しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「琥珀の夏」  辻村深月 

2022年04月26日 | 読書
「琥珀の夏」  辻村深月  文藝春秋   

近藤法子は40歳の弁護士。
ある日、『静岡にある〈ミライの学校〉の跡地から子どもの白骨体が発見された』と聞き、子どもの時の記憶が一気に蘇る。
そこは、子どもの自主性を育てる為と、親から離れて大勢の子どもたちが生活していた所だった。
法子は小学校4年から、3年間、1週間の夏の合宿に参加していた。
そこで、ミカと言う同じ年の少女と仲良くなる。
だから、そこ白骨体がミカではないかと思ってしまう。
〈ミライの学校〉では、近くにある泉を神聖視し、その水を飲料水として売っていた。
その水が事故を招き、静岡の学校は解散していたが、まだ各地に残っていた。
世間ではカルト集団と見られたが、夏合宿に参加した法子は違う印象を持っていた。
折しも、その白骨体が孫かも知れないと言う老夫婦が依頼を持ち込み、法子は〈ミライの学校〉の事務所を訪れる。
そこで「田中」と名乗る女性から「うちは無関係」ときっぱり言われる。







設定や展開は面白いのだが、その中に“それはあり得ないだろう”と思う事が出て来る。
そうすると、段々物語に入り込めなくなる。
1番は〈ミライの学校〉で起こった事件。
そうなる状況が、本来ならそういう事はしないのではないかと。
任せるにしても、気に掛ける大人はどこかに置くだろう。
子どもの中に問題行動を起こす子が出ていたのだから、なおさらだ。
ロッカーにそんな簡単に見つかる秘密を隠さないだろうとか。
そして、あまりにも安易に犯罪行為をしてしまうこと。
そして〈ミライの学校〉とその団体の実態がよく分からない。
それは子どもの法子が見て触れた事実だけが書かれているからだろうか。
子どもを理想通りに育てたら、その後は社会に出ていけない存在となってしまう。
そのまま、その団体の中で暮らすことになると、1つの閉鎖された社会を生きることになる。
それが理想なのだろうか。
ミカの葛藤を知ると、とても正常な団体ではないと分かる。
大人になった法子は、改めて〈ミライの学校〉について関係者などに会い話を聞くが、その時はどう思ったのだろう。
始めは面白かったのだが、なんとなく馴染めずに終わってしまった。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「スキマワラシ」 恩田陸  | トップ | 「世界一のクマのお話 クマ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事