会社の方からお借りした本です。
日垣隆氏の著作は何冊か読んでいますが、本書は2002年の発行なのでちょっと前の本です。
内容は、日垣氏が「メディア・リテラシー」をテーマに、読者からの様々な質問に対して一問一答形式で答えていくという体裁をとっています。
まずは全部で20ある質問の中で、「公式サイトを開設した理由を教えてください」という学生からの問いに対する日垣氏の答えの一節をご紹介します。
(p59より引用) 個人サイトは、一言で言えば常に更新される巨大な「名刺」だというのが私の実感です。情報量が多くなればなるほど、他人様にとってより、むしろ自分にとって必要なデータベースが構築されていくのは、とても興味深い現象です。これはウェブサイトの本質かもしれません。
この点、私自身、同様に感じるところがあります。
私も数年前から、自分の読書の覚えを「ブログ」にアップしています(このブログがそうです)が、現時点でかれこれ500冊以上の読後感が蓄積されていることになります。
ブログとして公開しているわけですから、基本は、当然、興味をもって訪れてくださる方々のためのサイトです。とはいえ、このくらいコンテンツが貯まってくると、訪問者のためという以上に、「私の外部記憶の一部」としての位置づけの方が大きくなっているという印象ですね。
もうひとつ、質問&回答の例です。
旅に出る目的について、実の娘さんからの質問に答えて。
(p179より引用) 自分が動いて未知や異質なものと遭遇したりしていると(つまり旅ですね)、それ以外にあまり努力をしなくても、ただ移動しているだけで、勝手にいろいろ「考え」が浮かんでくる。移動していれば、いやでも必ず現実にぶつかって、その「考え」を次々と検証できます。間違った仮説はすぐに、またはいずれ淘汰されていくわけです。
日垣氏は、自分が抱いている「問題意識=仮説」について考え続けるために、「旅に出る」と語っています。旅は、「もっと深く、いろいろなことを広い視野で考えておきたい」という日垣氏の思いを具現化する方法でもあります。
さて、本書でよく登場する「仮説」というコンセプトは、日垣氏にとって考える方法の肝の一つのようです。
この「仮説設定」という方法は、日垣氏が紹介する「読書法」の中でも登場します。
(p207より引用) 読書に関するノウハウにおいて肝要な第3の点は、仮説力です。・・・相手の土俵ではなく、できるだけ自分の土俵で読書する、というのは、とりもなおさず「大小の仮説を立てながら読む」ことだからです。
ここでひとつ指摘しておきたいことは、日垣氏の場合、「仮説」を立てる段階においても「徹底した取材(情報収集)」がその苗床になっているということです。
(p186より引用) 直面したテーマで「納得できない」ことが一つでもあったら、とことん調べる。それが基本中の基本だと思います。
「仮説設定」のフェーズでも「徹底した取材(情報収集)」を行いますし、「仮説検証」のフェーズでもやはり「徹底した取材(情報収集)」を行う・・・、こういう自らの手足と五感を駆使した「取得情報の希少性」がアウトプットの独創性を規定しています。
私自身、日垣氏の主張すべてに与するものではありませんが、より「真実」に肉薄した「事実」に基づいて議論・評論する姿勢はとても重要だと考えています。
情報の「目利き」になる!―メディア・リテラシーを高めるQ&A (ちくま新書) 価格:¥ 735(税込) 発売日:2002-09 |
↓の評価ボタンを押してランキングをチェック!
TREviewブログランキング
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます