Learning Tomato (旧「eラーニングかもしれないBlog」)

大学教育を中心に不定期に書いています。

vol.341:Twitterと教育

2009年12月10日 | 技術動向
◆過去10年間のインターネットの10大事件にTwitter絡みが2つ
「ネットのアカデミー賞」と呼ばれるWebby Awardsの主催団体IADAS(International Academy of Digital Arts and Sciences)が過去10年間のインターネットの10大事件を発表しました。
http://www.webbyawards.com/press/topwebmomentsdecade.php
以下がその結果の和訳です。

・クラシファイド広告サイトのCraigslistがサンフランシスコ以外の地域に拡大(2000年)
・Googleが検索連動広告アドワーズを立ち上げ(2000年)
・オンライン百科事典Wikipediaが誕生(2001年)
・ファイル交換サービスのNapsterが閉鎖(2001年)
・Googleが株式市場に上場(2004年)
・オンライン動画革命(YouTube等)(2006年)
・Facebookが学生以外のユーザーにも門戸を開く。Twitterがサービス開始(2006年)
・iPhoneがデビュー(2007年)
・ネットが選挙に活用された米大統領選(2008年)
・Twitterが大きな役割を果たしたイランでの選挙に対する抗議活動(2009年)

意外だったのがTwitter関連で2つの事件が入っていることです。筆者も今年になってTwitterが身近な存在になってきたのを感じているのですが、過去10年の十大ニュースに入るほどとは思っていませんでした。
教育のバックチャネルにTwittwerを利用
このTwitter、最近教育やセミナーへのバックチャネルとしての活用が徐々に進みつつあるようです。バックチャネルとは、セミナーや講演会、授業などでのネットを介した裏の会話のことです。
(FNP Blog 2009-10-6『Twitterの社会的役割はバックチャネルなのか?』より

筆者はまだTwitterどころか授業中のおしゃべりを止めることで精一杯ですが、他の大学では下記のような事件まで勃発するほど活用が進んでいるようです。

Twitterで学生に宣戦布告
「東京工芸大学で講師・飯田和敏先生がブチギレしてボイコット『このクラスではもう授業出来ない』と『Twitter』で生徒に宣戦布告」(ライブドアニュース2009年11月14日より)

ニュースによると飯田氏は知る人ぞ知る天才ゲームデザイナー。その飯田氏が授業を担当しているとはなんとも羨ましい大学ですが、どうも学生の受講態度に我慢できなくなり、Twitter上で下記のような宣言をしたのです。
「眠いのは生理だ。ある程度は仕方がないと容認してきた。ただ昨日の件があり僕はもう厚木(東京工芸大学)には行くことが出来なくなった。意欲がある学生には申し訳ないが僕にも生理がある。僕はもう挫けた。どうするべきか自分で考え行動してくれ。それを最後の課題とする」
さらに
「学校には授業を無期限で中止する旨を伝えた。当然単位も出せない。次は君たちのターンだ。なんとかしてみろ。ゲームだと思ってやってごらん」
と宣戦布告したのです。
https://twitter.com/iidakazutoshi

Twitterの長所・短所
私は一連の事件の情報をあまり把握していないので、飯田氏の行動自体へのコメントはできません。しかし、この事件を通じて飯田氏が今回の戦線布告のためでなく以前から授業の中でTwitterを使いこなしていることを知りました。#kin234というハッシュタグを用いて、授業に関連するつぶやきをまとめていたのです。ちなみにハッシュタグとはTwitter内でのコメントのグルーピング機能のようなものです。使い方は下記のWebサイトを参照願います。
NWLab.com『[ #Twitter ] ハッシュタグ(#タグ)の使い方について』09/5/19

この#234というハッシュタグを辿っていくと、本事件に対する学生のつぶやきと行動をおぼろげながら知ることができます。例えば一部の学生が、教務部に行って授業復活に向けての交渉等をしているようです。
https://twitter.com/#search?q=%23kin234
(筆者注:多くのつぶやきがあったのですが、11/28に確認したところ、以前のつぶやきが表示できなくなっていました。代わりに学生側で中心となって授業復活に奮闘していたと思われるNozakuni君のつぶやきの軌跡を参照願います。https://twitter.com/nozakuni

その一方で、Twitterの情報発信は「即時性」「同時性」を大事にしているので、後になってどこに誰のつぶやきがあるのか?つぶやきの繋がりがはどうなっている等が分かりづらく、リアルタイムでTwitterをチェックしていないと事の真相がよくわからない面があります。さらに、授業中に居眠りをしているような学生が飯田氏の渾身の爆弾発言をTwitter上でフォローしているとは思えず、怒りを伝えたい学生に飯田氏の言いたい事が伝わっていない気がします。

事態は好転しているようです
ちなみに最近の飯田氏の下記のつぶやきには
「授業間メモ:学びの機会は一度しかない。大学の外は野蛮だ。そこに自分の居場所を作って行く為に、いまを大事にしてほしい。学んで欲しい。僕のやり方が乱暴だったから、とんだ騒ぎになってしまった。ごめん。すぐには難しいかもしれないけど、みんなにまた会いたいと思ってる。」

と書いてあり、どうも話はいい方向に向かっているようです。

筆者の場合、フロントチャネル(教室内でのリアルなコミュニケーション)だけでも精一杯になっているので、バックチャネルにTwitterを活用することなんて到底できそうもありませんが、もしかしたらバックチャネルがあることで、リアルな場のコミュニケーションがより活性化することもあるのでは、と淡い期待を寄せております。

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