京都社会保障推進協議会ブログ

京都社保協のニュースや取り組み案内、タイムリーな情報・資料などを掲載していきます。

「医療・介護総合確保法」に基づく京都府計画について

2015年04月24日 14時12分09秒 | 学習会報告

<京都府出前語らいで運営委員会学習>

    「医療介護総合確保促進法に基づく京都府計画」について

 3月26日に開催した第6回京都社保協運営委員会で、京都府の「出前語らい」という制度を利用して、私たちが日

ごろ知りたいとか聞きたいと思っている京都府の施策について、お話しいただく機会を得たので、昨年10月に発表さ

れた、「医療介護総合確保促進法」に基づく京都府計画」について語っていただきましたた。以下は、その内容です。

なお、文章に関する責任は、すべて京都社保協事務局にありますので、ご了承下さい。

    「京都府計画」策定の背景

府)今回、このような計画を策定する背景としては団塊の世代が75歳以上となる2025年を展望して、病床の機能分

化・連携とか在宅医療・介護の推進、医療・介護の従事者の確保、勤務環境の改善など効率的かつ質の高い医療提

供体制の構築と地域包括ケアシステムの充実が急務の課題なっているということ。これに対応するためにH26年度

4月から消費税が増税されて、この増収分を活用した新たな財政支援制度(地域医療介護総合確保基金)が厚労省

に創設されて、47都道府県に設置された。H26年度の全国の基金の規模が904億円になっていて、その構成比は

2/3を国が負担、残り1/3を都道府県が負担する。基金を活用するために各都道府県において都道府県計画を

策定して、都道府県計画に基づいてそれぞれの事業を実施する。だから、医療介護総合促進法に基づく京都府計画

は、国の財政支援制度をどのように使っていくかという京都府の考え方を示したものということです。これはH26年度

の計画であるが、27年度・28年度以降も毎年事業計画を作っていくことになるので、基本的にそれの第1回というと

ころだ。

    地域医療・介護総合確保基金の3本柱

 都道府県計画については厚労省が定めた総合確保方針というものがあって、それに基づいて各都道府県が独自に

作成する。その基本的な事項の中に公正かつ透明なプロセスの中で関係者の意見を反映させる仕組みを整備して

下さいとか、事業主体間の公平性・透明性を確保して下さいということが定められている。その他基本的な記載事項

として医療介護総合確保区域の設定とか目標・計画期間の設定、事業の規模、また27年度以降になるが事業の評

価方法について記載することとされている。今回の基金の中では26年度については医療分に限られているので、3

つの柱ということで①病床の機能分化・連携のために必要な事業、ICTの活用とか回復期リハビリ病床の確保事業、

②在宅医療サービス充実のために必要な事業、③医療従事者等の確保に必要な事業が対象とされている。従って、

介護の分野についてはH27年度以降これを含めて事業化するということになっている。H26年度の京都府の計画

については昨年11月に国から交付決定してお金が降りて来て、配分額は基金の総額が、京都府に24.7億円とな

っている。これの内訳は、①病床の機能分化・連携の事業分野で5億9100万円、②在宅医療サービスの充実に必

要な経費として5億2300万円、③医療従事者等の確保事業として13億5600万円が計画に盛り込まれている。

ただし、国の総額904億円の中身としてはすべてが新規の事業ではなくて、実際には京都府で9億円は今まで国庫

補助金として使って事業をしてきたもので、基金でやって下さいということになった。だから半分弱が既存の制度、半

分強が今回新たに事業化することになった制度という内訳になっている。

   京都府計画策定の流れ、予算化の経過

 26年度の計画策定の流れ、予算化の経過については、昨年11月に国から24.7億円が来て、12月の府議会で基

金の設置条例を定めた。その中で早急にすべき事業が一部あるので、12月補正予算で予算化した。この事業につい

ては京都府のホームページにも載っているが、この計画表で言うと勤務環境の改善・支援センターの設置とか医療情

報の共有化モデルの検討開始、また国の制度改正があったが難病とか小児慢性特定疾病の制度改正に伴うシステ

ム等の改修などこの辺の一部を12月補正予算で、2,450万円を予算化した。2月議会では従来の交付補助金につ

いて約9億円あるので、これを補正予算としてお願いした。ということで、実際この予算の事業計画期間としてはH26

年度から27年度末までという計画で作成している。残る金額約10億円については今回2月のH27年度当初予算で

計上しているので、これらの事業は27年度でほとんどが執行されていく。今回国のほうから地域医療ビジョンを来年

度以降定めるよう都道府県に言ってきているが、実際には現時点で地域医療ビジョンは策定されていないので、この

中で定められている目標とか必要な事業というのは現状でも保健医療計画というのがあるので、これに基づいて必要

とされている事業をそれぞれ事業化している。中身としては、この基金の考え方の1つとして官民比率、つまり公的医

療機関とか団体とかに行くものと、民間の各種団体・民間医療機関に行く基金の使い道を十分考慮するようにと国の

ほうからも言われていて、基本的には各団体とか医療機関からの要望、特に医療従事者の確保とか勤務環境の改善

を行いたいという要望をたくさんいただいていたので、その辺を配慮した上で事業計画を定めた。従って、京都府内い

ろいろ医療圏があるが、それぞれの医療圏毎にどんな医療資源があって、今後こうしていこうというのは地域医療ビジ

ョンの中で定めていくことになるので、現状においては京都府の課題と保健医療計画に基づく目標設定に基づいて計

画を定めた。

   計画に基づき実施する事業-①病床の機能分化・連携

  続いて具体的な京都府計画の中身について、1項目ずつ説明する時間がないので総括的な部分は先ほど言ったと

おりで、目標設定は保健医療計画をそのまま使っている。関係者からの意見聴取の方法なども2のところに書いている

が、今回は各種団体とか医療機関から26年の春頃に要望を聞き、その後もヒアリングを行い各種団体と調整させてい

