「今後の医療制度の動向について」を議題とするなど、政府・厚労省がすすめる医療制度改革や公立病院改革ガイドラインよりの検討を軸に進められていきます。


 「地域医療あり方検討委員会」委員名簿(委員長:後藤章暢)

荒 木 義 正 舞鶴医師会副会長(荒木クリニック院長)
岸 本 良 博 舞鶴医師会会長(岸本病院院長)
後 藤 章 暢 兵庫医科大学 先端医学研究所 細胞・遺伝子治療部門 教授
瀬戸山 元 一 同志社大学大学院 総合政策科学研究科 
         医療政策経営研究センター チェア・プロフェッサー
曽 我 哲 司 舞鶴医師会理事(曽我内科医院院長)
多々見 良 三 舞鶴共済病院病院長
平 野 伸 二 舞鶴医療センター院長
弘 中   武 舞鶴赤十字病院院長
冨 士 幸 蔵 昭和大学 医学部 泌尿器科学教室 准教授
藤 井 一 彦 市立舞鶴市民病院名誉病院長
渡 邊 能 行 京都府中丹東保健所長・京都府立医科大学教授


*委員のうち瀬戸山元一委員についてはここを参照してください。
*経歴は
70年京大医学部卒第二外科出身、同年大和高田市立病院外科医員、74年京都大学医学部第二外科外科医員、外科医として日本専売公社京都病院勤務などを経て、82年に市立舞鶴市民病院、92年からは島根県立中央病院院長、05年には高知医療センターの初代院長に就任、現在は同志社大学教授。




(次回に続く)