京都社会保障推進協議会ブログ

京都社保協のニュースや取り組み案内、タイムリーな情報・資料などを掲載していきます。

「資格証明書の発行に関する調査」の京都府の状況について (京都府保険医協会)

2008年11月19日 06時57分00秒 | 資料&情報
 京都府保険医協会が、厚労省が行った「資格証明書の発行に関する調査」の京都府内市町村の状況について、資料と緊急要請書を公表しています。


(以下、京都府保険医協会ホームページより転載)

 保険料が未払いの様態にあるいわゆる「滞納世帯」は384万5597世帯。市町村国保加入2083万29世帯の18・5%にあたる。滞納世帯のうち、33万742世帯に対し発行される資格証明書が発行されている。そのうち、中学生以下の子どもがいる世帯は1万8240世帯、人数にして3万2903人が受療権を侵害された状態におかれている。

 京都府内各市町村の状況は、別紙のとおり。

これによると、資格証明書を発行している自治体は8市町、4113世帯。うち子どものいる世帯に発行しているのは6市町、90世帯。中学生以下の子どもの数は京都市105人、福知山市19人、京丹波町4人、舞鶴市3人、綾部市・宇治市2人で計135人となっている。

 保険医協会はこれらの市町に対し、子どものいる世帯に資格証発行しないよう、緊急要請書を提出する。



京都市長
 門川 大作 様
 2008 年11 月10 日
 子どものいる世帯に対し一般世帯と同じ保険証の発行を求める緊急要請書

                             京都府保険医協会
                               理事長 関 浩

 貴職の、市民の生命と健康を守る諸施策へのご尽力に、衷心より敬意を表します。
 さて、厚生労働省が去る10 月30 日、各都道府県における「資格証明書の発行に関する調査」の結果を公表しました。
 当協会は、国民皆保険制度の要である国民健康保険制度において、保険料未払い者に対する正規保険証返還命令、資格証明書発行が制度化されていることについて、繰り返し疑問を呈してきました。
 資格証明書を発行された被保険者の受診率は一般被保険者に対して200 分の1という差(2005 年・全国保険医団体連合会調査)があり、同証の発行は、市民の受療権を侵害するものであることは明らかです。また、今回の調査結果に添付されたデータでも明らかなように、保険料徴収率向上を目的としているにもかかわらず、「保険料滞納世帯数」割合は、同証交付数が伸びても減少していません。
 つまり、資格証明書発行は保険料徴収率向上には役立っておらず、国民の受療権を脅かす以外何の役割も果たしておりません。
 特に、今回の調査が明らかにしたように、もともと保険料負担能力のない子どもたちが、全国で32,903 人、京都府でも135 人、正規保険証を持たず、医療を受けることができない状態にあることは、医療に携わる者として心痛まずにはいられません。
 国は、「被保険者資格証明書の交付に際しての留意点について」の通知において、「緊急的な対応としての短期被保険者証の発行」を示しています。貴市においても、今調査で明らかになった正規保険証を持たない105 人の中学生以下の子どもたちに対し、今月中に1年間を期限とする短期保険証の交付する方針と伺いました。その迅速な対応自体は、誠に評価に値することと思いますが、以下の2点の理由により、やはり不十分な対応であると指摘せざるを得ません。
 ひとつは、「子どもたちだけに限定した交付」である点です。世帯の貧困と不健康状態に起因する子どもたちの不健康状態は、子どもたちにだけ医療を保障しても解決しません。その世帯全体を見る視点に立った保険行政を行うことこそが、真の意味での医療・保健行政であり、子育て世代に対する支援策でもあると考えます。
 また、1年という比較的長期の短期保険証の交付とはいえ、他の子どもたちとは違う、期限の短い保険証を発行されるという差別的取扱いは、子どもたちの心を深く傷つけるのです。それは、その子たちの生育にとって大きな影を落とす可能性があると考えます。
 このことから協会は、下記の項目を要請いたします。貴職より、資格証発行制度そのものの見直しについて、国に対して強力に意見を述べて頂くと共に、世界的文化都市である京都市にふさわしい人道的な対応を、今以上に迅速かつ強力に図られるよう要請します。

