ひょうごの在来種保存会

会員さんも800名を越えました。活動報告を発信します。

220709田能のさといも~自然と文化の森協会③

2010年10月04日 | 調査活動
 栽培は休耕地を活用されています。休耕地を活用しているため、なかなか農地が借りられなかったり、連作障害のために続けて同じほ場で栽培できないということもあり、毎年土地の確保や作付計画に苦労されています。だいたい毎年10a~20aくらいの面積で栽培され、オーナー制です。今年のオーナーは23名。最高時は86名だったそうです。肥料は園田競馬場の馬糞堆肥など有機質肥料を使用し、農薬も極力使用しない栽培方法を実施されています。
 毎月2回程度の農作業と秋には収穫祭(のっぺい汁)を行っていらっしゃいます。オーナーになると一人20株程度が割り当てられます。1.3m×10mが基本とのこと。オーナーの募集は、以前は市の広報使ってましたが今は希望者が多く、募集しなくても集まる状態だそう。今年は約1,200株栽培中です。多いときで2,000株したこともあったそうです。
 

○種芋は
 この種(元芋)は活動を始めた時に地元にあったもので、昔からおいしいと評価されていたものを使っています。今もオーナー制を行っているほ場とは別に「種場」をつくって種を保存されています。そこも見学させていただきました。ここも美しい。住宅街にきれいな畝が並びます。種芋は収穫後、株ごと地中に埋めてビニールをかぶせておくそうです。

○市民活動
 この市民活動は、総務大臣賞を受賞したことがあります。
「地域の個性豊かな発想を活かし、住民を始めとして様々な主体が取り組む魅力あふれる地域づくりを積極的に推進」するという地域づくり総務大臣表彰というもので、地域をより良くしようと頑張る団体、個人に表彰されるものです。
 詳細→http://www.arpak.co.jp/nl/136/136_8.htm

○最後に
 今の会で重点的に進めておられることをお聞きすると、今の課題は指導者の後継者を育てることだそうです。そのためにはこの活動をお皆に知ってもらい、機運を盛り上げたいそうです。 最後に、11月21日に収穫祭が開催され、試食会もあるようです。田能のさといも、姫路えび芋、小野芋・・・地域の在来種によりオーナー制や試食会をするということは同じでも、取り組みはいろいろ。保存会と一緒になにか交流企画ができないですかね。

《種芋畑の写真です》


220709田能のさといも~自然と文化の森協会②

2010年10月01日 | 調査活動
○活動のきっかけと活動主体
 きっかけは、尼崎市が平成13年に策定した「自然と文化の森構想」です。これは、地域に残る豊かな自然環境や伝統、歴史などをもう一度見直し、市民が憩い、楽しみ、学ぶことのできる地域にすることが目的とされています。そしてこの活動の主体は「自然と文化の森協会」であり、市民活動として展開されています。
協会には「農業」「緑」「水辺」「歴史・文化」の部会があり、田能のさといもに取り組んでいるのは農業部会です。
ちょっと脇にそれてこの協会の活動を紹介しますと、「緑分野」では外来生物(トウネズミモチ)の伐採や生物多様性の研修など猪名川自然林の保存活動などを、「水辺分野」では水辺で楽しみ隊による生き物観察やバッタ捕り、水辺フォーラムの開催や猪名川クリーン作戦などを、「歴史文化分野」では、わがまち歴史ウオッチングによる歴史探訪実践講座や歴史記録など、幅広い活動をなさっています。
(注:これらの活動には協会主体の活動と協会が支援している活動とが混在しているかも・・・聞き取り不十分ですいません。)

○そもそも「田能のさといも」とは
 この地域に昔からつくられていた里芋で、「かゆくない里芋」として地元で評判です。今でも地元の農家が栽培され、主に自家用ですが、収穫時期にはJAの直売所でみかけることがあるそうです。会員でない我々が入手できるのはココですね。そうそう、茎は薄緑色です。ずいきとしては食べられていないようです。

○協会の農業分野が実施されている活動
 農業部会は現在約70名で構成され、田能のさといもを手がけて10年になるそうです。なんとこの活動組織の中に農家はいません。
昨年(21年度)の活動をお聞きしましたが、すごいですよ!。4月12日の種芋の堀上作業から始まり、植え付け、除草、追肥、馬糞敷き、土寄せ、潅水(土寄せと潅水が何度も続く)、枯れ葉除去や芋掘り、袋詰め、収穫祭、整地、種芋の保存まで、なんと年間19回の共同活動を実施されています。それもこの19回以外に有志の方が7月末から9月初旬の炎天下に19日間、畝間潅水などの作業をサポートされています。田能のさといも、恐るべし!
今年は5月に総会を行い、今、皆で栽培中とのことでした。