しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「六つの奇妙なもの」 クリストファー・セント・ジョン・スプリッグ 

2010年05月07日 | 読書
「六つの奇妙なもの」 クリストファー・セント・ジョン・スプリッグ   論創社
THE SIX QUEER THINGS    水野恵・訳         

イギリス、サウス・ロンドン郊外。
両親を早いうちの亡くし、伯父サミュエル・バートンと暮す20歳のマージョリー・イーストン。
サミュエルは自分本位で心が狭く、金のことしか頭にない。
タイピストをして僅かな収入しかないマージョリーは、伯父とお金のことで揉める。
そんな時、喫茶店で見知らぬ男女マイケル・クリスピンとべラの兄妹から声を掛けられる。
「あなたは眠っている自分の本当の才能に気が付いていない」と。
クリスピンは霊媒で、マージョリーは降霊会で書記をすることになる。
やがて、クリスピンはマージョリーにもその霊媒の才能があるからと、その指導を始める。



次がどう展開して行くのかが、分からない物語。
今まで読んだことのない感じで、先が気になり一気読み。
重要だと思っていた人物があっさりと殺されたりする。
舞台も降霊会から精神病院になり、思いがけないことが次々起こる。
怪しげな人物ばかりで、それが物語の不穏な雰囲気を盛り上げる。
事件を捜査するのは、スコットランド・ヤードの犯罪捜査課のチャールズ・モーガン警部。
何となくのんびりした感じがするが、確実に進んで行く堅実型。
タイトルの、6つの奇妙なものは、ちょっと取って付けたような気がしないでもないが。
最後の1行では、とんでもない事実が。
読み手を楽しませようとする思いが分かる。
この物語が書かれたのは1937年。
精神病院が犯罪に利用される怖さは他の小説や映画にもあるが、実際にもあったのだろう。
精神を支配する怖さは、この物語のテーマでもある。

作者のクリストファー・セント・ジョン・スプリッグは1937年、スペイン内乱に義勇軍に参加して戦死。
まだ30歳だった。
解説で、その他の作品も紹介されているが、翻訳されているのはこの1冊だけ。
7つのミステリ長編があるそうだが、他の作品も読みたい。

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