父親的生活

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フリースタイル出産って

2004-05-26 02:40:23 | 出産・育児
さてさて、病室に入ると嫁さんは汗をかきながらひーひー言っていた。多分私が来た事も良くわかっていない様子だ。「ほら旦那さんが来てくれたわよ」と助産婦さん。しかしその目には「今頃きやがって」と書かれている。嫁さんは目もあわせてくれないくらいそれどころじゃないし。こんな嫁さんはいまだかつて見たことがない。そんな中で私は完全に借りてきた猫だった。ただぽかんとその場に居た。義父さんはただうろうろしていたし、義母さんも同じだ。
 さて、15分ほどして、陣痛の隙間に診察室に嫁さんが入った。しばらくの静寂。シーツににじんだ血が少し怖かった。
 程なくして助産婦さんが入ってきた。「結構子宮口も開いたので、そろそろ分娩室に入ります。ご主人さんですよね」。私「はい」、助産婦さん「ではこちらへ」とわけのわからないままに分娩室に入れられた。
 以前、私は絶対に立会いはいやだった。男が出産なんて見るもんじゃぁない!日本男児の名折れだ。と思っていた。しかし、出産の1ヶ月ほど前に2度あった父親教室で先生に「出産が子育ての第一歩です」と言われてから少し考えが変わっていた。だから、出張か何かで立ち会えない状況になるといいなと思っていた。がその日は家に居たのだ。前日は飲んでいたのだ。
 先生にすっかり洗脳されていた私はそのまま分娩室に入った。普通は白衣なんか着て、分娩台の隣で手なんか握って「がんばるんだ」なんていう姿を想像するだろうが、この病院は全然違うのだ。まず服装はそのまま。ジーンズにシャツである。しかもジーンズなんて朝からガーデニングしてきたそのままである。そしてやおら奥に招かれ、そこにはバースコーナーと呼ばれる一畳くらいの部屋がある。このバースコーナーとフリースタイル出産がこの病院の売りである。バースコーナーは元押入れを改造してあり、いすくらいの高さの部屋になっている。薄暗く結構落ち着く。ここに寝そべって生んでもいいし、分娩台で普通に生んでもいい。その気なら立ったままでもいいとの説明を事前に受けていたので、さてどうするのかは楽しみだったが、助産婦さんに促されるままにバースコーナーに行った。いろいろと試してみたが、どれも決定打に欠き、最終的には、私がバースコーナーに腰掛けて、嫁さんがしゃがんで向かい合って抱きつく。というスタイルになった様だ。しゃがんで生むと重力を使えるので生みやすいらしい。取り出すほうは大変だと思うけど。
 これがフリースタイルだ。で、抱き合った私たち夫婦は陣痛に合わせて二人でいきむ。「せえのぉ、うーん」と二人でやるのだ。嫁さんの手が私の肩をつかむ。汗が伝わる。少し陣痛が引く。助産婦さんが手際よく準備を進めている。「破水した」と嫁さんが言った。この日初めて聞いた言葉だった。こうなるといよいよ出産が近づく。助産婦さんもいよいよ付きっ切りだ。二人でいきむ。周りの看護婦さんが増えてきた。


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