父親的生活

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クレーム

2004-07-06 18:12:47 | 出産・育児
このblogを読んでくれている人なら殆どご存知だと思うが、私は青果物に関わる仕事をしている。

今日は週の中日という事もあり、会社内は結構休んでいる人間が多い(わが社はシフト制なので)。
お昼前、いつものようにblogにカキコでもしようと、皆さんの記事を読んでいた時、事務員さんの「どうも申し訳ありませんでした」の声が聞こえていた。
しばらくして、その事務員さんが「お客様で、クレームがあり、責任者を出せと言っておりますが」と報告に来た。
「ヤバイ・・・」今日は部長連中はこぞって休み。おまけに加工場の担当者も休み。私しかいない・・・・。

電話の声は女性で、少し涙声であった。どうも弊社のカットネギに虫が入っていたとの事らしい。
すぐに、現地に走る。お客様の家はわが社から2時間も離れていた。

お昼過ぎ、現地着。お客様に会う。
モー○ング娘の一人みたいな(って、どれが誰って知らないけどね)金髪の若い綺麗な奥様だった。
商品を見せていただく、どうもネギの中に入っていた虫をそのままスライスしたらしく、虫のスライスが入っていた。
この手のクレームは始めてである。カットネギは生で使われる事が多いので、特に衛生管理は徹底している。細菌数まで毎日チェックしているし、捕虫機で毎日虫の数もチェックされている。一番小さいショウジョウバエですら、1ヶ月に1匹発見されるかどうかというレベルで管理されているのに、ネギの中に入った虫はチェックできなかったらしい。
ひたすら平謝りに謝って、何とかご理解頂けた。どうも料理中に虫の輪切りを発見したらしく、気持ち悪くなって電話を頂いたようだった。

当たり前ですね、料理中に虫が出ただけでも涙目になる方は大勢いらっしゃるはずだから。

「朝もこのネギを使って子どもに味噌汁を食べさせた。子どもが心配」との事。
この奥様、幼稚園に通うお子さんがいらっしゃるらしい。きっとかなり若い時のお子さんだろう。
でも、人は見た目で判断するのは良くないが、金髪でサングラスをかけて咥えタバコで車を運転されていたこの奥様も、お子さんがいらっしゃって、スーパーで野菜を買い、料理をされているという事実が少し嬉しかった。

本当は、「多分、その虫もネギと同じ様に殺菌、洗浄されておりますので、大腸菌等は検出されないと思いますが」、と言いたかったがそうはいかない。別問題だ。気分の問題である。
お客様に代わりのネギをわたし、心ばかりの野菜セット(キュウリ、トマト、ミニトマト、シシトウ等)をお渡しして帰途についた。

人間は動物や植物や虫だって食べる。本当の人間は、どんなに威張っていても、自分の力では体を維持するのに必要な栄養分を何一つ作り出せない、地球の寄生虫の様な存在である。
だから、輪切りの虫が入ったネギを食べても多分問題ないとは思うが(虫自体は食べなかった様子であったので)。
最近の食材と言ったら、出来合いの料理を買って帰るか、冷凍野菜を「チン」なんて家庭は多いと思う。だから、虫の様な目に見えるものは多分滅多に経験がないし、対応の仕様がないのだろう事も想像がつく。
しかし、目に見えていない細菌や、農薬の方が本当はよっぽど危険だ。不衛生な厨房で作り出される料理なんて、本当は雑菌だらけだと思う。以前、私は国民宿舎の厨房で腕を振るっていた時代があった。あんな所の厨房なんて、ねずみが食材をかじっていたりしたものである。さらに農薬だってたくさん使えば虫一匹つかない野菜だって作れる。
だから、本当は「目に見える衛生は一番大切ですが、見えない衛生にも気を使って下さいね」と言いたかったのだが、虫を入れていた張本人の言葉としては説得力に欠けると思い、若い奥様には何も言わないで帰って来た。

いずれにしてもお客様のクレームは色々と考えさせられる。良い教材だ。
目に見える不快感を取り除く事は最も重要かも知れないが、目に見えない部分も改めて注意せねばと思った。
最近は若い担当者や部長さんたちがクレーム対応しているので、今日はめずらしかったが良い機会だったと思う。
奈良県まで往復4時間のドライブ、久しぶりに一人で考え事も出来たし、お客様にも一応ご納得頂けたし、ある意味1日を棒に振ったとはいえない1日になった。



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2 コメント

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私は、大学では、青果物の収穫後の生理が専門でした。 (いわ)
2004-07-07 09:42:27
私は、大学では、青果物の収穫後の生理が専門でした。
保蔵って言いますけど。まあ研究室も保蔵加工学と言う名前。
主に学部の頃は、トマト。院では、桃を使って、収穫後の
劣化生理の研究をしてました。

何故か、今は青果物の流通じゃなくて、玩具の流通に携わって
たりしますが、これは人生の摩訶不思議というやつです。
国費の無駄とか、良く言われましたが、全くその通りです。
なんせ、食品に入っているエチレン吸着材を集めて、冷蔵庫の
野菜室に入れることを女房に指示する、くらいにしか経験は
活きてません。(^_^;)
そう言えば、家庭用冷蔵庫でエチレン吸着機能のついたものが
発売されてますですね。

※エチレンは植物の老化劣化を促進する生理作用があります。

青果物ではないですけど、私が感心している一つは、グリコの
アイスのコールドチェーンです。特にそれが如実に分かるのが
名作ジャインアントコーンであります。私が小僧の頃、30年くらい
前から存在する商品ですが、コーンが湿らずにカリカリ香ばしい
です。他社の製品は同じレベルにありません。
冷凍物は、製造後温度が上昇すると結露して、包装内に
霜が付きます。だから、霜がついている冷凍食品は買うべきでは
ないのですが、 コーンの場合、温度が上がって結露すると、
湿ります。カリカリ香ばしくなくなる。コールドチェーンの管理
レベルがグリコは高いということなんですね。
それと、製造にも工夫があって、コーンの内側はチョコレート
でコーティングしてあります。アイスを充填する時に、湿気を
コーンに与えないようにする為なんですね。
専門過程で勉強を始めてから、ある日食ってて気づきました。

という話を、グリコに勤める同期に話したところ、彼が会社で
担当者に話し、「分かってくれる人がいたか!」ということで
ありました。

なお、今や他社のコーンもカリサクです。グリコのすごいのは
すげー昔からそうだった、という点にあります。

津田さんも、頑張って下さいね。黙ってても、誰か気づいて
くれるものであります。
返信する
いわさんコメントありがとうございます。 (seurat)
2004-07-07 09:50:02
いわさんコメントありがとうございます。
エチレンの問題って、結構深刻なんです。と、言うのも、物流効率上どうしてもトラックには、花とバナナとか、りんごとキウイみたいな組み合わせが多く、又、軟弱類の鮮度にも多少影響していると思われます。で、この間からそのエチレン対策に躍起になっている所なんです。

グリコの話もタイムリーなお話でした。
頑張りますね、ありがとうございます。
返信する

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