
本日紹介する句
老いることやうやく楽し冬日向 坂本謙二 「良弁杉」
松山在住の作者。
句集名は東大寺二月堂開山の良弁さんが植えた杉にちなむ。
作者とて老いに悩んだ事も嫌ったこともあったろう。
が、長生きを楽しむことを悟った老いの知恵。 と宮坂は評する。
金魚も老いました。最近つくづく老いを感じることが多くなって、
上記のような句を好むようになっています。
同じような句として、
いちまいの落葉枯葉になる途中 田中青志 という句も
落葉よりも枯葉の時間は長い。
落ちたばかりの葉は鮮やかでみずみずしく枝から地上に住処を
移したときめきに弾んでいる。
雨に打たれ、霜を浴び、風に叩かれて落ち葉が地上に馴染んでくる
と当初の覇気(葉気)がなくなる。
生きる真髄はこれからではないかと、宮坂は評してます。
でもねと、金魚は思う。
樹の上で見た世界と、地上で見る世界は、やっぱり違うのです。
見上げられる位置から、見下される位置に、それはやっぱり違う。
そこで一句。
老いてこそ知る楽しみや冬日向
腐葉にはまだまだ遠い枯れ葉かな 夕金魚
でどうでしょう。