ひょうごの在来種保存会

会員さんも800名を越えました。活動報告を発信します。

221103「根っこ(種)からの人生創出」9 懇親会で姫路しょうがの岡田さん【人気急上昇】

2011年06月17日 | 保存会研修会
姫路おでんから始まった姫路しょうが復活作戦。
姫路は昔はショウガの産地だったそう。

2年ほど前に神戸新聞に掲載されましたが、栽培の中心は岡田さんです。

「あれ?この方、見かけたことがある・・・」という方も多いでしょう。

山下農園さんとも共同経営されたり、姫路えび芋も岡本さんらと一緒に取り組まれたり、精力的に活動されています。







221103「根っこ(種)からの人生創出」8 懇親会で北村わさびの北村さん

2011年06月15日 | 保存会研修会
今日の研修会に豊岡からきていただきました。
うめー。。「今日の料理にわさびはキツい・・・」と思ったけどそうでもなく、舌の上でネットリと潰すと、青く土の香りをもった鮮烈な刺激が鼻腔を吹き抜ける・・・ほんとに美味しい。
(最近、いいワサビは刺身よりご飯のほうが合うのではないかと考え始めている。)

今、但馬はこの人が一番元気です!!!(私の独断)

http://kitamura-wasabi.com/






221103「根っこ(種)からの人生創出」5 パネルディスカッション

2011年06月08日 | 保存会研修会
そして、講演いただいた三浦さん御夫妻と塩見さんに、オーストラリア研修をきっかけに全国で種採り活動を展開されている坂番雅美さん、大納言小豆「黒さや」を復活された柳田さんに同席していただき、パネルディスカッション。


坂番:オーストラリアでシードセーバーズを知って種の世界に入った。全国で種採り活動中。

柳田:80歳のおばあちゃんが「これは黒さややからな。おいしいさかいな」と自家用として残していた。出荷は別の小豆で行っていた。黒さやもその頃は80過ぎたおばあさんが3人だけで作り続けていた。私は後からついて行っただけなんです。昔から小豆っていったらこんなもんと思っていた。よそからもらった小豆を炊いたら割れてしまい驚いた。

221103「根っこ(種)からの人生創出」4 京都・綾部 「半農半X」 塩見直紀さん

2011年06月06日 | 保存会研修会
塩見直紀さん

お隣京都府の綾部で生まれの45歳。(私と同じですな。)
大阪の大企業でサラリーマンをされていましたが、約10年で脱サラ。98年、塩見さん曰く「種を哲学する」という在来種を後世に残してゆくためのネットワーク「たねっと」をはじめ、自給的農業+ソーシャルビジネス(地域の活性化など社会問題の解決を目的にしたビジネス)による、今や有名になった「半農半X」の生活をされています。
なにやら難しそうな雰囲気が漂う講演の始まりでしたが、具体的に考えてみると畑を耕して家族が食べられるだけのものをつくって、残りは地域活動を組み合わせたビジネスにより生活を続けるという生活スタイルを実践されています。

○種
 「嫁入り道具に種をもっていくような時代になればいいと思う。奈良県天理の本田さんの『ゴマを育てて半世紀』という本に、一升瓶に2本のゴマをもらう、これを里親に出すというくだり行為がある。種は私物化しない、独占しないものである。」
 「広島県ではジーンバンクが県内各地に残っている在来種を集めようとローラー作戦を展開された。私もある人から『昭和ヒトケタより前の人の話を聞いておくように』といわれたが、この時代の方の話はとても貴重だ。」

○今の生活
塩見さんは、350mの山、曲がった道、雪、薪の風呂、吊しダイコンなどがみられるところに居住されている。最寄りの信号まで4キロという結構田舎街で、朝3時に起きて6時までが考える時間とし、このスタイルが8年くらい続いている。いろいろな本を読むとともに、いつもペンと紙を胸に入れて農作業している。ひらめいたときにいろんなことを書き付けて、ノートにまとめられている。
このような活動に共感する人は多く、講演は年間70~80回。相当な回数であるとともに、講演先は外国まで及ぶ。特に「半農半X」を発刊してから大きな反響があった。本を読んで農水省や会社を辞めてしまった人も多い。台湾でも出版され、現在第7版。「半農半X的生活」副題は「順従自然・実践天賦」。若い世代の反響が大きい。中国雑誌にもパートタイムファーマーとして、スーツの男性が左手にパソコン、右手にクワを持つ写真姿が載っているほどだ。

