Learning Tomato (旧「eラーニングかもしれないBlog」)

大学教育を中心に不定期に書いています。

vol.280:人を評価する考え方が変わってきた?

2008年12月04日 | 評価
筆者は「てんや」という天丼屋チェーンが大好きです。ドーデモ良いことですが、最近「天丼500円+お好みで茄子のせ60円+タレ多め」が究極のてんやオーダーであることを発見しました。そんなてんやのカウンターには「私、てんやの社長です(社長のペーパーラジオ)」というコラムが置いてあり、これがなかなか面白いのです。先日のNo13は店員さんに頼んで貰ってきてしまったほどです。しかし後で検索したら、てんやのWebサイトにバックナンバーが掲載されていました。

「てんや倶楽部 社長のペーパーラジオ」
コラムサイトへ
今回ご紹介するコラムは第13回です、既に掲載されている中では「第4回あなたの街のてんやです(2008.7.10)」がオススメです。ホメる事と動機付けに関したコラムで、そのまま稲垣 &波多野 の『人はいかに学ぶか』に事例として出てきそうな内容です。

さて、私が貰った13号には何が書いてあるかというと「人事考課」についてのてんや社長の考え方が載っています。しかもそのタイトルが「絶対評価の嘘」とかなりラディカル。

絶対評価全盛で、どちらかと言うと相対評価は悪者扱いされている昨今、「3000人の人事考課・賞与効果を年3回続けてきた経験」をベースにてんや社長は
「公平な絶対配分はむしろ相対評価の方が実現できる」
としています。その主張の根拠については、上記Webサイトに近々UPされると思いますのでそちらをご覧ください。あるいはてんやにお昼ご飯を食べに行って下さい。もちろんオーダーは「天丼500円+お好みで茄子のせ60円+タレ多め」ですよ。

人事考課のイロハとして「絶対評価=○」を信じてきた私にとって、かなり新鮮な内容でした。とはいうものの、大学に異動になってから学生の成績評価で相対評価的な考えを取り入れているため、てんやの社長の主張に同意する部分が多々ありました。

『内田樹の研究室』~人を見る目~
さて、時を同じくして、もう一つ評価に関して興味深いBlogを発見しました。
内田先生のBlogへ

こちらは全文読むことができるのでぜひご一読下さい。
内田先生は、
「最近、客観的根拠といった誰にでもわかるもの、皆が見えるものを基準にして、すべての価値を考量する傾向が強くなった。でも未来を切り開くためには、誰でもできる過去の業績を評価するのでなく、ある人が「これからするかもしれない仕事」を予測する力=人を見る目が大事」

としています。だからといってそれはそれは全くの山勘ではありません。

「私たちは根拠にもとづいて「推理」しているのである。しかるに、この推理の根拠は数値的にはお示しすることができない。推理の根拠が存在しないからではない。推理の根拠が限られた時間内に列挙するには「あまりに多すぎる」からである。」
とおっしゃっています。

大学の認証評価しかり、ティーチング・ポートフォリオしかり、何かと「客観的事実=エビデンスに基づく評価」という考え方に感化されていた筆者にとっては大変刺激的なブログでした。かつて私の尊敬する心理学者であるH氏が「コンピテンシーでは未来を評価できない」といった趣旨の事を話していたことをふと思い出しました。

これら2つのコラムから
「評価の原則やマニュアルに流されるな。目の前にいる被評価者をしっかり見
つめて、でどう評価するのが一番良いのかを自分の目とアタマで考えろ」
というメッセージを筆者は感じました。
皆さんは「相対評価」と「人を見る目」どうお感じになりましたか?

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