夕焼け金魚 

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言い争い

2015-02-10 | 創作
この冬最強の寒波って何度目だろうと思いながら、外を見たら一面真っ白でした。
昨日から、少し白かったからそれなりに予想はしていたのですけど、思った以上に雪が多くて「雪すかし」しなくてはなりません。
ちなみに「雪すかし」は金沢の方言で、除雪のことです。
どうして「すかし」と言うのかは色々説があるようですが、定説はありません。
私は「隙かす」と思って雪をどけて隙間を作るからと思っていますけど。
朝から玄関先を「雪すかし」していると、言い争う声が聞こえたのです。
雪が降ると街が静かになっているから、声がはっきり聞こえるのです。
見ると、家から田圃を挟んだ向かい側の道に犬を散歩している人がいて、その犬が咆え合っているというか、向き合って、今にも飛びかからんばかりにしている犬をお互いの飼い主が必死にリードを引き合っていると言う姿が見えました。
言い争う声は女の声なのですが、リードを引っ張っているのは男のように見えました。
朝のことですから、大声で言い争うのはどうかと思って、雪を踏みしめて二人の処に近寄っていったのです。
私も物好きというか、世話好きというか、と思いながら近づいたのです。
二人に近づくとはっきりと女の声で「貴方は」とか「気取って」とかもう女の人が言い争うとあんな事を言うのかと思うような凄い言い方なのです。
「どうしたのですか」と飼い主の一人に声をかけると「すみません、何か気に入らなかったようで」と苦笑してるのです。
間違いなく男の方。では言い争っている女の人はと思ってもう一人の方にも声かけたのですが、男の方でした。
言い争っている女の声は、間違いなくこの場で聞こえるのにと思っていると、言い争う声は下から聞こえてきて、咆え合っている犬を見たら、犬の顔でなく女の顔がありました。
身体が犬で、顔が女の人面犬。
耳のように見えたのは髪の毛で、その人面犬がもの凄い顔で言い争っているのです。
「すみません、すぐ止めさせますから」と一人の飼い主が言うと、言い争っている犬の顔を押さえて、その場でキスをしたのです。えっと思うともう一人の飼い主も人面犬とキスしていました。
さすがにキスしながら言い争うことは出来なくて、静かな街に戻りました。
やっと気持ちが落ち着いたのか言い争うこともなく、片方の犬がワンと咆えて立ち去りました。
「申し訳ありません。興奮すると人の声になって、ご迷惑かけました」と言ってもう一人の方も立ち去りました。
あんなにはっきりした人面犬は久しぶりに見ました。
愛情をもって飼うと、飼い犬は飼い主に似ると言いますから、きっと奥様もあのような顔をしているのではと思いましたけど、立ち去る二人の姿を見ていたら、もしかしたらあの犬というか人面犬が二人の奥様なのかと、ふと思ってしまいました。
想像が変な方向に行って、すみません。

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