しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「容疑者Xの献身」 東野圭吾  

2006年02月22日 | 読書
高校の数学の教師・石神はアパートの隣人・花岡靖子に思いをよせていた。
その靖子が別れた夫・富樫を、娘の美里と共に殺してしまう。
警察に自首しようとした靖子だが、美里を巻き込みたくはなかった。
石神は靖子が望むなら、この犯罪から逃れられる様にすると申し出る。
美里の為に、石神の協力を受け入れた靖子に、石神は自分の指示の通りに行動する様に言う。
河川敷で死体が発見され、富樫と身元が判明。靖子の所に聞き込みに来たのは、
湯川の友人・草薙刑事。石神は湯川の大学時代の友人だった。
警察はアリバイを重視するが、崩せない。
湯川は石神に会いに来て、ある事で石神がこの事件に関わっている事を知る。


殺人の犯人は分かっていて、どう警察と対抗していくかと言った、罪を犯した側から見た物語。
「ガリレオ」の湯川先生と草薙刑事が、長編初登場。おめでとう!と思ってしまった。
長編に出たからって、出世した事にはならないかな・・・・・湯川先生は好きなキャラクター。
物理学者の湯川先生と同等の頭脳を持つ、数学者の石神先生。
この二人の頭脳対決・・・と言うか、二人の友情の物語でもある。
石神は2つのトリックを用いた。ひとつは時間、ひとつは物体。
すべて計算通りに行っていた石神が計算出来なかったのは、人の心だった。
しかし、普通の人なら、自分の犯した罪が発覚しないなら兎も角、(殺された相手が酷い奴なら尚の事)自分の罪を他人が被り、それを平静でいられるはずがない。それが分からないなんて。それが、石神の唯一の失敗だった。
靖子は美里の事がなく、黙ったままだったとしても、きっと幸せにはならないだろう。
靖子は悪女ではなく、普通の人なのだから。
そして、最悪の結果となった。石神の号泣が突き刺さる。
石神にとっては、見返りを求めない無償の愛。
「クロノス」の吹原に似ている。
でも、吹原に比べ純真さが感じられないのは、犯罪がからんでいるからだろう。
湯川先生にとって辛い事件だった。またの登場を期待。

直木賞受賞作で、2006年「このミス」1位の作品。
期待通りに面白かった。
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