ただく中で最終的には医療審議会にかけて計画を策定した。

  3.計画に基づき実施する事業について、NO1~5までは国が言う3本柱の中で病床の機能分化・連携のために必

要な事業を京都府で行う事業となっている。NO1・2については、ICTを利用した患者情報のIT化とかICT化推進事業

など総額3億円強となっているが、実際にはH26年度12月補正予算で検討費という形で若干予算計上しているので、

概ね3億円程度が27年度予算になっている。どのような制度を創設していくかはこれからの検討結果を踏まえるので、

具体的にどのような関係機関がICT化になっていくのかはこの場では申し上げられない。その他ICT化に直接含まれな

い事業もあるが、府内でのがん対策推進の事業とか北部特に舞鶴圏域での原子力災害時に患者情報をバックアップ

できるような仕組みの構築、北部の障害者の歯科医療構築のためのICT化推進などの事業を計画に盛り込んだ。この

事業は単年度が基本となっているが、国では複数年度の事業計画も可能とされているので、この辺は27年度末まで

に事業執行をできるように進める。

   ②在宅ケア・在宅サービスの充実

 NO6~8は、在宅医療・介護サービスの充実のために必要な事業として計画の中に盛り込んだ。この辺の事業は主

に各団体からの要望、地域での多職種の研修会を行いたいとか拠点整備のための事業を行いたいという要望を事業

化している。

   ③医療従事者の確保・養成

 3つ目の柱、医療従事者の確保・養成事業はNO9~11となっていて、各種団体とか病院から医療従事者の資質向上

とか離職防止とかの課題を言われている。これは保健医療計画の中にも含まれているが、その当たりの課題を解決する

ために様々な研修を実施したいという提案があったので事業計画化している。今回の24.7億円のうち14億円強がここ

までの事業で新規事業となっている。NO12以降の事業は従来から国庫補助金の制度として実施している事業を1つず

つ計画に盛り込んでいるので、そのまま基金を使って実施している。従って詳しい説明は省略する。

 今説明させていただいた都道府県計画は、今年度(H26年度)が初年度なので実際の事業は27年度に大部分執行さ

れるということになっているので、我々もいろいろ試行錯誤の段階です。基本的には各団体・医療機関の様々な声を反映

した上で、公平・公正に行うということになっているので、これからもご意見をいただきながらより良いものにしていきたい。

   <質疑・応答>

 A)表の中の「費用の額」の「その他」というのは、府の単費ということか。

 府)府の単費ではない。事業をする側の負担額だ。

    ICT化事業の評価・勤務環境の改善について

 A)これから実際に事業を進めていくので、なかなか今の時点で効果を示すというのは難しいと思うが、例えばICTの関

係でいうと、かなり以前から事業計画としてはいろんな形で掲げていると思うが、なかなか現場では上手くいっていない状

況がある。カルテ1つをとっても全然違うという問題がある。そこら当たりで、データの共有ということが基本的に大事だと

思うが実際は上手くいっていない状況があって、福知山でも鳴り物入りで始まったがなかなか上手くいってないということ

がある。その辺をどう見るかということ。もう1つは医師・看護師の確保の関係で事業計画ではいくつか柱を立ててやって

いるが、労働条件の改善という点でいうと、今度センターができたが働いている職員・労働者にとって、直接目に見える形

というのがなかなか難しいと思う。そこら当たりをどう考えているのか教えていただきたい。

 府)まずICTの関係だが、マイナンバー制というのがこれからどうするかということで出てくると思うが、今医療関係団体の

方、大学の関係者、病院の方とかに集まっていただいて、個人情報になるのでそういったデータをどういう形で活用してい

くのか検討会で検討していただいている。確かに電子カルテをそのまま入れるとかは、すでにそれぞれ出ていて、普通の

ルートでそれぞれ動いているので、それを1つにするというのは基本的にむずかしいので、そういうことではなくて例えば左

京地区医師会で実際にやっているが、患者が小さなカードを自分で持ち運んで、それを先生に見せればデータが見られる

という形にすれば個人情報も保護できるので、そういった限られた中でみなさんがデータを共有できるというのもICT化の

中で考えていただくということで、医師会や大学・病院の方々に検討いただいている。勤務環境のところは、27年1月5日

に京都府では勤務環境支援センターを開設した。これは医療法が改正されて各都道府県につくりなさいということになって、

各病院の管理者には勤務環境をつくる責務、国についてはそういった情報を集めてみなさんに提供する、都道府県は

相談窓口をつくる。これは労働局といっしょにつくるという前提になっているので、器は労働局に置いて社労士を置く人件費

を確保している。私どもは京都私立病院協会に委託をして1月5日にオープンした。先ほど言われた見える形というのは、

実際にはこれからという部分もあると思うが、各病院については勤務環境を改善するためのワークシートというか、改善計

画書を努力義務ではあるがつくっていこうという形になっていく。各セクションの方たち、例えば看護部長であるとか薬局と

かいろんな部局と事務方、院長含めてそういったものをつくっていくということがこれから出てくるので、その当たりでいろん

なお話しをしていただくということもあるでしょうし、計画の中にもあるがワークライフバランスの研修会を看護協会に委託し

てやっている。こちらを使っている医療機関もあるし、いろんな形で勤務環境についてはアプローチしている。

   地域医療構想のイメージについて

 B)元々この基金をつくられたのは、国の制度の中でいうと地域医療構想の実現というときにこの基金を使った事業で構

想を進めていくというような設計じゃないかと思うが、先行してこういう形で計画がスタートしたので、今は保健医療計画の

中の事業に則る形でやっていると思うので、これそのものの話しではないが、地域医療構想を実際に京都府でつくってそ

の後で、例えば地域医療構想を実現していくときには、機能分化を具体的にちゃんと考えているような形で医療圏ごとに

