第六章「どうしたら『知性』を磨けますか?」の章での姜尚中氏の指摘です。
(p126より引用) “勉強する”ということは“考える”ことですから、非常に抽象的な作業です。ところが、この抽象性を伴う作業は、切実でリアルな体験に裏付けされていないと、とてももろいものになってしまうのです。・・・世の中には、生きているものが死んだり、また自分が生きるために、生き物を殺したり・・・ということがいっぱい起きているわけですが、そういう自然の摂理を学ぶには、実物教育しかないのではないかと思うのです。
「勉強」の動機付けすなわち「知りたい」と思う衝動は、実物と接触したリアルな刺激が一番です。
「どうして?」と不思議に思う気持ちは、バーチャルな世界からは生れません。バーチャルな世界はそもそも何が起こってもおかしくない非現実的な対象だからです。
この章でのもう一つの指摘は、「知性の本質」についてです。
姜氏は「パブリックな価値について目利きする能力や感受性」が本当の知性だといいます
(p136より引用) 人間が生きていく中で、共に価値を見出そうとするもの-いわゆる“公”とか“パブリック”といわれる事柄について、何が大切なのか、ということなのです。そしてそれを目利きして判断をする能力こそが、知性なのだと思うようになりました。
そういう感性を育てる方法のひとつとして、姜氏は「古典を読む」ことを薦めています。
古典には時代を経て磨かれた先人の知恵が凝縮されています。
しかし、そのまま受け売りするのでは価値は半減です。自分なりの考えを築くための「貴重なヒント」として活かさなくてはなりません。
何事も「鵜呑み」にする姿勢は、「知性」とは相反するものです。
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