ちょっと前に映画「ナイル殺人事件(1978年版)」を観ました。最近もまた映画化されたようで、そうなってくると、やはりアガサ・クリスティーの「原作」を読んでみようという気になってくるのです。
ということで、いつも行く近所の図書館から文庫本を借りてきました。
ネタバレになるとまずいので、内容には触れませんが、読み終わっての印象は、彼女の代表作のひとつということもあり、流石にしっかりとした構成の密度の濃い作品だと感じますね。少々欲張り過ぎのような印象を与える枝葉のエピソードも、物語の展開の中できちんと丁寧に回収しています。
映画の方も、結構、原作に忠実に作ってあるようです。
最後、オリエント急行殺人事件と同様に、関係者が一堂に会した場でエルキュール・ポアロが謎解きを披露するのですが、これは映画ならではの演出でした。ちなみに、私は、わざとらしさを感じる映画のラストよりも、原作のエンディングの方が好みですね。
さて、作中、レイス大佐とエルキュール・ポアロとの間で、こんな会話が交わされていました。
(p448より引用) 「・・・探偵の仕事というものはえてして間違った出発点を拭いとって、再出発することにあるからね」
「そうです。まさに真理です。それができない人がずいぶんいます。この人たちはまずある仮説を立てて、あらゆることをその仮説に当てはめようとするんです。それで何か小さな事実がその説に当てはまらないと、その事実を拗りだしてしまう。ところがその当てはまらない事実こそ、えてして意味深長なことが多いのです。・・・」
なるほど、サスペンスの “謎解き” の王道ですね。
原作の小説と映像化された作品を併せ見るのは、なかなか面白いですね。
オリエント急行殺人事件では、nekono-hironyaさんがご覧になった前作は1974年版で往年の大スターが豪華に揃い踏みしていたものだと思いますが、2001年にはテレビ版も作られています。こちらは舞台を現代を置き換えたものでかなりマイナーな作品ですが、これはこれで楽しめました。