                  記
一、資格証発行世帯に属する子どもに限定した個別の保険証交付ではなく、その所属世帯に対して交付すること。また、短期保険証ではなく、一般世帯と同じ保険証を発行すること。
二、故意に保険料を支払わない者などいわゆる「悪質滞納者」への対応を行うことが必要と判断されるならば、外部委員も含めた「資格証明書交付審査会」等を設置し、資格証明書交付の判断を厳格化すること。
                                   以上



(以上)





京都府内 公立病院の動向(14)―京都市立病院の経営形態とPFI―その2

2008年11月18日 07時31分42秒 | 資料&情報
 京都市立病院の経営形態とPFIについての続きです。


 前回で、京都市医療施設審議会での「答申(素案)」の結論部分を掲載しましたが、率直に言って地方独立行政法人をめぐる問題点を吟味しないままでの審議状況だといわざるを得ません。市立病院(京北病院)の現状からの脱却を図るために、地方独立行政法人の独自性や柔軟性が魅力に感じるのだと思います。
 しかし、たとえば、「答申(素案)」の文中の『市民のニーズに対応した政策医療を安定的かつ継続的に提供するとともに、中長期的な計画性と機敏で柔軟な判断による経営を行っていくためには、制度的に計画性が担保され、かつ地方自治法、地方公務員法等の制約がない「地方独立行政法人化(非公務員型)」が、今後の京都市立病院事業に適しているといえる。』とありますが、独法化によって『政策医療を安定的かつ継続的に提供する(出来る)』根拠が真剣に検討されたとは思えません。

 京都市立病院の独立行政法人化を視野にした経営形態論議は、京都の病院にとって重大な問題です。京都大学附属病院や府立医科大学附属病院は大学の独立行政法人化により、付属病院も独法法人の病院事業所としてすでにスタートしていますが、公立病院そのものの独法化は全国で4法人のみです。
 *全国の地方独立行政法人化による病院経営は
  宮城県立こども病院(非公務員型)
  大阪府立病院機構(公務員型)
  岡山県精神科医療センター(公務員型)
  山形県・酒田市民病院機構(非公務員型)
 *他の政令指定都市で独法化を予定のところ
  神戸市(平成21年4月から独法化への移行を予定)
  福岡市(平成20年に「病院事業運営審議会」が独法化を答申)
 (以上、第6回施設審議会資料より)


 「独立行政法人」のルーツは、行政改革大綱(平成12年12月閣議決定)

 地方独立行政法人に先立ち、中央省庁改革として国立病院・療養所の独立行政法人が実施されますが、その大本の方針である「行政改革大綱」は、
1)新たな時代の要請に対応する観点から、内閣機能の強化、省庁の大くくり編成等による総合性、機動性を備えた行政の実現
2)国民の主体性と自己責任を尊重する観点から、民間能力の活用、事後監視型社会への移行等を図ることによる簡素かつ効率的な行政の実現
3)行政情報の公開と国民への説明責任の徹底を図ることによる国民に開かれた透明性の高い行政の実現
4)行政事務の電子化、窓口の利便性の向上等を図ることによる国民本位の質の高い行政サービスの実現
を目的としたものです。

