ひょうごの在来種保存会

会員さんも800名を越えました。活動報告を発信します。

220709田能のさといも~自然と文化の森協会①

2010年09月28日 | 調査活動
かつてここには・・・・



尼崎市の北東部 かつてここには
川が育む豊な台地と自然があった
生き物たちと共にすごした
心安らぐ暮らしがあった
子供の頃の遊び場は川と田んぼと森だった
わくわくしたのはお祭りだった
でも田んぼや森は小さくなった
祭りのお囃子も少なくなった
その大切さに気付かなかった
川を森をお祭りを
もう一度子供たちにも大人にも
本当の豊かさを知るように
心豊に暮らせるように
「自然と文化の森構想(平成14年尼崎市策定)より」


今回は、田能のさといもを紹介します。
尼崎は今は大都市ですが、「尼いも」、「武庫一寸そらまめ」など有名な伝統野菜が残っているように、工業化の前は農業地帯でした。それもこれらの伝統野菜の背景として芋の早掘りやソラマメの大きさという競争において明らかに他の産地に勝っていたことからすると、当時は相当栽培技術の高い地域であったのでしょう。そのためでしょうか、今でも少なくなった街中の畑をみていると、家庭菜園と思われるものでも畝のつくりや仕立て方など、かなり高い技術が見られます。

さて、田能のさといもですが、保存会会員の中でも話題になり、気になっていました。数年前から新聞やネットでよく見かけていることもありますし、さといもは保存会にも多く、姫路えび芋や小野芋のように保存会が設立されているものもありますし、他にも小代いもや一徹小芋もあります。「手前味噌に掛けて『手前芋の会』って企画しませんか」って話をしていたこともありました。

今回、尼崎市役所の園田地域振興センターにおじゃまし、自然と文化の森協会 副会長(農業部会)引地さん、尼崎市役所園田地域振興センターの小東さんにお話を伺いました。

220709加古川メロンの小林さん④

2010年09月19日 | 調査活動
また整枝でも、
「加古川メロンは多いときで20aくらいつくっていた。スイカは多いときで70a。こんなにつくるとつるの整枝が大変だ。でも、人は寂しがり屋で人の集まるところを好むでしょ。会合でも催し物でもほっといたら集まった人は集団が固まってますわね。でも、つるものは集まるのを嫌うんですね。いじられるのを嫌う。だから、自然といい形になっているんです。私は株元はきっちりやる(整枝する)けど、あとはそれなりに自然に任せている。大メロンも株元を5本に整枝するくらい。植物は毎日見ておったら何もせんでもうまくいくもの。」

毎日、野菜を見てらっしゃるんですね。これが一番の秘訣でしょうね。

帰りがけに・・・
「加古川メロンだけと違ってな。他にも、ここにしか無いもんがある。えっと、これが千石なす、これが播磨メロン・・・・」
え~!!!なんじゃ!!!!!! !(*_*)!!(*_*)!!(*_*)!!(*_*)!
(後日、追加調査実施しましょう。)

※写真は、千石ナス、かんぴょう、すいか、ぺっちんうりです。いろいろありました。








220709加古川メロンの小林さん③

2010年09月16日 | 調査活動
そして話は名前に。
「加古川大メロンというのは宮脇種苗がつけた名前でね。これが次第に『大』がとれて、今呼ばれている加古川メロンとなったんですわ。」

特長とか食べ方とかお聞きすると、
「裂果せず、熟すのが早く、即、食べられる。(西洋系の品種は収穫後に少し置いておかないと食べられない)熟すと果皮の青い色が薄緑に変わってきます。この品種は熟して輪がでるものではないので、毎日触って、少し弾力がある頃が適熟となるんです。ぶよぶよしたら腐ってます。いい食べ方としては、皮を剥かずそのまま輪切りにして食べる。これがきれいにも見えて、美味しい。」
きれいな断面が想像できます。夏の夜に涼しげな緑色が美味しそうですね。

小林さんは本当にお話が上手い。圧巻だったのはこの作り方のコツをお聞きしたときの話。
「少々気むずかしいメロンなのでコツをつかむのが大事。
メロン作りでうまい人っていうのは、例えば、『喫茶店に行こう』って人を誘ったとき、コーヒーでも飲んで支払いの段階になって、『誘ったわしの方が払うわ』と先に財布出す人や、『いや、俺が払う』と後ろから言ってくる人なんかはメロンづくりに向かない。お金を出すのを‘待つ’ような人が上手につくる。肥料を少しずつ使って、あとから足らずを足すような・・・けちんぼ、シブちんが上手や。買ったら買っただけ肥料使う人とか、面倒だから最初に全部ふってしまえと言う人とか、そんな人は向かない。多少手間かかっても、じっくり見て、もったいなそうにする人がよくとる。」
がははは(笑)!!素晴らしい表現です。