○食
「味噌は自給の第一歩。味噌と玄米と塩があれば生きていける。」「わが国の食は豊かなんです。欧米は食材が4000種程度ですが日本は12,000種もあります。多様な食で豊かな生活が楽しめます。『1日の賢母は100人の教師に勝る』といわれるように。」
農家民宿等都市農村交流についても、塩見さんは「刺身やハンバーグがいらない食事」の提供を勧めている。

最後に、「今、日本人の平均年齢は65歳というけれど、農村の実態は75歳。もう3~5年したら農村・農業は大きく変わります。変わらざるを得ない。ターニングポイントです。今どのように行動するのか、一緒に考えましょう。」

221103「根っこ(種)からの人生創出」3 奈良 清澄の里「粟」オーナー 三浦雅之さん

2011年02月24日 | 保存会研修会
「復活、伝統野菜が皿の上に」
 奈良 清澄の里「粟」オーナー 三浦雅之さん のお話 はじまりはじまり~



 福祉活動で知り合った看護士の陽子さんとの新婚旅行先のアメリカで、トウモロコシの種を採り続け、それを糧に生活しているネイティブアメリカンの生活を見たことがきっかけとなってこの世界に入られました。種が生活を続け、生活が続いて伝統となって・・・文化ですね~。

 12年前に脱サラされ、3年間ほど奈良県内の農村各地を巡り、各地のおじいちゃんやおばあちゃんからいろんな話を聞かれました。その中で奈良県内各地の伝統野菜の存在を知り、それをきっかけに地域内で農産物の生産や種とり、人の和をつくられはじめ、そして地域の食材を使った農家レストランを開かれました。店は「粟(あわ)」と名づけ、「あ」は始まりを、「わ」は調和を表されているとのことです。(このお店について詳しくはネットでたくさんでています。すごい評判ですね。)

 活動地域の清澄の里では、農業を如何に活性化させるか、伝統野菜を如何に生かすかを考えてこられました。(レストラン、生産者の集まり、清澄地域などの関係はココに詳しく。。。
Http://www.kiyosumi.jp/index.html)

「地元の美しい風景に、昔の日本の風景をイメージし、この時代のものを活かして表現してきました。」「今でも大事にしたいと思っていることは、初めて見たのになんだか懐かしいものです。これは大事なものが眠っているものと思います。私は京都府の舞鶴出身ですが、奈良で始めて伝統野菜を見た時もこの懐かしさを感じました。昔の日本の風景が地域には古くからあります。今は昭和30年代の日本文化が残る最後の時代。この時代のものを活かしていこうと思っています。」
また、「一方、新しい伝統野菜を作ろうという動きもしています。100年後に残る野菜という意味です。未来を見ていきたい。」とも。
京都の石橋さんが「京あかり」とか「京てまり」とか手がけてられましたが、同じ考え方なんでしょうね~。

また、伝統野菜の必然性というか、存在の理由について
「伝統野菜を細々と作り続けているおじいちゃん、おばあちゃんに、『何故残しているの?』と聞いたときの答えは「伝統」とかではありませんでした。「おいしいから」と返ってきます。個人の嗜好性とつくり易さの2つの要素が継承されて残ったものです。この結果として、豊かな食文化が形成されたものと考えています。」

お店では
「お店を使って生産と消費の距離を縮めていきましょうと取組を進めています。料理は家内がつくっています。私自身はあまりできませんが、この料理のベースとなるものや彩りとかを考えています。」
ネットをみていると沢山の若い人が活躍されています。ブログも今風ですね。

私らへのリップサービスなんでしょうか・・・兵庫県内の取組みを褒めていただいて、そのあと地元奈良の課題をおっしゃいました。
「奈良県内では伝統野菜の取り組みが遅れてるのではないかと思う面があります。今、平城京遷都1300年イベントを行っていますが、観光客は寺を見るだけで、食事や宿は京都・大阪に行ってしまうようです。まだ奈良県は県内の観光資源を十分に生かし切っていないと思います。」