高度急性期とか急性期とかの病床数をちゃんと合意をつくりながらやっていけるのかというようなところが課題になってい

くと思うが、そういうことのために基金を使うということになると、具体的にはどんな事業が想定されるのかというイメージ

がよくわからないので、もし何かお考えがあれば聞きたい。今の計画のお話しでいくと機能分化というよりは、連携の事業

ですね。だから実際に機能分化という話しになると、こういった種類の事業でないものが求められるのではないか。

   医療従事者確保のイメージについて

  もう1つは、医療従事者の確保についても地域医療構想ガイドラインの案が出てきたが、これを見ると、医療従事者の

確保というのがたくさんあるが、高度急性期を担う医療機関で従事者を確保するとか、そこに相応しい医療従事者を確保

していくためにどうするかということを考えないといけないということが書いてある。そうしたら今まで一般的に言っている

医師確保とはちょっと意味合いが違う従事者確保ということにもなっていくんだろうと思う。それも基金でやれという話しに

なっていくのであれば、地域医療構想ができるまでの計画と、それから後の計画のイメージが変わるのではないか。そう

いった点で何か考えていることがあれば聞きたい。

  府)ビジョンは確かにこれからつくっていくという形になるが、この基金は確かにビジョンを達成するためにという謳い文

句があるが、ビジョンが全てではないわけだから、機能分化という中でも高度急性期・急性期・回復期・慢性期をつくって

ある。国がイメージしているのは、例えば病床転換をしたときに、広い建物をつくらなあかんとかいうハード整備をイメージ

していると思う。ただ、ハード整備だけで出来るわけではないので、先ほど連携の部分とおっしゃいましたが連携が無けれ

ば動かしても上手く進まない、ハードができたからそれが確かに進んでいくということはありませんので、国の方は一定の

ソフト事業も含めてやっていこうということをH26年度から言っていることです。だから26年度というのは原則ソフト事業し

か求められてない。ハード事業というのはビジョンが出来てからということになっている。国の考え方がそうなっているの

で、京都府としてもそれを踏襲していくという考え方です。ただ、今現在でも回復期リハ病床というのは結構少ないですし、

そういった地方でどうしても必要だという物についてはハード整備もオーケーということになっているので、今回リハの計画

(NO12)で、回復期リハ病棟設置推進と書いてあるが、こういうものに府として取り組んでいる状況です。だから、基本的

には3つの機能分化、医療従事者、在宅医療推進については、各都道府県で判断してやってもいいということになってい

るので、余りガチガチには考えてないし、京都府は人材確保に力を入れると言っているので、それについては各団体から

ご提案いただいた研修とかを最大限に確保させていただいたという状況です。

  それから、27年度以降のビジョンができてからイメージがころっと変わるのではないかというお話しがあったが、27年度

以降は介護も任意記載事項に入れてもいいよと言われているので、今回介護の基金もこの基金といっしょになっていくこ

とになるが、一方で介護のほうは地域支援事業が市町村事業になります。それとの摺り合わせが一定必要にはなってくる

が、先ほどのハードが出来たらそれで終わりということにならないので、医療従事者だけではなくて医療・介護・福祉という

この基金の名前のとおり連携した基金の内容になっていくのではないかという考えを持っています。 

   リハビリ病棟の設置推進について

  C)先ほどのリハビリの病棟設置推進というところで、数値目標も書かれてあるが、それは京都市内の病院も含んでい

るのか。

  府)オール京都です。

  C)隣のリハビリテーションセンター附属病院がなくなるので。

     市町村との意見交換について

  D)市町村の担当部局との意見交換とかは、あまりやられていないのですか。

  府)これをつくったときに、先ほど言ったように26年度は医療特化型だった。市町村は今まで独自に医療というのは余

りやっておられなかったので、27年度以降は介護も入ってくるので、27年度の計画の時に介護は介護、医療は医療とい

う形でやらしていただく。26年度も各市町村には一応ご案内はしました。4月28日に説明会を開きましたので、その前に

照会をしています。

  府)市町村さんにも事業計画を提示をして下さいということを書いています。

  B)事業計画というのは、市町村が絶対つくらなくてはならないものではないのか。

  府)つくったら、一応それを網羅したものをつくれということになっている。

  B)市町村でつくらないというところがある。

  府)ありました。そこはつくらない。このビジョンを出すときには必ず計画がないともらえないので、必ずつくります。

    京都府保健医療計画との関係について

  A)保健医療計画のあと2年度の中で、いろいろ中間総括をしながら関係団体のヒアリングなどはまたやっていくんです

か。

  府)保健医療計画はH25~29年までで、今年2年目ですが毎年毎年PDCをやらないといけないので前の年も評価し

てますし、今年も3月18日に医療審議会で承認いただいたので、また発表されます。

  A)府が出されたこの計画というのは、保健医療計画本体との整合性は完全に調整していく形になるんでしょうね。

  府)それをつくった段階で、目標を医療計画に落とせということになっているので、医療計画に合わせるということにな

るが、この計画だけで新しくつくったものがあるのでこれには載っていない年度もある。年度で公式に載っているものはこ

れだけだということ。これにしか載っていないのは新しい事業だということです。例えば各団体から要望があってというも

のは、新しくつくったということです。

 A)では、我々もいろいろ要望していったらいいということか。

 府)関係団体というのは、先ほど言ったように機能分化・人材確保・在宅医療推進という内容が合わないとだめですよね。

それでできるのは医師会とか私病協、看護協会・薬剤師会などの医療関係団体と市町村、もちろん京都府も責任がある。

それと例えば病院、院内保育をやっておられるところとか、学校関係で言えば看護師の養成所とかあります。これらが前は