220709加古川メロンの小林さん②

2010年09月13日 | 調査活動
「昭和47年、オイルショック当時、種苗会社はメロンを多く開発してましたね。たくさん出ていたのは小林種苗のホームラン(スター)とか、サカタもいろいろ出していたなぁ・・・。でも、当時のものはきれいだけど、あれほどうまくはない。見てくれは悪かったけど、味が確かなあのメロンがあればな・・・と、昔のメロンを思い出していたところ、お客のおばあちゃん(堀井さん)がそのような種を持っていると聞きまして、早速入手して、栽培してみました。するとカタチは少々違うようだが、味はそっくり!そこでこれを栽培し始めたんです。」
素晴らしい!堀井さんという方も加西市。更に追加調査が必要です。これは後日しましょう。

小林さんのお話は続きます。
「栽培し始めてみると、梨瓜やマクワによくあるように、食べようとする時期になるといきなりバサッと枯れ上がってしまいまして。ウリバエの幼虫が卵を産んで苗を痛めてしまう。そこで南京台についでみた。2年くらい台木で実験してみたら、うまいこと枯れずにもつようになった。」小林さんは優れた技術者です。
そして話はついに!ここを訪れたきっかけになった加古川の宮脇種苗につながります。
「昭和50年頃、あちこちの種屋では『うちでしか買えない商品』を取扱う傾向になり始めてまして、当時から加古川の宮脇種苗に行って、この接ぎ木苗を売ることを進めてみたんです。翌年、番頭の小林さんから「置いてみましょか」と連絡があり、それから販売が始まったんです。お客の皆さんから『枯れない』と言われ有名になったらしいです。」小林さんの技術(台木)が普及につながったんですね。



220709加古川メロンの小林さん①

2010年09月10日 | 調査活動
加古川メロンについては、県のホームページに

【生産地】加古川市
【来歴】来歴の詳細は不明。加西市の種苗業者が以前より自家消費用として栽培していたものを加古川市の宮脇種苗店が選抜し、加古川メロンと名付けた。
【特性】果色は緑白色、果肉は淡緑色。歯ごたえが良く、成熟するとほのかな香りがあり甘みも高い。

と掲載されています。

 実際、昨年7月に保存会で加古川市の宮脇種苗を訪問し、加古川の福田さんを訪ね、栽培を教えていただきました。(昨年掲載してます)
 その時に宮脇種苗さんが、「店に苗を持ってきてくれるのは加西の小林さんという農家さん」とおっしゃっていたので、その小林さんを訪問しました。

 加西市のご自宅におじゃましました。家の近くに田畑が、そしてハウスもあります。
 かなり本格的な農家さんです。
 小林さんに早速お話を伺います。

「昭和28,29年頃、私が29才の時、うちのおじいさんが『田んぼうり』と称する大きいメロンを栽培してまして・・・」と話が始まりました。

「小野の商店街に持って行きまして、そこの八百屋で販売してもらうと、当時、このような田んぼ瓜は奈良漬け用と思われてしまったようで、全く売れなかった。でも八百屋で引き続き置いてもらって、『お客に試食してもらってくれ』とお願いしておくと、次に言ったときには全部売れてしまっていた。でも残念ながらこの種は捨ててしまいました。」 うぅ~ん・・・残念。
でも当然この話には続きが。



220710○○のふき④

2010年07月18日 | 調査活動


ここのふきは「根元の赤いの」と「根元も緑色のままのもの」とがあるそうです。
「やせた土のところや、よく日の当たるところは赤いのが生えている。」とかおっしゃっていました。(アントシアンがストレスででたものかな?)
「肥料やったんは、集荷した後、店でふにゃふにゃになっちゃうわ。だから肥料はやらん。」たくさんとろうと肥料やったら味が悪くなるそうです。

収穫ははさみや鎌で丁寧に行われます。引っこ抜くと根が傷つき生えてこなくなるそうです。
村のあちこちに生えていますが、出荷するものなので、他の人の田んぼや山のものは採らないようにしているそうです。この地域には「このふきは共同出荷していますので、採取はご遠慮ください」っとの看板が掲げられております。(このため、ネット上では「○○のふき」の表現にしています。)

