しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「夏に凍える舟」  ヨハン・テオリン 

2018年09月16日 | 読書
「夏に凍える舟」  ヨハン・テオリン  ハヤカワ・ポケット・ミステリ  
 RORGAST   三角和代・訳

エーランド島に美しい夏がやってきた。
島でリゾートを経営する富裕なクロス一族の末っ子ヨーナスは、海辺で過ごす二年ぶりの夏に心躍らせていた。
しかしある夜、ボートでひとり海にこぎだした彼の目の前に、幽霊船が現われる。
やっとのことで陸に戻ったヨーナスは、元船長イェルロフのボートハウスの扉をたたく。
少年から話を聞いたイェルロフは、不吉な予感を覚える…。
一方その少し前、復讐を誓うある男が島に帰りついていた。
記憶と思いを丹念に描き上げた、エーランド島四部作をしめくくる傑作ミステリ!
      <裏カバーより>








エーランド島4部作の最後は、夏。
夏至祭と言うお祭りもあり、今までの季節とは全く違う人の多いエーランド島。
こんなに賑わう時があるから、余計に他の季節が寂しく感じるのだろう。
こちらもこのシリーズが終わってしまうのが寂しい。
いつも謎解きをして来たイェルロフの推理が今回も鋭く冴える。
今までは過去の事件が多かったが、今回は現在進行形。
イェルロフの人間としての大きさをまたしても感じる。
少年時代のエピソードもあり、どう成長して来たかも何となく分かる。
最後の「エピローグ」がとても優しく、強く心に染みる。

この物語のもう1人の主人公がイェルロフが少年時代に1度だけ出会った「帰って来た男」として登場するアーロン・フレド。
アーロンの人生が、余りにも辛い。
決して自分が望んでいたものではない。
そして、その後も周りの力が強すぎて自分ではどうしようもないのだ。
それでも生き延びた強さ。
これも歴史のひとつなのだが。
最後まで報われることがなかった人生が悲しい。

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