しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「私が殺した少女」 原  

2006年01月25日 | 読書
〈渡辺探偵事務所〉の探偵・沢崎は電話して来た依頼人・真壁脩邸に赴き、誘拐事件に巻き込まれる。
誘拐されたのは、真壁脩の11歳になる長女で天才バイオリニストの清香。
犯人の一味と疑われるが、身代金引渡し役に名指しされ、警察に疑われながらその役を引き受ける。
しかし、2人組のライダーの妨害に合い、身代金の受け渡しに失敗した上に、現金6千万円を奪われる。
なんの進展もないまま、9日が過ぎた時、真壁の義理の兄・甲斐正慶から依頼を受け、
再び、誘拐事件に関わって行く。


誘拐事件の小説で注目するのは、身代金の受け渡しの方法。
これは、電話の指示であちこち連れ回されて、と言う物。
東京の街を車で小刻みに移動する事は、思いがけないアクシデントが起こりがち。
これは、犯人は身代金を取る気がないと思っていたら、こんな方法で取っていくとは。少々荒っぽい方法だが、上手いと思う。
その後の展開も良かったが、犯人に目星が付いたのはちょっと、幸運過ぎたかも。
しかし、ラストの意外性はあった。しかし(また続くが)意外ではあったが、なにか納得が出来ない所がある。
親の気持ちとして、ああはならないだろうと言う事。
親って、どんな姿になっても子どもには生きていてもらいたいものではないのかな。
それが、すっきりしないので、なんかもやもやしたまま終わってしまった。

これは、ハードボイルド小説。ハードボイルドとは、ミステリー小説の形式のひとつで、
謎解きよりも、軟弱さを拒否する主人公の生き様の描写を重視する。
感情を抑えて行動する主人公が登場するもの。
主人公の沢崎はこれが2作目。やはり人物の魅力に迫るには。1作目から読んだ方が良かったかも知れない。
でも、自分としては、ハードボイルドな探偵よりも、
ひょろっとして少々軟弱そうな、作家探偵の方が好きかも知れない。


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