その一方で、
「私がこの活動を始めた12年前、誰も伝統野菜なんて言っていませんでした。もともと、野菜というものは市場流通や換金作物といった考え方が少ない食べものです。さらに奈良県は平たい土地は少なく、ほとんどが中山間地なので、出回る量も少ない。そのためにあまり誰も気にとめていなかったのかもしれません。」と今の流れをお話されました。奈良県内で、点から面への活動、ボリュームのある活動が必要なのでしょう。

その原動力として、
「県内の野菜に私がはまった理由として、一番大きいのは、作り続けている人に魅力的な人が多かったこと。仏掌芋(ぶっしょういも)の青木さん、ウーハンの鳥山さん・・・たくさんいらっしゃいます。」とたくさんを紹介されました。これはひょうごの在来種でも一緒ですね~。

最後に奈良県の大和野菜も紹介されました。
詳しくはココ
http://www.pref.nara.jp/dd_aspx_menuid-2767.htm

(個人的ですが「ひもとうがらし」が大好きです。夢前の岡山さんから苗を戴いたのをきっかけに5年ほどつくり続けています。フライパンで軽くあぶって醤油をちょっとつけて食べるのですが、飽きませんわ。いい野菜です。)

レストランの経営者だけあって、最後はデザート(!?)。
「今、『むこだまし』という 粟の和菓子をつくっています。『むこだまし』とは粟の名前です。通常モチアワで餅を搗くと黄色い餅ができるのですが、それに対して『むこだまし』は白い餅ができ、婿がコメの餅だと思ってだまされるということから名前がついたようです。」

質疑応答
棚田ラバーズの永菅さんが「種類も量も多いのでしょうが、どのように組織だって種採りしているんですか」と質問。いい質問だ~。
(永菅さんは県立大学卒業されて、現在は有機農業の営農研修受けてらっしゃるとか。相変わらずいつも元気だね~)
「NPOでは150種の種採りをやってます。そのうち45種が伝統野菜です。皆、人毎に得意分野で担当分けを行っています。種採りは義務が使命。モチベーションはそのお野菜が美味しいことです。美味しい野菜をしっかり食べることを皆で共有していく。この中での役割分担が重要ではないのでしょうか。」

わかりやすー!!!。

221103「根っこ(種)からの人生創出」2

2011年02月22日 | 保存会研修会
会場は兵庫県立大学 姫路新在家キャンパスです
「京の・・・」「なにわの・・・」の時もお世話になりましたが、今回は人数が急激に増えましたので、講堂を使わせていただきました。
今回も県立大学の学生さんにたくさんお世話になりました。また会員さんにもたくさん協力していただきました。
皆さんと一緒にできるのでこんなイベントが開催できます。また次回もしたいと思います。

さて、会場はすばらしく美しい建物です。旧制の姫路高等学校講堂とか。
登録有形文化財※とか。
※急激に消滅しつつある近代の建造物を保護するため、国レベルで重要なものを厳選する重要文化財指定制度のみでは不十分であり、より緩やかな規制のもとで、幅広く保護の網をかけるため、重要文化財指定制度を補うものとして創設されたのが、文化財登録制度であり、登録された物件を登録有形文化財と称する。

会場に来られた皆さんは建物をご覧になってから会場の展示品を観賞されています。
少々遅れて山根代表のあいさつから始まります。


221103「根っこ(種)からの人生創出」1

2011年02月20日 | 保存会研修会










お久しぶりです。冬眠してました。
長い間更新していなくて申し訳ありません。
春になったので、そろそろ動き始めます。。。

昔のことになりいろんな方がブログにアップされていますので今更なんですが、保存会のメモとして残しておきます。

保存会では、随時県内の産地調査を実施していますが、恒例として年に一度、他県の調査と他県からキーマンをお呼びして講演会を開催しています。
「なにわの伝統野菜に学ぶ」、「京の伝統野菜に学ぶ」と実施してきましたが・・・今回は奈良に学ぶです。


今回も有名なお二人をお招きしました。

まずは会場写真です。





11月3日イベント 「根っこ(種)からの人生創出」

2010年09月21日 | 保存会研修会
保存会イベントの案内です。

11月3日
 10:30開催 (10:00~受付)

10:30~「復活、大和野菜が皿の上に」 三浦雅之さん(奈良県で野菜レストラン経営)

13:00~「生き方としての“農的生活”の提案」 塩見直紀(「半農半X」の生活提案)

