時戻素

昔の跡,やがてなくなる予定のもの,変化していくもの,自身の旅の跡など・・・

(154) 夢を咲かせ,舞う「洲」

2009年08月01日 05時06分16秒 | 過去になる現在
 パソコンを買い換えたり修理したりしたのでなく,今回も長時間パソコンがお利口さんだったので更新しています。

 タイトル最後の「洲」,何と読んだだろうか?
 

 大阪市の西の端の海に,「洲」と書いて「しま」と読ませる人工島が3つある。
 今,府庁移転などで話題になっているWTCの展望台からそれらの洲を見てみる。

(2009年6月27日撮影)

 一番手前の,今いる展望台があるのが「咲洲」,中央の左手が「夢洲」,右手が「舞洲」だ。咲洲のみが住之江区,他の2つが此花区に属している。ついこの間,咲洲と夢洲を結ぶトンネルが完成し,トンネルウォークが企画されていた。これはあくまでイベントとしての開通で,本日8月1日17時に開通予定らしい。しかし,この夢洲はまだ造成中の状態で,ほんの一部にコンテナターミナルがあるだけだ。
 咲洲についてはまた別の記事で書くと思うので,今回は此花区にある2つの洲(といってもほとんど舞洲)について書く。

 先ほどの夢咲トンネルはまだ開通していない(していたとしても通れるのは車)ので,此花区のUSJをさらに西へ行ったところにある此花大橋から舞洲に渡ることにした。自動車と自転車・歩行者用の入口は分かれており,歩行者・自転車用の入口は,自動車の入口の脇をそこそこ進んでいったところにある。

(2009年6月28日撮影)

 橋の上までは約4回転する必要がある。ここには渡船はないので避けることはできない。
 橋の上に着き,舞洲の方を行くと,目の前に奇抜な建物が見えてくる。

(2009年6月28日撮影)

 洲に着き,正面玄関の方へ回ってみる。

(2009年6月28日撮影)

 やたら高い煙突がある。この煙突,遠くからでも目立つのだが,正体が分からないうちは派手な橋の柱だと思っていた。

 この建物はオーストリアの芸術家フンデルトヴァッサー氏によりデザインされたものなのだが,案内板によると「エコロジー・技術と芸術の融和のシンボル」「大阪や世界の人々にとって注目すべきランドマーク」「この建物を友人として自慢できるように人間的な建物」となることを目的としているようだ。さらに屋根などの緑化は建物と自然の融合した人間生態学的なコンセプトの象徴と紹介している。
 このすばらしい目的のもとに作られた建物の正体は・・・・






 大阪市環境局舞洲工場という名のごみの処理施設だ。さらに,大阪市のごみだし事情の反映なのか,かなり性能のいい焼却炉を持っているらしい。
 他ではなかなかお目にかかれない発想が大阪市らしい。内部見学には予約を要すると門に書かれている。
 
 しかも,道路を挟んで北側にもこの建物と双子のような施設がある。同じく此花大橋の上から見える姿。

(2009年6月28日撮影)

 こちらにもあの煙突がある。

 正面から見てみる。

(2009年6月28日撮影)

 似ているのも当然で,こちらも先ほどの建築家によるデザインになっている。

 「大阪市舞洲スラッジセンター」という名前で,汚泥処理の施設のようだ。こちらこそ娯楽施設だと思って近づいたが,またしても予想を外してしまった。


 この舞洲,2008年のオリンピックの会場として立候補していた。その名残とも言える施設もある。

(2009年6月28日撮影)

 写真は舞洲アリーナだが他にも野球場やテニスコートや広場がある。この日は日曜日だったこともあり,家族連れやクラブチームなどが多かったが,普段はどうなのだろうか?

 このスポーツアイランドの後にも,意外な施設があった。

(2009年6月28日撮影)

 キャンプ場だ。
 この舞洲の西側は2002年に行われたボーイスカウトの大会である,日本ジャンボリーの会場となっていたらしい。この回はアジア太平洋地域のジャンボリーも兼ねていたようで,日本中はもとより,世界中からメンバーが集まるイベントだ。ボーイスカウトをポケモンの世界ぐらいでしか見たことがない人にとってはイメージは異なるかもしれないが,祭の運営ボランティアや募金活動など幅広い活動をしている。野営活動が中心となる活動の一つで,普段の集会でロープ結び,炊飯活動などの訓練もしている。そのような団体の集会がこのような人工的な自然の場で行われていたことは本当に意外だ。大阪府で開かないといけないような流れだったとしても,東部や南部には国定公園もあり,人工島での開催は本当に謎名部分がある。

 洲の西端には「新夕陽丘」と呼ばれる築山がある。

(2009年6月28日撮影)

 新とあるのは,天王寺区に夕陽丘と呼ばれる場所があるからだ。平らな印象の強い大阪市の中にある台地(標高20m程度)上に位置し,鳥居越しに夕日を望むことのできる場所だ。
 それに対して,新夕陽丘の日没数時間前の様子。

(2009年6月28日撮影)

 海に沈む夕日が見られるのはいいかもしれないが,どこか人工的な感じがしてならなかった。

 スポーツアイランドの南側には海に沿って遊歩道(?)が整備されており,夢洲を見ることができる。


(2009年6月28日撮影)

 さっきも書いたとおりまだ造成中で,特に北側には何も見えない。夢洲を前に釣りをしている人々が結構いた。釣り禁止の看板も見られるが・・・(試験的に許容するような案内もあり,この日がどちらだったのかは分からなかった。)

 舞洲と夢洲を結ぶ夢舞大橋。

(2009年6月28日撮影)

 まだ造成中の島にも立派な橋が架かっている。
 今のところ,唯一の夢洲へのアクセスができる橋だが・・・

(2009年6月28日撮影)

 自動車の通行ができる時間帯は限られているようだ。
 大阪の主要交通手段ともいえる自転車の場合は・・・

(2009年6月28日撮影)

 歩行者も含め,通行できないとされている。
 橋の入口は・・・

(2009年6月28日撮影)

 柵でふさがれていた。
 つまり,橋があるにもかかわらず,この日は車がなければ夢洲へも上陸はできなかったことになる。今日のトンネル開通でも通れるのは自動車なので,状況はそこまで変わらないだろう。ほぼ何もないからわたる必要はないとはいえ,寂しい事実だ。とはいっても,大阪の中心からは10km近く距離があるので,自転車で来る人はそこまでいないかもしれないが・・・(ただ,この日は自転車を結構見かけた気がした。)車がない場合,バスを使ってのアクセスが可能だ。たしか西九条駅から市営バスが出ていたと思う。市営バスの他にも・・・

(2009年6月28日撮影)

 舞洲のためのバスもあるようだ。

 今現在の交通の便はこんな状況だが,最初に書いた夢咲トンネルには鉄道のための設備も準備されているらしく,南港(咲洲)のコスモスクエアから夢洲,舞洲と渡り,北港の(仮)新桜島駅を結ぶ路線の計画もあるようだ。JRの桜島駅とは離れた位置だが,京阪の中之島線を延伸した際に接続駅とする計画もあるようだ。

 今は開発途中でところどころに多額の資金を投じたであろう施設が見られるような状態だが,将来的にどうなるのかは大阪市の財政の問題も含めて気になっている。