特上カルビの記のみ気のまま

韓国語教育を韓国の大学院で専攻した30代日本人男性が、韓国ソウルでの試行錯誤の日々を綴りました.

隣の国にいる理由

2005-01-27 07:00:20 | 韓国留学記
 晴れ。最低気温-2度。最高気温6度。三月初めの暖かさ。

 生来の不器用なので、一度に二つ以上のことをこなせない。

 会社勤めしていたときも、一度に二つ三つの仕事を頼まれたりすると、それだけでパニック状態に陥っていた。さらに優柔不断な性格が手伝って、仕事に優先順位をつけられず、一番重要な仕事を後回しにしたりして、周囲を呆れさせたことも少なくない。

 「不器用ですから・・・」というセリフは高倉健が言うから、サマになるのである。

 だから『いま会いにゆきます』中村獅童(なかむらしどう)演ずる主人公の秋穂巧(あいおたくみ)を見たとき、妙に感情移入ができた。不器用だけれど、憎めない。そんな役柄を中村獅童はとてもリアルに演じていた。『阿修羅のごとく』での勝又静雄役にもそんな中村獅童の魅力が見事に発揮されていたと思う。

 昨日、私の三味線の師匠である先生から綺麗な絵葉書を戴いたと書いた。日本に戻ったら、三味線の稽古だけは再び続けたいと考えている。

 しかしながら私が三味線の稽古を受けたのは韓国に留学に来る前の僅か半年間に過ぎない。その頃職場が人形町近くにあった。人形町には“つづら”を作っているお店や、“組み紐”を売る店などが軒を連ねる“甘酒横丁”という通りがある。そこに三味線屋さんがあって、いつも会社の行き帰りに前を通っていた。

 一度三味線を弾いてみたい。という思いは以前からあったのだが、なかなかお店に入る勇気がなかった。それがなぜか、ある日突然勇気を出してお店に入り、近くの三味線の教室を紹介していただいた。その足で先生の所に伺い、三味線の稽古をつけてくださるようにお願いしたのが始まりだ。それから半年後には韓国に来てしまった。

 私は人一倍不器用なくせに、何でもやってみたいことには手を出す悪癖がある。
 “アマチュア無線”、“韓国語”、“スクーバダイビング”、“日本語教師養成講座”、“簿記検定”、“乗馬”、“小型船舶操縦士(モーターボート)免許”、“スポーツクラブ”など・・・。

 人一倍飽き(諦め)の早い私が今も続けているのは“韓国語”と“スポーツクラブ”くらいだ。でも、モーターボートにはハマった。“船旅”好きが高じて、これも衝動的に21フィートの中古ボートを手に入れてしまった。まだ会社勤めをしていたら、ボートは手放さなかったことだろう。もしかしたら、新艇を手に入れていたかもしれない。

 今、ソウルに来て解かったことは、本当に必要なモノはごく僅かだということだ。

 でも、自分がやりたいことを実際にやってみるということは大事だと思う。やってみないと解からないことが実に沢山あるからだ。

 「同じ後悔をするのなら、やらずに後悔するよりも、やってみて後悔したほうが良い」というのが、生来不器用な私の持論である。

 だから今、隣の国にいるのである。