補助金だったのが、今度は基金に入ってしまうということです。

   計画の事業実施主体について

  E)今のことに関連して新規事業のNO1~12の中で補助の項目で事業実施主体が調整中というのがあるが、これは去

年10月の計画発表段階での実態かと思うが、その後調整がついてもう決まっているというところがあれば教えていただき

たい。それと今話されたが、この事業は基金を消化していくという点でいうと、ほぼ関係団体だけに絞られているが、例えば

労働組合などの意見というか提案を受けて、それを事業化するということはたぶん考えられて無いんじゃないかと思います

が、それは国がこういう風に関係団体といっしょにやっていけという指示なのか、京都府がそういう風に考えて実際に回して

いくということなのか。

  府)新基金の通達が来たときには、医師会と医療関係団体と調整せよということになっていた。

  E)それはどういう考えからなんでしょうね。そういう事業が出来るのは医師会だろうということか。

  府)それは分からないが、例えば医療従事者だったら、そこに働いておられるICTとか機能分化とか在宅医療をやるため

の具体的な手法なり効率なり、私たちは単体でやるところというのは余りイメージしていない。オール京都府というような広が

りを持つとかモデル的先駆的なものをやる総合事業ですから、そこをある団体が利益を得るというのは考えてない。もちろん

先ほど言ったように消費税でみなさんからいただいたお金ですから、そういう形で有効活用するように府民のみなさんに還元

していかないといかん。そうなると公的な団体、オールでやってもらえるところというのが、国も考えたんだろうと思うし、私たち

もそんな考えがある。だからそういうところに広くご案内をさしていただいて意見をいただいた。計画をつくるときには公平性・

中立を担保する為に、医療または医療を受ける立場にあるとか保険者とか医療担当者とかいう団体と十分調整するというこ

となので、ここに書いているような団体に案内をしたということです。  

  府)事業NO1とか2の調整中というのは、実際にまだ調整中の所がある。12月補正予算で検討費という形で予算計上し

たもので、先ほど言ったようにどのような情報共有の仕組みにするとかの話しと、実際に具体的な仕組みをどう組み上げてい

くかというのも今検討しているところで、基本的にどこかの団体が主体となって取り組む形にしたいと思っている。その窓口は

医師会を中心に調整させていただいている。そこには各種団体・病院が入っているので検討費は京都府医師会への補助と

いう形になるが、本体のシステムICT化の仕組みづくりについてはまだ固まっていない部分もあるので調整中ということになっ

ている。NO4の「原子力災害時の患者情報バックアップ」についても関係する医療機関が複数あるので、どのあたりの範囲を

この中に取り込んで、実際に仕組みをつくるのをどこが中心となって進めるか関係医療機関と調整しているので、27年度執

行の中で固まっていくことになるが、計画書では調整中としている。

   患者データの共有化について

  C)NO1、NO2、3とかで患者のデータを扱うに当たって、先ほどデータをICカードに入れて使うと言っておられたが、どうし

ても利用してもらう側と利用する側に困惑があって、その中で個人情報を守っていくということになると思うが、第三者が個人

情報をどう守るのかを検討するような仕組みとかはあるのか。

  府)それは検討会をつくっているので、その中で検討されると思うし、そういうご意見があったということを検討会のほうへ

伝えます。

   医療従事者の確保について

  F)基金から外れるかもわからないが、医療従事者の確保ということでやはり若い人が減っているということで、いくら環境

整備をしたとしてもなかなか医療従事者の確保というのは難しいと思う。例えば京都府として看護学校そのものを増やして

看護師を増やすとか、府立医科大学の定員を100人にして医師を増やすとかいう政策はないのか。

  府)やっています。府立医大は地域枠ということで定員が増えているし、さらに修学資金を貸し付けるとか、京都府でも看

護師等修学資金ということでやって、今年北部地域については看護師がなかなか確保できないということで、新たに北部だ

けの修学資金をつくったり、特に本来200床未満の病院で働いていただかないと看護師修学資金は返していただくことにな

っているが、綾部以北については全ての医療機関、どこに勤めていただいてもオーケーという施策はとっている。今年4月か

らは新たに看護大学の学部が増える、同志社女子、京都学園などの学校も増えてきているので、一方では民間も頑張って

いただいているし、京都府も医大に地域枠で増やしているし、お金も増やしている。

   計画実現の構想について

  A)抽象的な話しだが、いま医療の問題というのはなかなか患者さんが医療を受けることが出来ないということがあって、

1つは自己負担が高いとか近所に病院・診療所がないとか、あっても医師・看護師が足りないとかいろんな問題がいっぱい

出てくるんだが、この計画を達成した暁にはこういう問題が全て解決するとは思わないが、府としてはどの程度までクリアし

て京都府民の医療ニーズにマッチできるようなものが出来ると考えているのか。

 府)京都府とはと言われると、やはりそれぞれの思いが違うので京都府を代表しているわけではないので、例えばそれぞ

れの職種のことでも考えがあって知事が言われるのなら別だが、ニュアンスが違うが、もし私見ということで言うならやはり

身近な医療というのは自分の近くで受けられるのが一番ベストだろうと思う。例えばちょっと風邪をひいたら診療所があれ

ば入院しなくてもいいし、歯科でいえばコンビニの数ほどいっぱいあるので歯科が足りないわけではない。で、あと病院とい

うことになってしまうと、確かに咳の病院ということなら近くに病院があったらいいと思うが、がんとか高度医療を受けたいと

きには近くになくてもいい。それが日本の医療制度だ。要はだれでも、どこでも、好きなところに受けに行けるというのが、今

アクセスフリーですから例えば京都府の南の方に住んでいれば、がんの治療を受けたいと思ったら、奈良の病院でも大阪

