しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「スリーピング・ドール」 ジェフリー・ディーヴァー

2009年05月05日 | 読書
「スリーピング・ドール」 ジェフリー・ディーヴァー   文藝春秋
 SLEEPING DOLL       池田真紀子・訳

1999年、アメリカ、カリフォルニア州カーメルンでクロイトン家の4人が惨殺される。
ひとり9歳の少女テレサだけが眠っていて難を逃れる。
犯人はカルト指導者ダニエル・ペル。
ペルは相手をコントロールして思い通りに従わせること天才だった。
ペルは終身刑でキャピトール刑務所に収容されていたが、事件から18年、新たな殺人事件が発覚したとして、群裁判所内の取調室に移されキャサリン・ダンスの尋問を受ける。
キャサリンはカリフォルニア州調査局捜査官で人間の所作や表情を読み解く「キネシクス」分析の天才だった。
始めの尋問の後、キャサリンは新たな事件の発覚はペレが脱走する為に仕組んだ事だと見抜くがすでに遅く、ペレは脱走に成功し逃走する。
キャサリンは捜査チームの指揮をとることになる。



嘘を見抜く天才キャサリンと他人をコントロールして支配する天才のペル。
ともに重要なのはよく観察すること。
観察してそれを理解分析する力。
心の中のことは言葉で語られなくても、動作に現れる。
そんな2人の頭脳戦が面白い。
ダニエル・ペルは何人もの人を殺す冷酷な殺人鬼なのだが、必要以上に殺さないという面も見せる。
もっと殺さないでいてくれたら良かったのだが。
宗教にのめり込む人が不思議だが、こんな風にコントロールされたら、のめり込むのも分かる気がした。
勿論コントロールされていることは本人は知らないのだが。

タイトルの「スリーピング・ドール」はクロイトン家の事件で、ひとり9歳の少女テレサだけが眠っていて難を逃れる。
そのことから、テレサに付いた呼び名。
タイトルや物語の進行から、もっとテレサが事件の鍵を握っているのかと思ったが、そうでもなかった。
ラストも多少どんでん返しがあるが、驚愕というほどではなかった。
ラストより、最後のキャサリンとペルの直接対決が面白かった。

リンカーン・ライムシリーズと共通の雰囲気がある。当然か。
キャサリンは、そのリンカーン・ライムシリーズの『ウォッチメイカー』で初登場。
この物語の中でも、ライムとアメリアがちょっとだけ登場するが、そのちょっとがなんとなくいい。


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