 国立病院の独立行政法人化については、行政改革大綱の「行政の組織・事務の減量・効率化」の中で、

(2) 独立行政法人への移行
 減量効率化計画に基づき、1)国立公文書館等の国の事務事業の57の独立行政法人への移行(平成13年4月)を通則法及び各独立行政法人の設置法等に即して着実かつ円滑に実施するとともに、2)駐留軍等労働者の労務管理等事務の独立行政法人への移行(平成14年4月)及び統計センター(統計研修所を除く。)の独立行政法人への移行(平成15年4月)の準備を円滑に進めるほか、以下の措置を講ずる。
ア 自動車検査
  自動車検査(検査場における検査)については、平成14年9月に独立行政法人に移行する。
イ 造幣事業及び印刷事業
  減量効率化計画に基づき、平成15年度前半に予定されている独立行政法人への移行が円滑に実施できるよう、通貨の安定的かつ確実な供給、通貨に対する信認の保持など、通貨製造業務の特殊性を考慮し、その特殊性に基づく安定的な雇用関係に配慮しつつ、引き続き必要な検討を行い、所要の法律案の立案等、着実に移行のための準備を進める。
ウ 国立病院・療養所
  国立病院・療養所については、
  1) 昭和61年当初再編成計画の未実施施設(37施設)について、速やかに移譲、統合又は廃止を実施する
  2) 平成11年3月の再編成計画見直しによる追加対象施設(12施設)について、平成13年度末を目途に施設の廃止を含む対処方策を決定し、着実に実施するとともに、平成16年度に、各施設毎に業績評価ができるよう区分経理する単一の独立行政法人に移行することとし、そのための個別法案を平成14年の通常国会に提出する。
エ 国立大学及び大学共同利用機関等
  国立大学及び大学共同利用機関等の独立行政法人化については、平成15年までに結論を得ることとされていることを踏まえ、大学等の自主性を尊重しつつ、大学改革等の一環として検討するため、平成13年度中に有識者等による専門的な調査検討の結果を整理する。
オ その他
  食糧事務(食糧検査は民営化)、動物医薬品検査所、船舶検査、航空機検査及び無線等検査については、減量効率化計画における各事務及び事業の考え方を踏まえ引き続き検討を進める。その他の事務及び事業についても引き続き検討を進める。
(以上、行政改革大綱より)

 
 「大綱」が明らかにしているとおり、独立行政法人化の目的は「行政の組織・事務の減量・効率化」です。
 そして、行政改革の柱の一つである「地方分権の推進」の項で、「国における独立行政法人化の実施状況等を踏まえて、独立行政法人制度についての地方への導入を検討する。」とし、地方独立行政法問題の検討に入っていきます。


 行政改革大綱(平成12年12月1日閣議決定)



 地方独立行政法人の具体化に向けて、2つの研究会報告書が出されます。

 「地方独立行政法人制度の導入に関する研究会」の報告書(02年8月)は、政府がすすめてきた規制緩和・行政改革路線を「地方」に導入するための、法的な検証を行ったものです。その中では「地方独立行政法人制度を導入する意義」として、「行政改革会議最終報告(平成9年12月3日)においては、国民のニーズに即応した効率的な行政サービスの提供等を実現するという行政改革の基本理念を実現するため、① 政策の企画立案機能と実施機能の分離② 事務・事業の内容・性質に応じた最も適切な組織・運営の形態の追求③ 実施部門のうち一定のものにつき、事務・事業の垂直的減量を推進④ 効率性の向上、質の向上及び透明性の確保を図ることを目的として、独立行政法人を設立することとされている。一方、地方公共団体が提供する行政サービスについても、国において独立行政法人により提供されている行政サービスと同様のものを提供している機関が現に存在し、これらについて、効率的な行政サービスの提供等を実現するため、上記①~④に掲げる要請が存することは基本的に同様である。」「また、地方公共団体においては、従来は、行政機関自らが提供すべきサービスと民間が提供すべきサービスとの中間形態が必要となった場合に、自ら法人格を創出して事務を行わせるスキームが基本的にはなかったものの、公益法人、第三セクター等の活用により補ってきた面もある。このような実態の中で、地方独立行政法人制度を導入することは、地方公共団体が行政サービスを提供するに当たって、機動的、戦略的に対応するためのツールを付与するものと位置づけることができると考えられる。」と、『事務・事業の垂直的減量を推進』も含めた意義をあげ、そのためのツールとして位置づけています。