でも行くということがあるので、どこが正解だというのは非常に難しいと思う。 だからすぐ近くにあったらいいが、時代によっ

ても違うし、それぞれの地域性によっても違うので一概には言えないというのが私の思いです。ただ、京都府の医療計画と

いうのは基本的に身近な医療は自分の医療圏内で受けましょうということを目標にやってますので、高度急性期みたいな

ものについては、なくてもいいのかなと。慢性期とか一定のところについては地域・地域であったほうがいいなと思います。

   計画と地域包括ケアのイメージについて

  A)京都府のイメージとしては、京都市地域包括ケアというイメージがあって、そこで計画が実現していくというものだとい

う風に受け取っているが、それでいいか。

  府)そういうことですね。地域包括ケアというのはイメージを表す言葉だと私は思うが、要は医療から在宅まで切れ目な

く、ずっと流れていくというのが地域包括ということだと思うが、たとえばプチッとどこかで切れてどこか違うところへ行くという

のではなくて、医療を受けられた方は最後は在宅へと行くという流れを言っているだけであって、地域包括ケアシステムです

から。それは京都府が全国でも珍しいと思いますが、地域包括推進機構という機構をつくっていろんな団体さんに集まっても

らって医療・介護・福祉がずっと流れるようなものをつくっていきたい。特に市町村が自分とこだけでつくるのは非常に大変な

んで、そういう組織をつくるということです。

   訪問診療・訪問看護事業への補助について

  D)今在宅という形で訪問診療とか、訪問看護がいっぱい従事されているが、北部へ行くと送迎車とか送迎バスとかで対

応しているところが結構多い。その方が合理的というか経済効率的でいいんじゃないかと思うが、その辺には補助という考え

は出てこないのか。

  府)それはちょっと分野が違うが、そういう発想もあるのかと思う。たとえばどこかに大きな拠点がぽんとつくられて、そこに

みんなが集まってきて、そこで全て受けられるというやり方もなきにしもあらずです。そういう発想があってもいいかなと思いま

す。それからいろんな地域があるので、今回地域創世みたいな形で市町村から提案されるというのもありかなと私自身は思う。

   計画に基づく事業の目標・評価について

  G)計画に基づく事業の内容が細かく分かれているが、事業の目標というところで、たとえばNO6でどのくらいの規模で研

修するのか、目標がはっきり示されてないところが結構ある。NO9でも件数の回数・そしてどれくらいの規模でやるのか、たぶ

ん予算との関係とか在宅医療・介護サービスを充実させるための研修を、この程度であれば提出できるであろうということで

計画されていると思うが、その辺の目標なり中身というのが何か見たらわかるのか、他に別にあるのか特に先ほど言われたよ

うに2年間やって、効果を出すということで行くとやはり回数や参加人数・規模であったり、そういうものはもう少し明確に表示す

るほうがいいんじゃないかと思います。NO18とかNO19のように確保の問題になってくると、逆に医療計画の中身だと思うが

事業をやりながら数も目標もきちんと出して、こういう目標に向かって補助金を使ってやりますよということがかなり明確に書か

れている。NO24では目標が「府北部公立・公的病院の常勤医師数」と書かれているが、常勤医師数というのはどういうもの

か書かれていない。NO25も「女性医師等就労支援事業利用医師数」も京都府として、では北部でどんな形で確保するのか

とか、数字をきちんと出してそれが本当に充実しているのかどうかというのが、評価の対象になると思うが、その辺は何か考

えているか。 

  府)おっしゃるように数字がバチッと出ているのは保健医療計画に載っているのをそのまま持って行こうという話しです。

元々事業計画にあって事業をやっているが目標のないものについては、今言われたように目標数というよりも何に目標を置く

のかというところを書けということになっていたので、目標数値まで明確に求められていなかった。おっしゃるように評価をし

ていかないといけない。ただ、10回やったらそれで目標に達したのかというと回数だけではない。

  G)事業費は決まっていますよね。京都府としてこのくらいの規模でやるから、これだけの金が必要だという話しもあるが、

その辺のことがよくわからない。

   府)次回の段階でどれだけ数字を入れられるかわからないが、おっしゃるような数字が入れられるような形で考えてみたい

と思う。

  C)これから具体化していくということもあるので、私たちの意見も取り入れてもらうような形で検討いただきたい。


「障害者総合福祉法を初夢に終わらせないために」京都集会に400人

2012年01月17日 10時48分41秒 | 学習会報告

障害者総合福祉法を初夢に終わらせないために!

    基本合意文書締結2周年記念京都集会に400

 

 1月7日の午後、ひと・まち交流館で「創ろう!私たちの(総合福祉法)を初夢に終わらせないために!<基本合意文書>締結2周年記念京都集会」を開き、400人が参加して京都からの決意を表明しました。

 集会は、「障害者権利条約の批准と完全実施をめざす京都府実行委員会」委員長の藤井清治良さんが開会挨拶、事務局長の矢吹文敏さんが集会の取り組みと権利条約の批准に向けての活動報告を行いました。

 

    大事なことは障害者運動、積み重ねを初夢に終わらせないこと

 

「障がい者制度改革推進会議議長代理」の藤井克徳さんが基調講演を行い、東日本大震災の原発事故に苦しむ障害者の手紙を紹介するところからはじめて、生きることを「益」とした悪法「障害者自立支援法」に訴訟やさまざまな活動でたたかった歴史をひも解き、骨格提言を創るにいたった運動の成果を、大事なことはやはり障害者運動で、今日集まっている団体の全国組織、日本障害フォーラムが中心になって各政党にも要望していき、選挙が始まると公開質問状を送る活動を展開してきた、そうすると障害者団体の働きかけに政党が応えて公約に載せた。障害者運動の大事さが現実にあるということをおさえてほしいと、わかりやすく話されました。講演の最後には、この積み重ねを初夢に終わらせないためにも、今年前半の取り組みが重要と締めくくり、参加者一同決意を新たにしました。

