しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「不発弾」  相場英雄

2018年09月17日 | 読書
「不発弾」  相場英雄   新潮社   

2015年。
34歳の小堀秀明警視は、警視庁捜査二課第三知能犯捜査係を統括している。
新たな獲物を探していて新聞を見ていた小堀は三田電機の不適切会計の見出しに着目する。
1500憶の損失を隠し、粉飾決算であると思われるが、なぜ不適切会計になったのか。
三田電機は日本を代表する大企業で、財界にも多数の人材を送り出した老舗だった。
粉飾が不適切会計と言う穏便な表現になったのか。
その背景には背任行為が隠れていると推測し、小堀は捜査を開始する。
その三田電機には金融コンサルタントの古賀遼が付いていた。
古賀は福岡の大牟田の炭鉱の町出身。
3歳の時、炭鉱夫の父親が事故死した後、水商売の母親と妹の睦美と3人暮らしをして来た。
自堕落な母親は睦美を利用しようとしていて、古賀は反発する。
古賀は証券マン先輩の話を聞き、稼げるという証券マンを目指そうと考える。
1979年、古賀は国民証券に就職して東京証券取引所に立っていた。
やがて、小堀は古賀の存在を知る。









経済と金融関係の物語。
小説だが出て来る企業名から推測できる会社もあり、ノンフィクションの様な感じも。
そんな事があったのだと、“事の真相”を知ったような気になる。
最後は首相まで登場。
みんな自分たちの都合のいいようにする為に権力を使って行く。
なんだか、今の状況にピタリと当てはまってしまうような。
困った事があっても先送りして行くのは、日本人の特徴か。
今、日本の借金は先送り、先送りされている。
自分たちの時代で解決しなくてもいいと思っているようだ。
古賀と小堀の、対決の物語でもあるのだが、そのあたりは少々薄い。
都合よく、という事もあり上手くまとまった感じ。
ラストは良くないけど。

ひとつどうしても腑に落ちないのは、古賀の妹の睦美の事。
これが古賀の動機付けとして必要だったのかも知れないが。
守りたいなら、一刻も早くという事は分かっていただろう。
高校を卒業した時点で、呼び寄せられただろうに。
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