Sera の本棚

感動した本のことや映画を見たり、コンサートへ行ったりした感想、高槻の写真など記録できたらいいなあと思います。

あきない世傳金と銀7・8ー高田郁作

2022-01-04 19:16:01 | 

高田郁作「あきない世傳金と銀7,8」を読みました。とうとう江戸にお店を出す事が出来ました。江戸でも思いがけない「縁」がありました。6代目店主「智蔵」と旧知の仲だった歌舞伎役者「中村富五郎」が「娘道成寺」のお練り(芝居小屋のこけら落としで大舞台の前に、役者が披露目を兼ねて練り歩く事)の衣装を五鈴屋に依頼しました。その衣装をどのようなものにするか、五鈴屋江戸店一丸となって知恵を出し合います。色は江戸紫、武家のためにあった小紋染めを工夫して江戸っ子に気に入られる粋な柄、小さな鈴にところどころ大きな鈴の柄に決めました。お練りの日は

「振り仰ぐ空は優しい薄花色、遠景に春霞がかかる-略-江戸中の願いが通じたような、上々の天気であった」
「麗らかな陽射しが降り注ぎ、風に甘い桃花の香りが混じる。お練りには相応しい穏やかな1日の幕明けだった」

お練りは大勢の人で賑わい、中村富五郎の素晴らしい衣装に圧倒され、この後五鈴屋が繁盛するのが手に取るようにわかりました。丁寧な商いが実を結んだ瞬間でした。ありの目のように細かいところまでよく目を行き届かせ、また空を飛ぶ鶚(みさご)のように俯瞰して広い視野で考える、「ありの目と鶚(みさご)の目」、両方の目で商いをする幸でした。偶然5代目店主惣次に出会います。今では本両替商の井筒屋3代目店主保晴となっていました。私も絶対どこかでまた惣次が出てくると思っていました。陰では五鈴屋のことを気にかけていました。

江戸店に誰も読めなかった掛け軸が飾ってありましたが、読める方が現われました。

「哀颯的景象        
  就在盛満中」
「哀颯(すいさつ)の景象は   すなわち盛満の中にあり」―衰えていく兆しというのは、実はもっとも盛りのときに在る

乗りに乗っている時こそ衰えていく兆しをしっかりと受けとめて、次の1手を準備しておかなくてはいけません。小説の中も麻疹が流行り、亡くなる人が多い中、着ているものに気をつかう人も減り、商いが難しくなってきました。コロナと違って期間が短いのでまだ良い方です。五鈴屋の江戸紫の鈴紋は鉢巻きにして頭に巻くと平癒するとの噂で切り売りもしました。「買うての幸い、売っての幸せ」です。

江戸紫を検索して調べました。きれいな色です。そしていろいろな苦労を乗り越えて次の小紋染めを考えました。手代の賢輔の図案と伊勢型紙の型彫師・梅松の技と型付師・力造の技から干支の文字の小紋染めを売り出すことに決まりました。その型紙を夜神棚に供えて、朝起きると無くなっていました。ここまでが8です。8巻の終わりがちょうど師走で今の季節にもピッタリでした。

2022-1-4(火) 図書館資料 請求番号:913/B/タカー7,タカー8


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2 コメント

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Seraさんの読後満足感があふれているような (aoyama)
2022-01-05 12:22:16
Seraさんの読後の満足感があふれているような紹介ですね。

私は自分で意識して小説を読まないようにしているのですが、それでも気持ちのよい読後の感覚が伝わってくるようです。
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早く続きが読みたいです (Sera)
2022-01-05 18:24:49
aoyamaさん、そうなんです、面白くて満足しています。

かなり前から出版されていたので、今は人気が落ち着いて予約している方がなくて

すぐに回ってきました。

ここからは(10巻)予約されているので、しばらく回ってきませんね(^_^;)

今年の2月には12巻が出版されます。

あと3巻は楽しめそうです。

aoyamaさんは研究がお忙しくて、本を読む時間がありませんね。

書かれたものが後世に役に立ち、皆さんに喜んでもらえるなんて素晴らしいことです❗
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