 

  参加団体から6人がそれぞれの運動報告と訴えを発言

 

 集会では各団体から発言し、1.障害者自立支援法訴訟元原告でかめおか作業所の栗山達也さんは「基本合意」の重要性について発言、2.京都難病連会長の北村正樹さんは「谷間の障害をなくそう」と訴えました。3.京都精神保健福祉推進家族会連合会会長の野地芳雄さんは、精神障害者の当たり前の暮らしを訴えて、家族や当事者が立ち上がっていることを紹介しました。4.日本自立生活センターの宇田隆さんは、高齢期までの自立生活を見通し、施策が充分でないと訴えました。5.かりん燈・万人の所得保障をめざす介護者の会の渡辺琢さんは、当事者の生活を支える介助者の志と鬱や腰痛に悩む介助者の実態を告発。6.最後に自立支援法訴訟弁護団の民谷渉さんから「障害者予算をOECDの平均並みに引き上げよう」と海外の事例をあげて訴えました。


北部・南部地域社保協代表者会議を開き交流しました

2012年01月13日 14時05分33秒 | 学習会報告

 地域社協の北部と南部で代表者会議を開きました

  (11月22日の南部地域社保協代表者会議の参加者)

 

 域で税と社会保障の一体改革について学習会・宣伝を開始しています

 

地域社保協の現状を交流し、お互いの運動の悩みや要望を聞いて意見交換をしようと、北部と南部で地域社保協代表者会議を開きました。

1122()には、ラボール京都で南部地域社保協代表者会議を開き、6地域社保協と事務局から3名の参加で社会保障をめぐる情勢の報告と、「社会保障の充実を求める請願署名」(社会保障1000万署名)をどう進めるか、地域社保協の取り組みの現状と問題点や悩みなどを話し合いました。

 最初に南事務局長から、1000万署名を集めようと提案されているが情勢は刻々と変わっている。野田首相は消費税を年内に目途をつけると豪語し、共通背番号制についても民主党内で討議して進める動きになっていると報告。いっそう反対の声をあげるためにも各地域で学習会を開いてほしいと提案しました。また、地域社保協でがんばって取り組んでいる内容を運営委員会に報告して運動に反映させ、運営委員の団体にそれぞれの地域社保協へ結集して運動を支えてもらうようお願いすると提案。各地域社保協からは、共通して地域社保協のメンバー確保が難しいという状況が出され、各団体で支えてもらって地域の社保協を広げていこうと提案されました。

1000万署名についてはやっている地域とまだの地域があり、これから学習会を精力的に開いてもらって構成員が地域に出ていく。京都の目標を住民の1割ということで25万筆として長いスパンで取り組んでいこうと提案されました。街頭宣伝を行った地域では、内容が難しくて社会保障の改悪は話せても、消費税とのつながりまでなかなか言及できないとの意見も出され、わかりやすく話せるような学習会も必要との意見も出されました。この会議を今後も継続して開いていくことを確認して閉会しました。

               

         部医療の再生をめざす論議を今後もすすめます

      北部の地域代表者会議は1130()中丹勤労者福祉会館で開き、全地域から10人が参加しました。与謝の海病院をどうするのかが一つの焦

       点であり、今後舞鶴の医療再編、丹後の医療再生計画なども合わせて、北部の地域医療をどうするかという問題で北部医療部会を開催すること                                

       になりました。また、例年の自治体キャラバンも地域主体でやっていこうということで、来年は春先から準備に入ることを確認。署名について            

       はもっと早く送ってほしいとの要望や学習会はテーマ・講師・資料をワンパッケージにして提案してほしい、国保の財政状況などの資料提供をと

       の要望もありました。

 丹後では高齢者が多く食べるものも偏っていて農家で栄養失調になる人が出ている限界集落の状況など、老老介護の問題がある。運動を広げるにはどうしたらよいのか積極的に提案してほしいとの要望もありました。北部の全地域参加で、医療・福祉問題で広く深く議論できたのは画期的なことで、今後も学習会を重ね、議論していくことになりました。京都社保協では今後、府南部地域での社保協確立に向けても運動を進めていくことにしています。


京都の子どもをめぐる最新の情勢学習会を開きました

2011年11月17日 11時38分50秒 | 学習会報告

子どもをめぐる最新の情勢を学習・討論しました

「保育所の待機児問題・最低基準の条例化・障害児の支援」などをテーマに 

(全体のまとめを報告する立命館大学峰島厚さん)

 京都の子どもたちをめぐる環境はどうなっているのか?最新の情勢を各分野の専門家から報告し、子どもを守り、育てていくにはどうすればいいのかを考える第一弾として、10月29日、ラボール京都で「京都の子どもをめぐる最新の情勢学習会」を開きました。土曜日の夜にも拘らず45人の参加で、熱心に論議してこれからの運動に大きな弾みとなりました。

1.保育所の待機児問題  藤井修さん(たかつかさ保育園長)

  学習会は、子ども達の保育・療育をよくする会の池添さんの司会で始まり、最初に挨拶に立った京都社保協事務局長の南さんは、国会でTPPが大問題になっているが、子ども・子育て新システムも併行して進められており、知らないまま成立していたということになりかねないので、しっかり声をあげていくことが大事。この学習会を契機に子どものいのち、育ち、暮らしを守るネットワークを立ち上げ、京都の子どもをどう守っていくか、育てていくか大人がどう関わっていくかに取り組む、今日はその第一歩だと強調しました。以下、各報告内容の概略を掲載します。