4月に生えるのが一番ぶき、6月に草刈った後に生えるのが二番ぶき。2回食べることが出来ます。その後も生えるそうですが、これ以降のは固くなって美味しくないそうです。

このようなすばらしい地元のふきなのですが、今、事態は深刻です。
4~5年前から鹿がでてきて、ふきを食べてしまいます。それも春先のふきのとうも食べてしまうので、その後、ふきがでてこないそうです。また、イノシシは根を掘ってしまうそうで、これも生えてきません。「昔は鹿はフキを食べなかったのになぁ。。。」と村の皆さん。

村は一面、防護柵だらけになりました。獣とのおっかけっこ、知恵比べの戦いです。
農村で農作物を作れないなんて、産業と生活を取り上げられるようなもの。「自給」が閉ざされてしまいます。

在来種は今の時代には合理的な食べ物ではないかもしれないけれど、先人の文化や知恵を気づかせ、今の生活を見直させ、新しい出会いを授けてくれ・・・我々の生活を豊かにしてくれます。村の皆さん、がんばってください。

帰りにおばあちゃんに、
「お米は何をつくっているんですか?」とお聞きすると、「キヌヒカリや。山だからあんまし(単収は)とれんけど、おいしいで。なんせ水がええからな。水だけはきれいなで~。」

村中が、清流なんですよ!


220710○○のふき③

2010年07月13日 | 調査活動


前回おじゃました時はいきなりだったので、再度出直してお話をお聞きしました。
この地域では昔からふきが生えていて、春から夏にかけ、皆で旬を楽しんでおられたとのこと。
20年ほど前、この地域でほ場整備を行ったら、法面を中心ににたくさん生え始め、農協へ出荷も行った。
春に生える「一番ぶき」、6月の草刈りのあとに生える「二番ぶき」と出荷され、多いときは十数人が出荷していらっしゃったとか。当時、農協には「○○のふき」と書かれた箱もあり、皆でL,M,Sなど出荷規格で揃え、農会長がとりまとめ出荷されていたらしい。
「多く出荷する人なら、年間3~40万円くらいの売り上げがあったかな・・・」

ここのふきは柔らかいのがウリで、皮を剥かず(スジをとらず)に炊いて食べられるらしい。ここの株(根)を掘り上げて他の地域で植えても、この柔らかさはでないとか。

集落の中には「ふきのオーナー制」のようなものをしているような方もいるらしい。

(※今回は地名等を伏せさせていただきます。保存会通信には掲載する予定です。)





220523○○のふき②

2010年06月17日 | 調査活動


昨日の続き・・・・写真だけです。
追加と言えば、こーゆー現地調査した後は、帰ってからみんなでお酒なんです。ほぼ。

今回は改良雄町を使った島根県のどぶろくと、姫路の田中酒造所、それも兵庫県産山田錦100%使用「白鷺の城」!これははやっぱり美味しい!!





220523○○のふき①

2010年06月13日 | 調査活動

今回は名前や地域名称を伏せてアップします。

保存会メンバーから
「温くなったら近くの直売所にふきが並ぶけど、ココの地域のふきだけは店頭に並んだら一瞬にして売れてしまう。あとの産地から同じようなのが並んでいるけどそれは残っとるのになぁー。。」と評判を聞き、現地へ。

ちなみに兵庫県で有名なふきといえば「淡路一宮のふき」。あれは立派なふきで、栽培されているもの。たけのこと一緒に薄味の煮物ででてきますよね~。今回のふきはよく聞けばいわゆる「山ふき」。割り箸くらいの太さで自然に生えているもの。
私も昔、山にとりにいきました。山ぶきは佃煮風に煮込んで食べますよね。

今回調査に行きましたが、後日再調査してきます。
おばあちゃんにこの集落のこと、ふきのこと、他の食べ物のことなど楽しいお話をお聞きし、またすばらしいことにちょうど食べていらっしゃった煮物や佃煮を試食させていただき(軟らかい!!!!)、生えているところも見せていただきました。

さらに「もっと話聞きたかったら(集落の話仲間)みんな呼んでもええで。みんな話好きだから(保存会が調査に来たこととか)話題も増えてええから。」っておっしゃってくれたので、もう少しふきが大きくなった頃におじゃまします。

なので今回は写真だけをお楽しみください。




09.08.22 青垣三尺きゅうり③

2009年10月05日 | 調査活動
 今も青垣三尺は漬け物として販売されていますが、量では全盛期の面影はありません。しかし、道の駅あおがきで販売されている漬け物、「青垣三尺 きゅうりの里」には、しっかりとした歯ごたえがあり、今のきゅうりとは全く別物の味覚が残されています。
 直売所で生のきゅうりを購入し、家で漬け物にしましたが、「パリッ、パリッ、」とした皮を破る食感が心地よく、「ギュッ、ギュッ、」とした果肉を噛みしめられるボリュームがあり、漬け物として大変美味しく楽しめます。一緒に漬けた普通のきゅうりは、漬けるとぶよぶよの皮だけになり、実が溶けてしまいました。青垣三尺は「そういえばきゅうりは瓜だったんだなぁ・・・」と当たり前のことを思い出す果肉の食感です。