 地方独立行政法人制度の導入に関する研究会報告書


 また「地方公営企業と独立行政法人制度に関する研究会」報告書(02年12月)は、地方公営企業を対象にした独立行政法人化の論点を整理した報告書であり、その目的を「地方公共団体においても、行政改革大綱(平成12年12月1日閣議決定)において、「国における独立行政法人化の実施状況等を踏まえて、独立行政法人制度についての地方への導入を検討する」こととされており、総務省自治行政局に設置された「地方独立行政法人制度の導入に関する研究会」において、地方独立行政法人制度導入にあたっての様々な課題が検討され、平成14年8月に報告書が公表されたところである。同報告書では、主に一般行政部門に地方独立行政法人制度を導入することを前提に検討されている。しかしながら、一般行政部門とは異なる特性を有する地方公営企業分野に、一般行政分野と同様の地方独立行政
法人制度をそのまま導入することには問題があると考えられるため、総務省自治財政局において、平成14年5月に本研究会が設置されたところである。」としています。
 また、その目的として「地方公営企業分野を対象とした地方独立行政法人制度の制度設計を行うにあたっては、次のようなことを基本とすべきであると考えられ
る。
① 現行の地方公営企業制度は、公共的サービスを経済性に基づき効率的に提供する手法として定着しており、地方独立行政法人制度を採用するかどうかは、地方公共団体が、地方公営企業制度と地方独立行政法人制度の利点を比較して判断すべき事柄である。したがって、公営企業型地方独立行政法人の制度化は、地方公共団体に対して機動的戦略的に活用しうる新たな事業手法の選択肢を付与するものとして行う。
② 国の独立行政法人や通常の地方独立行政法人あるいは現行の地方公営企業制度を参考としながら、地方公共団体の組織と別組織ならではの利点を活かし、サービス提供手法の自由度をできるだけ高めながら効率的に事業を執行しうる新しい仕組みとして制度設計を行う。このようなことにより、適切な運用が確保される場合には、現行の地方公営企業制度に比べ、サービスの質の向上や料金の引き下げ、地方公共団体の負担の減少が期待しうる。」としています。
 「料金の引き下げ」が可能かどうかは不明?ですが、「公共団体の負担の減少」つまり独立採算制のいっそうの強化は確実になると思います。


 地方公営企業と独立行政法人制度に関する研究会報告書


(次回につづく)



 


 









京都府内 公立病院の動向(13)―京都市立病院の経営形態とPFI―その1

2008年11月17日 00時00分00秒 | 資料&情報
 今回から京都市立病院(及び市立京北病院)の経営形態問題と市立病院運営事業について資料提供をおこないます。


 数回の連載を予定していますが、まず最初に、10月30日開催されただい6回京都市医療施設審議会の資料を紹介します。


 医療施設審議会は府立医科大学名誉教授佐野豊氏を会長に以下のメンバーで構成されています。(敬称略)
 京都大学大学院教授 今中雄一
 京都府看護協会会長 我部山キヨ子
 公認会計士     小長谷敦子
 京都第二赤十字病院名誉院長 澤田 淳
 京都大学医学部附属病院長 中村孝志
 京都府医師会長   森 洋一
 京都府立医科大学長 山岸久一
 同志社大学大学院教授 山谷清志
 京都市保健福祉局医務監・保健衛生推進室長 松井祏佐公
また、京都市から細見副市長、浅野保健福祉局長、向原市立病院長、上床京北病院長が参加しています。


 9月には「京都市立京北病院の今後のあり方」について答申を行いました。

 答申についてはここを参照


 「京都市病院事業に係る今後の経営形態のありかたについて」答申(素案)


 第6回医療施設審議会では、「京都市病院事業に係る今後の経営形態のありかたについて」答申(素案)が提案され、活発な論議が行われました。

 答申(素案)の内容(結論部分)を紹介します。

 
 最終的な経営形態

(1)4で述べた比較・評価を踏まえると、以下に示すように、病院経営に関する権限と責任をより明確にし、機敏で柔軟な運営をタイムリーに行っていくうえでの課題を解決するために最も適した経営形態は、「地方独立行政法人化(非公務員型)」であると考える。
 *「4で述べた」とは、「地方公営企業法の一部適用」「地方公営企業法の全部適用」「地方独立行政法人化(非公務員型)」の3案の比較・評価のこと