現在、京都市には保育園が225カ園あるが、どの保育園も定員を超過して保育している。定員は23,000人だが定員以外に2,000人以上入れている。最低基準があるのに、なぜ京都はこうなっているかというと、京都市は民間保育園の総面積を4.5㎡で割る形で収容人数を推定しているようで職員の休憩室や倉庫なども含めて計算しているので、私の園でいうと元の定員は120人だが189人まで詰め込めるということになる。なぜ、適正な規模に戻さないのかというと、設立理念の地域要求に応えるためにマンパワーを肥大させた結果、認定外保育士などの形で市の補助の無い職員の分を定員外の需要に応える形で収入を確保するやり方をしているから。これだけ詰め込むと、1:15では事故やケンカというものが起きているし、職員間の意思疎通が困難、事務量の増大など弊害も出ている。なぜこんなに過密かというと、京都市が定員外入所の緩和で、詰め込むだけ詰め込めという政策的な面もあるし、様々な理由でとにかく入りたいとの申請あれば入れるという制限がない状態。園のスローガンは進取の気性を絶やさず保育にあたろう、最低基準の見直しこそが必要な保育改革だということで、努力している。

 続いてフロアから澤田さん(新日本婦人の会)が3年前から「保育所に入りたいママの会」を立ち上げ、待機児童解消に取り組んでいる経験を報告、①保育所に入りたいという相談をするところが福祉事務所しかない、②お母さんたちは入れるか入れないかの保活(就活や婚活と同じ)の中で、働くことの誇りを傷つけられていく、③1歳児で入れないので、みんな頑張って0歳で4月に入れようとすることで女性が勝ち取ってきた産休・育休(3年)の権利をみんな放棄している、④運動の中で昨年予算が前年の3倍に。評価はいろいろあるがこれで入れた人がいることはうれしい、⑤今年もスタートしたが13人あふれていて、取り組む。

2.最低基準の条例化を考える 藤井伸生さん(京都保育運動連絡会長)

 待機児童の問題では、保育所に入れないのは児童福祉法24条に違反している。法律に違反しているから京都市は保育所を作らねばならない。他の都市では裁判してほとんど勝利している。そんな運動をつくれる力を持ってほしい。4月に「地域主権改革推進一括法」が成立し、厚生省令で定められていた保育所設置基準の最低基準を自治体に委任するという法律。これは今でも子どもを詰め込んでいるのに、もっと詰め込めという条例。来年4月実施・運用になるが、1年間の経過措置ある。保育所だけでなく児童福祉施設・児童養護施設・高齢者・介護・障害者など全ての福祉施設に適用される。他の分野と協力してこんな緩やかな基準でいいのかという運動を起こさないと大変なことになる。保育所では①現行②標準(緩和してもよい)③参酌基準(参考程度)の3つの基準に分けられ、京都市は職員配置は議会で現行維持公約、施設設備は標準に、食堂が最低基準に入ってない、ホールや足洗い場なども基準に入れてほしい。保育内容は給食が3歳以上は外部搬入可能になっているが、自園・直営方式にしてほしい。管理運営では新システムは、事務所が無くてもできる、非営利法人にするべき、などモデル条例案を提案しました。

3.障害児の支援について 池添素さん(子ども達の保育・療育をよくする会)

 来年4月から障害児支援の仕組みが大きく変わる。支援の強化とか相談支援体制の充実を謳っているが、利用契約・応益負担・日額報酬の仕組みは無くならない。何が変わるかというと、児童ディサービスが児童福祉法に再編入され、既存の障害児施設の機能と体系・名称が大幅に変わる。児童福祉法も①肢体不自由、知的障害、難聴幼児、児童ディなど無くなり「児童発達支援」に再編、②地域支援の強化(保育証等訪問支援)、③府から市町村に権限移譲(児童相談所の関与無くなる)、④在宅で通所利用する福祉サービスの全てに関る「障害児相談支援事業」を創設など。保育所等訪問支援とは、新システムと同じく個別給付で、直接国から個人にかねが出る。もうひとつの問題は支援決定プロセスで大幅に変わる。サービス等利用計画案を持っていかないと契約できない。実態に合わせた支援スステムを私たちの手でつくるネットワークづくりをと強調しました。

 この後、自治労連の佐藤さんから府内自治体の最低基準と実態について報告、福保労の玉木さんから基準のない児童館の現状について報告。質問を受けたのち立命館大学の峰島厚さんが全体のまとめを発言されました。

4.全体のまとめとコメント 峰島厚さん(立命館大学教授)

 全体の動きを見ておく必要ある。社会保障と税一体改革は昨年12月頃から動きがあって、大震災で加速された。復興は所得税・法人税で、それと併行して社会保障改革推進本部がつくられた。消費税を10%にすると言っているが、社会保障改革に使われるのは1%で、良くなると思われているがそうではなく実際には医療窓口負担を増やす、年金の支給年齢を68歳まで繰り下げるなど、全般的に社会保障を削る。1%試算の根拠は社会保障費の自然増を1%に抑えるということ、例えば障害者の介護保険への合併とか保育も介護保険に吸収させる、それの第1弾が子ども新システム。

 障害者は自立支援法を廃止して総合福祉法をつくる。これは応益負担を無くすことを明記、日額払いでなく80%は基本報酬で実現しようとなっている。しかし、一方で介護保険がうまくいっているので、子どもも介護保険のようにしてしまえば、残るは障害者だけで孤立させられるので、バラバラでなく力を合わせることが大切。野田政権は総合福祉法をつくる気は全然ない。

