ひょうごの在来種保存会

会員さんも800名を越えました。活動報告を発信します。

220116「京都の伝統野菜に学ぶ」①

2010年02月28日 | 保存会研修会
各地の伝統野菜に学ぶ特集、
昨年は「なにわの伝統野菜に学ぶ」、今年は「京都」です

昨年に引き続き県立大学をお借りして開催しましたが、申し込みが多く、会場がパンクしそうでした。兵庫県立大学の学生さんに補助いすを用意していただいて、難を逃れました。ありがとうございました。

まずは、堀川ごぼう。
会場にみず菜、壬生菜、九条ネギ、金時にんじん・・・など、いろいろ展示してありましたが、この堀川ごぼうは立派なものでした。





北村ワサビ(続編) 【保存会通信8号より】

2010年02月21日 | 保存会通信
次に、種のことをお聞きしました。
北村わさびでは50年くらい前に静岡から導入したダルマを元に、ずっと種をとり続けていらっしゃるとのことです。「伊豆山系ではほとんど谷筋でわさびをつくっていますが、谷筋が違うとその地の水にあったものはできないのです。行き詰ると他から買うことになりますが、それはその地に合っていないので大変な苦労を伴う。わさびはその地でとり続けていくことが大切なんです。」五代目北村宣弘さんはHPに記載している。「当家では祖父の代から50年近くに渡り自家採種を続けています。植物は本来、その地で生き抜いて、より優れた子孫を残そうと環境にゆっくり適応していく能力を備えています。採種をしていくうちに、その地固有の作物に生まれ変わります。この地の湧き水、気候風土、栽培方法にうまく馴れ親しんだわさびは病気や病害虫に強く、たくましい生命力を発揮してくれます。これからも種を採り続け、この地ならではの姿かたちと風味をもったわさびを伝えていきたいと思います。」

全国的に有名な産地の大半は大規模農園で企業的に経営されています。そのような農園では種苗業者等から培養苗を購入するため、わさび農家が採種したりはしません。
お聞きすると実生苗を使う農家も残っているそうですが、ほとんど野菜農家等に種を採ってもらっているようです。
実生は良い苗を作ることができる期間が短く、煩雑になり大変難しいので全国的には仕方が無いことなのでしょうが、それだけに北村わさびさんの高い技術と信念には感服させられます。

「わさびは飲める水だけで生きてきた。とはいえ、やせ地では出来ないのです。」
「これだけ水が豊でも今も水に悩みます。」
「種を採るには恵まれすぎた環境ではよくありません。」
北村さんの言葉には、今までの長い栽培経験の蓄積と技術の自信が感じられる一方、現在も栽培に悩み、さらなる技術向上へ取り組んでいらっしゃる姿が見えます。

また、北村さん親子は「恩恵」という言葉を良く使われます。自然への感謝、自然からの恵み、長い時の流れ・・・栽培に対する思いが伝わってくると同時に、自分も自然に言葉が使えるようになれたら、と思いました。

 自家採種を続け、その地で世代を越えて作り続けられている在来種「北村わさび」。すばらしい方々とお会いできました。なお、北村わさびは大阪黒門市場で購入できますが、五代目が作成されているホームページでも購入できます。
 このホームページはすばらしい出来栄えです。一度ご覧ください。
http://kitamura-wasabi.com/

北村ワサビ 【保存会通信8号より】

2010年02月20日 | 保存会通信
前に北村ワサビを調査し、通信に掲載した私の記事です


「日高でわさび・・・!?」会員の辻本さんからの情報でした(2007年8月神戸新聞の記事)。豊岡で生まれ育ったが、こんなに近くにわさび農家があるなんて知りませんでした。それも相当りっぱな園らしいです。保存会5人で調査を行いました。

豊岡市日高町。JR江原駅から西に、スキー場で有名な神鍋山に向かって車で走ると、にじます、但馬牛、アマゴ・・・美味しそうな看板が目に入ります。そこが「十戸(じゅうご)」という地区で、その街道から少し山側に入ったところに北村わさびはあります。

急な訪問にもかかわらず、北村さんは調査を快く引き受けてくれました。お話を伺います。
現在、北村わさびは北村さん親子で栽培されており、お父さんが4代目、息子さんが5代目とのことですが、なんと北村わさびとして当地で始めた本家から数えると約300年の歴史があるとのことでした。
早速、園を見せて頂きます。北村さん宅のすぐ近く、住宅の合間の路地を通るとつきあたりにあるのは道を遮るトタンの壁。不自然に高いトタンの扉をそっと開けると、そこにはバーンと新緑の世界が広がりました。わさび園です。広い!きれい!

「面積は3反ほど。」とのことですが中央のポンプ小屋や張り巡らされた水路、周辺のハウスや小屋など含め、かなりの広く見えます。鹿が飛び出てきそうな深い緑の森林を背後に、若い黄緑のわさびが広がっているので広く見えるのでしょうか?それにしても綺麗な光景です。
足下のわさびも透明な水に弱々しくゆられて、敷き詰められた石にしがみついているようです。水はとても豊かに静かに流れ、まるで流れが止まっているようなその造形はゼリーのように見えます。

「水源はね、蘇武岳の雨水が地下水になって流れてきています。春は雪解け、夏は梅雨の水。秋は台風、冬は雪。年中絶えることがありません。この辺り15集落で5カ所の水源があり、毎秒700リットル、年中だいたい12.7度と、一定しているんですわ。」 
北村さんの話は自然の話が中心だ。
「ここらへんの地下水は火山灰で漉して湧き出てきます。」
五代目が作成するホームページにも記載がありますが、北村ワサビ園は神鍋山から約5km南にあり、このあたり一帯は、神鍋山(現在休火山)の火山灰がつもった黒ボク土地帯で、神鍋山やその周辺に降った雨や雪が地下に浸透し、堆積した腐葉土や岩石のミネラルを含み、北村さん曰く「天然フィルター」となる黒ボク土をゆっくり通って湧き水となっているとのことです。

園を見渡すと、苗を植えたばかりのところ、収穫が近そうなところ、なにも植えてなく、石がむき出しのところといろいろあります。また寒冷紗も装備されており、これは、このわさび園が本来のわさびに適した標高より低いため、夏場は寒冷紗で覆い気温を調節されているとのことでした。きめ細かい作業が想像されます。



次に、種のことをお聞きしました。・・・・(続く)・・・