①地方独立行政法人においては、法人の理事長が中期目標及び中期計画に従って業務を執行していく仕組となっており、内部組織、給与その他の労働条件(より適切な給与体系や女性医師等が働き続けられる柔軟な勤務時間の設定等)、職員の人事等を独自に決定し、予算管理面においても、自らの権限の下で弾力的な運営を行うことができるなど、経営環境の変化にも迅速に対応することが可能である。

②長が、中期目標を定め、法人の中期目標を認可(議会の議決を要する。)することとされており、事後チェックの仕組も含め、制度上、中期的に政策医療をはじめとする必要な医療の提供を担保することができる。

③病院経営の財源については、地方公営企業として運営する場合の企業債に相当する長期借入金、一般会計繰越金に相当する運営費交付金が手当てされる仕組となっており、制度上、地方公営企業としての運営とほぼ同様の財源措置を得ることができる。

④これらを総合すると、病院や医療を取り巻く環境の変化の中で、市民のニーズに対応した政策医療を安定的かつ継続的に提供するとともに、中長期的な計画性と機敏で柔軟な判断による経営を行っていくためには、制度的に計画性が担保され、かつ地方自治法、地方公務員法等の制約がない「地方独立行政法人化(非公務員型)」が、今後の京都市立病院事業に適しているといえる。

⑤また、京都市立京北病院における医師不足などの課題を京都市立病院と連携して解消していくに当たって、中間答申で述べたことに加えて、理事長の判断により柔軟な方策を採ることが可能となることも、この経営形態のメリットとして挙げることができる。

(2)ただし、この経営形態への移行のみをもって、現在の経営形態である「地方公営企業法の一部適用」の下でのすべての課題を直ちに解決できるわけではないので、移行後の経営形態での課題解決への展望等も踏まえたうえ、「地方独立行政法人化(非公務員型)」のメリットを十分に生かすようにされたい。

(3)なお、今後、「京都市立病院整備運営事業」をPFI事業として実施することについては、同事業による特定目的会社への委託は、施設管理及び医療周辺事務に限られるため、指定管理者制度と異なり、この経営形態との齟齬は来たさない。

(以上、素案より「最終的な経営形態」の章を抜粋)



 上記の素案に対して、審議会では素案に沿った意見とともに、「実際には運営費交付金が年々減少している。独法化で全てうまく行くものではない」等の意見も出され、各委員の意見を踏まえながら、次回に答申案をまとめるとしています。



 一方、市立病院整備運営事業は、8月の事業者説明会以降、「京都市立病院整備運営事業提案審査委員会」の設置、業者からの質問に対する「京都市立病院整備運営事業実施方針等に関する質問及び回答について」、「京都市立病院整備運営事業業務要求水準書(案)に対する意見等の募集及び実施方針の変更について」が相次いで公表されています。


 地方独立行政法人化及びPFI事業について、事態の進展と平行して資料提供を行っていきます。

(次回につづく)








 
 



「無保険」の子ども105人に保険証交付へ―京都市

2008年11月06日 23時31分57秒 | 資料&情報
 日本共産党京都市議団は、国民健康保険の資格証発行により事実上「無保険」状態におかれている世帯の子ども(69世帯105人)に対し、11月5日、京都市は保険証交付をおこなうことを決めたと発表しています。


 以下、京都市議団ホームページより転載します。


 市議団の申し入れが実り、「無保険」の子ども105人に保険証交付へ

 国民健康保険料の滞納により資格証明書が発行され、事実上、保険証のない世帯の子どもが京都市で69世帯105人いる問題について、京都市は11月5日、対象となる市内の中学生以下の子ども105人に保険証を交付することを決め、今後も保険証を交付する方針を明らかにしました。
 日本共産党市会議員団は、10月31日、門川京都市長に対し、「子どもから医療を受ける権利を奪うことは許されない。国保証取り上げは直ちにやめよ」と申し入れ、①子どものいる69世帯に対して保険証を交付すること、②子どものいる世帯に対する資格証明書の発行は中止し、新たな無保険の子どもを生じさせないこと、の2点を求めていました。
 今回の京都市の発表は、日本共産党市会議員団の申し入れが全面的に実ったものです。



(以上)

