しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「逃亡者」  折原一

2009年10月26日 | 読書
「逃亡者」  折原一    文藝春秋

友竹智恵子は28歳の時、殺人容疑で逮捕される。
殺されたのは智恵子の知人、林田亮子の夫、浩之。
智恵子は亮子から殺人を依頼されたと言い、亮子は否定する。
それ以来、取調べでは黙秘を続け、ある日倒れて病院に入院する。
その病院から脱走に成功した智恵子は、逃亡を続ける。
警察から指名手配され、夫の洋司は殺意を持って追って来る。
時効までの15年を、智恵子は数え始める。



折原一さんの今までの雰囲気とは違い、智恵子の逃亡の物語がリアルに書かれていく。
幸運あり、ニアミスあり、その様子は緊迫感がある。
智恵子の生い立ちも語られ、どんな人物かもよく分かり、物語にのめり込めた。
誰かがインタビューをしている形式で進行して行く。
だから、智恵子だけではなく、追う刑事や智恵子に関わった人たちの心情も分かり、ドキュメンタリーのような深みもある。
ただ、インタビューをしているのが誰なのか、そして時効が成立した後なのかが分からない。
それが心に引っ掛かりながら読み進める。

最後に来て、様相が変わり、今までの折原ワールドへ。
ちょっと、それは無いだろうと思わせる展開もあるのだが。
ラストは、謎は解けてすっきりと言う感じではなかったが、辻褄は合ってる。
自分の望むラストとは違ったが。
始めからずっと来た展開でも面白かったのだけれど、折原さんらしいと言えばらしいのだ。

<○○者>シリーズのひとつとして、充分に楽しめた。

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