 直売所を2カ所回りましたが、出荷されている人は2名しか見つかりませんでした。「あー去年までは○○さんもつくっておられたけどね・・・」
本当にヤバイです・・・。
皆さん、美味しい漬け物を守りましょう。


09.08.22 青垣三尺きゅうり②

2009年10月04日 | 調査活動

 その後、きっちりとした系統を維持するため、大名草(おなざ)の地に種場をつくり、他の系統と交雑しないように管理しました。
 出荷先では、多くがいわゆる奈良漬けに加工されます。そのため、県の補助で加工所もつくり、一時加工(塩漬け)を行って阪神間に出荷しました。最盛期で生産者100人以上(だいたい一人3~5a程度の作付け)、加工所も10人くらいが働いていました。
 出荷先からも「きゅうりは青垣。瓜は阿波」と評価してくれ、多くの阪神間の企業と取引したそうです。
 「何故きゅうりだったんですか」とお尋ねすると、「ここ青垣は山間ということもあって寒暖の差が大きい。この気象条件は、瓜栽培には合わないけど、キュウリにはとても良い条件。きゅうり以外でも、青垣はりんどうやヤブサンザシも他のところより色がいい。」


09.08.22 青垣三尺きゅうり①

2009年10月03日 | 調査活動
 山根、小林、岡田、池島、小坂で「青垣三尺」というきゅうりの調査を行いました。訪問したのは丹波市青垣町の足立さんです。いきなり5人が押しかけ、御家族にもご迷惑をおかけし失礼しました。<(_ _)>
 足立さんは役場の職員として特産物を開発するプロジェクトの担当だったそうです。いろいろな作物を検討した結果、その頃、漬物会社が役場に相談に来ていたこともあり、振興作物をきゅうりを決めました。
 そして当時の農業改良普及員さんが各地からきゅうりの種を数種類入手されてきて、その種を青垣町稲土(いなづち)において栽培しました。
 年に2~3回の採種を4~5年かけ、10数代、皆で相談して選抜し、選ばれたきゅうりを「青垣三尺」と名付けました。
 

09.09.26 西村和雄先生の農場を訪ねる②

2009年10月01日 | 調査活動
西村先生の農園を後にし、向かったのは先生のご実家。
ご実家では奥様がケーキ屋をされています。

甘さを抑えたロールケーキやふわふわで大人の味のシフォンケーキも美味しかったけど、野菜ケーキが最高!
ケーキの中に細切のにんじん、ピーマン、たまねぎとかが入っているんですよ!
野菜をミキサーかけて混ぜてあるのはよくありますが、固形物として存在感のある野菜が入っていて、断片でも甘みがあり、甘さ控えめのケーキとよく合います。
「朝ごはんみたいでしょ。」っと奥さん。
牛乳と一緒にほおばりたいよ~。
これは美味しかった!!!

09.09.26 西村和雄先生の農場を訪ねる①

2009年09月29日 | 調査活動
お米の勉強会の皆さんが西村先生宅を訪問されるというので、山根さんご夫妻と共に京都府南丹市の有機農業の農園?塾?を訪ねました。
西村和雄先生はぐうたら農法とか著書「スローでたのしい有機農業コツの科学」とかで有名ですね。
京都大学で教鞭を終えられ、現在はココで生活されています。

なんとまぁ、草だらけのすごい畑でした。。。「ほったらがしかぇ」と言いそうですが、草むらの影からいろんな野菜がうごめいています。
「畑には入らんとってな~。土が固まるから。」
草の根や微生物によって土が耕されているとのこと。
また、どなたかが先生の農園を調査に来られて、「先生、ここには54種類の雑草があります」って報告されたらしい。。。

詳細は次の通信で。

これ、先生の最新巻です。分かりやすいですよ
http://www.junkudo.co.jp/detail2.jsp?ID=0110221794

09.07.19 妻鹿メロン

2009年08月13日 | 調査活動
姫路の妻鹿メロンを見学に、瀬川さんを訪ねました。
急な押しかけにも関わらず、親切に教えていただきました。



妻鹿メロンも生食用なのですが、「甘くして食べるのもいいけど、熟したのを塩して翌朝食べるのが美味しいです」と塩川さん。ほんとにおいしそうです。

今年は天候のせいなのか割れにくいようです。そういえば佐藤さんも福田さんも言ってましたね。。。