京都府内 公立病院の動向(12)―京丹後市の病院改革プラン

2008年11月01日 00時00分00秒 | 資料&情報
 京丹後市の公立病院問題の最終回です。


 改革プランに対する医療改革改善推進会議と顧問会議の意見


 医療改革改善推進会議は、「病院改革プラン」についてパブリックコメント公表を前にして意見書を提出します。意見書では、各病院プランのおもには経営問題に触れながら「人件費対策として経営組織変更の意見もあるが、非公務員化は非常に重大な変更であり、当然、条例の変更も必要になる。これには当会議も意見を述べるが、決定権は市長、市議会に属するものと考える。これは地方自治の原則である。また、病院改革の論議を非公務員化から入るのは賛成できない。公立病院の経営悪化原因は、臨床研修制度の変更、医療費抑制、旧町、市の行政の過誤もある。職員の給与のみに問題をすり替えるのは賛成できない。」「最終的に改革の効果を発揮するのは、職員の士気である。士気を低下させることのないよう配慮されたい。」など、独立行政法人化等への安易な検討に対しNOの見解を明らかにしました。

 病院改革プラン(案)に対する医療改革改善推進会議意見


 ところが、同じく医療改革改善推進会議顧問会議が、顧問3名(山岸久一顧問、長隆顧問、勝本宗繁顧問)と、弥栄・久美浜病院の各病院長、看護師長、管理課長が参加する会議が開催されます。(顧問の経歴はここを参照)

 顧問会議では長隆氏が積極的に発言し、ガイドラインに沿った「改革プラン」作成や「特例債」申請を是とした上で、「すべての改革は再編ネットワークが基本になっています。二つの市立病院をネットワーク化するといったことは、あたりまえのことであって、再編ネットワーク化として認められません。そうではなくて、例えば丹後中央病院との一体的経営、あるいは与謝の海病院との一体的経営などを想定させていただいています。県と市の統合についても当然具体的に着手する必要があるということです。」「公立病院が果たすべき役割として、不採算、救急は不採算ですが、それを十分やっていないのではないかということになると、2 病院の統合も視野に入れた抜本的な改革が必要になるでしょう。お医者さんがいないから、出来ないというのは、話が違うのではないか、要するにお医者さんにとって魅力ある病院であれば来てくれるわけで、努力する人が報われるような病院体制になっていれば来てくれるわけです。ですから魅力がなければ京北のように引き揚げられてしまうわけです。これは京大や府立医大が悪いわけではないと思います。京都市になったから、いきなり引き揚げられたと言っていますが、そうではない。改革プランの中で、ほんとうに魅力のある体質づくりが行われているかということをうかがいたい。要するに医師にとって魅力ある体制になっているかどうかということなんですね。収支計画をみると、核心に触れた改革をしようとしていないのは明らかなのです。人件費をほとんど変えていない。例えば、ベットを減らすというけれど、
人件費を、ほとんど変えていない。この改革プランは絵に描いた餅でいいというならいいんですが。京丹後市は全国ランキングでワーストの部類に入っているのです。資金計画がほんとうに血を流すような計画であれば別ですが、一番大変なところに、メスを入れていないようなプランは、京都府を通して総務省に資料が出てきても、認め難いということになる。総務省に相談に行った方がいいと思います。」


 顧問会議議事概要


 長隆氏が推し進める「公立病院改革ガイドライン」は、①経営改善②再編・ネットワーク③経営形態の選択です。そこには、住民になくてはならない救急医療や産科、小児科などの充実、地域の健康を守るとりくみでの役割発揮をどう進めるかの論議はありません。


 住民運動こそ、公立病院をまもる道
 

 京丹後市の「病院改革プラン」は、9月議会で継続審議になっています。

 京丹後市にみられる公立病院―地域医療を担ってきた住民のための病院―の危機は政府・与党の社会保障費削減や相次ぐ診療報酬の引き下げ、政策的に引き起こされた医師数の減少などによることは明らかです。
 住民とともに、この低医療費政策に反対する運動こそが、公立病院を守るもっとも確かな道といえます。


(以上 次回は京都市立病院問題につづく)