うさぎのひとり言

唐突な思いつきで、脈絡なく不定期に書いてます。

君の名は

2015-04-22 | Weblog

 

相変わらず手をかけずに愛でられる植物が好きなのだが、なかでも、雑草のように頼みもしないのに住み着いてるくせにとてつもなく控えめな色で咲く名も知らぬ花が春の楽しみだ。

何年も前に、10年は前だと思うけど、左官屋さんにつくってもらったレンガの裏流し。レンガだから水の受け場は小砂利を入れておくというのが、その方のアイディア。その小砂利はいくばくかの年月を経てささやかな贈り物を宿してくれた。

空を舞い木の実を見つけて寄り道をする鳥の置き土産なのか、何年か前に、最初は1本だけ芽を出した。植物は芽を出したばかりはたいていどんな雑草でも愛らしいが、育つと共に正体が知れてガッカリする。でも時々、意外なことが起こる。いったいこの場所のなにが気に入ったのか、最初の数年は1本だけで咲いていた。そしてやがて年ごとに本数を増やしていった。

今年は、これまでで一番の群生をしている。控えめなバイオレットはそのままに、ベルのような花が一斉に開く時が待ち遠しい。

毎年問う、「君の名は?」と。応えがないところが良いところ。花をほころばせている間、時折訪ねて尋ねてみるが、応えもせずに花を落とす。だから見送ろう。またね、と。

花は名を求めていない。ただ命を営む。だからこそ願う、またね、と。次の春にもね、と。

 


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