選考を前提で俳句は詠んでないのですけど、やっぱり褒められたいですよね。冷や奴いつかは褒められたいと思う 師とした藤田湘子氏は「何のために俳句を詠んでいるかと聞かれたら、一人くらいは自分のために詠んでいると言う人がいて欲しい」という一人になるために俳句始めたのに、選考されなかったというだけで、気落ちするのはダメですね。でもちょっと自信のある句だったのです。三句送ったのですけど、そのうちの一句だけ . . . 本文を読む
今回の句は夏井いつき氏の句集「伊月集 鶴」2022年所収 仕事なし秋のビーサンうすつぺら 夏井いつき 掲句はコロナ禍で時間が無為に過ぎた時期の作品を「余録」として末尾に纏めた章ににある。仕事の無いままビーチサンダルをペタペタならして歩く。「秋のビーサンは」飯田蛇笏の「秋の風鈴」にも似て、季節外れのもののあわれを遺憾なく発揮していると評している。小川軽舟氏は夏井いつき氏が高校生による俳句甲子園 . . . 本文を読む
兼題は「栗」です。晩秋の季語。季語「栗」はブナ科。密生したとげの毬の中で実が生育する。山野に自生し古くからその実は食用とされてきた。六月頃に強い芳香を持つ花を咲かせる。材は耐湿性、耐久性にすぐれ家の土台枕木杭木などに用いられてきた。団栗で少し練習しているので、割と簡単に一句です。栗の皮 嫉妬心に似てるかも栗の皮ってとるのが面倒ですよね。嫉妬心のように面倒です。 栗の皮 嫉妬に似て 取りにくい 栗は . . . 本文を読む
今回の兼題は「団栗」です。楢、樫、柏などのブナ科の落葉樹の実を総していうが、狭義では櫟の実のこと。拾ってきて独楽にしたり、人形を作ったりする。 名前が似ている栗のように、食べる習慣はありませんが、渋みを取り除いて食べていた時代もあるそうです。リスや熊は食べるようです。例句として 團栗や屋根をころげて手水鉢 正岡子規 団栗 團栗二つ闇にまぎれてこぼれけり 正岡子規 . . . 本文を読む
今回の名句は池田澄子句集「此処」2020年所収です。 ショール掛けて下さるように死は多分 池田澄子 池田は「じゃんけんで負けて蛍にうまれたの」の口語俳句の印象が強い。 その口語が近年いよいよ自在になった。 死ぬ瞬間は誰も教えてくれない。「死は多分」の心許ない結び方は死を想像する心許なさそのものだ。ショールを掛けて下さるのが例え死に神でも、その瞬間はたぶん安らかなのだと思いたいのだと軽舟は評して . . . 本文を読む
蓑虫の続きです。 蓑虫は簔なくしたらただの虫 はちょっとね なんとか、次の一句です。 蓑虫も 聞け舟歌を 八代亜紀 「聞け舟歌」はちょっと強めです。蓑虫も 聞けよ舟歌 八代亜紀 なかなか良い感じになってきました。八代亜紀さんが亡くなったのは、今年です。味のある良い歌でした。 合掌。蓑虫よ ここから先は 黄泉の国蓑虫って異世界への番人みたいに思いませんか。 蓑虫は トンボ女の イヤリング . . . 本文を読む
NHK俳句で兼題「蓑虫」で俳句を公募してます。「蓑虫」は「三秋」の季語です。ミノガ科のガの幼虫。体から分泌した糸で樹木の枝や葉を綴り、蓑(雨具)のような巣を作ってその中に潜む。枝にぶら下がって揺れる様は寂しげ。鬼の子ともいう。「チチヨ、チチヨ」と鳴く言われ「蓑虫の父よと鳴きて母もなし 高浜虚子」と言う唄もあります。例句として下記があります。蓑虫になりてもみたき日和かな 片山由美子蓑虫に叶は . . . 本文を読む
今回紹介する句は今井聖氏の句集「九月の明るい阪」です。 永遠に下る九月の明るい坂日本人にとって特別の八月が終わって、九月の普通の暮らしに戻る。子供達は夏休みが終わって学校に戻る、その九月の明るい坂なのだ。それだけに「永遠に下る」が意外な印象がある。作者は団塊の世代に属し年齢的な下り坂のいくえを暗示する。それでもこの句の印象はあくまで明るい。上りきった後の下り坂は体も楽だ。もう頑張って登る必要は無い . . . 本文を読む
今回の句は中原道夫氏の句集「一夜劇」の一句です。 萩に雨こんな日もなければ困る 家でゆっくりするのに雨が降ったのはお誂え向きだ。 明日のことは明日考えよう。人生にはこんな日もなければ困る。 句跨がりの独白に思わず頷いてしまうと軽舟氏は評している。 萩の唄としては 芭蕉 一家に遊女も寝たり萩と月 加賀の千代女 あまりては月に戻すや萩の露 . . . 本文を読む
今回紹介する句は、深見けん二氏の句集「菫濃く」から 人生の輝いてゐる夏帽子 です。小川軽舟氏は「人生が輝く」という気取った慣用表現を平然として使っていることに驚くという。慣用表現は通俗的で俳句で使えば陳腐になりかねない。その慣用表現を一瞬で俳句にしたのが、「夏帽子」だという。俳句は愛唱されてこそ名句になる。誰にでも受け入れられる親しさが必要である。ふとした時に口ずさまれる親しさが必要だという。 . . . 本文を読む