・新システムになったら、待機児童がなくなると思われているが逆だ。保育時間がお母さんの働く時間で決まるので今、毎日来ている    子どもたちがかなり追い出される。利用契約制度になると待機児という概念が無くなるので、保育要求として待機児を意図的に保育につなげる運動が大事。

・新システムが入ってくると最低基準という言葉が無くなる。要件を満たしていればどんな事業所でもかまわない「指定基準」というものが規制緩和のときによく使われる。もう一つは常勤職員の配置がほとんど無くなる、常勤換算でよいということで、非常勤が常勤に置き換わる。それに伴い人件費の補助金単価も低くなり、基準どおりやっても補助金は減る。

・来年は児童福祉法が変わって、自分で保育所を探して契約しなければならなくなる。親として保育が必要という認識がないと置いていかれる。保育だけに目を向けるのでなくその背景に何があるか大きく考え、輪を大きくしていく運動を創造的に取り組んでいくことが大切。


「社会保障と税の一体改革」をテーマに学習会を開きました

2011年11月07日 10時55分14秒 | 学習会報告

「社会保障と税の一体改革」の中身を学んで、多くの人に知らせ

 社会保障の充実をめざす運動を広げよう

野田政権が「社会保障と税の一体改革」という名のもとに消費税を増税する案を検討しています。しかも「社会保障改革案」には、医療費の窓口負担増や年金開始年齢の引き上げ、生活保護制度の改悪をはじめ保育・介護・障害の分野などさまざまな大改悪が目白押しです。京都社保協では、10月25日に神戸大学の二宮厚美教授を招いて「社会保障と税の一体改革と私たちの課題」と題してお話しいただき、大いに学んで大いに知らせていこう、社会保障の充実をめざして大いに運動を広げていこうと確認し合いました。

一体改革の出発点は財界の「グローバル戦略化」に組み込まれた結果の政策

二宮教授の講演から要点を以下に記載します。①野田政権が進めようとする様々な政策は、財界が出発点とする「グローバル戦略化」に組み込まれてしまった結果、社会保障や福祉に必要な金を大企業や富裕層から税金を取れなくなったので、どんなに高い税金を突き付けられても海外に逃げ出すことができない人=庶民から消費税という形で税金を取る。これが一体改革の出発点。

地域主権改革の正体

②国が富裕層の減税、大企業の法人税減税を行ってこれ以上税金を取れないとなると、国が実施しなければならない福祉や教育、保育などの施策が困難になるので、地方自治体にやらせる。ここから地域主権改革が出てきている。

消費税を社会保障目的税にしたら安心か?

③消費税の増税もほかに使われるのは困るけど老人の介護や年金・医療、保育などに使われるのなら、国の台所も自治体の台所も厳しいのだから、構わないのでないかというのは全くの誤解。一体改革が進行すると「社会保障税」になり、消費税が10%に引き上げられるとこれが全部社会保障にまわされるが、限られた、限定された支出のためにしか使わない財源は利権化してしまうから、もともと財政学では禁じ手である。例えば日本ではガソリン税を田中角栄がつくって、道路族の権益になってきた。ガソリン税は道路づくりにしか使えない、法律を変えないと福祉や医療にまわせないということ。

なぜ社会保障目的税か?

④ではなぜ、禁じ手の目的税にするか?いま国民に公共事業の金に消費税をあてますと言ったって「それは嫌や」ということ間違いない、大震災の復興財源にしても「消費税をあてますよ、増税しますよ」と言ったら、被災地域で暮らす明日の生活も心配という人からも消費税は無差別に税金を取るわけですから、これもおかしい。だから、社会保障という餌を使って消費税増税を国民から引き出すしか道はないというわけです。厚労省は財務省がどう言おうと社会保障、すなわち厚労省の管轄の中で使える、利権化できるということです。

社会保障目的税ではお手上げ

⑤消費税が完全に社会保障目的税になったとすると、社会保障のすべての経費をまかなうとなっているが、そうなるといくら企業から税金を取れといっても社会保障には1円もまわらない、我々が納める所得税も1円もまわらないことになる。健康保険の企業負担も、児童手当の企業拠出金も含めてすべて消費税でまかなうとして、消費税10%でだいたい20兆円ちょっとしか集まらないのに、現在でも30兆円以上の社会保障費をどうやってカバーするか?お手上げです。

一体改革で進む社会保障の変質

⑥日本の社会保障は、憲法によって「健康で文化的な最低限度の生活を」万人に保障している。そのために「国は、社会福祉、社会保障、及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と定められている。しかし、厚労省は「みんなのために、みんなで作り、みんなで支える」社会保障と言って、財源が「みんなが公平に負担する消費税だから」共助・連帯としての社会保障に変質させる。つまり、人間の権利としての社会保障でなく、お互いがお互いに助け合うというのが社会保障だからということになり、社会保障の考え方がくずれてしまう。

財源の枠内に社会保障を抑圧し、圧縮する

⑦これまで政府の取ってきたやり方は、保険の原理の第一原則である収支均等を貫くということで、保険料は上がるは給付は下がるという形で苦しめられてきたが、これを突破するには収支のバランス第一でなく、人権を保障するという原理を持ち込んで、例えば保険料で足りなければ税金を入れる、公費を入れるということで、保険料を抑制することが必要です。しかし、社会保障目的税になったら、高い消費税をがまんしてみんなが負担するのか、それが嫌だったら医療や介護や年金は抑えますよということになる。

社会保障目的税は「最悪の消費税」という宣伝を

⑧次の国会で野田政権は「社会保障のためなんだ」という宣伝のもとに消費税の増税に踏み切る意欲を持っている。我々社会保障関係者が中心になって急いで誤解を解く運動を進める。野田政権が進めようとしている社会保障目的税は「最悪の消費税」だということを広く知らせ、これはだめだという運動を起こしていただきたい。