うさぎのひとり言

唐突な思いつきで、脈絡なく不定期に書いてます。

やっぱり素通り出来なくて……

2015-07-13 | Weblog

やっぱり素通り出来なくて……

 

どうしてビールのCMに出ている人は、ビールをガバっと飲んだ後に、エイリアンみたいに歯をむき出して威嚇するみたいな顔をしているんだろう?

アルコール業界は、同業他社との競合だけではなく、いや、それ以上に同社他銘柄での競合が厳しく、もっともっともっとインパクトがなくっちゃ!! とモニターの前で悶々としている間に、タレントさんに形相が変わるまで「アーー!」とも「クーー!」とも「ウゲェーー」ともつかないあえぎ声を絞り出させてしまったのだろうか。

実際問題、人間の優位性や嫉妬心の源をたどれば、よその会社に負けるより、向かいとか、となりとかの部署に勝つか負けるかの勝負をするなんて、とてつもなくエゲツないことになりそう!!

ビールなのか、ビールのように美味しい発泡酒なのか、ビールに寸分たがわぬノンアルコール飲料なのか、いわゆるひとつのビール的なトクホなのか、企画会議で飛び交う単語を想像してしまう。

やがて出来るのだろうか? ビール味の浅漬けの素とか、ビールを飲まなくても済むビールなつまみとか。

たばこ会社がタバコを捨てて異業種で成長していくのも、時勢というものだろうが、ビール会社にはあんまり彷徨ってほしくない。

ビールの記憶は、父の記憶だし、なんの変哲もなく繰り返された家庭の風景のなかに当たり前に収まっている印だ。私の父は、キリンの瓶ビールだった。より好みせずなんでも飲んだけれど、買って飲むならキリンの瓶ビールだった。晩年はどうだったのだろう。自分が嫁いだ後のことは知らないけれど、暑くてうだった夏休みの日も、冷え込んだ冬も、心に鉛が落ちた気分で学校から帰った日でも、特に何を話す事もなく、いつもの古ぼけた食卓に並ぶいつもの食器や母の料理と一緒にキリンの瓶ビールが、それは必ず大ビンで、かわり映えのなくお膳の上で、威張るわけでもなくすっくと立っている。その風景は、へこんだり、沈んだり、ささくれた気持ちを、なぜか不思議とフラットにしてくれたものだった。あの頃は、そんな自己分析をする術も言葉も持ち得なかったけれど、今思うと、そういうことだったんだなぁ。

それはさておき、多種多様なテイストがアルコール業界にデビューしているのは、理系女子、なかでも化学に強い化女(バケジョ)の躍進が関連しているのではないかな。シーズンごとにニューテイストの登場は、いくら男性諸氏が分厚い市場分析データを眺めまわして女性をターゲットにしても、無理じゃないかなぁ。

先日、薬学の現役学生がお手製眠剤入りチョコで昏睡強盗を決行したとニュースになった。すごい、時代は変わった! かつて女は男の為に横領して、つみ人となった。今は自分の整形代のために他人の金を巻き上げる。男女分業して社会を営むというような教育や社会通念のなかで育った私には、なかなか刺激的な話だ。

父の晩酌のつまみに始まり、ようやく夕飯の支度を終えて座った母に、父は必ずビールをすすめた。「一杯だけもらおうかな」という母がコップを手に取り、父は必ず注いでいた。

あの頃、当たり前すぎて、いつものふつうの風景だったけれど、今思い返すと、あの時の母を可愛いと思う。先に飲み始める父と、ようやく座る母が手にするコップもおそろいでもなく、なんか昭和のビンボーくさい食卓(家電が最先端でないところが磯野家とは決定的に違う)だが、私には、平安で満ち足りた記憶だ。

こんなノスタルジーは、昨今の商品開発にまったくお呼びじゃないってわかっているけど、アルコール市場もめっきりAKB化が進んで、その変貌を見守るばかり。

アルコール飲まないのに余計な話ですみません。アルコールのない実生活なのに、凄いよね、CMの混入率。


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