15:00~パネルディスカッション

夜・・・・懇親会(豆の蔵 先着60名)

申込方法や講師紹介など、詳細はもうすぐ発行の保存会通信12号に同封されています。

「なんかバッタモンの健康食品でも売り出すのかというような題名ついてますけど・・・・」
→恒例の研修会です。お気軽に参加ください。

「なんか午前中からになってますけど・・・」
→山根代表の気合が入っているようです。昼食の有無(500円)懇親会の有無(3500円)も併せて、お申込ください。

「場所がわからないんですけど・・・」
→姫路駅を北側に出て、左手に見える山陽百貨店の1階にバス停があります。たくさんのバスが出てややこしいので、受付で「県立大の新在家キャンパス」と言えば教えてくれます。新在家キャンパスということだけは必須です。他にも書写キャンパスがあるので、えらいことになります。バスで10分程度、バス停降りたらそのバス道の正面がキャンパスです。

申込方法はいつものように、079-284-3330へファックスです

220116「京都の伝統野菜に学ぶ」⑦梅澤糧穀さんのお店「豆の王国」

2010年04月06日 | 保存会研修会
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梅澤さんは豆の資料も多く収集されてます。
なんと豆腐百珍のホンモノもあったり!!!すごい資料室です。
この建物も歴史ありそ~・・・と言えば、残念ながらこの建物は道路拡張の影響で飲食店としては使うことができなくなるようです。・・・残念。
写真を残しておきます。

220116「京都の伝統野菜に学ぶ」⑤

2010年04月01日 | 保存会研修会

質問もたくさん出ました
一部を紹介します
Q:石割さんへ、最初は売り先がなかったのではないかと思うが、そこからどのように拡大させてきたのですか?
A:まずなにより手足をだすことが大切。自分で出向いて行っていろんなところで話を聞く。自分のプライド捨てて知人とかのツテをあたってどんどん回るのがいい。何がダメなのか考えることにもなる。売り先から意見をもらうようになると、より良くなってくる。
ポイント・・・作物の味にはバランスが必要。良いところをわかってもらうことも必要。


Q:岡田さんへ、取り扱っておられる米の価格が高いと思うのですが、もう少し安く供給できないものでしょうか?
A:それなりの経費がかかってくるものです。基本的に生産者への買い支えが必要と考えているので、高いと言うより見合いの価格と思う。実際、本当に高いのか?と思う。コンビニ弁当と比較しても原料段階ではそんなに高いものではない。

Q:木下さんへ、そのような生活へはどのように導いていけばいいのか?
A:お料理教育が必要と思います。自分で炊いて食事ができるように。人に頼らない生き方を教えることが必要です。

会場意見
・田中さん(シャンデエルブ) 我々は豊かな生活を求める。その方向へのネットワークが必要。


220116「京都の伝統野菜に学ぶ」④木下穂支子さん

2010年03月27日 | 保存会研修会
3 「京都の安全な野菜を届ける、食べる」 健康料理研究家 使い捨て時代を考える会 木下穂支子
                                   
・学校給食センターで栄養指導を行っている(管理栄養士)。正しい食事の取り方が大切であり、食べ方を学ぶ必要がある。我々は2000年、米を食べて生きてきた。食べ物に気を付けて体を健康に保ち、ピンピンコロリでいきたい。

・医食同源
 日頃からバランスの取れた美味しい食事をとることで病気予防しましょう。
 「身土不二」といったその土地で育った旬のものをいただくことは生命力のあるものをいただくこと。栄養価も高く味も良い。旬の素材を、春は苦み、夏は酸味、秋は辛み、冬は油ものをいただくことを心がけて一年を過ごすことが大切です。

・一物全体食
 食物は皮は剥かず、頭から尻尾まで丸ごと食べる。生命力をもった食べ物(芽の出るもの)は命を食べることである。できるだけ、玄米食のようにそのままに近い食べ方を、また、腐るものを腐る前に食べること(添加物)が大切です。 
「噛むこと」年をとると唾液が減る 健全は歯づくり
       野菜を食べる歯 8本、米を食べる歯 20本、肉を食べる歯 4本

