Learning Tomato (旧「eラーニングかもしれないBlog」)

大学教育を中心に不定期に書いています。

Vol:213:NET&COM2007参加報告

2007年02月15日 | セミナー学会研究会見聞録
日時:2007年2月7日(水)
場所:東京ビッグサイト(有明)
http://itpro.nikkeibp.co.jp/netcom/index.html

我がeラーニング開発センター唯一のconscience (良心)と評される佐藤氏が毎
年定点観測のために訪れるNET&COM。今回はその訪問記をお伝えします。

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概要
景気回復を反映してか、昨年に比べて活気が戻ってきたようです。よく目につい
たキーワードは「内部統制」「仮想化」「NGN」です。日本版SOX法への対応
をはじめ、セキュリティ対策など、全体としては「守りのIT投資」という印象が
ありますが、基調講演やフォーラムでは顧客中心、顧客価値といったタイトルも
みられ、Web2.0の動きとあわせて、顧客の視点からIT活用を見直そうということ
が再度注目されつつあるように感じます。

内部統制
適用開始まであと1年2ヶ月と迫った日本版SOX法。実はそういう名称の法律があ
るわけではありません。根拠となるのは、金融商品取引法、企業会計審議会
「基準」および「実施基準」です。もともとは財務報告の信頼性の確保を目的と
したもので、金融庁の基準に従う必要があります。

この基準以外にも「経産省のIT統制ガイダンス」、「米国のCOBIT for SOX」、
「公認会計士協会のIT委員会報告(第3号/第31号)」等があります。上場企
業のIT部門は、これらのガイドラインを読み込み、自社の内部統制システムが
これに準拠していることを証明する文書を作成し、年度ごとに監査を受けなくて
はなりません。

日経BP社のメインシアターでは、企業のIT部門向けの「日本版SOX法対策」
と題したセミナーが行なわれ、立ち見を含めて大勢の人たちが聞き入っていまし
た。システム部門としてしっかりとした考えをもち、監査人の質問にすぐ回答で
きるようにするなど、「監査人の心証をよくすること」が対策のポイントだとい
うことでした。

各ブースでは文書作成ツールや総合コンサルティングサービスの紹介を行なって
いました。大手コンサルに依頼すると2~3ヶ月のプロジェクトで2000~3000万
円のフィーが発生するようですが、ITベンダーでは500万円前後のサービスも
あるようです。ただし、一番大変なのは文書作成、評価テスト、内部監査などに
要する内部工数なのだということをどこのブースでも言っていました。

仮想化
ここ最近までは、企業のなかでスパゲッティ状態に分散した業務システムを統合
し、一元的にマネジメントすることをめざした「サーバ統合化」という言葉をよ
く耳にしました。そして今度は、それを実現する技術の一つとして「仮想化」が
注目されつつあります。

簡単にいえば、サーバにインストールした仮想化ソフトウェアが、一台のサーバ
のなかで複数のアプリケーションを動かすという技術です。複数のサーバを仮想
化構成にすることで、サーバ停止時のスイッチング、アクセス集中時の負荷分散、
サーバ資源(CPU、メモリ)の最適活用を制御するという高度なソフトウェアま
であるようです。

仮想化によるメリットは、コストの低減(収納スペース、サーバ設置費用、電力、
サーバソフトのライセンスなど)、可用性の確保(基盤の抜き差しだけで管理で
きる)、メンテナンスのしやすさ(バージョンアップ作業の手間、リース時期の
一元管理)などです。これらはeラーニングの運用課題と重なる部分もあり、顧
客志向の技術だと感じました。

NGN
NGNとはNext Generation Networkの略です。IPをベースにした新しい加入電
話網のことで、メインアプリケーションである電話サービスに加え、従来イン
ターネット上で実現していたIPアプリケーションも動かすことのできる情報通信
インフラといえます。技術的にはIP電話のしくみとほぼ同じようです。NET&CO
Mというイベントの性格上、技術やしくみについての情報が多かったのですが、
NGNがユーザにどんなメリットをもたらすのかについては、実感としていまい
ちピンときませんでした。

NTTグループが2006年12月にフィールド実験を開始しており、2008年には商用
サービスがスタートする予定だそうです。

社内SNS
NTTデータでの社内SNS導入事例を聴講しました。社内SNSの立ち上げは、
同社の行動ガイドラインの一つである「セクショナリズムを排し、仲間の知恵と
力をあわせる」を実現するための方法として、社内公募で有志社員(若手中心)
が提案したのがきっかけ。執行会議において公募8チームのうち2チームが承認
されました。

全社員8,400人に対し、現在の登録メンバーは約5,000人。開始からわずか4日間
で当初の目標であった2,000人が参加するSNSになったとのこと。コミュニテ
ィの数はONとOFFをあわせて600を超え、アクティブメンバー数(=3日に1
回ログインするメンバー)は1,600人だそうです。一般的なSNSと同じくあえ
て紹介性とし、口コミによる広がり、にぎわい感を大事にしたことが特徴です。

また、実名のコミュニティにしたことで誹謗中傷を抑止できたのではないかと仰
っていました。トップの巻き込み方がうまく、社内広報のコラムを通じて「SN
Sは有益だと思う」などと述べてもらうなど、命令ではなく推薦に近い形での絶
妙な匙加減だと思いました。

NTTデータの男性社員ですら本邦初公開という女性限定コミュニティの紹介も
リアリティがあって興味深かったです。仕事と家庭の両立、出産、お客様との飲
み会、女性としての悩みなど、他の女性社員から知恵や共感が得られる場になっ
ているようです。

個人的には、日記と同じカテゴリとしてQ&A(教えてください&回答します)
をつくり、画面の一番見やすい位置にこのコーナーを置いたという点に工夫を感
じました。たしかに、何か具体的なテーマがあれば他者がコメントをつけやすい
し、仕事(ON)でのコミュニケーションが実現しやすくなりますね。

本来、SNSは自発的なもので、職場にはそぐわないと思っていました。しかし、
NTTデータの社内SNSは、組織の行動改革ツールとして有効に機能している
ようでした。もしかしたら、職場というリアルなコミュニケーションがあるから
こそ、SNSというバーチャルなコミュニティが活性化するのかもしれません。
今回のプレゼンでは運営者(発起人)の苦労話があまり強調されませんでしたが、
実際には人に対する細かな配慮、地道な根回しもあったのではないかと推測しま
す。バーチャルな環境でのリーダーシップ、コミュニケーションのあり方は、こ
れからますます求められそうな気がします。

CCC増田社長の基調講演
いまやTSUTAYAの会員数は1974万人(2006年12月時点)だそうです。実に日
本国民の20代の38%がTSUTAYAの会員という事実。

これからの時代、人を動かす「情報」となるのは、人々の「体験情報」だという
増田社長のプレゼンは説得力がありました。ユーザのリコメンド情報や店長の店
舗運営ノウハウなどを、次々にITを使って共有できるようにし、新しい価値を
生み出しています。徹底した顧客中心の発想が、結果として今日でいうWeb2.0的
なサービスになっているのでした。e時代の新しい購買行動モデルとしてAIDMAか
らAISASへというトレンドにも言及していました。

 Attention (注意)→ Interest(関心) → Search(検索) → Action(購入) → Share (共有)
                

>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>ここまで>>>>>>>>>>>>>>>>>>
以上、本センターの「良心」佐藤さんの報告でした。
完璧な報告レポートなので、「AISASよりも挨拶」みたいなオヤジギャグしかコ
メントが思いつかない・・・・。情けない。

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