続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

里山の暮らし②

2017-02-23 07:23:49 | 日常

「大人はみんな畑仕事だから、朝起きてご飯を炊くのはわたしの仕事だったわ。薪をくべて…味噌汁もね。
学校へ行く前よ」
「それから、牛を連れて散歩をしたことがあるの。で、何かの拍子に転んで、手綱を離してしまい《どうしよう》と思って立ち上がったら、牛は逃げずに(幼い)わたしの傍でジッとしていたわ。何か分かるのね、気持ちが通じているっていうのか…牛も家族だったから」

 そんな話をしてくれたAさんも寄る年波には逆らえず、買い物に出ると坂上にある自宅まで帰りはタクシーを利用しているらしい。
 ある日、降りようとして財布を確かめると料金不足…。
「すみません、家に入ってお金を取りに行ってきます」と運転手に告げると、
「いいですよ」と言ってそのタクシーは走り去っていったという。 

 Aさんは、その運転手さんにとって顔馴染みだったのかもしれないし、自分の親を思ってのことだったかもしれない。
(何か分かるのよね、気持ちが通じているっていうのか…)

 横須賀は里山の風景を失くしているけれど、まだまだ人情はある、と思いたい。

  
 
 

  

   
  


マグリット『ピレネーの城』

2017-02-23 06:58:45 | 美術ノート

 『ピレネーの城』

 水平線(海)の上空に、本来浮上する筈のない巨大な岩石が浮いており、その岩石の上にはやはり岩石で出来た(石化した)城がある。

 重力界である地球においてこの現象はあり得ない。
 しかし、わたしたちの地球は球体ではあるが、このような形で宙に浮いている。

 億の何乗もの遠い未来、果たして地球は存在しているだろうか。形骸化した地球の成れの果てが、地球に酷似した新星の上に意味なく浮いているかもしれない…。
 新星に生きる未来人たちは、首を傾げ、この物体の究明に心血を注ぐかもしれない。

 未来を空想する夢想の世界は限りなく自由であり、物理界の法則は通用しない。


(写真は国立新美術館『マグリット』展・図録より)


『城』2561。

2017-02-23 06:34:18 | カフカ覚書

  請願
「ところで、そのあいだ、わたしたちは、どういうことをしたでしょうか。およそわたしたちがなしえた最も悪いこと、わたしたちが実際に軽蔑されていたより以上の軽蔑を受けても当然であるようなことをしたのです。つまり、アマーリアを裏切ったのです。あの子の無言の命令と手を切ったのです。


☆ところで、わたしたちはどういうようなことをしたでしょう。例の悪いこと、わたしたちの現実の出来事に対してよりも軽蔑されるようなことをしたのです。わたしたちは、アマーリアを裏切り沈黙の命令から免れ分裂したのです。