・マゴワヤサシイ
 献立の基本・・・まめ、ごま、海草、野菜、魚、椎茸、芋
ま(豆類 豆腐や納豆でたんぱく質を。)ご(ごま ナッツなどでビタミンEなど良質な油を)わ(わかめ 海藻類でミネラルを)や(やさい たっぷり野菜を)さ(さかな 魚類も大切)し(椎茸 きのこ類にはビタミンDが豊富)い(いも 腸内環境を整える食物繊維が豊富)


220116「京都の伝統野菜に学ぶ」③岡田仁さん

2010年03月25日 | 保存会研修会


続いて

2 「京都の安全な野菜を届ける、食べる」 ㈱安全農産供給センター 岡田仁

・「使い捨て時代を考える会」
 7年前、使い捨てに象徴されるこの時代を問い直そうと、槌田劭(つちだたかし)さんが始めた古新聞の回収運動からこの活動は始まった。以来、食と農、健康、環境問題など、さまざまな活動に取り組んでいる。

・活動
 産者と消費者はともによろこび合える関係を築いていきたいと、「畑に合わせて食卓を」を呼び声に、共同購入や農場経営により、現在約1,500人の消費者会員にボックスで野菜を販売している。昨年、余った農産物の活用や会員相互の交流、更には農業後継者の育成を目的に加工場(手作り味噌)を建設した。現在、トマトピューレ、漬け物、味噌作りに手がけ、特に味噌は1.5tの大豆を仕込み、味噌4tつくって組合員に配っている。

・「縁故米運動」
 お米をつくる後継者がいない。このため、お米の生産者が維持できるよう、生産者からおコメをキロ500円で買い上げ、消費者に700円で流通させている。年間60tの取扱があり、買い支える消費者を増やそうと考えている。今、600万円の基金が集まったので、これを元にお米の後継者を増やす取組を行いたい。
「いつまでもあると思うな親とコメ」
JAS有機にしても安全をお金で買う人を助長している。安全はお金で買える。制度やルールで安全は買えるが、信頼は買えない。生産者と消費者とのつながりを大切にしていきたい。

 詳しくはホームページをご覧ください
http://www.tukaisutejidai.com/


220116「京都の伝統野菜に学ぶ」②石割照久さん

2010年03月22日 | 保存会研修会
 
 
 さて講演は今回も、「生産」「流通」「消費」分野からの3人でお願いしています。

 まずは京野菜の生産者、石割さんです。

1 「京都の伝統野菜、その新しい展開」元京都伝統野菜研究会会長 石割照久

 我が家では、チョンマゲの頃から九条水菜や壬生菜とか、米と野菜を作り続けてきた。

 日本では、弘法大師の頃から、中央アジアとかいろんな方面から入ってきた野菜を昔の人が各地で品種改良をしてきた。当時、京都は国の中心であったことから、献上品のような形で全国からいいものが集まってきていた。これらのものから優れたものが残ってきて、これが京野菜である。中には京に来てから姿かたちが変わってきたものもある。例えば、愛知の尾張大根は砲弾型であるが、京都に入ってきて丸くなり、聖護院大根になったものと思われる。

 九条ネギは昔は家毎に姿形が違った。それぞれ家や利用者のニーズであったと思われるが地域により様々な系統があった。今では浅黄と黒の2系統がメインとなって作られているが、自分のものと友人の似ているものを一緒に植えて弱くなるのを防いでいる。

 京都の伝統野菜は37品目あるが、残っているのは34品目。
 「郡(こおり)ダイコン」「東寺かぶ」「聖護院キュウリ」の3つが絶滅した。
 自分のところで採った種は、自分の性格に合っているものとなって作りやすい。

 今、我が家は妻と二人で京野菜を生産し、プロ(料理屋)向けに出荷している。有機栽培であるがJASはとってない。手間を惜しまず作っている。生産量が足りない。

 市内の農家の有志で「新京野菜の会」をつくった。行政や大学と共同で「昔の良いものを残し新しいものをつくろう」と新しい野菜を生産・提案している。
 味の濃いしっかりとした肉質の「京あかね」、ビタミン等の栄養価の高い「京てまり」、茎や葉を食べる葉物野菜の「京唐菜」、その他にも「花かぼちゃ」「京よめな」「京新菜」などいろいろ提案している。

 持続的な農業が必要である。食べる人が納得して食べるものは売れる。食べる人との信頼関係が大切である。また、「あとつぎ」をつくること、次代へ続く種である。